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米当局が利上げにこだわる「重大な理由」 「イエレン講演」で見えた秋以降のシナリオ(東洋経済)
http://www.asyura2.com/16/hasan112/msg/447.html
投稿者 赤かぶ 日時 2016 年 8 月 27 日 15:14:25: igsppGRN/E9PQ kNSCqYLU
 

ジャクソンホールでFRBのイエレン議長は何を語ったのか。金利の引き上げについては「重要な理由」がありそうだ(写真:AP/アフロ)


米当局が利上げにこだわる「重大な理由」 「イエレン講演」で見えた秋以降のシナリオ
http://toyokeizai.net/articles/-/133419
滝澤 伯文 :CBOT会員ストラテジスト 東洋経済


夏枯れで材料に欠いた相場関係者は、異常なまでに8月26日のジャクソンホールでのイエレン議長の講演に期待していた。

だがそもそも「ジャクソンホール」は、FEDが与えられた法的権限の中で、新しいフレームワーク(政策決定の枠組み)を世界に向けて示す場である。対象は市場関係者ではなくアカデミア。新しいフレームワークのアイデイアが無ければFRB議長は参加しない。

ならば、バイナリー(二者択一)のイベントに慣れてしまった今の「オン・オフ二進法相場」には、本来馴染まないイベントだったかもしれない。26日の米国市場も、結局のところ異常な期待があだとなり、いったんイエレンで「オン」(上昇)。ところが、直後にフィッシャーFRB副議長がCNBCでイエレンのスピーチの解釈を説明すると、簡単にオフ(下落)してしまった。

■いつから市場は「中央銀行主義」へ傾斜したのか

筆者の経験では、1970年代後半から存在するこのイベントが常時注目されるようになったのは、2000年代になってから。そのきっかけは1999年、当時議長だったグリーンスパンが、後に ”グリーンスパン・プット”とよばれるようになった “New Challenges for Monetary Policy” を発表してからだろう。これを境に、株価の急落局面では、FEDはインフレや失業率に関係なく、金利を引き下げて株価を支えることが”普通”になった。

ここから金融市場は中央銀行主義へ傾斜。DO NOT FIGHT FED(中央銀行に逆らうな)という「格言」が、あちこちから聞こえるようになったが、さらに踏み込んだのが2010年だ。この年にバーナンキが発表したのが“The Economic Outlook and Monetary Policy”だ。ここでは日銀がひっそりとやっていたQE(量的緩和政策)を、なんと2008年のリーマンショックから2年が過ぎ、システム危機が去った後の米国でも始めることが示唆された(QE2)。

この時は実際に市場が動き出したのは9月になってからだ。当事最も有力なヘッジファンドだったデービット・テッパー氏が、CNBCで“中央銀行がこれから債券を買うとわざわざ表明しているのに、なぜみんな躊躇しているのか”と発言。ここが基点となり、株高は2015年まで続いた。

では、26日のイエレンのスピーチで見えてきたシナリオはなんだろうか。繰り返すが、イエレンは皆が期待した利上げの時期についての明確なヒントは避けた。ただ重要な示唆をしてくれている。

■なぜ利上げは歓迎されるのか

利上げの時期は示さなかったが、イエレンが強調したのは、銀行がFEDに預けている当座預金への金利の重要性だ。筆者は事前にNY連銀のダドレー総裁が利上げを示唆したのは、ハト派としての予防的なタカ派ポーズではなく、筆者がメリーゴーランドとイカロスの神話で解説したように(「コラム『中央銀行バブル』は、いつ完全にはじけるか」(http://toyokeizai.net/articles/-/123014)を参照)、NY連銀の株主でもあるウォール街の要望を代弁したと考えている。

リーマンショック後、混乱のドサクサにまぎれて銀行免許を取得したゴールドマン・サックスやモルガン・スタンレーには、今や大量に預金が集まり始めている。ゴールドマンは、GS BANKとして、個人向けのセービング口座に1%の金利を付けている。

これまで一部の大金持ちだけを相手にしていたゴールドマンが、最低預金額を設定せず、一般からも預金を集めるなら、その信用力からしても大量の資金が集まるはずだ。しかし安定した運用先(金利)がなければ、このビジネスモデルは成り立たない。証券会社として相場の変動で儲けるにも、株も債券もここまで割高になっては、もはや危ない。

そこでもし利上げをすれば、FEDは銀行免許をもち、FEDに預金を預ける金融機関にその分の金利を余計に払うことになる。それは銀行免許を得たゴールドマンなど、金融機関にもありがたいことだ。もちろん旧来からの銀行であるJPモルガンやCITIも利上げは歓迎である(このあたり、筆者はマイナス金利を導入した後の日本の現状を参考にしている可能性を強く感じる)。

ここで、簡単に今の米国の利上げの仕組みを説明してみよう。これまで米国の利上げは(ボルカー議長以降)オーバーナイトの無担保市場(フェドファンド市場)への介入を指して来た。しかしリーマンショックで極端に流動性を増やしてしまったため、米国内の金融機関がフェドファンド市場で資金を調達するニーズは限りなく細ってしまった。

そこでFEDが用いたのが、IOERと呼ばれる銀行からのFEDの当座預金にFFレートよりも若干高い金利を付けることだ。これはQEとセットだったが、利上げの際は、ここに充当する金利をつけ、資金を留めることが必要となった。さらにON RRP(オーバーナイトリバースレポ)という市場を設立し、銀行以外の金融機関にも、FEDがQEで市場から吸収した債券を逆に貸し出し、市場から資金を吸収することで、利上げの状態を維持することを目論んだ。

ところが、昨年12月の利上げでこの3点セットを試したものの、ON RRPのボリュームは想定ほど増えなかった。よって、仮にもう一度利上げをする場合、その効果を維持する上で一番重要になるのはIOERだ。今回イエレンが殊更IOERの重要性を強調したのは、利上げへの地ならしと見るべきだ。

イエレンにとって都合がいいのは、IOERの金利は、FOMCのような連銀を含めたFED全体の決議を必要としないことだ。貸与する金利はFRBが勝手に決められる。そうなると、これまでアメリカの中央銀行はFRBと間違った報道をしてきた日本のメディアはテクニカルには正しくなる(実際はアメリカの中央銀行はFRBでなくFED)。

■利上げはやはり12月が有力だ

もう一つ、今回ジャクソンホールでは歴史的出来事があった。「FED・UP」と呼ばれる組織と、FOMCに参加するFED関係者が面談を持ったのだ。

英語でFED・UPは、もう沢山、もうごめんだという意味。この組織の目的は、タカ派が、金融政策を正常に戻すという脅しを続けるのに対し、FEDに、緩和策の効果が社会の末端まで届くまで、緩和策を続けろというメッセージを届けること。彼らは二年前、ジャクソンホールに300人で乗り込んできた。

この時はFED関係者と面会はかなわず外で騒いだだけだった。しかし今回は、イベントを主催するカンザス連銀のジョージ総裁を筆頭に、FEDの重要メンバー12人が面談した(イエレン議長が参加したかは不明)。

現在FOMCのメンバーは白人だけでマイノリテイーは誰もいない。今回このような会談が持たれた背景には、FEDの人材をめぐる人種差別の問題も無視できない。

そんななか、イエレンは銀行を救済するかのような利上げを示唆する一方、必要な場合、次の利下げとQEまでのプロセスも詳細に語っている。そこでの最後のプロセスが財政との協調体制の確立。利上げによるコスト発生(FEDの利益が減り国庫への還元が減る)を考えれば、財政と金融の協調体制復活は必須となる(実際1951年までこの体勢だった)。

末端まで緩和策の恩恵を届けることを本気でやるなら最後はヘリコプター。だがもちろんまだそこまでは触れていない。しかしFED・UPに代表される米国社会の変動を、新たなグローバルドクトリンで達成するのが、ブルッキングスやCFR など、いわゆるリベラル系グローバリストの知性。彼らがヘリコプターを視野に入れているのは明らかである。

そしてイエレンを筆頭に、オバマ政権が送り込んだ現在のリベラルなFRB理事の面々はその価値観を共有している(フィッシャー副総裁はその限りにあらず)。だからこそ、その旗頭となるべき民主党のヒラリー政権を確実にするまでは、万全を期し市場への警戒も怠らない。それが、利上げは9月ではなく、選挙が終わった12月という個人的な根拠である。

いずれにしても、1999年のグリーンスパン、2010年のバーナンキの新フレームワークに匹敵するイエレンのメッセージを市場は徐々に受け止めるはずだ。ただし、ヒラリーが共和党のトランプに負ければ意味のないものになる。巷の報道とは裏腹に、その可能性がまだ十分あることは、次に機会があればここで紹介したい。(敬称略)

 

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