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政策の満塁ホームラン、ふるさと納税で潤う地方 業務代行サービス登場で、熱気を帯びる自治体の舞台裏(JBpress)
http://www.asyura2.com/16/hasan112/msg/530.html
投稿者 赤かぶ 日時 2016 年 8 月 30 日 00:30:05: igsppGRN/E9PQ kNSCqYLU
 

               ふるさと納税によって寄付されたお金で作られた「シーボルトの足湯」(嬉野市提供)
 


政策の満塁ホームラン、ふるさと納税で潤う地方 業務代行サービス登場で、熱気を帯びる自治体の舞台裏
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/47726
2016.8.30 大島 七々三 JBpress


■急に盛り上がり始めた背景


 この2年ほどで「ふるさと納税」が盛り上がりを見せている。総務省の調査結果によると、平成27年(2015年)度の「ふるさと納税」の実績は約1653億円で前年度に比べて4.3倍、納入件数は約726万件で前年度比3.8倍という急激な伸び方だ。


 「ふるさと納税」の制度がスタートしたのは、平成20年(2008年)。当初「ふるさと納税は広がらない」という意見が大半を占めていた。その予想通りスタートして数年は実績も100億円前後の横ばいで推移していた。


 ところが一昨年(平成26年)、いきなり389億円と急伸した後、翌年には一気に1653億円まで急上昇したのだ。


 この急激な上昇の要因は、大きく3つある。1つは、「ふるさとチョイス」、「さとふる」など、ふるさと納税ポータルサイトの機能が充実してきたことだ。これらのサイトでは、全国自治体の返礼品をわかりやすく紹介すると同時に、寄付金納付の決済機能まで備えていることで、面倒な手続きを不要にした。


 ポータルサイトが登場する前は、「ふるさと納税」を希望する人は、目当ての自治体に連絡して申込用紙を送ってもらい、必要事項と希望の返礼品を記入したら返送するといった面倒なやり取りと手続きが必要だった。


 またどの自治体がどのような返礼品を用意しているのかを知るには、各自治体のホームページを一つひとつ訪れて確認するしかなかったのだ。


 しかし、ポータルサイトが登場してサイト上で全国の返礼品の選択から決済までできるようになり、産直野菜のECサイトと同じ感覚で寄付ができるようになった。数ある返礼品の中から好みのものが見つかりやすく、また手続きが簡単になったことで、参加者が急激に増えてきたのである。


 2つ目の要因は、心理的なハードルが下がったことが挙げられる。


 「ふるさと納税」が始まった当初、「自分の出身地を応援する制度」というイメージが強かった。ところがポータルサイトが各地の返礼品をクローズアップし、それらを見やすく紹介したことで、縁もゆかりもない地域でも返礼品の好みで選んでいいという“気軽さ”を生んだ。


■寄付者を格段に増やした昨年の制度改正


 寄付件数急増の3つ目の要因は、平成27年(2015年)4月に行われた「制度改正」である。実はこの制度改正にはポイントが2つある。


 制度改正の1つ目のポイントは、それまで5000円だった自己負担額が2000円に減額されると同時に、税額控除を受けられる納税枠が約2倍に引き上げられたことだ。これでより少ない負担で2倍の返礼品が受け取れるという、非常にお得な制度へと変わった。


 制度改正のもう1つのポイントは、「ふるさと納税ワンストップ特例制度」の導入である。


 従来の制度では、「ふるさと納税」をした人のうち、本来は確定申告をしなくていいサラリーマンであっても確定申告をしなければ税金の控除が受けられなかった(納税した先の自治体すべてから受領書をもらい、それを添付した確定申告書類を提出する作る必要があった)。


 しかしこの特例制度が設けられたことによって、寄付先が5団体以内なら確定申告をしなくても住民税の控除が受けられるようになったのだ(寄付先の自治体と現住所のある自治体とがやり取りをして、自動的に住民税から控除されるようになった)。


 確定申告の手間が減った分だけ、給与所得者などもともとは確定申告をしなくてもいい人が、参加しやすくなったというわけだ。


 こうしてポータルサイトの出現、出身地以外でも応援していいという気軽さ、ならびに強力な制度改正によって格段に参加しやすくなったことから、平成24年時点では12万件だった寄付件数も平成25年には42万7000件、平成26年に191万2000件、平成27年には726万件とうなぎ上りに増えていった。


 それとともに寄付金の総額も、わずか3年で平成24年の100億円から1653億円(平成27年)と、16倍にも膨れ上がったのである。


 しかも、これだけ成長しながらも、「ふるさと納税」をしたことのある人の割合は、いまだ納税者の1割強に過ぎない(総務省調べ)。そのため今後も件数、寄付金額ともに大幅に伸びていくことが予想されている。


■巨額の寄付金が動き出し、自治体の目の色が変わってきた


 「ふるさと納税」の実績が1600億円ということはつまり、それだけのお金が都会から地方に回り始めたということだ。昨年(度)、1億円超の寄付金を集めた自治体はなんと252団体に達している。


 10億円を超えた自治体の数は22団体。寄付金が一般住民税による税収よりも多い自治体も珍しくない、という状況になっている。財政難を抱える地方自治体にとって「ふるさと納税」は、新しい財源を確保する願ってもないチャンスなのだ。


 しかも、これまで地方自治体が予算を増やす手段は政治力に寄る部分が多かった。政治の力で政府に働きかけて予算を引っ張ってくるか、大手企業の誘致を成功させるなどの手腕を発揮できる首長がいる自治体が強く、小さくて無名な自治体はなかなか日の目を見られなかった。


 ところが、ふるさと納税は全国的にあまり知られていない小さくて無名な市町村であっても、返礼品一つで有名な都市や自治体を凌ぐ「財源」を得られるチャンスをもたらした。そこで小さな自治体が俄然、目の色を変えている。


 人気の返礼品を打ち出すことが、地元経済活性化の重要な課題になってきているのである。一般納税者だけでなく、全国の自治体も「ふるさと納税」活用に、目の色を変えているのである。


 ほかの自治体がどんな返礼品を出しているか常にチェックし、地元の魚介類や高級牛肉などを駆使して豪華な返礼品を続々と投入する自治体も増えてきた。競争がヒートアップする中で、最近では家電や商品券などその地域と全く関係のない品を返礼品として打ち出す自治体も現れ始めている。


 受け取った寄付金額をそっくりそのまま返礼品に回しているのではないかと思われる自治体もある。せっかく寄付を受けとっても全く手元に残らないなら、自治体にとってはメリットがないように思えるが、そうではない。


 全国的にそれほど知られていない自治体にとっては地元業者が潤い、市町村の知名度が上がるだけで十分なのである。


 しかもその分、地元産品を扱う農業漁業関係者ほか、生産者や事業者にお金が流れるため、地元経済は潤う。地域の産業を活性化させたい行政としては、それでも地域のためになると踏んでいるのだ。


 そして昨年4月、ヒートアップする全国自治体の返礼品競争に対して、総務省が待ったをかける事態になった。


 返礼品の金額や返礼率は明示しないことや、換金性の高い返礼品など、ふるさと納税の趣旨に反するような返礼品は自粛するよう各自治体に要請する通達を出すに至ったのである。そこからは全国の自治体の間にも過度な競争を避け、もう少し別の返礼品の形を模索する動きが見え始めている。


■「納税」と言いながら実際は「寄付」


 さて、ここで「ふるさと納税」についてあまり知識がない人のために、基本的な内容を押さえておこう。「ふるさと納税」は、「納税」という言葉が使われているが、正確には都道府県や市区町村への「寄付」である。自治体に直接、税金を納めるものではない。


 なぜ、納税という言葉で表現されるかと言うと、「ふるさと納税」による「寄付」をした分のほとんどが、今住んでいる居住地で納めるべき所得税や住民税から控除されるからだ。結果的に、本来なら現住所のある自治体に払うべき税金の一部が、地方の自治体に流れるということから、「納税」という言葉が使われている。


 寄付と言えば、確定申告時に一部の所得税の還付や住民税の控除を受けられる制度がすでにあるが、そうした一般的な寄付とふるさと納税とでは、何が違うのか。一言で表現すれば、「ふるさと納税」はほかと比べてとにかく控除額が大きいということだ。「ふるさと納税」の場合、自己負担分の2000円を除くほぼ全額が控除されるのだ。


 もう1つ、ふるさと納税がほかの寄付と違うのは、寄付した自治体から返礼品をもらえるということだ。寄付したお金がほぼ全額控除され、なおかつ金額ごとに豪華な返礼品がもらえるというのだから、他の寄付と比べて特別にお得な制度というわけだ。


 もちろん控除は無制限にあるわけではなく、限度枠が設けられている。ただしそれは個人の年収や、住宅ローン控除などほかに受けている控除によっても異なる。正確な限度枠を算出するには、複雑な計算が必要なのだが、例えば年収500万円の人では、限度枠は5万9000円となる。


 仮にこの人が5万9000円分を「ふるさと納税」として寄付したなら、2000円の自己負担分を除いた5万7000円の所得税控除が受けられるというわけだ。同時に、寄付金額に応じた返礼品が受け取れるので、実質5万7000円分の返礼品がタダでもらえることになる。


 これが年収700万円の人だと、限度枠は10万8000円。10万6000円分の返礼品が実質タダでもらえるという、寄付者にとってはとんでもなくお得な制度なのだ。寄付の件数がうなぎ上りに増えていることも分かるはずだ(納税枠の計算は、ふるさと納税ポータルサイト「さとふる」の試算による)。


■タイプの違うポータルサイト「さとふる」の登場


 さて、ふるさと納税が盛り上がり、小さな自治体にお金が回り始めているのはいいことなのだが、その舞台裏では大変なことが起こっている。


 そもそもが人手の少ない自治体で、返礼品を考えたり、申し込みを受け付けて、配送し、申込者に受領書を発送するという、なかなか煩雑な手続きが発生しているのだ。


 ぽつりぽつりと申し込みが入ってくる程度なら問題はない。しかし、ひとたび返礼品がヒットすると、突如として何万件もの寄付の申込みが入ってくるのである。


 するとどうなるかは容易に想像できるだろう。のどかで平和だった役場には、問い合わせや申し込みの電話が殺到し、延々とメールやファックスが入り始める。担当者は問い合わせの対応に翻弄され、返礼品の手配に配送手続きにと追い立てまくられることになるのだ。



さとふるの取締役経営戦略室室長・高松俊和氏(JBpress川嶋諭撮影)


 全国の自治体のほとんどが兼務で「ふるさと納税」の仕事をしている。そこに何万件もの申し込みが入ってしまうと、本来の行政職員としての仕事が全くできなくなる。それだけではない。休日返上でも手続きが間に合わないという事態に陥ってしまうのだ。実際に、「ふるさと納税」の申込みの対応で、へとへとになっている職員は少なくない。


 そうした事態を受けて登場したのが、ポータルサイトの「さとふる」である。


 他のポータルサイトが「ふるさと納税」に参加したい一般納税者のためのサービスとして生まれたのに対して、さとふるは「自治体の支援」を主眼にしたサービスとして2014年にスタートした。


 見た目はこれまでのポータルサイトと変わらないのだが、裏側のビジネスモデルは全く違っている。「ふるさと納税」で自治体内部に発生する申込み手続きや受発注、配送手続きを、自治体に代わって一手に引き受ける一括代行サービスなのである。


 「ふるさと納税がブームになっていった裏で、各地方自治体の担当職員の方々に重い作業負担がかかっています。お礼品を送るために、担当の職員が事業者さんに電話をかけて注文し、自ら商店街に出かけて行ってそれを購入した後、それを持ち帰って会議室でダンボール箱に詰めて宅配便で出す、なんてことが行われているんです。しかしそれが果たして行政職員の仕事なのかと疑問に思ったのがこの事業を始めるきっかけでした」(さとふるの取締役経営戦略室室長・高松俊和氏)


 高松氏によれば、「ふるさと納税」のおかげで自治体に新たな財源確保の道が生まれた半面、自治体担当者の作業負担が重くなっているという。


 ポータルサイトの登場によって、一般納税者は申込みの手続きが簡単になったが、自治体側の手続きのほうはそれ以前と少しも変わっておらず、返礼品が人気になればなるほど作業は膨らむばかり。


 担当職員の人数を増やしたり、臨時職員を雇わなければ対応できなくなる。本来の職員の仕事が滞る事態にもなっているのだ。寄付金が増えたことは嬉しくても、あまりの忙しさに悲鳴を上げている自治体も多いと言う。


 「私たちIT事業者から見ると、申込み手続きや受発注、配送手続きなどはシステムにしてしまえば、作業負担は100分の1にできると思ってました。しかし地方ではまだネット対応ができていないんです」


 「だったらITを専門とする私たちがそれを代行して、自治体職員の人たちには地域の魅力を高めるお礼品を考えたり、地元事業者の人たちを束ねて連携体制を築いたり、もっと全国に向けた情報発信に力を入れてもらうことが、自治体の支援に繋がると考えてこの事業をスタートしました」(さとふる・高松氏)


 さとふるは、「ふるさと納税」にかかる申込み手続き、返礼品の受発注作業に配送手続き、その他各種問い合わせへの対応などを自治体に代わって手配する、全国初の業務一括代行サービスとして、2014年10月から事業を開始。


 一括代行サービスが出現したことで、これまで「ふるさと納税」制度をうまく生かしていなかった自治体が、本格的に取り組み始めるようになったのである。


■ふるさと納税で見せる自治体内部の動き


 佐賀県唐津市もそんな自治体の1つだ。唐津市ではこの制度が始まって以来、返礼品の構成のほとんどを産直市場を運営する農協に任せていたという。寄付金の申込みは年間で約60件、金額も470万円程度だった。


 しかし、全国的な盛り上がりから、市としても力を入れていこうということになり、昨年度、担当部門を財政課から企画政策課に変更。「ふるさと納税」を推進する取り組みを本格的に開始した。その後、唐津市としての取り組み方を検討していく中で、諸手続きはさとふるに一括で業務委託することを決定したという。


 「私たちが最も考えたのは、市として、ふるさと納税に対応する体制をいかに作るかということでした。厳しい財政下で、組織全体がギリギリの職員数に絞られていますから、ふるさと納税のために人員を確保することはできません。臨時職員を雇うことも含めて、増員は考えないことにする方針をまず固めました」(唐津市企画部企画政策課・係長・牛草和人氏)


 「とはいえ私たち担当職員がお礼品のアイデアを考える余裕もないですし、申込みが増えた場合、その対応に人数は割けない。そういう中でどういうしくみにするのがいいか検討した結果、さとふるさんに頼めば、職員が役場に品物を持ってきてそこで箱に詰めるようなことはしなくてよさそうだということで、一括委託することに決めました」(同)


 行政担当者から見て、「ふるさと納税」に関わる業務は、「どちらかと言うと商売の感覚に近い」(牛草係長)と、行政の職員が深く関わるより専門家に任せる方がいいとの判断も働いたようだ。


 「また企画政策課は庁内において、合理的で効率的な働き方や業務管理のあり方を考え、推進する役割もありますから、業務をアウトソーシングするということを、他部門に先駆けてやってみようという意味合いもありました」(牛草係長)


 「ふるさと納税」をきっかけに、役所の組織に新しいやり方の模範を示したのだ。地元事業者や庁内からは、「自分たちで汗をかかないで、丸投げにするのか」という批判の声も聞かれたと言うが、牛草係長は決定事項を曲げることはなかったという。


 そして昨年12月、いよいよ唐津市の返礼品がさとふるのサイトで紹介されると同時に、一気に寄付金が集まり始めた。


 なんとそれから年度末の翌年3月まで、4カ月で集まった寄付金はおおよそ8000万円。昨年度の申し込み件数は約2500件、寄せられた寄付金総額は1億100万円にものぼるという。前年度比較でほぼ20倍という驚異的な伸び方だ。


 やはり「ふるさと納税」とネットとは親和性が高いようだ。しかし、代行サービスを利用していたことで、一気に申込み件数が増えても、職員を増員することなく対応できているという。


 「ふるさと納税」は、ひとたび申込み件数が増えた場合、限られた職員で対応するにはあまりに負担が大きい。さとふるに委託した唐津市の取り組みは、二の足を踏んでいた自治体も安心して本格参入できる環境が整ったと言える。


 佐賀県嬉野市もさとふるを利用して大成功した自治体の1つだ。嬉野市がさとふると契約する前は、申込み件数も年に5、6件ほど、多くても20件程度だった。


 ところがさとふるで紹介された途端、一気に申込件数が急増し、平成27年には佐賀牛を全面に押し出した返礼品が注目を集め、全国の返礼品人気ランキングで上位に浮上。1年間で7万3297件の寄付があり、なんと10億87万5000円もの巨額な寄付金を集めたのだ。


 人口2万7000人ほどの小さな自治体にこれだけの寄付が集まったことは、全国ニュースにもなった。


 「さすがネットの効果はすごいと思いました」と笑みを浮かべるのは、嬉野市でふるさと納税を担当する総務企画部、企画政策課主任の坂田千夏氏。「さとふるの担当者に地元産品をすべて見てもらいながら、お礼品を発掘してもらえたのが良かったと思います」(同)


 坂田氏は平成23年から「ふるさと納税」の担当になったが、役所のホームページで紹介するだけではなかなか都会の人に知ってもらえず、情報発信力のなさを痛感していたと言う。そこで「ネットの専門業者の情報発信力に頼ろう」と、さとふるの事業がスタートしたと同時に業務委託を決定。その決断が功を奏したのだった。


 坂田氏は当初、「お礼品目的で寄付が増えるというのはどうなのか」と、疑問に思うこともあったと言う。地元行政に携わる者として、地域の歴史や文化、行政の活動を応援してもらうのが本来の在り方だという思いがあったからだ。


 ところが、その後の調査で、昨年1年間に嬉野市内宿泊客が60万300人と、前年の54万4000人から1割以上も増えていたことが分かった。「ふるさと納税」の返礼品によって知名度がアップし、他県からこの地に足を運ぶ人を増やす大きなきっかけになっていることが分かり、迷いが消えたという。


 「日本三大美肌の湯として少しずつ知られてきた嬉野温泉ですが、日帰り客は伸びているものの、ここ数年、宿泊客はほとんど伸び悩んでいました」(嬉野市・坂田氏)


 「ところがお礼品で知名度がアップした途端、遠くから訪れる方が1割も増えたというのは、地域行政に携わる人間としては嬉しいことです。最初はお礼品頼りの寄付金募集に疑問を持ちましたが、地元産品の事業者さん他、観光事業者さんが潤うということは地域にとってもとても良いことだと思います。今後もお礼品には力を入れていきたいです」(同)


 このように「ふるさと納税」によって自治体内部にも様々な変化が起こっている。唐津市では、「ふるさと納税」をきっかけに、前例のなかったアウトソーシングを庁内に取り入れた。


 体を使って汗をかくよりも、低コストで効果的なやり方を導入するチャレンジを敢行している。嬉野市では、地方の行政が最も弱いネットによる情報発信のところを、専門業者に頼ることで克服し、全国でも有数の「ふるさと納税」人気地域に躍り上がった。それぞれの地域が新しく何かを始めるきっかけになっている。


 「弊社の事業目的は、自治体職員の作業負担を軽減することを主眼にしていますが、情報発信の体制もないような小さな自治体にも、ふるさと納税による寄付金の募集のステージに参加できる環境づくりをすることも掲げています」(さとふる・高松氏)


 「私も日々、全国の地域を回っていますが、地方の“放っとかれ感”は甚だしいですよ。ふるさと納税が盛り上がっているとはいえ、いまだに何の取り組みもできていない小さな自治体はたくさんあります」(同)


 「しかしふるさと納税は、地域ブランディングや産品の情報発信が全くできていない小さな自治体こそが、全国の人たちに自分たちの地域を知ってもらい、応援してもらうための絶好の機会なんです。時代から置いていかれてしまったような地域こそ、ふるさと納税の制度を生かしてもらいたい。そこに私たちの事業の本当の狙いがあります」(同)


 そうした観点から、さとふるでは、返礼品の開発を通じた地域ブランディングの支援も積極的に行っているという。


 「我々は全国自治体の情報がありますから、それらの情報をもとに、少しでも多くの人に欲しいと思ってもらえるお礼品のパッケージづくりを行政の方と一緒に考えることもあります」(同)


 「というのも、地元の事業者や自治体が売り込みたいものと、実際に一般納税者がほしいものとは微妙に違っているんですね。そこを専門家として指導するということではなく、あくまで一緒に考えましょうというスタンスで、より魅力的なお礼品を作るアドバイスをさせていただいています」(同)


 さとふるの高松氏によると、同じものでもほんのちょっとした工夫でランキング上位を飾る返礼品になることも多いという。また地元の人が見向きもしないようなものにも、人気返礼品のヒントが隠れていることがあるらしい。


 いったいどんな観点で見ると、地域産品を人気返礼品にすることができるのだろうか。次回は、地域を有名にするヒットづくりの視点について触れたいと思う。


(つづく)



 

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