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中国は頓挫寸前のTPPを笑っていられるか(ダイヤモンド・オンライン)
http://www.asyura2.com/16/hasan112/msg/616.html
投稿者 赤かぶ 日時 2016 年 9 月 01 日 10:19:30: igsppGRN/E9PQ kNSCqYLU
 

2015年10月5日に締結された「環太平洋経済連携協定(TPP)」だが、その先行きが危うくなっている。Photo:首相官邸


中国は頓挫寸前のTPPを笑っていられるか
http://diamond.jp/articles/-/100494
2016年9月1日 陳言 [在北京ジャーナリスト] ダイヤモンド・オンライン


 ほぼ1年前の10月5日、米国や日本、オーストラリアなど12ヵ国の閣僚が、「環太平洋経済連携協定(TPP)」を締結したというニュースが中国にも届いた時、中国のネット上ではそれを嘆く声が上がった。

「TPPによって米国は中国に対する包囲網を完成させた」と確信を込めて言う者もいれば、「中国経済の国際化は『大崩壊』に陥り、中国が享受してきたグローバル化によるボーナス期もこれで終わる」と、大げさに公言する者まで現れた。一部の中国人からすれば、TPPは「中国人を抜きにして遊ぶ」ゲームのようなものであり、彼らの目には、あたかも西側が中国を仲間外れにする排他的なクラブを作りたがっているかのように映るのだ。要するに、中国を巡る国際経済環境は、極めて危険な段階に突入しているということになる。

 しかし、皮肉なことに、TPPに対して多くの中国人がまるで災難が降りかかったかのような恐れを抱いていた頃、今年の米国大統領選挙で注目されているドナルド・トランプ氏やヒラリー・クリントン氏、そしてバーニー・サンダース氏らがみな「TPP反対」を表明し、反TPPが米国大統領候補者たちの共通姿勢となってしまった。言い換えると、この1年で米国の政治や経済の情勢が変化し、早々にTPPの終了を宣告することもあり得るということだ。

「TPP恐怖症」から「自然消滅の瀬戸際にあるTPP」へと事態が展開していることは、多くの人々が世界情勢を見誤っていることの表れであり、さらに米国の政治情勢が大きく変化しつつあることを物語っている。

■米国大統領選挙の犠牲となったTPP

 TPPが災難に見舞われたのは、米国大統領選挙の年と重なってしまったことが関係している。10ヵ国以上のアジア太平洋の国々との間で、TPPの調印にこぎつけようとしていた頃、米国は得意になっていた。なぜなら、TPPによって米国はアジア太平洋地域でのリーダーシップを強化することができると同時に、発展の著しいアジアにおける「経済ボーナス」の利用をさらに拡大させ、米国の製造業と輸出の回復を図ることができるからだ。

 しかし、当時の米国はTPPの構想を練る一方で、自国経済は金融危機からの回復もゆるやかで経済格差が広がっていく状態であり、自らの目論見の産物であるTPPは自国民から空前ともいうべき反対を受けた。民意が政治の場に伝わったとき、TPPは今年の米国大統領選挙における重要な議論を呼ぶ話題の一つとなった。

 オハイオ州やペンシルバニア州などの古くから工業の中心地だった州は、今では「ラストベルト(錆びついた工業地帯)」となっているが、これらの州は多くの労働者階級の有権者を抱えており、米国の二大政党にとって主戦場といえる。民主党の候補者であるヒラリー氏、共和党の候補者であるトランプ氏のいずれにとっても、これらの州で勝利を収められるかどうかが勝敗に大きく影響する。しかし、これらの州の労働者階級の有権者からしてみれば、貿易の自由化によって仕事が失われることほど腹立たしいものはない。

 有権者の気持ちと好みがすべてを決定するという状況下で、ヒラリー氏とトランプ氏は容赦なくTPPを酷評している。米国の二大政党の候補者がいずれも、貿易のグローバル化に対して明らかな敵意を示している。これは歴史的な観点から見ても、第二次世界大戦以降の大統領選挙では一度も見られなかった光景だ。かつてはグローバル化のリーダーだった米国が、態度を一変させて他国を顧みなくなった時、世界は震撼することだろう。

 TPPの現状によってバツの悪い思いをさせられているのは、米国のオバマ大統領である。少なくとも発言上はTPPを救おうと試みてきた。5月に伊勢志摩サミットに参加して、日米首脳が会談し、その後の記者会見では、「私どもは引き続き、世界平和、世界経済の成長を促進し、TPPを前進させる必要性について話し合った」とオバマ大統領は語り、さらに別の場では、「TPPはグローバル化と科学技術のニーズであり、TPPの推進を継続しないことは、経済一体化の流れを逆転させるようなものだ」と表明している。

 しかし、各国で反エリートや排他的な感情が高まっている中、こうした弁護にも説得力はない。来年の大統領退任前にTPPの議会で批准させることが、オバマ大統領にとってTPP救済の最後のチャンスとなるが、その望みは薄いといわざるを得ない。なぜなら、オバマ大統領が所属する民主党の大多数の議員がTPPを支持しない意向であり、彼が当てにできるのは国際貿易を支持している共和党議員の加勢だけだが、実際に支持を取り付けられるという保証などない。

 もしTPPが米国国会で承認されなければ、ヒラリー氏であれトランプ氏であれ、だれが政権をとったとしてもTPPは暗礁に乗り上げることだろう。オバマ大統領が語ったとおり、TPPは「政治のサッカー」、つまり政治家たちの手中で操られる駆け引きの道具と化してしまった。

■一部のアジアの国々の焦燥感

 米国のアジア同盟国からすれば、TPPは米国がアジアでの地位を守るための努力の結晶であり、また中国に対してチェック・アンド・バランスを図るという姿勢の表れだ。つまり、TPPは米国の「アジアのリバランス」戦略における経済面での立脚点なのである。

 この観点から見れば、一部のアジアの国々の焦燥感も理解できる。近ごろ、シンガポールのリー・シェンロン首相は、「TPPはアジアにおける米国の信用を計る『試金石』だ」という見解を示し、「TPPは米国の労働者と企業に有利なだけでなく、米国が引き続きアジア太平洋地域でリーダーシップを行使し、運命を共にする我々アジアの同盟国とのパートナーシップを強化するという明白かつ重要なシグナルだ」と表明したうえで、さらに「もし米国が長年にわたり苦心しながら交渉を進めてきたTPPを否決するならば、日本の安倍晋三首相をはじめ米国のアジアの盟友は政治面で損害を被ることになり、米国とアジアの同盟国との関係は長きにわたって損なわれることになる」とも語った。

 日本でもTPPはかなり危なくなったと懸念する声が多い。しかし、このような同盟国からの不満の声には、恐らく米国内の政策を根本的に変化させるほどの力はないと思われる。

 TPP頓挫の背後で、米国の孤立主義の傾向が高まっている。もちろん、TPPが消滅の危機に瀕しているという現状は、政治の駆け引きの結果とも言い切れない。実のところ、TPPそのものに大きな欠陥が存在している。TPPはただの貿易協定ではなく、実際には各国の国内経済体制および監督・管理規則の変革、そしてグレードアップさせた「高基準」の自由貿易協定の締結を試みるものだ。

 しかし、いわゆる「高基準」は「高コスト」を意味する。参加国に対して経済主権を譲渡させるという面で、要求が高すぎるかもしれない。まさにこのことが原因で、米国だけでなくTPP参加国である日本などのアジア諸国からもTPPに難色を示す動きが常に見られる。

 事実上、TPPは米国社会に強烈な衝撃を与え、同国の政界や財界など各方面が利益をめぐって駆け引きをするという事態に発展したが、アジア太平洋地域の多くの国々にとってもそれは同様だ。協定は合意されたとはいえ、TPPはこれまでずっとどこか得体の知れない新制度とみなされており、存在そのものがぼやけたままだが、その最終的な姿は各方面間での駆け引きを通じて形成されていくことだろう。

■中国はTPPの現状を喜べるのか?

 それゆえ、はじめから中国は盲目的な「TPP恐怖症」にかかるべきではない。現在のTPPをめぐる事態の展開は、中国の目の前に立ち込めていた霧を完全に払拭するものであり、TPPに対する過剰な恐れは全く根拠がないことを示している。

 しかし、その一方でTPPが頓挫の危機に瀕していることで高笑いするべきではない。その理由として、まず米国の政治情勢は常に変化していることが挙げられる。オバマ大統領にはまだTPPを救うチャンスも残されており、予想に反してTPPが承認される可能性は否定できないからだ。次に、一部の中国人は米国が経済上および政治上の孤立主義を示すことは、中国にとってのチャンスだと考えているが、これはむしろ中国にとって試練となるかもしれない。

 例えば、もしトランプ氏が政権をとるとすれば、米国は速やかにアジア地区の秩序を維持するというこれまでの役割を放棄するかもしれない。しかし、米国が去った後の空白状態を埋め合わせられるほどの国力を、中国が持ち合わせていないという状況下では、中国にとって非常に険しい外交局面が待ち受けているだろう。中国と米国との間は、ゼロサムゲームではない。それゆえ、TPPの現状を笑うべきではない。

 TPPの話から分かるとおり、現状を越えた速やかな経済の一体化は成功するとは限らない。反エリート、反体制、反融合のトレンドが見られる今の世界ではなおさらだ。とはいえ、世界に災いが及べば中国も被害は免れられない。新たな逆グローバル化の波は中国にとって何を意味するのか? 中国はその点を深く、かつ冷静に考えなければならない。


 

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