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世界経済洞察のカギを握るG20会合論議ー(植草一秀氏)
http://www.asyura2.com/16/hasan112/msg/768.html
投稿者 赤かぶ 日時 2016 年 9 月 05 日 14:50:05: igsppGRN/E9PQ kNSCqYLU
 

世界経済洞察のカギを握るG20会合論議ー(植草一秀氏)
http://www.twitlonger.com/show/n_1sp2s5e
4th Sep 2016 市村 悦延 · @hellotomhanks


昨年来、世界の金融市場は大きく動揺してきた。

その激動の震源地は中国だった。

中国の代表的な株価指標である上海総合指数は

2014年7月の2000ポイント水準から2015年6月の5178ポイントへ、1年間で2.6倍の大暴騰を演じた。

いわゆる「バブル」が発生したわけだが、このバブルが2015年6月以降に弾けた。

上海総合指数は2016年1月に2638ポイントにまで下落した。わずか半年で半値水準に暴落したのである。

中国の株価急落に連動して2015年8月以降、世界の株価が急落した。

上海総合指数は8月にかけて3000ポイント割れにまで急落したあと、

11、12月にかけていったんは3700ポイント近くにまで反発したが、

12月から1、2月にかけて2600ポイント近くにまで再反落した。

米国株価は昨年8月に一時的な急落を演じたほかは、総じて堅調に推移したが、

日本や欧州の株価は中国株価に連動するかたちで激しい変動を演じたのである。

昨年末から本年前半にかけては、

「中国メルトダウン」

の言葉が一世を風靡した。

この種のタイトルの著書も数多く刊行された。

エコノミストの多くが中国メルトダウンと世界金融危機の再来を予測したのである。

これに対して私は、逆に中国経済の底入れ可能性を指摘し続けた。

「メルトダウン」の断定は時期尚早であることを指摘し続けたのである。


現実には上海総合指数は本年1月の2638ポイントを底に、その後は堅調な推移をたどってきた。

7月以降は3000ポイント上回る水準で推移している。

また、6月23日に英国の国民投票がEU離脱の意思を示した際にも、金融市場は動揺し、

やはり「世界金融危機」の到来を唱える者が続出したが、

この英国国民投票ショックも、これまでのところ一時的な影響しか示していない。

「金融危機到来」はキャッチ―なコピーであり、本を売るにはうってつけの言葉かも知れないが、

そんなに頻繁に金融危機に到来されても困る。

2016年は世界金融危機の年とされてきたが、少なくとも、現時点までの期間においては

金融危機は到来していない。

『金利・為替・株価特報』

http://www.uekusa-tri.co.jp/report/index.html

においては、本年2月26‐27日に中国の上海で開催された

G20財務相・中央銀行総裁会議

が極めて重要な意味を有したと指摘し続けてきた。

本年5月末には伊勢志摩サミットが開催され、安倍晋三氏はこれを懸命にアピールしたが、

伊勢志摩サミットでは政策合意は形成されなかった。

安倍氏が述べた「リーマン危機時と類似している」の指摘はサミット参加首脳から否定され、

安倍氏が取りまとめようとした財政政策発動も他国の首脳に受け入れられなかったのである。


これに対して、2月開催のG20会合では、声明において

「世界経済の下方リスクと脆弱性が高まっている。

世界経済の見通しが更に下方修正されるリスクへの懸念が増大している」

ことが明記され、

「世界経済の成長という共通の目的を実現するため、更なる行動が必要であることに合意する」

と記述された。

さらに、この認識の上に、

「成長、投資及び金融安定の強化の目標を達成するため、

すべての政策手段‐金融、財政及び構造政策‐を個別にまた総合的に用いる」

とも明記された。

世界経済の潮流は本年2月のこのG20会合を転換点に、緩やかな転換点を形成している可能性がある。

私はこの可能性を指摘し続けてきた。

日本のメディアは意図的に大きく取り扱わないが、この9月4日から中国の杭州でG20首脳会議が開幕した。

こちらが本当の意味でのサミットである、。

G7サミットは以前はG8でロシアが参加していたが、ロシアも排除された。

G20にはロシアも中国もブラジルもインドも南アフリカも含まれる。

韓国、オーストラリアもメンバーである。

世界経済全体の方向を考えるなら、もはやG7ではなくG20が重要である。

そのG20の首脳会議が中国で開幕した。

5日に採択される首脳宣言では持続的な成長の実現に向けて、

各国が「金融・財政、構造政策といった全ての政策手段を活用する」との決意が盛り込まれる見通しである。

日本の経済専門紙と呼ばれる媒体はG20サミットを詳しく報じないが、

世界経済動向を洞察する上では、G7サミットよりもG20サミットを重視するべき時代になっている。

こうした視点の遅れが経済の洞察力を失う原因になっている。


日本における中国関係の報道には強いバイアスがかかっているから注意が必要だ。

中国の株価は2015年に急落した。

5178ポイントの株価が半年で2638ポイントに急落したのだから

その影響に対する警戒が生じるのは当然だが、

多くの論評は中国株価のその直前の経過を完全に見落としている。

既述したように、上海総合指数は2014年7月には2000ポイントだった。

その株価が1年間で2.6倍に急騰し、その後に急落した。

急落したが、本年1月の安値は2638ポイント。

現在は3000ポイントを超えている。

つまり、急落はしたが、元の価格と比較すれば、最安値でも3割高、現在は5割高の水準を超えている。


本当に一瞬の間だけ株価が暴騰したものであり、この急騰局面を除いて考えると、

その影響に対する行き過ぎた警戒感は妥当ではないということになる。

上海総合指数は2009年7月の3500ポイント水準から2014年7月の2000ポイント水準まで、

約5年間の下落基調をたどった。

中国人民銀行の金融引締め政策などの影響で株価が長期調整局面を経験したのである。

その人民銀行の金融政策が金融緩和に転換し、

金融緩和政策拡大への期待が一気に爆発して株価が大暴騰してしまった。

政策当局は金融市場への直接介入を控えたが、このことが株価暴騰に弾みをつけてしまった。

そのために、価格上昇が行き過ぎて、その調整が2015年6月から2016年1月にかけて進行したのである。


日本のバブル経済では、1986年初に13000円水準だった日経平均株価が

1989年末に39000円になった。

丸4年かけて株価が3倍に急騰した。

その株価が1990年初から暴落に転じて1998年10月には12879円にまで下落した。

日本では1986年から1990年にかけての5年間に銀行融資が約100兆円、

ノンバンク融資を含めると約200兆円の融資残高増加が観察された。

この200兆円の資金のすべてが、株、土地、ゴルフ会員権、絵画に流れ込んだ。

ところが、1990年初を境にして、これらの資産価格が暴落した。

200兆円の資金を投入して購入された資産の時価評価額が100兆円になってしまった。

資金の借り手が倒産しただけでなく、資金の貸し手である銀行が100兆円の損失を抱え込むことになった。

その100兆円の損失を解消するのに約20年の時間がかかったのだ。

銀行の利益は貸出金利と預金金利の差によって生まれる。

この銀行の本業利益=業務純益が年間約5兆円生まれた。

この5兆円の利益を20年積み重ねると100兆円になる。

銀行はこうして約20年かけてバブル崩壊に伴う損失処理を行ったのである。


銀行の利益は、貸出金利がある程度の水準で維持される一方で、

預金金利がゼロにされるかたちで確保された。

つまり、本来は預金者が受け取るはずの金利がゼロにされて、銀行の利益が水増しされ、

その利益で不良債権の処理が行われたのである。

バブルの時代に株や不動産に投資したが、

資産価格が暴落して債務超過に陥った企業は軒並みつぶされた。

しかし、銀行はごく一部の例外を除くと公的資金で救済され、

預金者負担による不良債権処理によって生き延びてきた。

極めて不公平な取り扱いが行われてきたと言ってよい。

世界経済は巨大な金融資本によって支配されており、この巨大な金融資本は政治と癒着して、

不当な利益を享受し続けている。

だからこそ、米国で「反ウォールストリート運動」が急拡大したのである。


2014年から2016年にかけての中国株式市場の動きは、

日本の1986年から1990年にかけての動きとはかなり異なる。

最大の相違は株価急騰の時間が非常に短かったことだ。

資産価格が暴騰している間にどれだけ融資残高が増大したのかが問題だ。

中国の場合、資産価格が急騰した時間が短く、融資残高の増大が限定的なのである。

たしかに、不動産価格の上昇は長期にわたって観察されたから、

こちらへの融資残高がどの程度不良債権化しているのかは重要である。

しかし、これまでのところ、重大な金融危機の顕在化は観察されていない。


ロシア経済は原油依存の側面が極めて強く、

原油価格が2014年後半から2016年初にかけて急落した影響で、ロシア経済が極度に疲弊した。

しかしながら、原油価格が本年1,2月を境に反転し、ロシアは息をついている。

ブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカの5ヵ国はその頭文字からBRICS(ブリックス)と呼ばれるが、

これまでの2年間は極めて厳しい局面を迎えていた。

その新興国経済に変化の兆しが見え始めている。

中国経済はいまや日本にとっても最重要経済のひとつになっている。

中国は隣国であり、日本との相互依存関係はますます大きくなっている。

日中敵対を日中友好に転換することが両国にとっての正しい選択であることを

私たちは再確認するべきである。


 

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コメント
 
1. 2016年9月05日 16:37:31 : 0CejVRban6 : urcdmA9xc1s[150]
「日中敵対を日中友好に転換することが両国にとっての正しい選択であることを私たちは再確認するべきである。」

賛成です。

コチラのチャートを見ながらブログを読むと分かりやすいかも。
http://nikkei225jp.com/asia/

それにしても何故ニュージーランドは好調なのか?

植草氏、がんばってください。応援しております。


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