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新生・大塚家具はなぜ大失速したか 〜これでは「親子共倒れ」も!? 新路線は早くも正念場(現代ビジネス)
http://www.asyura2.com/16/hasan113/msg/163.html
投稿者 赤かぶ 日時 2016 年 9 月 12 日 08:25:50: igsppGRN/E9PQ kNSCqYLU
 

新生・大塚家具はなぜ大失速したか 〜これでは「親子共倒れ」も!? 新路線は早くも正念場
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/49611
2016.9.12 加谷 珪一 現代ビジネス


父と娘の激しい対立の末、新しくスタートした大塚家具が大失速している。経営権を掌握した娘の久美子氏は、顧客層を広げる新しい戦略を打ち出したが、新路線は早くも正念場を迎えた。

一方、父親の勝久氏は、古参の社員とともに、従来の大塚家具の路線を継承する新会社を設立した。

久美子氏率いる新生・大塚家具は、低価格路線を追求し、イケアやニトリと対決するというイメージがあるが、そうではない。久美子氏が掲げる戦略はあくまで中級家具路線の維持なのだが、中間層が消滅しつつある日本において、その戦略が通用するのかは何ともいえない。

■会員制という独特の販売手法で急成長

大塚家具が8月に発表した半期決算の数字は業界関係者を驚かせた。売上高が前年同期比20%減の240億9300万円にとどまり、営業損益は19億7300万円の赤字に転落したからである。

同社は、創業者である大塚勝久氏が一代で築き上げた企業。当初は埼玉県の春日部市を基盤にした小さな家具店だったが、会員制で顧客を囲い込む独特の販売手法で急成長し、日本有数の家具チェーンに成長した。

2006年には売上高が700億円を突破し、経常利益が53億円に達していたが、この頃をピークに勝久氏が編み出した販売手法が時代に合わなくなってくる。

2009年には売上高が600億円を切り、約14億円の赤字を計上。勝久氏は経営悪化の責任を取る形で辞任し、代わって娘の久美子氏が社長に就任することになる。

久美子氏は、従来の路線を見直し、顧客の間口を広げる新しい戦略を打ち出した。同社の売上高は下げ止まり、13億円程度の経常利益を維持する状況が続いていたので、とりあえずは久美子氏が提唱した路線は定着したかに見えた。

ところが、この新路線に対して創業者の勝久氏はずっと疑問を抱いていたようである。

2014年12月期の決算で再び赤字に転落したことをきっかけに、勝久氏が久美子氏に辞任を迫り、自身がトップに就任。ところがその半年後、今度は久美子氏が勝久氏を辞任に追い込み、代表に返り咲くという親子バトルが勃発した。

■バトルには勝利したのだが…

バトル勃発当時、同社の株式を最も多く保有していたのは創業者の勝久氏で、2013年12月末時点でのシェアは18%だった。娘の久美子氏は、資産管理会社を通じて約10%の株式を所有している状態だったが、久美子氏はファンドなど外部株主を味方に付ける戦略に出る。

久美子氏は、金融機関に勤務した経験がありプレゼンが上手い。社外取締役の積極的な登用や、配当の額を2倍にするなど、コーポレートガバナンスを意識した経営方針を次々に打ち出し、外資系ファンドなどを中心に委任状争奪戦(いわゆるプロキシーファイト)を展開した。

一方の勝久氏は、従業員の支持があることを強調していたが、状況は次第に不利になっていく。最終的には2015年3月に行われた株主総会において、久美子氏側が61%の票を得て取締役に選任され、勝久氏は会社を去ることになる。

勝久氏が会社から完全に退いたことで親子間のバトルに勝利した久美子氏は、これをきっかけに会員制を事実上撤廃するとともに「お詫びセール」を展開。満を持して自らの新しい戦略を推し進め、2015年12月期には黒字転換を果たした。同社は完全回復したかのように見えたが、内実は違っていたようだ。

当初、久美子氏はバラエティ番組なども含め、数多くのテレビ番組に出演し、新しい大塚家具のイメージ作りに邁進していた。実際、大規模セールの効果で客数そのものは順調に伸びていたと考えられる。

ところが、一連のセールは需要の先食いとなってしまい、今年に入ってから売上が急減速してしまったのだ。同社は通期の業績見通しについて5億円の営業黒字としていたが、半期決算の結果を受けて39億円の赤字に修正している。

一方で、会社を追い出された父親の勝久氏は、久美子氏への対決姿勢を剥き出しにしている。大塚家具に対抗するため、新しい家具店である「匠大塚」を設立。今年6月には勝久氏の生まれ故郷であり、創業の地でもある埼玉県春日部市に大規模家具店を出店し、決意の程を示している。

匠大塚の春日部本店は、西武百貨店跡をそのまま活用した巨大店舗で、5フロアで2万7000平方メートルの広さがある。店内には1万5000点の高級家具が並び、以前の大塚家具と同様、店員がつきっきりで顧客に対応するスタイルを採用している。

高級感を演出するため、ポルシェのクラシックカーや、工業デザイナーの奥山清行氏らが手掛けたコンセプトカーなども展示されている。まさに高級家具の販売にこだわる勝久氏のコンセプトを全面に押し出した店舗設計といっていいだろう。

こうなると勝久氏と久美子氏は、まだ壮絶なバトルを続けているという図式に見えるが、現実には両社が競合する可能性はほとんどない。

低価格帯の商品もカバーするようになった大塚家具と、高級家具路線にシフトした匠大塚とでは、狙う顧客層や販売手法がまるで異なっており、もはや顧客を奪い合う関係にはなっていないからである。

ただ、両社が直接競合しないからといって、両社の将来は明るいのかというと必ずしもそうとはいえない。むしろ両社ともにうまく顧客を取り込めず、失速してしまう危険性すらあるのではないか。

直近の業績について大塚家具では、店舗リニューアルなどハード面での転換はほぼ終了しているものの、オペレーションの面ではまだ転換途上であると説明している。つまり、一連の対応が進めば、業績は底を打つというのが同社の見立てだ。

確かに、今回の決算にはセールの反動など複数の要因が関係しており、新しいビジネスモデルがうまく機能していないと断言するのは早計だろう。ただ、家具という商品の特性を考えると、大塚家具の舵取りはなかなか難しいといわざるをえない。

言うまでもなく、家具は高い頻度で購入する製品ではない。このためどうしても在庫の回転が遅くなる。100円ショップのような動きの軽い商品であれば、在庫は1年間で7〜10回程度入れ替わる。つまり在庫は2ヵ月足らずでなくなる計算である。

だが大塚家具は、商品を仕入れてから実際に販売するまでに半年程度の時間を必要とする。回転が遅い商品で効率良くビジネスをするためには利益率を高く設定しなければならない。

大塚家具の平均的な商品利益率は53%〜55%程度である。これは業績がピークだった2005年からあまり変わっていない。だが最新の決算では在庫が増える傾向にあり、販売に苦心している様子がうかがえる。安値で販売すると利益率が減ってしまうため安易に値引きできず、在庫が滞留している可能性が高いのだ。

こうした状況であれば、利益率を犠牲にしてでも販売を優先し、管理コストを下げて利益を捻出するという方法もあるが、あくまでも対症療法的な手段である。

■「中間層にこだわる」は正しいのか

こうした短期的な対応はともかくとして、重要なのは大塚家具がこれからどこに向かおうとしているのかである。

一連の騒動を通じて大塚家具は、あらゆる面でイケアやニトリと対比されることになった。大塚家具は顧客の間口を広げ、イケアやニトリの顧客層を取り込もうしているのは事実だろう。

だが、大塚家具はイケアやニトリになろうとしているわけではない。同社の中期経営計画では、中価格帯のポジションを維持しつつ、イケアやニトリの顧客の一部を中価格帯の市場に取り込むという戦略が提示されている。つまり、中間層をメイン・ターゲットとする大塚の基本的な立ち位置は、従来と何も変わっていないのである。

しかし、これこそが大きな落とし穴になる可能性がある。

ニトリはかなり以前から家具オンリーの販売から脱却し、雑貨などいわゆるホームファッションが売上の半分を占めるようになっている。ニトリが圧倒的な業績を維持できているのは、客単価が安い商品を大量販売するというビジネスモデルに切り替えたからである。逆にいえば、こうしたシフトができなかったことが、現在の大塚家具の低迷を招いているともいえる。

イケアもニトリほどではないが、安い雑貨を大量に取り揃えており、結果として商品の回転が速い。両社の業績が好調なのは、顧客の購買力低下に合わせ、雑貨店に近い水準までラインナップを大衆化したからである。その背景にあるのは、言うまでもなく「中間層市場の消滅」だ。

結局のところ、大塚家具は中間層をターゲットにした路線を維持し、匠大塚はより高級路線にシフトしただけなのではないだろうか。

だが労働者の実質賃金が5年連続で下落している現在の日本において、中間層以上の市場がどれだけ維持できるのかは疑問である。仮にこの市場が今以上に縮小することになれば、親子共倒れといったシナリオにもなりかねない。

幸い大塚家具の財務体質は盤石なので久美子氏には時間とお金という武器がある。その武器が尽きる前に本当の意味で親世代の経営から脱却して、現実の市場にマッチしたビジネスを構築できるのか。すべてはそこにかかっている。

加谷 珪一(かや・けいいち)
1969年宮城県仙台市生まれ。東北大学工学部原子核工学科卒業後、日経BP社に記者として入社。野村證券グループの投資ファンド運用会社に転じ、企業評価や投資業務を担当。独立後は、中央省庁や政府系金融機関など対するコンサルティング業務に従事。現在は、経済、金融、ビジネス、ITなど多方面の分野で執筆活動を行っている。著書に「新富裕層の研究−日本経済を変えるあらたな仕組み」(祥伝社新書)、「お金持ちはなぜ「教養」を必死に学ぶのか」(朝日新聞出版)、「お金持ちの教科書」(CCCメディアハウス)、「教養として身につけたい戦争と経済の本質」(総合法令出版)、「億万長者の情報整理術」(朝日新聞出版)などがある。
 

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コメント
 
1. 2016年9月13日 01:36:30 : 60zrsP9i5I : gDIlEHw40xw[103]
無理だろう。娘のやり方はよその二番煎じ、大怩ナある必要がない。
親爺のやり方は富裕層相手の細々とした商売のわりにコストがかかりすぎだ。
従ってどちらもいずれは転ぶ。

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