車掌たちが直面する過酷な現実とは？　（※写真はイメージ）

近鉄車掌飛び降りで浮かぶ「お客様は神様か？」問題〈週刊朝日〉
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20161004-00000204-sasahi-soci
週刊朝日　2016年10月14日号

「こんなの嫌や！　死なせてくれー！」

　9月21日、近畿日本鉄道の奈良線・東花園駅（大阪府東大阪市）に響き渡った車掌（26）の叫び声。電車の遅延をめぐって、ホームで複数の乗客に詰め寄られた車掌が逆上し、とんでもない行動に出た。線路に飛び降り、制服の上着と制帽を脱ぎ捨てて線路上を疾走。地上約8メートルの駅の高架から地面に飛び降り、救急搬送された。腰などの骨を折る重傷で、現在も入院中だという。

　一連の事件について近鉄は、「お客さま対応中の車掌が不適切な行動を引き起こしたことは大変遺憾」と謝罪。「社内規定にのっとって、車掌の処分を検討する」と公表した。

　これに対し、ネット上で「乗客側の行き過ぎたクレームだったのでは」「従業員をもっと大切にすべき」と車掌を擁護する声が続出。処分をいったん白紙に戻すことを要望する署名活動が始まり、10月1日時点で5万5千件を超える賛同者が集まっている。

「処分もおわびも顧客に向けたもの。従業員に対し、あまりに冷たいのでは」

　産業・労働社会学を研究する吉田誠教授（立命館大学）も、こう言って眉をひそめる。

「労働契約法には労働者の安全配慮が含まれます。日本のサービス産業は顧客第一主義を貫く一方で、従業員の安全配慮に対し疑問が残る面も大きい。執拗なクレームによって精神に支障をきたせば、会社側の責任問題にも発展しかねない」

　日本の鉄道サービスは世界一とも評される一方で、天候や事故による遅延など、日々のトラブルは日常茶飯事。乗客からのクレームは後を絶たない。22日には、「近鉄職員にクレームをつけるのが楽しみだった」と話す無職の男（59）が、たび重なる無賃乗車を理由に逮捕されている。

　私鉄の労働組合幹部はこう話す。

「鉄道会社の従業員に対する、乗客など第三者からの暴力件数は、ここ数年増加傾向にある。手が出ない言葉の暴力を含めると、相当な件数があるはず。ストレスから離職に追い込まれる例も少なくなく、非常に深刻に受け止めています」

　クレーム対策は、各社マニュアルを設けてはいるが、実効力に乏しいというのが現実のよう。毎年、組合が国交省にも対応を要請しているものの、何をどう整備するか具体策が難しい。

「社会のゆがみが、理不尽で執拗なクレームという形になって表れているのでは。問題は根深いと考えています」（前出の労組幹部）

　車掌の処分は「本人の回復を待ち、状況を正確に把握した上で検討する方針」（近鉄秘書広報部）とのこと。社がどう判断するのか、行方が注目される。

コメント
1. 2016年10月05日 17:36:09 : jH8zACbjRg : G2yiGiy_8ag[95] ▲△▽▼ 昔の近鉄社員なら、乗客を投げ飛ばしていたんだが・・・
2. 2016年10月05日 20:11:00 : UriUMyAuHw : pFoFQvN3BG0[90] ▲△▽▼ 神様と　言えばお客は　安倍になり
3. 2016年10月08日 09:24:29 : qiNM7jknEs : RLumgmenC5c[71] ▲△▽▼ そもそも「神」と言う言葉を易々用いるでない。「神」とは、この宇宙を創られた創造主のことであり、人類にとって「未知の力」のことである。 当方は無宗教者だが、創造主の存在を肯定している。と言うのは、当方が結婚した相手が外国人で、彼女は無宗教者だからである。 どうも日本人は、「神」に対する考え方を間違えているように思える。「よろずの神」と言うからね。それが高度成長時代、三波春夫が「お客様は神様です。」などと連呼したことに現れている。三波春夫は、体制翼賛歌手であった。 1980年代のイルミナティ・ナカソネの電電公社、国鉄の民営化で、その「穿き違え」は更に加速された。当方は国鉄からJRに行って、JRの現実に幻滅して早々にやめた口だが、ナカソネが「民営化してサービスがよくなったじゃないですか。」と、えらそうに言ったのを見て、吐き気がした。 国鉄の駅員がえらそうにしているなどと言われていたが、あれは車内の治安を維持する意味もある。「国鉄は怖い」そう思われるだけで、乗客の安全を守ることができる。 それが民営化後、当方は貨物に行ったから乗客との係わり合いはなかったのだが、駅員と乗客がもめているケースを頻繁に目にするようになった。「民営化したのに、この態度は何だ ! 」またこれである。そこで当方が、かつての身内だったJR旅客会社の社員を助けたところ、旅客会社のお客様センターに文句が行き、当方がJR旅客会社に呼びだされた。 愚かな客は、当方を一方的に悪いと決め付け、謝罪を要求した。そこで上役が介入して何とか納まったが、何とも納得のいかない決着であった。国鉄がなくなったことで、モンスター客は他の業種にも拡大。収拾がつかなくなってしまった。家電メーカーの電話センターには、苦情が殺到して、電話オペレーターが次々と退職する辞令が続出した。 当方は、こんな日本社会に見切りをつけて相談した人に奨められて外国に出た。そこで結婚して現在に至っているが、外国では接客業は「労働者」として認識されているから、彼らがストライキしても誰も文句は言わない。ストライキは労働者に認められた権利である。その権利意識が、近代社会の根幹である。 日本のお客がモンスター化するのは、接客業を労働者と思わず、奴隷だと思っているからだろ。だから日本国民は、アメリカに奴隷にされるんだ。幾らでもアメリカ国債を買わされ、米軍基地も経費を支払わされているのだ。日本国民の権利意識は、極めて乏しい。これが日本滅亡の原因であると認識したときには、もう遅い。

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