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米経済はトランプの保護主義志向で短期上昇、中期減速か(週刊ダイヤモンド)
http://www.asyura2.com/16/hasan115/msg/678.html
投稿者 赤かぶ 日時 2016 年 11 月 15 日 10:43:15: igsppGRN/E9PQ kNSCqYLU
 


米経済はトランプの保護主義志向で短期上昇、中期減速か
http://diamond.jp/articles/-/107771
2016年11月15日 週刊ダイヤモンド編集部


トランプ大統領が誕生したことで、米国経済に暗雲が垂れ込めている。公約として掲げた経済政策は米国経済にどんな影響を与えるのか、利上げは本当に行われるのかを、大胆に予測する。

 選挙期間中にトランプ氏が掲げていた経済政策から米国経済の今後を占ってみよう。結論から言えば、短期的にはプラスに働くものの、中期的にはGDP(国内総生産)を押し下げるだろう。

 トランプ氏の政策については、下図をご覧いただきたい。短期的にプラスになると考えられるのは、減税とインフラ投資拡大による効果だ。



 法人税率を現行の35%から15%に引き下げることで、投資拡大を狙っている。また、企業が海外でため込んだ利益に1回限定で課税し、米国への送金を促す政策も公表している。これも、還流資金が企業の設備投資に回されることを期待したものだ。

 法人税率だけでなく、所得税率の引き下げも公約だ。最高税率を39.6%から33%に引き下げ、税率の区分を7から3に減らす。

 現在、上院、下院とも共和党が多数を維持している。共和党内部に反トランプ派が多いとはいえ、ねじれ状態の民主党オバマ政権時代よりは、法案を通しやすい。

 減税に政府のインフラ投資拡大が加わり、トランプ政権の初期は、米国経済が上向き、米国株も上昇する可能性がある。

 大幅減税といえば、かつてのレーガノミクスをほうふつとさせるが、似て非なる点も多い。

 レーガン政権は財務長官などの主要ポストを共和党のキーマンで押さえたのに対して、共和党主流派と距離を置くトランプ政権はスタッフの顔触れに不安がある。例えば、財務長官候補として名が挙がっているのも、米デューン・キャピタルマネジメントのムナチン氏(最高経営責任者、元米ゴールドマン・サックス幹部)。ビジネスマンとしては実績があっても、政権運営の手腕は未知数である。

 トランプ氏自身も政権運営経験がない上、共和党主流派との協力関係が築けるかどうかも不透明だ。仮に減税とインフラ投資拡大で景気を上向かせることに成功したとしても、それを持続させていくには、人材面などで不安が残る。


■格付けの引き下げも

           
            大統領選挙後、トランプ氏の移民政策に抗議する大学生 Photo:REUTERS/アフロ

 中期的には、トランプ氏の経済政策は米国経済を減速させそうだ。

 今回の米国の景気拡大期間は87カ月と戦後の平均拡大期間58カ月を上回り、循環的要因でいつ後退局面に入ってもおかしくない。そこに、トランプ氏の保護主義的政策の下押し圧力が加わる。

 就任初日に、TPP(環太平洋経済連携協定)からの離脱と、NAFTA(北米自由貿易協定)が再交渉に応じなければ離脱も辞さないことを表明するといわれるが、それでは自由貿易で得てきた果実を自ら放棄してしまうことになる。

 トランプ支持者を熱狂させた移民抑制政策も、米国経済にとってはマイナスになる。というのも、現在の米国はほぼ完全雇用状態にあり、移民なしでは人手不足に陥るのは確実だからだ。そうなれば、企業は出店を抑制したり、設備投資を先延ばしにせざるを得なくなり、企業活動にはマイナスとなる。

 中国からの輸入品に45%の関税をかけるという公約も、米国の製造業にとってプラスになるどころか、中国経済を減速させ、世界経済全体の減速にもつながりかねない。原油価格の下落も招くだろう。それは、ブラジルなど資源国と米国内のエネルギー産業の景況を悪化させ、米国経済をむしばむ。

 さらに問題となるのが財政赤字だ。トランプ氏は「財政中立(歳出を増やした分は別の財源を確保し、財政赤字を増やさない)」を訴えているものの、減税とインフラ投資拡大で膨らむ赤字を埋め合わせることは容易ではない。ましてや、ポピュリズム(大衆主義)に訴えて大統領になった経緯があるだけに、人気維持のために大幅な歳出削減には踏み切れない。

 非営利組織である「責任ある連邦予算委員会」はトランプ氏の施策を実施すれば「財政赤字は10年間の累積で11.5兆ドルほど拡大する」と試算、現在のGDPの6割強に上る。財政赤字拡大は、米国債の格付けの引き下げにつながり、国債の下落、長期金利の上昇をもたらしかねない。そうなれば、企業の投資意欲はさらに減退し、米国経済にもマイナスだ。

 米ムーディーズでは、「トランプ氏の公約全てを行えば、2016年から20年にかけての米国の平均GDP成長率は、2.3%から0.6%に低下する」と試算した。


■しぼむ12月利上げの公算

 FRB(米連邦準備制度理事会)のイエレン議長が重視する雇用については、米国の失業率が10月は4.9%、非農業者部門雇用者数が前月比16.1万人増と堅調で、賃金上昇率も前年同月比2.8%と高水準にある。「12月のFOMC(米連邦公開市場委員会)で利上げ」というのが市場のメーンシナリオだった。

 だが、トランプ大統領誕生で潮目が変わった。投票結果が出た翌日に安井明彦・みずほ総合研究所欧米調査部長は、「トランプ氏が大統領に選ばれたことで、FRBも市場の見極めに慎重にならざるを得なくなる」と述べた。

 トランプ氏の過激な発言や思い付き発言で株価が下がる可能性も排除できない。市場が混乱したときに利上げを行えば、リスクオフから新興国通貨が急落し、新興国からの資金流出が進む。世界経済の混乱を避けるために利上げを見送らざるを得ない。

 トランプ氏の安全保障上の内向き政策は、中東や東アジアなどでの地政学的リスクを高め、市場をリスクオフに向かわせる。

 さらに、三つの不透明な要因が利上げを難しくしている。

 一つ目はBrexit(英国のEU〈欧州連合〉離脱)だ。メイ英首相は17年3月にEUに離脱通告を行うとしていたが、英高等裁判所が「EU離脱の通告には英議会の承認が必要」とし、スケジュールが不透明になってきた。米国が利上げすれば、ポンド下落を加速させ、連想売りからイタリアなどの他の市場に飛び火し、リスクオフムードで世界の市場が混乱しかねない。

 二つ目は欧州の選挙。12月のイタリアの国民投票に加え、17年夏にはフランスの大統領選挙、秋にはドイツの総選挙を控える。イタリアの国民投票で憲法改正が実現できなければ、EU懐疑派の「五つ星運動」に政権交代し、EU離脱に向かう可能性が出てくる。

 可能性は高くないが、ドイツの総選挙の結果次第でメルケル首相が続投できないと、市場の混乱は必至だ。過激派組織「イスラム国」(IS)によるテロなどが起これば、移民を受け入れてきたメルケル首相に批判の矛先が向かう。メルケル首相に代わるリーダーが見当たらず、ユーロ暴落につながりかねない。

 三つ目は中国リスク。今年1月の世界同時株安の震源は中国だった。中国の景気減速が続く中、利上げをすれば人民元安から資金流出に歯止めがかからなくなる恐れがある。そうなれば、FRBも利上げに慎重にならざるを得ない。

 海外市場の不透明感にトランプリスクが加わり、米国は利上げに踏み切るのが難しくなってきた。



 

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