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ダボス会議:エリートが直面する不確実な世界  有権者の不満と超えられない4%の壁 習主席のダボス参加、表向の顔と裏の意図
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投稿者 軽毛 日時 2017 年 1 月 17 日 14:04:59: pa/Xvdnb8K3Zc jHmW0Q
 

ダボス会議:エリートが直面する不確実な世界
2016年は歴史に新たな章が始まった年だった
2016年はトランプ氏の米大統領選勝利や英国のEU離脱決定など、歴史に新たな章が始まった年だった

By STEPHEN FIDLER
2017 年 1 月 17 日 12:34 JST 更新

 今年は違う――。金融機関や企業、政界のエリートが一堂に会し、世界が直面するさまざまな問題を話し合う世界経済フォーラムの年次総会(ダボス会議)が、17日から20日までスイスの保養地ダボスで開かれる。世界の経済秩序はほころびが生じており、問題はそれを救えるかどうかだ。

 2016年は、歴史に新たな章が始まった年だった。米大統領選でドナルド・トランプ氏が勝利し、英国が欧州連合(EU)からの離脱を決定し、第2次世界大戦以降進展してきた世界経済統合の潮流が反転した。

 欧州大陸各国では、ユーロ圏債務危機からの経済回復が遅々として進まず、多くの国で賃金は低迷し、失業率は高水準のままだ。それを受け、反既成勢力の政治運動が勢いを強めている。今年は、フランスやドイツ、オランダ、さらにはおそらくイタリアで国政選挙が行われる。反既成勢力の影響力が一層強まる恐れがある。

 こうした動きについて、疎外されていた人々が自らの運命を再び自らの手で切り開けるようになる兆しだと歓迎する向きは多い。これに対し、ダボス会議に参加する世界のエリートなどは、空前の富を産み出した国際的つながりを解体してしまう危険があると懸念している。

戦後経済の根源的な矛盾

 この歴史的転換の中心には、戦後の世界経済の根源的な矛盾がある。自由貿易や相互依存の深化、急速な技術革新により、開発途上国では何十億人もの人々が貧困から抜け出し、中間層が急増した。一方で先進国もさらに豊かになったが、その恩恵は少数にしか行き渡らず、多くの人が取り残されたり、疎外されたりしていると感じている。モノやカネの自由な移動と国際的規範の受け入れを特徴とするグローバリゼーションは、富の創出はできてきたが、人々の福祉を最大化するのにはそれほど成功していない。

 過去のグローバリゼーションを研究している歴史学者の中には、現代版グローバリゼーションがもたつきながらも進むことができるのか疑問を投げ掛ける向きもある。プリンストン大学のハロルド・ジェームズ教授は「私の勘では、どうやっても乗り切ることはできないだろう」と悲観的な見方を示す。

 同教授は、第1次大戦前などに起きた過去のグローバリゼーション崩壊の特徴は「新たな断層線を浮き彫りにする予想外の危機が突然発生したことだった」と指摘。その上で、昨年のトルコ駐在ロシア大使の暗殺のような事態がエスカレートし制御不能になりかねない出来事に対し、「世界は今や非常にぜい弱になっている」と警鐘を鳴らす。

APEC首脳会議の開催地リマで反TPPのプラカードを掲げるデモ参加者 ENLARGE
APEC首脳会議の開催地リマで反TPPのプラカードを掲げるデモ参加者 PHOTO: RODRIGO BUENDIA/AGENCE FRANCE-PRESSE/GETTY IMAGES
 多くの先進国の内側では、何かが間違った方向に向かっている。2008年の金融危機以降、多くの西側諸国では経済不安が強まり、所得格差が拡大。所得格差の一因は技術革新で、高いスキルを持つ高学歴な人たちはその恩恵を受けている。勝者は世界的都市の中心に集中し、多くの生活困窮者は農村部や小都市に取り残されているように見える。

 英国のシンクタンク、リゾリューション・ファウンデーションは、英国のEU離脱と米大統領選のトランプ氏勝利の間にはいくつか重要な類似点があると指摘する。米大統領選では、相対的に貧困な地区の有権者は、前回大統領選と比較すると、共和党候補(トランプ氏)支持に大きく振れた。英国ではそれほど裕福でない地区の住民の間ではEU離脱賛成が多かったという。

 欧州では各国でも同じような傾向がある。脱工業化した地域の多くでは、比較的高齢かつ低学歴の有権者は移民への不安感が高く、反グローバリゼーション政党への支持が強い。ピュー・リサーチ・センターは昨年行った調査報告書で、「年配の欧州人は若い欧州人に比べると内向きになっている」と結論付けた。欧州では有権者の平均年齢も上昇している。

所得格差とテロへの不安

 格差拡大は、国によってそれぞれ違う形で表れている。米国では、失業率は低く、平均賃金は金融危機以降上昇しているが、労働参加率はほぼ40年ぶりの低水準だ。多くの成人が、職探しをあきらめていることがうかがえる。英国では、失業率は低く、平均賃金も上昇しているが、実質賃金は金融危機以降10%低下している。欧州大陸の大半の国では、失業率は依然として高いままだ。

 先進国では所得格差に加え、移民やテロへの不安もあって、主流政治家やエリート層に対する反発が高まっている。

 西側当局者によれば、そうした傾向を煽っているのがロシアだ。トゥスクEU大統領は昨年10月、「ロシアは何にも増して、EUの政治プロセスに偽情報キャンペーンやサイバー攻撃で介入することで、EUを弱体化させようとしている」と警告した。米情報機関も、トランプ氏の勝利に手を貸すため、ロシアが米大統領選に介入したと前代未聞の調査結果を公表している。

 こうした潮流の恩恵を受けているのは、反移民や排外的なレトリックを多用し、文化的アイデンティティーと反既成政治の訴えを結び付ける政党だ。こうした政党はナショナリスト的な姿勢を打ち出しているが、協力し合うことが多い。英独立党(UKIP)のナイジェル・ファラージ前党首は、他の欧州諸国の反既成政党の集会に定期的に参加しており、米大統領選後にトランプ氏と会談した最初の外国の政治家となった。

必要とされる新たな牽引役

 強引なナショナリズムは、左派・右派双方の経済政策と混ざり合うことが少なくない。トランプ氏は大統領選で、通常は右派が唱える減税と、通常は左派が訴える社会福祉の維持や保護貿易を公約に掲げた。大半の主流派経済学者は、貿易障壁を構築すれば、経済成長を阻害するとの見方で一致している。成長がなければ、所得分配に関し政治的な決定を下すのは難しくなる。したがって多くの経済学者は、ポピュリスト政党が提案している解決策では、むしろ問題を悪化させる可能性が大きいとみている。

 グローバリゼーションは牽引役を必要とする。19世紀にはほぼずっと英国がその役割を担い、現代では米国が取って代わっている。だが目下、米国は内向きとなっているようだ。ロシアは長年にわたり米国の指導力に盾突いてきた。しかし、周辺国を不安定化させせる大国ではあるが、経済的な影響力はない。EUはと言えば、解体するか、少なくとも縮小する公算の方が大きい。

 米国に取って代われる可能性があるのは中国だけだ。習近平国家主席はダボス会議に参加する初の中国首脳となる。だが、中国が世界の指導者役を引き受ける用意が出来ているかどうかは疑問だ。起こりそうにないことだが、トランプ氏がそれを容認するつもりがあったとしてもだ。かくして、世界はますます不確実性が高まっていくだろう。

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有権者の不満と超えられない4%の壁
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https://si.wsj.net/public/resources/images/BN-RN240_0106da_M_20170106143755.jpg
1984年の共和党全国大会でのレーガン氏(左)とブッシュ氏 PHOTO: CORBIS VIA GETTY IMAGES
By
GERALD F. SEIB
2017 年 1 月 17 日 13:26 JST
――筆者のジェラルド・F・サイブはWSJワシントン支局長
***
 1992年の米大統領選で現職のジョージ・H・W・ブッシュ氏が再選に失敗した数日後、側近の1人だったエド・ロジャーズ氏は「4%の経済成長率さえあれば、選挙戦略に間違いはなかった」と振り返った。
 不満を抱いた有権者たちが各国の既存体制を次から次へと混乱に追い込む中、現代の先進国首脳たちもロジャーズ氏のこの嘆きに共感できるだろう。有権者から継続的に攻撃を受けても力強い経済成長を記録していれば世間は落ち着きを取り戻し、感情的になることもない。しかし各国政府はその絶対的な防御策を失っている状態だ。
 それどころか経済の低成長が続く中で、各国指導者は生き抜くために必死だ。ここ数カ月の間にも米国でドナルド・トランプ氏が当選し、英国では国民投票で欧州連合(EU)離脱(ブレグジット)が決定し、イタリアでも与党の敗北があった。これらが生じた背景にはいくつかの理由があるが、根底には長期的経済動向に物足りなさを感じている有権者の不満がある。「低成長、それによる経済活動の低迷、そしてそこから生じる収入減こそが、2016年の政治を動かした」とロジャーズ氏は今、話す。
 先進国では高度成長が持続しない期間があまりにも長く続いているため、貧弱な成長が当たり前のようになってしまっている。米国の情勢を見れば、それは一目瞭然だ。
 ロナルド・レーガン元大統領が一期目の任期に就いていた1983年から米国は3年連続で4%以上の経済成長を記録し、その後の17年のうち9年間は政治的に重要なその目標を達成した。実はブッシュ氏が再選を狙った際も、2年間の小康状態を経て経済は上昇気流に乗っていたのだが、変化の表れが遅すぎて有権者は気づくことができなかったのだ。
 だが2000年代への突入を契機にこの流れは終わりを迎え、過去15年間にわたって米国経済の年間成長率は一度も4%を超えたことがない事態となっている。
 しかしこれは米国内に限られたことではない。国際通貨基金(IMF)のデータによれば、過去15年の間に従来の先進7カ国の中で一度でも4%の成長を達成したことのある国は2010年の日本を除いて存在しない。つまり先進国である程度の頻度で見られていた力強い経済成長率は、今や死に絶えてしまったと言えるだろう。

先進7カ国の経済成長率
https://si.wsj.net/public/resources/images/WO-BC664_SEIB_16U_20170113142408.jpg

 経済低成長時代において、政治指導者たちは二つの厄介な任務を託されている。ひとつは不満を感じている有権者に対し、経済がひ弱な理由を説明すること。そしてもうひとつは、どう対処すべきか政府は分かっていると国民を納得させることだ。
 先進国の有権者たちは経済のグローバル化から得られる恩恵の大半を「自分たちのものにすることに慣れてしまっている」。ジョージ・W・ブッシュ政権で経済問題に取り組んだ経歴を持つトニー・フラット氏はそう話す。しかしこれまでは利益をもたらすと考えられていたグローバル化や技術の進歩が今は懸念や不安材料となり、場合によっては負債となる可能性があると多くの人が結論付けている。そのことに気付いたのは、政治指導者たちよりも有権者の方が早かった。
 ジョー・バイデン副大統領の経済顧問を務めたジャレッド・バーンスタイン氏は、「付加価値の高い製造業に依存していた地域社会の人たちは、何年にもわたってグローバル化が痛手となっていると政府に訴えてきた。しかし誰もその声にしっかりと耳を傾ける人はいなかった」とし、次にこう述べた。「むしろ政治エリートは、次の貿易協定を結べば新たな機会がもたらされると約束し続けた」
 その結果、政治や経済のエリート層が有権者の利益のために働いてはいないという考えに共感する人物が支持を受けることとなった。トランプ氏はその一例であり、ブレグジット運動のリーダーであるイギリスのナイジェル・ファラージ氏もそこに含まれる。そして欧州各国のナショナリズムを掲げる政党リーダーたちも、同じ道をたどろうとしている状況だ。
 しかしここで問題となるのが、これらリーダーたちが実際に経済の低成長を改善できるかどうかという点だ。トランプ氏は減税と規制緩和、強硬的な貿易政策、そして移民政策の強化によってそれがもたらされると計算している。しかし中には、この考え方では現実問題は解消されないだろうと不安を口にする人もいる。
 2008年の大統領選で共和党候補だったジョン・マケイン上院議員の経済顧問を務めたダグラス・ホルツ・イーキン氏もそのひとりだ。同氏は、資本は先進国にあるが労働力は途上国に存在していると話し、世界経済にミスマッチが生じていると指摘する。
 資本が労働力のある国に流れ込むとする経済学者の考え方は、正しいとは言えなかったとホルツ・イーキン氏は話す。そのため今は移民などを通して労働力が資本のある国に流れ込もうとしているが、ナショナリズムをうたう政治運動がその阻止を狙っている状況だ。
 「人が増えなければ4%(の経済成長率)を達成することはできない」と同氏は言う。
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習主席のダボス参加、表向きの顔と裏の意図グローバル化の擁護者を演じる筋金入りのナショナリスト
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ダボス会議に中国のリーダーとして初めて参加する習近平国家主席(英語字幕のみ) Photo: Getty
By
ANDREW BROWNE
2017 年 1 月 17 日 11:44 JST
――筆者のアンドリュー・ブラウンはWSJ中国担当コラムニスト
***
 【上海】世界経済フォーラム(WEF)の年次総会(ダボス会議)に参加する世界のエリートに、今年は中国の習近平国家主席が加わる。英国が欧州連合(EU)からの離脱(ブレグジット)を決定したり、米大統領選でドナルド・トランプ氏が勝利したりと、エリートたちが推進してきたグローバル化に疑念が生じていることを踏まえれば、習氏の参加は妙に時宜を得ているように思える。
 毎年スイスのこの山岳リゾートに集結するコスモポリタン(国際人)の中で、習氏は場違いな存在になるだろう。ハーバード大学の政治学者サミュエル・ハンティントン氏は「ダボスメン」という呼び方をはやらせた人物だが、この言葉は同じ国の同胞よりも互いの企業の中で居心地の良さを感じ、地元の地域社会より人類全般に思いをはせるような人々のことを皮肉たっぷりに表現したものだ。
 ダボス会議に中国のリーダーとして初めて参加する習氏はダボスメンとは正反対の人物だ。筋金入りのナショナリストである。
 しかも、世界の富の配分が裕福な先進諸国から新興諸国へと劇的に変化した結果、中国は他のどの国よりもその恩恵を受けた――数億人の中国人が貧困から脱却した――にもかかわらず、習政権のグローバル化に対する姿勢には相反する二つの側面がある。
 それでもダボスでの習氏は、グローバル化の偉大なる擁護者としての自分を演出してみせるだろう。
習氏が嫌うエリートの説教
 だが、いったい何からグローバル化を守るのか。習氏のダボス参加の最たる皮肉は、同氏がグローバル化への懐疑心を欧米の一部有権者と共有していることだ。彼らは文化・経済の両面で最も大事にしてきた理想を捨て去ろうとしている。
 習氏は説教じみたエリートとそのリベラルな価値観を特に不快に思っている。告発サイト「ウィキリークス」で暴露された外交公電によると、習氏は政権の座に就く前、メキシコで珍しく無防備に、これらの「肥えた外国人はわれわれの問題を批判すること以外、何もすることがない」と表現した。昼食会議の席で、「中国は第一に、革命を輸出していない。第二に、貧困や飢餓を輸出していない。第三に、あなた方に迷惑をかけていない」と話した。
 中国政府の公式な見解を映し出す大勢の中国人アナリストがトランプ次期政権に対して驚くほど楽観的な見通しを持っているように見えるのは、こうした欧米エリートへの敵意があるためだ。彼らはトランプ氏を気の合う人物として見ているのだ。
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APEC首脳会議に出席するためペルーのリマに到着した習主席(2016年11月21日) PHOTO:GUADALUPE PARDO/REUTERS
 確かに、トランプ氏が最近示した台湾支持の姿勢は中国人アナリストらを警戒させはした。中国を相手に貿易戦争を起こしかねないような発言も同様だ。しかし彼らの慎重ながらも楽観的な見方は変わらず、トランプ氏は実利的なビジネスマンとして統治にあたると考えている。国民の大きな一角を置き去りにしてきたエリート主導のグローバル化への邁進は国の結束に危険であることを、同氏は自分たちと同様に理解すると彼らは考えている。
 習氏は昨年11月のアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議で、グローバル化を最初から作り直さなければならないと述べた。「その回復力や包括力、持続力を向上させ、人々がその恩恵から公平な分け前を得られるように、また自分たちもそこに関わっているという認識を持てるように」するためにだ。
トランプ氏とそっくりな政策
 習氏が人前で見せる慎重さとトランプ氏の情熱は対照的だが、両者の政策は驚くほど似ている。2人とも自国を最優先に置く。トランプ氏のスローガン「米国を再び偉大に」は、習氏の大きな野心「チャイナドリーム」とそっくりだ。
 このため中国の影響力ある識者の中からは、同国をおびえさせている米国主導のグローバリズムをトランプ氏が弱めるだろうとの見方も出ている。こうしたグローバリズムは、中東や中・東欧の旧共産圏諸国で起こった一連の政権交代やいわゆる「色の革命」をあおってきた。
 習氏はグローバル化を全く別の方向に持って行きたいと望んでいる。中国は国境をまたいだサプライチェーンにつながることと、外資を受け入れることで今の繁栄の大部分を築いてきた。にもかかわらず習氏は国境のない世界という経済ビジョンを快く思っていない。この開放性と中国式の国家資本主義は容易に交わらない。中国は国有企業を肥大化しつつある一方で、IT(情報技術)セクターの多国籍企業を閉め出している。
 多文化主義についてはどうか。習政権は人種を基にした国家アイデンティティーを恥じらいもなく強調する。チベット族や大半がイスラム教徒のウィグル族など少数民族は、これを漢民族の優越主義だと批判している。
 何よりも習氏は絶対的な国家主権を主張している。中国政府は社会主義制度の転覆を謀っているとする欧米諸国の「敵対勢力」を激しく非難。そして、ネット上の「国境」を確保し、破壊活動につながりかねない情報の流れを管理する「インターネット主権」の世界的な推進者となった。
 習氏は昨年、グローバル化の旗手の中でも外国NGO(非政府組織)に照準を合わせ、すべてを警察の管理下に置いた。
 習氏は当然ながら、グローバル化の動きが丸ごと反転することを望んでいるわけではない。経済成長が失速し、資本が国外に流出している中国は今、安定した輸出と外資の流入をかつてないほど必要としている。ダボス会議で同氏は目玉政策の「一帯一路」構想を売り込むだろう。港湾や鉄道、通信網といった貿易インフラを陸路と海路に沿って整備し、アジアから中央アジア、中東、アフリカを経由して欧州まで続く交易ルートを形成するという構想だ。
 しかし、この野心的な計画にも重要な注意点がある。中国の意図は国境を崩壊させることよりも、周辺諸国を地政学的に影響が及ぶ範囲に引っ張り込み、自国が抱える余剰生産力の受け皿として新たな市場を創出することにあるのだ。
 習氏の世界観の中心にあるのは結局、中国だ。ダボスメンと呼ばれる聴衆を前に、同氏は矛盾しているが大胆不敵な技の披露を試みるだろう。グローバル化の救世主というポーズをとりながら、グローバル化の死を祝うのだ。
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