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健康も進化も微生物がもたらした!「隠された自然の半分」がつくる驚異の世界『土と内臓』 
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投稿者 軽毛 日時 2016 年 12 月 26 日 23:56:29: pa/Xvdnb8K3Zc jHmW0Q
 

健康も進化も微生物がもたらした!「隠された自然の半分」がつくる驚異の世界『土と内臓』
2016/12/23
東嶋和子 (科学ジャーナリスト・筑波大学非常勤講師)
 行きつけのスーパーで、乳製品の陳列棚が倍以上に広がった。さまざまな効用の菌を売り物にする飲料やヨーグルトが所狭しと並べられ、選ぶのもひと苦労である。腸内細菌が心身の健康に与える影響が次々と明らかになり、消費者の関心が高まっているせいだろう。

 もとより腸内細菌の重要性はいわれてきたが、近ごろは一歩進んで、細菌の多様性やバランスが注目されるようになった。「腸内フローラ」とか「マイクロバイオーム」(宿主に定住する微生物の遺伝子の総体)という言葉に象徴される考えかただ。

 また、「脳腸相関」という言葉はすでに1880年代から提唱されていたそうであるが、近年、腸内細菌が内分泌系や脳神経系、さらには私たちの感情や行動にまで影響をおよぼすことが報告されはじめ、改めて腸内細菌の役割がクローズアップされている、というわけだ。

 私たちの腸、とりわけ大腸の内部には多種多様な微生物が複雑な生態系を構成し、人体と共生している。ごく大雑把にいえば、「食物を分解し人間に必要な栄養素や化学物質を作り、病原体から守っている」のである。

 これと同じことが、土壌環境でも起きている。土壌に生息する微生物は、「植物の根と共生して、病原体を撃退したり栄養分を吸収できる形に変えたりしている」という。

庭づくりとがん治療の経験から


『土と内臓 微生物がつくる世界』(デイビッド・モントゴメリー, アン・ビクレー 著、片岡夏実 翻訳)
 本書の著者であるデイビッド・R・モントゴメリーとアン・ビクレー夫妻は、それぞれ地質学者、環境計画を専門とする生物学者で、いわば土と環境の専門家。モントゴメリーには『土の文明史』(2008年、築地書館)という邦訳書がある。

 二人とも微生物学者でも医者でもないが、新居の庭を土壌改良する過程で微生物の働きに関心をもつようになった。

 おりしも、アンが子宮頸がん(ある種のヒトパピローマウイルスがリスクを高めるとされる)と診断されたことから、自身の健康と微生物、食べものとの関係に切実に向き合うことになる。

 庭づくりとがん治療という、一見つながりのない個人的な体験から、「隠された自然の半分(本書の原題)」の存在に目を見開かされた二人は、各々の専門分野を踏み出し、医学、薬学、栄養学、農学などの分野に分け入って縦横に渉猟した。こうして「微生物がつくる世界」をひとつの物語にまとめあげたのが、本書である。

「撲滅すべき病気の原因」と
とらえられてきた微生物

 コッホやパスツールらによる病原体の発見以来、微生物は「撲滅すべき病気の原因」ととらえられてきた。「病原体としての微生物」という考え(細菌論)にもとづいてさまざまなワクチンや抗生物質がつくられ、そのおかげで多くの人の命が救われた。感染症はもはや、先進国では主な死因ではなくなった。

 しかし、一方で、「悪玉菌を一掃すれば事足りる」という意識は、抗生物質の安易な使用や抗菌剤だらけの生活を後押しした。

 その結果、薬剤耐性菌がはびこり、私たちの体内の微生物相は改変され、免疫系の乱れや新たな慢性疾患をもたらすはめになったのは、皮肉な事実である。

 本書のユニークさは、人体で起きた微生物相の改変と、土壌環境で起きたそれを、表裏一体のものとして結びつけた点にある。腸では内側が環境だが、植物の根では裏返って外部が環境になる、というわけだ。

 そもそも人類は、有機物と土壌の肥沃度との関係に経験的に気づいてから、農地に堆肥や作物残渣などの有機物を与えてきた。ところが、有機物に含まれる栄養分は植物の成長に寄与していないことが科学的に分析されると、代わって化学肥料を与えるようになった。

 化学肥料は当初、収穫量の爆発的な増大をもたらしたが、やがて低下した。それどころか、病気や害虫に悩まされるようにもなった。

 実は、土壌中の有機物は植物の栄養になるのではなく、土壌に棲む生物や微生物の栄養になり、こうした土壌生物が植物の栄養の取り込みを助けたり、病虫害を予防したりしていたのだ。

 植物に含まれる微量栄養素(銅、マグネシウム、鉄、亜鉛など)は、植物の健康と、植物を食べるものすべての健康の中心であるフィトケミカル、酵素、タンパク質を作るために欠かせない元素だが、ゆゆしきことに、その含有量が近年減ってきていると、著者らは眉をひそめる。

これまで見ていなかった「自然の半分」

 生命の系譜をさかのぼると、ある時、ほかの微生物に捕食された微生物細胞が、捕食者と共生関係を築くことで生きのびた。この共生を出発点に、複雑な多細胞生物への合体と組み立てが繰り返されてきたことがわかってきた。

 <微生物が手を組んで多細胞生物を生み出して以来、全面的な対立と同じくらいに協力と順応が、微生物と植物と動物の関係を形成した。くり返し、生命の樹が大きくなるにつれて、逆境の中で関係が生まれ、必要に応じて加えられた。顕微鏡下の世界がこれほどまでに協力的な場所だとは――また、証拠のいくらかはまさにわれわれの体内に隠されていようとは――ダーウィンは想像もしなかっただろう。私たちは、遺伝子の三分の一以上を細菌、古細菌、ウイルスから受け継いだのだ。>

 <微生物の共生がありふれたものであり、不可欠なものでもあることを認識することは、自分と自然の隠れた半分との関係の見方を作り直すことだ。>

 そう著者らが語るように、私たちは自身の健康のため腸内細菌に向けた視線を、植物へ、土へ、そして生命の樹全体へと大きく広げ、これまで見ていなかった「自然の半分」を、しかと目を開けて注視し、理解しなくてはならない。

 本書は、そのきっかけとなるに違いない。
http://wedge.ismedia.jp/articles/-/8514  

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