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増える緑内障、眼圧検査で異常なしなら大丈夫?
知ってビックリ! 健康診断のウソ・ホント
2017年1月10日(火)
田村 知子
会社勤めを続けている限り、避けては通れない職場の健康診断。自覚症状のない病気を見つけてくれるのは有難いが、仕事に追われるなかで再検査を受けるのはできれば避けたいのが人情。異常値を指摘されたとしても、どこまで生活を見直せばよいのか、今ひとつ釈然としない人も多いだろう。このコラムでは、各種検査への臨み方や結果の見方、検査後の対応など、誤解交じりで語られやすい職場健診についてわかりやすく解説する。
Q 40代以上になると緑内障になる人が増えると聞くが、職場の健康診断の眼圧検査では異常なし。これで心配は無用?
A 近年、眼圧が正常でも緑内障になる人が増えている。眼底検査も合わせて、慎重に判断すべき。
私たちが目でモノを見るときには、眼球の一番手前にある角膜(黒目の部分)から光が入り、黒目を取り巻く虹彩(こうさい)の中心部にある瞳孔で光の調節を行い、水晶体、硝子体(しょうしたい)を通り、網膜に達して像を結ぶ。その情報が、眼球の奥の視神経から脳に伝えられると「見る」ことができる。
眼球の仕組み
眼球の手前にある角膜(黒目の部分)から光が入り、黒目を取り巻く虹彩(こうさい)の中心部にある瞳孔で光の調節を行い、水晶体、硝子体(しょうしたい)を通り、網膜に達して像を結ぶ。この仕組みにより、人は見えるようになる。[「別冊NHKきょうの健康 検査でわかること」(NHK出版)の「目の検査」(監修:戸張幾生)における図を基に編集部で作成]
緑内障は、眼球の奥にある視神経に障害が起きて、視野が欠けていく病気だ。表参道内科眼科名誉院長の戸張幾生氏は「40歳以上の日本人の20人に1人は緑内障といわれ、その数は年々増加しています」と指摘する。緑内障は放置すれば失明する恐れもあるため、早期に発見し、それ以上進行しないように治療する必要がある。
職場の健康診断では「視力検査」が行われているが、これは主に視力低下をチェックするもの。緑内障の診断に必要な「眼圧検査」や「眼底検査」は任意扱いなので、実施していない企業もある。「眼底検査は多くの企業で行われていますが、職場健診では、瞳孔を広げる散瞳薬(さんどうやく)を使わずに眼底を撮影する『無散瞳カメラ』での検査が一般的です。この方法では調べられる範囲に限度があり、緑内障の可能性を指摘されることはありますが、診断には眼科での詳しい眼底検査や眼圧検査、視野検査などの精密検査を受ける必要があります」(戸張氏)。
眼圧が正常でも緑内障の可能性が
職場健診の眼圧検査で「異常なし」の判定を受けたとしても、緑内障を発症していることがある。(©Robert Przybysz-123RF)
職場健診で眼圧検査が行われていて、「異常なしの判定を受けたとしても、緑内障を発症していることもある」と、戸張氏は注意を促す。
「眼球の内圧を測定する眼圧検査では一般的に、10〜20mmHgが正常眼圧、21mmHg以上あると高眼圧とされ、緑内障の可能性があるとされています。ところが、日本人の場合、正常範囲で平均的な14〜15mmHg程度の眼圧でも、緑内障になる人が多くいます。これは『正常眼圧緑内障』と呼ばれるもので、近年、特に増加が目立っています」(戸張氏)
眼圧が正常なら、眼球に均等に圧力がかかる。しかし、眼圧が高くなると、視神経乳頭部(視神経が束になって脳につながる部分)という圧力に弱い部分が圧迫されて、視神経が傷つき、障害を起こす。正常眼圧緑内障では、眼圧が正常範囲でも、この視神経乳頭部がへこんだ状態になる「視神経乳頭陥凹(ししんけいにゅうとうかんおう)」が見られることが多い。そのため、視力検査や眼圧検査に異常がなくても、眼底検査でこの初見があれば、眼科で精密検査を受けることが望ましい。
「正常眼圧緑内障を発症する原因はまだ解明されていません。ただ、なりやすい要因は分かってきているので、当てはまる人は特に、40歳を過ぎたら眼科で定期的に検査を受けることをお勧めします」(戸張氏)
正常眼圧緑内障になりやすい要素は、次の通り。
・親や兄弟など、家系に緑内障の人がいる
・近視が強い
・痩せていて、冷え症がある
また、視野が狭くなったり一部が欠けたりする視野欠損のほか、「激しい目の痛みや頭痛、吐き気がある」「電灯など光の周りに虹のようなものが見える」といった症状があるときは、急性の緑内障のこともある。その場合はすぐに眼科を受診してほしい。
緑内障の初期には自覚症状がほとんどなく、長い時間をかけてゆっくりと進行していくことが多い。戸張氏によれば「視神経に障害が起きてから、視野欠損に気づくまでには、5〜10年程度かかることもあります」という。
視野の欠損は、片目で見たとき、視野の中心よりもやや上の一部分から始まることが多いものの、両目で見ていると気づきにくい。特に、正常眼圧緑内障では、片目だけに緑内障が起こることもあり、正常なほうの目が視野の欠損をカバーするため、さらに気づきにくくなる。
「緑内障で傷ついた視神経は、治療をしても元の状態には戻せません。ですから、できるだけ早く治療を始めて、それ以上の進行を抑えることが重要です」(戸張氏)
職場健診の視力検査だけでは、緑内障を見極めるのは難しい。中高年になれば、老眼など加齢による変化も起きてくる。そうしたチェックや目の病気の有無を調べるためにも、40歳を過ぎたら、定期的に眼科専門医を受診しよう。
戸張幾生(とばり いくお)さん
表参道内科眼科名誉院長、東邦大学医学部名誉教授
戸張幾生(とばり いくお)さん 1935年生まれ。64年東邦大学医学部卒業。東京大学医学部眼科、東京厚生年金病院、東京都老人医療センター眼科医長を経て、83年に東邦大学医学部教授に就任。2003年より同名誉教授、表参道内科眼科院長。現在は同クリニック名誉院長。日本眼科学会認定眼科医。専門は網膜眼底疾患に対するレーザー光凝固治療、白内障手術。主な著書、監修書に『治し方がよくわかる 疲れ目・目の痛み』(幻冬舎)、『名医の図解 よくわかる緑内障・白内障と目の病気』(主婦と生活社)などがある。
このコラムについて
知ってビックリ! 健康診断のウソ・ホント
会社勤めを続けている限り、避けては通れない職場の健康診断。自覚症状のない病気を見つけてくれるのは有難いが、仕事に追われるなかで再検査を受けるのはできれば避けたいのが人情。異常値を指摘されたとしても、どこまで生活を見直せばよいのか、今ひとつ釈然としない人も多いだろう。このコラムでは、各種検査への臨み方や結果の見方、検査後の対応など、誤解交じりで語られやすい職場健診についてわかりやすく解説する。
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