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意志力にまつわる30年の誤解を解 「意志力は有限=自我消耗説、糖分は意志力の促進剤など」は、完全に誤り
http://www.asyura2.com/16/health18/msg/375.html
投稿者 軽毛 日時 2017 年 2 月 06 日 19:59:28: pa/Xvdnb8K3Zc jHmW0Q
 


意志力にまつわる30年の誤解を解く
ニール・イヤール:著述家、教育者、起業家
2017年2月6日
意志力は有限である、という従来の「自我消耗」説を覆す、数々の研究を紹介。筆者によると、脳のエネルギー欠乏が糖分の摂取で補われるという説も誤りだという。

 私はつい最近まで、仕事を終えた後のこんな習慣を繰り返していた。とても消耗した日には、ソファに座って何時間も“Netflix and chill”(「ネットフリックスを観ながらまったりする」、またはネット上のスラングで「誰かを連れ込んでイチャつく」の意味)にふけるのだ。
 ただし私の場合、お相手は半リットルのアイスクリームである。長時間座ってアイスを食べるのはよくないはず、とわかってはいた。だが懸命に働いた後、まったりするのは当然のご褒美だと自分に言い聞かせていた。
 心理学者はこの現象を「自我消耗」(ego depletion)と呼ぶ。その理論はこうである。意志力は脳のエネルギーと結びついているが、このエネルギーは蓄えが限られており、いったん使い果たしてしまうと、自制心が効きにくくなる。この説は、私の労働後の無節制を完璧に理由づけるように思われる。
 ところが近年の研究では、私たちは意志力についてまったく誤解しており、自我消耗説は真実ではない可能性があると示唆されているのだ(英語記事)。もっと悪いことに、「意志力は限られた認知資源である」という考えにしがみつくのは、実際にはマイナスだという。それによって自制心がますます失われ、賢明な判断に反する行動を取りがちになるようだ。
http://www.slate.com/articles/health_and_science/cover_story/2016/03/ego_depletion_an_influential_theory_in_psychology_may_have_just_been_debunked.html

 自我消耗が科学的支持を得たのは1990年代後半である。ケース・ウェスタン・リザーブ大学の心理学者ロイ・バウマイスターと同僚が実施した実験は、その後、研究者らに3000回以上も引用されている(英語論文)。
 実験では2種類の被験者グループに、2つの皿が置かれた部屋で待つよう指示をした。1つの皿には焼きたてのクッキーが、もう一方には紅白の大根が盛られている。各グループは、どちらか指定された一方のみを食べてよい。大根を指定されたグループは、クッキーを食べたい気持ちを抑えるために強い意志力を発揮しなければならないはず、というのが実験の前提だ。
 次に、両方のグループにパズルに取り組んでもらった。被験者には知らせていないが、そのパズルは完成できないようにつくってある。研究者らは、どちらのグループのほうが課題に長く取り組むかを見極めようとした。事前の予想は、「大根グループのほうがパズルを諦めるのが早い」であった。クッキーを食べまいとして、エネルギーの蓄えをかなり消費したと思われるからだ。そして結果は、まさに予想通りとなった。
 クッキーを食べなかった被験者の作業継続時間は平均8分であったのに対し、クッキーを食べたグループ(および、パズルのみの実験に参加した対照群)は19分であった。同研究では、大根を選んだ被験者の自我は明らかに消耗していたと結論づけている。
『パースペクティブス・オン・サイコロジカル・サイエンス』誌に発表された最近の研究では、バウマイスターが承認した実験を用いて、2000人超の参加者を対象にバウマイスターの結果の再現を試みた。ところが、自我消耗の証拠は認められなかった(英語論文)。
http://journals.sagepub.com/doi/full/10.1177/1745691616652873

 さらに、『プロス・ワン』誌掲載の2つの研究でも、当該実験の結果を再現できなかった(論文@、A)。バウマイスターは、フォローアップ実験の一部で用いられた方法論は不適切であるとして反論を唱えたが(英語論文)、いまや複数の科学者が自我消耗の理論を疑っている。
http://journals.plos.org/plosone/article?id=10.1371/journal.pone.0147770
No Evidence of the Ego-Depletion Effect across Task Characteristics and Individual Differences: A Pre-Registered Study
http://journals.plos.org/plosone/article?id=10.1371/journal.pone.0109950
Failure to Replicate Depletion of Self-Control

 2010年、当時マイアミ大学の大学院生であったエバン・カーターが、バウマイスターの研究結果に初めて疑問を呈した(英語論文)。彼が注目したのは、200件近い実験報告のメタ分析によって自我消耗を本物と結論づけている研究だ。詳細な検証の結果、彼はこのメタ分析に「出版バイアス」を見出した。つまりこの分析対象には、自我消耗が発現しなかった実験結果は含まれていなかったのだ。カーターは自身の研究にこれらの結果を勘案し、自我消耗説を支持する確固たる根拠は存在しないと結論している(英語論文)。
 さらに、同理論にまつわる魅惑的な要素の一部、たとえば「糖分は意志力の促進剤として働く」などは、完全に誤りであると判明している(英語記事)。そもそも、レモネードをちょっとすすって得られた糖分は、脳のエネルギーを少しでも高めるほど速くは血流に乗れない。

 そして、脳科学の専門家の間ではかなり前から知られていることだが、脳は難しい作業に取り組んでいるからといって、より多く血糖を消費するわけではない(英語記事)。脳は筋肉ではなく器官であるため、筋肉と同じ原理でエネルギー消費が増えることはないのだ。計算式に取り組んでいようと、猫の動画を観ていようと、脳は目覚めている間は毎分同じだけのカロリーを消費する。
 では、(バウマイスターをはじめ)研究者らによって観測された現象を、どう説明すればよいのだろう。
 懸命に働けばエネルギーを消耗する。そして、クッキーその他のご褒美で充電すれば困難な作業を続けやすくなる――。これは結局のところ、わかりきった常識ではないだろうか。
 この問題は、相関関係イコール因果関係ではないという典型的な例である。自我消耗に関する初期の実験で観察された、事例レベルの(科学的に実証されていない)現象は、本物らしく見えたかもしれない。だがいまとなっては、研究者らは誤った結論に飛びついてしまったように思われる。
 気力の消耗については、新たな研究で別の説明が提唱されている。スタンフォード大学の心理学者キャロル・ドゥエックらが米国科学アカデミーの紀要に発表した研究によれば、自我消耗の徴候は、「意志力は有限の資源」だと「信じた」被験者でのみ観察されたという(英語論文)。意志力を有限と見なさなかった被験者は、自我消耗の徴候を示さなかった。

 どうやら自我消耗は、「認識が行動を決定づける」ことの表れにすぎないようだ。自分が消耗したと考えると気持ちが沈む。自分にご褒美を与えると気分がよくなる。持続する気力を生むのは、レモネードの糖分ではなく、仕事におけるプラセボ効果なのだ。
 自我消耗が実際には自滅的な思考にすぎないならば、いまでは覆されているこの仮説がもたらす弊害が懸念される。自己啓発の指導者をはじめ、自我消耗説を唱える人々はいまだに多くいる。彼らはおそらく、この理論が疑わしいことを示す反証的証拠の存在を知らない。しかし、ドゥエックの結論が正しいとすれば、意志力を有限と考え続けることは実際に有害となる。
 一例として、自我消耗説が広まると、人々は目標を達成しにくくなる。本来ならばやり抜けるのに、この説を信じれば「やめる理由」ができるからだ。これに付随する、糖分欠乏による意志力低下説などが追い打ちをかけている。中途半端でやめることが無意識のうちに正当化されるのみならず、糖分たっぷりのまやかしの強壮剤で私たちを太らせるのだ。

 バウマイスターの研究チームは、自我消耗が本物であることを示すためにさらなる研究に取り組んでいるという。入念にコントロールされた実験室環境ならば、意志力の消耗が実際に観察される可能性は十分にある。ただし、反証的証拠が存在するので、その結論は不完全となるだろう。
 自我消耗説がもてはやされる理由は、悪いと知りながら時折やってしまうことを正当化したいというニーズが満たされるからであろう。プロジェクトを終えなくてはならない時に怠ける、といった行為だ。
 だが私たちは、頭の中に隠れた「意志力の燃料タンク」という、実際には存在しないものを探し求めるよりも、やるべきことがある。自分が脆く、注意散漫な存在であることを受け入れ、多少の息抜きを自分に許すことだ。気力の減退や心のさまよいはおそらく、何かを自分に訴えようとしているのだろう。
 トロント大学の心理学教授であり、トロント社会神経科学研究所の主任研究者であるマイケル・インズリットは、意志力は有限な資源ではなく、感情のように働くと考えている(英語記事)。喜びや怒りは「使い果たす」ことがないのと同様に、意志力はその時に起きていることや感じ方に応じて満ち引きするというのだ。このような見方には大きな意義がある。
 脳のエネルギーが「タンクの中の燃料」ではなく感情に類するならば、そのつもりで管理・利用でき、倦怠感を乗り越える術を学べばよい。また、困難な作業を遂行する時は、意欲減退は一時的なものだと信じるほうが、自分は消耗し休憩(とアイスクリーム)が必要だと考えるよりも、生産的で健全である。
 だが時として、モチベーションの欠如は一時的でない場合もある。私たちの身体は気分や感情を通して、意識上ではともすると気づかない情報を発信する。脳のエネルギー欠乏が慢性化している時には、みずからの意志力に耳を傾けてみよう。感情と同じように意志力も、何かを教えてくれる発信源なのだ。
 たとえば、私が記事を執筆中にすぐに気が散ってしまう時は、何かがうまくいっていないのだとわかる。フェイスブックやツイッターを必要以上にチェックしているなら、それは目の前のトピックに興味を失っている明白な徴候であり、別のテーマについて書くべきだと考える。興味がなくても無理をすれば、記事の1本や2本はきっと書ける。だが、それを生涯の仕事につなげることはまず不可能だろう。
 しかし、トピックが好奇心をそそるもの、あるいは自分が信じる大義に沿うものである場合、私は没頭して時間が飛ぶように過ぎ、言葉が溢れ出てくる。書くことを自分に強いる必要はない。書きたいからだ。意志力をまったく必要としない作業に取り組んだ日には、疲れを感じない。むしろ、エネルギーに満ちている。ネットフリックスを見続けたい衝動に駆られることはなく、自分が取り組んでいる仕事について世界中に語りたい気持ちになる。
 人は基本的に、つまらないと感じる作業は続ける気が起きない。白衣を着た社会科学者に命じられて解けないパズルに取り組むのは、楽しくないし、意義もない。同じことは、多くの人々が日々耐えながらやっている無味乾燥な作業にも当てはまる。楽しんでいない作業でもしばらくは何とか続けられるが、自分の気持ちが発しているサインを無視すれば、けっしてベストを尽くせないはずだ。
 意志力や感情は、論理的思考とセットになって私たちの意思決定を助ける。意志力に耳を傾けてその欠乏に向き合うことで、根本的に望まないことを強いられずに済む新たな道が見出せるかもしれない。
 楽しめる仕事を通して喜びを追求するのが、人のあるべき姿だ。同様に、そもそも意志力を消費せずに済むようにすることで、その恩恵を間接的に受ければよい。私たちが重視すべきは意志力ではなく、意欲がもたらす力なのだ。

HBR.ORG原文:Have We Been Thinking About Willpower the Wrong Way for 30 Years?November 23, 2016
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ニール・イヤール(Nir Eyal)
著述家、教育者、起業家。共著邦訳に『Hooked ハマるしかけ』(翔泳社、2014年)がある。
http://www.dhbr.net/articles/-/4676

Everything Is Crumbling

http://www.slate.com/articles/health_and_science/cover_story/2016/03/ego_depletion_an_influential_theory_in_psychology_may_have_just_been_debunked.html

 

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