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疲れているあなた、優秀な同僚には合わせるな お悩み相談〜上田準二の“元気”のレシピ 
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投稿者 軽毛 日時 2017 年 4 月 19 日 07:31:40: pa/Xvdnb8K3Zc jHmW0Q
 

疲れているあなた、優秀な同僚には合わせるな

お悩み相談〜上田準二の“元気”のレシピ

2017年4月19日(水)
上田 準二
コンビニ大手ファミリーマートで発揮した優れた経営手腕のみならず、料理、読書、麻雀、釣り、ゴルフと、多彩な趣味を持つ上田準二さん。ユニー・ファミリーマートホールディングスの代表取締役社長を退任し、取締役相談役となった今だから語れる秘蔵の経験や体験を基に、上田さんが若者からシニアまで、どんな悩みにも答えます。上田さんの波乱万丈の人生を聞けば、誰もがきっと“元気”になる。

連載8回目は、29歳の女性(会社員)からの相談。上司や同僚が優秀な人ばかりで周囲に追い付けず、それでも頑張って前向きに仕事に取り組もうとするあまり、心身共に疲弊してしまっています。そんな女性への上田さんからのアドバイスは?
悩み:上司や同僚は優秀な人ばかりで、心身共に疲れてしまいました
私は今年、入社4年目なのですが、この職場で働き続けるべきか悩んでいます。きっかけは昨年体調を崩し半年間入院した時に、心身共に疲弊していた自分に気づき、その原因は仕事が自分の身の丈に合っていないんじゃないかと思い始めたことです。

一緒に働く上司や先輩、同僚はとても優秀で良い人たちばかりで、自分は恵まれた環境にいると思っています。しかし、私は仕事の内容に興味が持てず、仕事のためと本を読んで勉強しても内容が頭に入って来ません。そんな状態なのでお客様の前でも自信を持って話せず、何か課題が浮上した時は、専門知識ではなく対人関係で乗り切ってきました。

先日、ヒルティの『幸福論』を読んでいると「どんな仕事も一生懸命になれば興味が沸いてくる、興味がない仕事も打いいち込めば必ず楽しくなってくる」という一文を目にしました。これは普遍的な考え方で、正論だと理解できます。ただ、どうしても私には合っていないなと思うんです。

私は、目の前の仕事から逃げているだけなのでしょうか。どうしたら目の前の仕事がこわい、と思わず、興味を持って自分から動けるようになるのでしょうか。

29歳 女性(会社員)

1946年秋田県生まれ。山形大学を卒業後、70年に伊藤忠商事に入社。畜産部長や関連会社プリマハム取締役を経て、99年に食料部門長補佐兼CVS事業部長に。2000年5月にファミリーマートに移り、2002年に代表取締役社長に就任。2013年に代表取締役会長となり、ユニーグループとの経営統合を主導。2016年9月、新しく設立したユニー・ファミリーマートホールディングスの代表取締役社長に就任。2017年3月から同社取締役相談役。趣味は麻雀、料理、釣り、ゴルフ、読書など。料理の腕前はプロ顔負け。(写真:的野弘路)
大竹剛(日経ビジネス編集): 前回は、「周囲がアホな人ばかり」という職場で働いている男性からの悩みでしたが、今回は「周囲がデキる人とばかり」という女性からの悩みです。頑張りすぎて、体調も崩してしまったようです。前回の相談(上司と同僚がアホなほど仕事は楽しくなる)と、まったく逆ですね。

上田準二(ユニー・ファミリーマートホールディングス取締役相談役): 周りが優秀だから、彼女は必死に残業をして体を壊すほど仕事しなきゃいけなくなったのか。

大竹:そのようです。

上田:もう、前回悩みをよこした彼氏に聞かせてやりたい。周りが優秀な人ばかりと思ってしまうと、精神的に追い詰められて体調も崩し、会社に行きたくなくなってしまうものなんだと。

大竹:前回の男性は、「アホばかりで会社に行きたくない」と言っていました。「行きたくない」という結果は一緒ですが。

 ちなみに、この女性はヒルティの『幸福論』を読んで、さらに悩んでしまったようです。

上田:まあ、そんな本を読まなくても、だいたいみんな同じことを言うよね。

大竹:どんな仕事も一生懸命になれば興味がわいてくる。

上田:うん。

大竹:優秀な周囲の人に必死に付いていこうと努力する姿が目に浮かびます。彼女はかなり前向きで、きっと頑張り屋さんなんでしょう。ただ、かなり深夜残業もしているようで、過労で倒れてしまわないかとちょっと心配です。

上田:心配だよね。バリバリ仕事をやって優秀な人の輪の中に自分も入っていかなきゃいけない。それが深夜残業につながってしまっている。

 確かに、どんな仕事も一生懸命になれば興味がわいてくるというのは、まあ、正論でしょう。ただね、一生懸命になるやり方を、周りの人と同じにする必要は全くないんだよ。周りと同じように専門知識を持たなきゃいけないと思う必要は全くない。

 彼女自身も、人間関係で乗り切ってきた、と言っているでしょう。それがダメなように思っているみたいだけど、それは非常に重要なことなんだよね。僕なんか49年の会社人生、まあ波乱の人生だったけど、専門知識で勝負したことなんて一度もないから。周りは専門知識を持っている人ばっかりだったですよ、大商社でエリート社員がいて。

 それでも、僕がある程度、周りの人たちから認めてもらえたのは、専門知識じゃないんですよね。やっぱり対人関係なんですよ。商売を取りに行くときは、どんな仕事でも、専門知識ではなくて対人関係なんです。だから既に、あなたは非常にいい才能、利点を持っている。専門知識ではなく対人関係で乗り切ってきた経験は、これからも必ず生きてくるよ。

 だから、専門知識をつけようと、毎日毎日、深夜残業するようなことは、今すぐやめなさい。上司もそこまでは期待していないから。それなのに、ついつい、明日までにはこれを片付けておかなければと、自分で自分を追い込んでいる。そうやって常態化した残業で仕上げた仕事というのは、結局は出来栄えが決してよくない。

 自分がどこまでやれるか、一日でやれる範囲を決めて、きっちりと帰ること。上司から、「あれはいつできるの?」と聞かれたら、「1週間ぐらいかかります」とか、はっきり言うこと。それを言わないと、どんどん追い込まれちゃうよ。

 上司も、彼女は残業してでも何とかそれなりのものを作ってくるだろうと考えるようになってしまう。ところが、出来栄えがよくないとまたやり直しになっちゃうから、残業がぐるぐるぐるぐる尾を引いちゃう。自分でその一日一日やれる仕事をきっちりと朝の間に、今日はここまでやるというのを決めたらそれ以上やらない。前の日でもいいですよ。夜寝る前、朝起きたとき、今日はここまでやると。

大竹:自分のできる範囲と、計画をきちっと上司にも伝えておくんですね。

上田:うん。その計画通りにいかなくなってしまったときは、残業やむなしだけれども、それはまたその次の計画に反映する。最初から今日は何をやるか、明日は何をやるかと決めないでやっていると、毎日残業になっちゃうから。

大竹:上田さんの若かりし頃は、どうだったんですか。かなりのモーレツ社員だったと聞いていますが。

上田:見方によればそう言えるかもしれないけれど、何であいつはサボってるんだと思っていた人もいると思うよ。あきれていた上司もいたでしょうね。

大竹:どういうことですか。

上田流「3日寝ないで働き、2日はズル休み」のススメ

上田:さっきも言ったように、まず、上司に自分の計画を宣言するんですよ。40歳ぐらいまでは、「3日以内にあそこの取引先を、競合商社から全部、私が奪ってきます」とか、だいたい宣言していた(笑)。

 そう言ったら、3日間、寝ない覚悟で取引先の社長を追い回す。朝までカラオケ、しまいには「うちで飲んで行ってくれ」と自宅に呼んじゃう。別に賄賂とか癒着じゃないよ。けど、しつこいな、だけど、お前の話は面白いな、と思ってもらうまで、徹底的にやる。要するに、さっきも言った対人関係で徹底的に勝負する。それで最後には「まあ、伊藤忠の上田でやるよ」と言ってもらう。

 3日間、寝ないで仕事をしたら、そのあと2日ぐらいは会社に行かない。1日目は布団から出ない。2日目はスーパー銭湯にでも行ってリラックスする。出社は3日目から。

 当然、「上田、お前は何だ」となるよね。ウィークデーに2日間も休みやがって、何様だと。そう言われたら、「違うんです、僕は3日で1週間分、目を開いていました」と言い返していた。だから、「今週は終わりです」と(笑)。

大竹:やっぱりモーレツだ。でも上田さん、3日間寝ないで仕事をするなんて、もう、今では会社は認めませんよ。

上田:もちろんそうでしょう。働き方改革の時代だからね。これはあくまで、昔の話ですよ。CMでもあったでしょう。「24時間戦えますか」。そんな時代でのことです。

 ただ、ここで僕が言いたいのは、人にはそれぞれ、違った働き方があって、それぞれの強みも異なるということ。だから、この彼女も周囲と同じ働き方で勝負しようとしないで、そのことを上司にもしっかり伝えたほうがいいよ、ということなんだよ。

 僕の場合も、自分が勝負できるのはまさに、彼女がそれで乗り切っているという対人関係でしかなったよ。専門知識じゃなくてね。そういう働き方を上司に宣言したら、上司は最初、お前は生意気だと言っていたよ。けど、次第に上司もむしろ、僕を使いやすくなったんだろうね。誰が行ってもダメそうな商談を、「お前行ってこい」とどんどん任されるようになった。

 特に商社みたいな会社の場合、取引先の方が専門知識じゃ上だからね。僕がいた食肉業界だって、専門知識ではメーカーの方が当然、たくさん持っていますよ。

大竹:専門知識がなくても勝負できるのは、よほどの話し上手か聞き上手か、いずれにしても高いコミュニケーション力が必要なのではないですか。言うは易く行うは難し、ですよ。

上田:確かにそうかもしれんが、専門知識がないなら、そこで勝負しても仕方がないんだから。

 こんなこともあったな。僕はあるとき、デンマークにベーコン用の豚肉を買い付けに行ったことがあるんですよ。

大竹:デンマークに、ですか。

上田:そう。年末、除夜の鐘を聞いてからモスクワ経由でコペンハーゲンまで行って元旦に着いた。ある大手Aメーカーさんがベーコン用の豚の買い付けに行くのに、同行したわけですよ。実はそのAメーカーさんは、それまでデンマーク産の豚肉は競合商社から買っていた。伊藤忠はゼロ。そこをひっくり返すというのが、僕に与えられたミッション。

 ヨーロッパの人は、年末年始はバカンスに行くのが普通だけどね、さすがにデンマークの輸出組合のトップとなると年末年始でも本拠にいるわけですよ。そこへ、Aメーカーの担当者と押しかけようという話だった。ところが、翌朝ホテルに迎えに行くと、その担当者がいない。もぬけの殻なんですよ。

 コペンハーゲンについた初日、その担当者が正月なので日本食が食べたいというから、僕は必死に探したわけですよ。電話帳をひっくり返して、ジャパニーズレストランを。そうしたら、たまたま日本食の店をやっている明治生まれのおばさんがおったのよ。

 「あなた、元旦に日本から何しに来たの?」と目を丸くして聞くから、「いや、実は豚肉の買い付けで来たんだけど、私の連れが餅を食わせろとか、年越しそばをまだ食ってねえとか、いろいろ言うから何とかしてほしい」と頼み込んだ。それで、1月10日まで休みだった店をわざわざ開けてもらって、その担当者と一緒に押しかけたんですよ。それなのに翌朝、その担当者を迎えに行ったらいないんだ。

 しょうがないから、僕は1人で輸出組合のヘッドクオーターに行ったんですよ。正月でも、絶対に総裁は出て来るはずだと思って、玄関で1人で待つことにしたんです。

大竹:記者の「夜討ち朝駆け」みたいですね。それで、来たんですか?

ライバル商社に出し抜かれ、絶体絶命の危機

上田:ええ。来たんだよ。かっこいいジェントルマンが、美しい女性秘書を連れてね。クルマを降りてきて、僕のことをぱっと見ると、向こうから歩いてきた。秘書が「何なんだこいつは」という感じで「Who are you ?」と聞いてくるから、「私は伊藤忠の上田で、日本から豚肉の買い付けに来たんだ」と。

 「Aメーカーが商談に来ると言っていたけど、それはあなたか?」(秘書)

 「私がアテンドして来た」(上田)

 「え? それはB商社じゃないのか」(秘書)

 「いえいえ、伊藤忠です」(上田)

 「だけどAメーカーはB商社が担当ではないのか。何で伊藤忠が来るんだ」(秘書)

 「Aメーカーは今年から私とやることを決めて一緒に来たんだ」(上田)

 「本当に決めたのか」(秘書)

 「私と取引を開始しようと思わない人が一緒に来るわけがないでしょう」(上田)

 「だけど、彼らはうちの主力工場のところにB商社と一緒にいるよ」(秘書)

 「ん????」(上田)

大竹:とんずらしたと思っていたAメーカーの担当者は、上田さんを騙してB商社と一緒に行動していた、ということですか?

上田:そうなんだ。B商社を出し抜こうと思って多少、ハッタリをかましていたら、実は僕が騙されていた(笑)。

大竹:ひどい…(笑)

上田:ただ、そこからまさかの大逆転が始まった(笑)。

 その総裁が、今、オフィスには誰もいないし、年頭の方針発表の原稿を書きにきただけだから、まあとにかく中に入ろうと誘ってくれたんだ。部屋で話し始めると、テーブルの上に小さな日本の国旗とデンマークの国旗を交差して置いてくれて、すぐに宴会が始まった(笑)。生ハムやチーズ、ワインとかを、ものすごく美人の秘書がワゴンでだーっと運んできて。それでこっちも気分が良くなって、適当にあれこれ話していたら、総裁は「ミスター上田は根性があるな」と思ったんだろうね。

 伊藤忠は指定商社じゃないのに、Aメーカーについてきて自分が商談するというんだから大したものだと。それで後日、商談に応じてくれることになったんだ。だけど、本当にAメーカーはそういう気持ちはあるのかどうか、それが疑問だなと言うわけ。

大竹:上田さんの約束を破ってとんずらしていたわけですしね。

上田:結局、その担当者とは3日間ぐらい連絡取れないしね。置き手紙はありまたしよ、ちょっと用事が入っているので3日間ホテルに戻りませんと。結局、その担当者はB商社に裏で拉致されて、ほとんどもう裏契約みたいなことをされているという状況だった。

 それで僕と総裁の商談の日。総裁がこれは重要な取引であると切り出してきた。事前の交渉がどうなっているかは関係がない。これはデンマーク王女の今年最初のビジネスになると。当時、王女は輸出組合の名誉理事長か何かだったんだね。

担当でもないのに年間1200トンの豚を買い付け

大竹:それで、上田さんはどのように交渉に挑んだのですか。

上田:年間契約にしましょうと。1年間ぶっ通しで買うと、勢いで提案してしまった。総裁が「王女の取引」だなんて言うもんだから、こっちも気が大きくなってしまった。

大竹:年間契約というと、量はどれくらいになるんですか。

上田:1200トンですよ。1200トン。

大竹:全然イメージが湧きません。

上田:それはもう、その辺の養豚場の豚がいなくなるくらい(笑)。

 Aメーカーの担当者は驚いて、ザワザワとしていましたよ。そこで総裁は、Aメーカーの担当者にこう聞いたんです。「あなた方は我々の主力農場を訪れたと聞いていますが、どうでしたか?」と。Aメーカーの担当者は「素晴らしかったです」と答えましたよ。そこで総裁は畳み掛けるように、「と言うことは我々のポークをお買い上げになる意思はあるんでしょうけど、私の輸出入の契約当事者は伊藤忠です」と、その場で宣言したんです。

大竹:ひっくり返しちゃったんですね。すごい。

上田:ええ。それでAメーカーに、こういうことなのでひとつ、ここでサインしましょうと。そのAメーカーは、年間契約の1200トンなんて今まで契約したことがないし、本社に電話をすると言うので、国際電話を繫いでもらって、私も伊藤忠の本社に電話をしました。

 実はね、僕を送り出した伊藤忠の畜産部も、上田が契約を取れるなんて誰も思っていなかったんですよ。そもそも、僕は担当でもなかったの。

大竹:え?担当でもないのにデンマークまで飛び、1200トンもの契約を決めてしまったのですか?

上田:僕はそれまでシカゴにいて、戻ってきたのが11月。一方で、畜産部は何とかデンマークの豚に食い込みたいので、Aメーカーに対して何とか伊藤忠にアテンドをさせてほしいと頼み込んでいた。

 ただ、伊藤忠内部でもめていたわけですよ。わざわざ行っても契約をとれるのかとか、ああだこうだとか。最初に行けと言われた担当課長は「英語ができません」と断った。本当は英語ができるのに、急に英語ができなくなった(笑)。それで豚の担当者が行くことになったんだけど、出発ギリギリになって「パスポートの期限が切れている」と言いだした(笑)。

 それで部長から「上田、お前はアメリカで豚の輸出をやっていたんだから、直接の担当じゃないけど行って来い」と指名されてしまったんです。部長にしてみれば、誰でもよかった。

 そんな経緯だったから、電話で課長と豚の担当に「1200トン買うことにするから」と言ったら、「何?120トンの間違いじゃないのか」とひっくり返るほど驚いていた。

大竹:ケタが1つ違うし。

上田:そう。これはもう相当な金額なので、部長の決済を今すぐとっていただけませんかと頼んだんだ。あと3時間以内にサインをするか、しないかだと。それをしないと、B商社の牙城を崩せず、伊藤忠はデンマークの豚にはもう参入できないかもしれないと、急かしましたよ。

 そうしたら、すぐに折り返し電話がかかってきて、やれとなった。ただ、AメーカーはB商社とずっと長年の付き合いがあったから、我々が入ることによってより有利な条件にならないと、納得しないでしょう。そこでAメーカーの担当者に、B商社の取引条件を薄々知っているはずだと。なんぼなのと、教えてよと。それで、価格が空欄になっている契約書に、それを下回る金額を書いた。もう、Aメーカーの担当者も、やったという感じだし、本社で鼻高々。伊藤忠は伊藤忠で、これでデンマークの豚肉の買い付けに道が開けた。

 さて、皆さん本国に帰るよね。でも僕は帰らん。

大竹:帰らなかった?

専門知識なんていらない。必要なのは計画と復習

上田:ようやく、ここで相談の回答に話が戻ってくるんだが、みんな優秀な人ばかりで、休みなしに働く。でも、僕はもうこれで1カ月仕事しないと決めたんだよ(笑)。まあ、そこまでやるとちょっとやり過ぎだから、赴任していたアメリカにちょっと挨拶に行くことにした。だって、アメリカにいる先輩たちは、もう怒って僕に国際電話をかけてくるんだから。

 デンマークで1200トンの豚を上田が買い付けしたということは、Aメーカーはアメリカの豚肉をその分だけ買う余力がなくなったということになるんですよ。

大竹:なるほど、そういうことですね。

上田:アメリカの駐在員からしたら、何ということをするんだと。アメリカ時代にお世話をしてやったのに、上田は恩を仇で返すのかと。

 それで、「お詫び」と称してヨーロッパからシカゴに飛んで、1週間ぐらい何もせずに遊んでいた。僕はあまり無理しないの(笑)。

大竹:いやいや、1200トンの契約をとるまでの行動自体は、かなり無茶をしてますよ。

上田:そう見えるでしょう。でもね、自分としては最初から、何日以内にこれとこれはやると決めて準備をしていたことだから、別に頑張り過ぎてはいないんだよ。総裁も実は最初から捕まえてやろうと思ってデンマークに行ったわけだし、あった時の交渉の仕方だって、頭の中で準備をしていた。

大竹:その準備の過程で、専門知識は必要なかったのですか?

上田:専門知識があったって、この商売が決まったと思う?

大竹:上田さんだから、まとめられたのかもしれない…。

上田:だって、担当じゃなかったんだから専門知識なんてない。デンマークの豚肉事情だとか、ヨーロッパの取引慣行だとか、全然知らない。デンマークの豚をやったことがないから、そういった人々とも会ったこともない。コネクションもゼロ。

大竹:でも、道は開けた。

上田:そう。もちろん、B商社にAメーカーの担当者を拉致されちゃったのは、誤算だった。でも結局、僕のやることはあまり変わらなかったんだよ。

 大事なのは、何でそうなったのか復習をして、打開策を練ったこと。それが、オフィスの玄関で朝、待ち伏せするということ。そんなに難しいことじゃない。「復習」って言っても、相手をやっつける「復讐」じゃないよ。結局、B商社に対しては、それに近い結果になったけど(笑)。

 今回、相談してくれた彼女に言いたいのは、毎日悶々と仕事の成果なり結果なりが出ないことを長々と続けていく必要はないということなんです。できないことは、もう区切りをつける。私がやるのはここまでと。そういうものは、もうずるずる残業したからできるというものじゃないんだから。

 僕はデンマークに行けと言われたときに、専門知識をそこから身に付けて勝負をしようとは、全く思わなかった。どうやったって、デンマークポークの専門知識においては、Aメーカーの担当者にも、B商社の担当者にも勝ち目はないから。だから、自分ができることを、期限を決めて、ようするに大晦日に出発して正月の最初の1週間くらいだけでケリをつけると決めてやった。

大竹:伊藤忠の周りの優秀な人たちも、そもそも、上田さんが契約を取るなんて期待していなかったし。

上田:そう。周囲だって、自分が思うほど期待していないんだよ。だから、頑張り過ぎて自分自身を追い込んじゃダメなんだ。周りだって、それほどあなたを追い込もうなんて思っていないよ。言われたことを、自分なりにケジメを付けてきちんとやり遂げれば、それでいいんです。

 自分の資質、能力、キャパがどれくらいのものかを考えず、周りの優秀な人と同じところまでやらないといけないと思ってしまうと、プレッシャーに押しつぶされてしまうよ。だから、まず1回自分のキャパをしっかり、自分で判断してみましょうよ。その自分の等身大の姿に、正直であることが大事なんです。

 それで、そのことを周りの人にも上司にもきっちりと伝えましょう。自分の能力を正直にさらけ出せばいいんですよ。

大竹:そうすれば、目の前の仕事が怖いということもなくなるんでしょうね。

 ちなみに、それでシカゴで遊んで東京に戻ったら、上司の反応はどうだったんですか?

上田:これがひどいんだよ。僕がアメリカで遊んでいる間に、デンマークの王女様が日本に来てレセプションを開いたらしいんですよ。そのレセプションで、デンマークの輸出振興に多大なる貢献をしたということで、Aメーカーと伊藤忠が、何とか賞というのをもらったんです。

 それで僕が戻ってきたら、伊藤忠の部長は何と言ったと思いますか、Aメーカーの部長に?

 「この商談をまとめるために、うちの部ではこいつしかいないという一番優秀な上田をアテンドさせました」と(笑)。

大竹:調子が良いなぁ。

読者の皆様から、上田さんに聞いてほしい悩みを募集します。悩みの投稿は日経ビジネスDIGITALの有料会員か、もしくは日経ビジネスオンラインの無料会員になる必要があります。日経ビジネスオンラインの無料会員の場合は、投稿に会員ポイントが必要です。
>>お悩みの投稿<<

このコラムについて

お悩み相談〜上田準二の“元気”のレシピ
コンビニ大手ファミリーマートで発揮した優れた経営手腕のみならず、料理、読書、麻雀、釣り、ゴルフと、多彩な趣味を持つ上田準二氏。ユニー・ファミリーマートホールディングスの代表取締役社長を退任し、取締役相談役となった今だから語れる秘蔵の経験や体験を基に、上田氏が若者からシニアまで、どんな悩みにも答えます。上田氏の波乱万丈の人生を聞けば、誰もがきっと“元気”になる。
http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/skillup/16/022100017/041200013  

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