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医療の常識が変わる時代に必要なリテラシーとは? 自分ごとの健康・医学教育 
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投稿者 軽毛 日時 2017 年 4 月 19 日 08:17:14: pa/Xvdnb8K3Zc jHmW0Q
 

医療の常識が変わる時代に必要なリテラシーとは?
自分ごとの健康・医学教育
2017.4.19(水) 大曽根 衛
十勝ブルーの空を舞う白鳥の隊列
 十勝ブルーと呼ばれる澄み渡った青空にハクチョウたちの鳴き声が響き渡る。北海道の十勝地方東部に位置する本別町にて、3月24日から3日間、とあるキックオフイベントが行われた。

 その前に、2025年問題をご存知だろうか。

 団塊の世代が75歳以上(後期高齢者)になる2025年以降、諸外国に類を見ないスピードで高齢化が進み、人口の3人に1人以上が高齢者となっていく。当然、これまでの医療・社会保障の仕組みでは支えきれず、根本的見直しが必要というものである。

 医療と介護の連携だけではなく、生活支援・予防・まちづくりなど包括的なシステム(地域包括ケアシステム)の整備が、各自治体で急がれている。

 本別町と地域包括ケア研究所(所長:鎌田實)は、住民も一緒になり「自分ごと」として住みやすい町をつくっていくことを目指し「地域包括ケア・キックオフイベント」を協働で企画した。

 私自身も研究所メンバーとして「医療おける組織づくり・人材育成」の立場から、イベントをサポートした。

 年度末の忙しい時期にもかかわらず、事前申し込みよりも多くの方々が集まり、住民や医療・福祉関係者、行政関係者などと共創的な場ができ、本格的活動前にキックオフイベントしてよいスタートを切ることができたと感じている。

 数ある企画の中でも、次の若い世代に繋げていく企画が個人的に強く印象に残っており、いくつかご紹介したいと思う。

親子イベントで予防・健康リテラシーを高める

 NHKの人気番組「ドクターG」をご存知の方も多いだろう。総合診療医(ドクターG)が経験した症例に、全国から集まった優秀な研修医たちが病名推理に挑む番組である。

 今回、その番組にも出演され、総合診療科領域の第一人者でもある医師を講師として町外より招へいし、親子や学生たちに様々な謎解き体験などをしてもらった。

 まず、親子イベント。子供たちは小学生で、親と一緒に参加してもらい、対抗で医療クイズに挑んでいく。

スーパー総合医による親子イベント
 イベントの詳細は割愛するが、笑いと真剣さが混じり合う雰囲気の中で終了した。

 どんなことをやるか分からず不安いっぱいで来たはずの子供たちも、その雰囲気の中でやる気スイッチが入り、医療や健康について考えることを「楽しい経験」としてポジティブにとらえてくれたように思う。

 将来、医師や看護師など医療職に就いてみたいと話す子供たちもたくさんいた。そんな子供たちの中から、いつの日か町に戻ってきて活躍する人が出てくるかもしれない。

 この親子イベントに隠されたもう1つの意義は大きい。それは子供だけでなく親と一緒の参加であった点である。

 子供たちが医療や健康について少しでも興味を示すと、子供の関心事に注目し、親自身も自然に医療や健康への関心が高まる。

 今回の共通体験をきっかけに日常の中で、自分たちの体を大切にすることや周囲の人の健康やケアなどに意識が向き、親子で話す機会が増えていくことは、住民の予防・健康のリテラシーが高まる土台となるはずである。

 その好循環が拡大していくことが町全体のシステムとしても大切な要素になっていくであろう。

医学生の地域を診るリテラシーを高める

 続いて医学生向けのイベント。

 町が医学生たち(町外の医学部5年生、医学部入学を控えた高校生)を招待し、地域そのものや地域医療に多く触れてもらう機会などを多く提供した。

 住民向けのワークショップでは、住民と同じグループに入り、町の未來を真剣に考えてもらい、地域医療体験では、前述の総合診療の医師による模擬症例カンファレンスや病棟回診への同行、町の医療・介護施設の見学などの体験をしてもらった。

住民との触れ合い(まちづくりワークショップ)
 医学生たちにとってはいったいどのような体験となったのであろうか。3日間を終え、インタビューした時の声を一部紹介したい。

 「大学でも地方での実習はあり勉強になったが、お客さんのような扱いだった。本別町では住民の方ともグループワークの中で一緒に考えたり、ぼくらに悩みを話してくれるなど、直接触れ合うことができたことが本当にうれしかった」

 「医学教育の中で過ごす6年間では、医療側の目線でものを考えるクセが身についてしまい、それが専門医志向につながってしまっていると思う。それも非常に重要であるが、住民側の目線も大切。地域医療・総合診療医について、学生の立場だけではバランスよく見ていくことが難しいため、本当によい体験ができた」

 「住民から必要とされる、求められることの喜び、ということが原動力になるキャリアがあることを知った。これからのキャリアの選択肢の幅が広がった。『人生の道標』となった3日間」

病棟回診に同行し、説明を真剣に聞く医学生
 肌感として地域の厳しさやぬくもりを感じる機会、学生生活の中では非日常なのかもしれない。一度でもそのような経験ができると、学生たちの視野が広がるきっかけとなるのであろう。

 以前に比べて医師はキャリアを自己決定していけるようになったとはいえ、世の中や地域のニーズと多くの医学生のキャリアの志向には残念ながらまだズレがあるのも実情だ。地域医療には少し関心があってもキャリアとして真剣に考えている医学生はまだ多くない。

 今回のような体験からその町を知り、魅力を感じ、そしていつか働いてもいいと思ってくれる人も出てくるかもしれない。知らないことは選べない、のだから。

 これら子供たちや学生たちにも参加してもらう企画の裏には、日本の地域医療の待ったなしの現状がある。

医療のパラダイムシフト

 イベント直後の平成29(2017)年4月6日、厚生労働省より、ある報告書*が発表された。その内容は、医療を取り巻く構造の変化に警鐘を鳴らし、パラダイムシフトの必要性および新たなビジョンの具体的方策まで含めた骨太なものとなっている。

 人口構成の変化、疾病構造・生活課題の変化、地域偏在、テクノロジーの進歩等が重なる中で、これからは今までの慣習や国民一人ひとりの意識の前提など、当たり前を変えていかねば先ゆかなくなるというものである。

*厚生労働省『新たな医療の在り方を踏まえた医師・看護師等の働き方ビジョン検討会 報告書』

 多岐に及び具体的に言及されている報告書は、今後の医療政策の基本哲学となっていくものに違いない。その中でも、今回の本別町のイベントにも重なる部分として以下の3点に注目してみた。

(1)「医師の新しいキャリアとしての総合診療医の役割」
(2)「地域主導で医師偏在を是正する」
(3)「住民への予防・健康リテラシーの涵養」

(1)医師の新しいキャリアとしての総合診療医の役割

 これまで医師は、1つの専門性を深めていく専門医としてのキャリアが主流であり、卒前・卒後の育成においても診療科ごとの縦割りの中で行われていた。

 しかし、高齢化や疾患構造の変化などにより医療・介護ニーズがより多様化していることに応じ、生活全般にも寄り添った医療の提供が必要になってきている。

 実際に医療資源の限られた地域においては、複数の専門診療科の医師をそろえることは容易ではない。かかりつけ医が、住民に近い関係で広範な医療を担い、必要に応じて大きな病院や必要なサービスなどにつなぐハブの役割とならねばならない。

 また地域ニーズの把握、住民の予防など、地域そのものを診ていくことも求められる。まさにその役割を担うべく、新しい医師のキャリアとして総合診療(専門)医の存在が注目されるようになってきた。

 報告書でも、卒前等早期からの地域での研修、リーダーシップやマネジメント能力など医学的知識以外の強化が書かれている。

(2)地域主導で医師偏在を是正する

 総合診療医が増えたとしても、医師の地域偏在が是正されない限り地域医療を守ることはできない。働き方実態調査によれば、「(条件が合えば)地方での勤務を希望する」と回答した医師が相当数存在することが明らかになっている。

 これまでのような国の画一的な施策ではなく、住民も含め各地域主導で、その地域を知ってもらう努力、働くうえで支障となることの排除等、環境づくりをしていくことが求められる。

(3)住民の予防・健康リテラシーの向上

 医療資源や財源には限りがある。持続可能なシステムを構築していくうえでは、医療従事者の在り方や制度が変わるだけでは難しい。

 住民・患者自らが健康管理を主体的に取り組むことができるようになれば、軽度な疾患での受診・検査も減り、医療資源に大きな負担がかかることも減るであろう。

 それを可能にするためには、住民一人ひとりが予防・健康リテラシーを高めていけることが必要である。

 具体的には学校教育、かかりつけ医とのコミュニケーション、医療機関や行政・各種団体による啓もう活動などが増えていくことが重要であると私は考える。

 この3点からも分かるように、医療提供側、地域・住民側のそれぞれの行動変容と協力関係、「自分ごと化」がなければ、これからの医療は成り立たないわけである。

 今回の本別町の地域包括ケア・キックオフイベントでも重要視した、「総合診療医としてのキャリア」「地域主導」「予防・健康リテラシー」という要素が、地方における地域包括ケアシステムの構築には欠かせない共通の要素とも言えるかもしれない。

 今からでも遅くない。

 各地域・一人ひとりがこれまでの慣習から一歩踏み出す勇気を持つこと、そして具体的レベルのアクションが「有機的」につながっていくことで、新しい日本の医療ビジョンに近づいていくはずだ。

 持続可能な未来へ向けて、たくさんの小さいムーブメントがつながっていくことを期待している。

鎌田實先生による子供たちへの「いのちの授業」
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/49737  

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