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アキレス腱を見れば分かる!あなたはコレステロールが高い?低い? 生活改善だけでは解決できない家族性高コレステロール血症と
http://www.asyura2.com/16/health18/msg/721.html
投稿者 うまき 日時 2019 年 3 月 04 日 10:30:07: ufjzQf6660gRM gqSC3IKr
 

アキレス腱を見れば分かる!あなたはコレステロールが高い?低い?
生活改善だけでは解決できない家族性高コレステロール血症とは

近藤 慎太郎
医師兼マンガ家 
2019年2月27日
7 91%全3985文字

https://business.nikkei.com/atcl/seminar/19/00126/00005/p1.jpg

 コレステロールが高い人に対して、米国心臓病学会などは生活習慣の改善を求めています。次の3つです。
1. 飽和脂肪酸と精製されている炭水化物を控えること
2. 運動―中程度の運動を30分間、週に3〜7日(!)
3. 禁煙
 なぜ「精製された炭水化物」を控えるのかというと、精製されていない炭水化物を取ることによって、食物繊維の摂取量が上昇し、LDLコレステロールが下がる可能性があるからです。炭水化物を取ってはいけない、というわけではありません。
 前回の記事(「コレステロール、実は取りたい放題!」…ってホント?)で解説したように、コレステロールはエネルギー源ではないので、運動をしてもコレステロール自体は消費されません。
 生活習慣が乱れている人は、血糖値や血圧、中性脂肪などにも影響が出ていることが多く、コレステロールだけが高いという人は、どちらかといえば少数派です。
 ですので、生活習慣全般を見直して肥満を解消したり、筋肉をつけたり、代謝を高めたりすることによって全身の健康状態を整えれば、めぐりめぐってコレステロールも落ちる可能性がある、と考えられています。
 ただし、それでもコレステロールが落ちない人がいます。むしろ、それだけふるいにかけても、コレステロールが残ってくるのであれば、要注意。
 なぜかと言うと、背後にほかの病気が隠れている可能性があるからです。
 コレステロールが高くなる病気で盲点になりやすいものの一つに、「甲状腺機能低下症」があります。
 甲状腺は首の前面にある臓器で、甲状腺ホルモンを産生しています。甲状腺機能低下症は、そのホルモン産生能力が落ちてしまう病気です。症状としては、体のむくみ、意欲の低下、皮膚の乾燥、寒がりになる、などがあります。
 もう一つ、生活習慣の改善で良くならないコレステロール高値で要注意のものがあります。それは「家族性高コレステロール血症(Familial hypercholesterolemia 以下、FH)」です。
 FHは、LDL受容体という、LDLを分解する場所の入り口に遺伝子の変異があり、LDLが分解されずにあふれ出る病気です。
 特徴としては、高LDLコレステロール血症、皮膚と腱にできる黄色腫(黄色い腫瘤=脂質が詰まった免疫細胞の集まり)、早発性冠動脈硬化症(若い年齢で狭心症、心筋梗塞を起こす)があります。
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家族性高コレステロール血症だと、心筋梗塞の発症リスクは10〜20倍!?
 FHは、遺伝的に受け継がれる可能性のある「常染色体優性遺伝疾患」。「優性」遺伝疾患とは、両親から受け継がれる一対の遺伝子のうち、片方だけにでも変異があれば、発症することを意味します(両方に変異がないと発症しないのは「劣性」遺伝疾患)。
 遺伝子変異のない一般的な高コレステロール血症に比べると、狭心症、心筋梗塞の発症リスクは、なんと10〜20倍と報告されています(1-2)。
 しかも、男性では30歳代から、女性では40歳代からと、非常に若い年代から増加しはじめると言われています(日本動脈硬化学会HPより)。
 そして最も問題なのは、その患者数です。
 片方だけ遺伝子変異があるFHの人は、日本人の200〜500人に1人おり、全国で30万人もいると推定されています。遺伝性疾患としては最多でしょう。決してまれな病気ではありません。
 では、FHの診断はどうすればいいのでしょうか。
1. 「高コレステロール血症や虚血性心疾患の家族」がいる、いるなら何歳で発症したか(若年発症ほどFHを疑う)
2. アキレス腱が厚いかどうか、皮膚の結節性黄色腫、腱の黄色腫がある
3. 高LDL未治療で180mg/dl以上
 このうち、2項目以上当てはまれば、FHである可能性が高くなります。

[画像のクリックで拡大表示]

次ページ生活習慣の改善だけで何とかしようとしても……
生活習慣の改善だけで何とかしようとしても……
 では、もしFHや治療の必要な高コレステロール血症と診断されたら、どうすればいいでしょうか。
 まず第一選択となる治療法は、スタチン(HMG-CoA還元酵素阻害薬)の内服です。スタチンはコレステロールを低下させる薬で、マイルドなものから強力なものまで各製薬メーカーから出ています。非常に効果の高い薬で、全世界で莫大な量が処方されています。
 実際に、スタチンによって虚血性心疾患や脳梗塞のリスクを減らせることは多数報告されています(3-4)。
 一方で、「LDLコレステロールを下げすぎると脳出血が増える」なんて話をどこかで聞いたことがある人もいるかもしれません。実は、「薬は飲んではいけない」と主張する人たちがしばしば取り上げる、有名な報告が実際にあるのです(5)。
 この報告は、臨床医学の世界で最高峰のジャーナルに載っているので、当時は医療者の間でもかなり話題になりました。
 ただしよく見ると、この報告では日本人では使わないような高用量のスタチンを使用しています。
 では本当のところはどうなんだということで、日本独自のデータで調べ直したところ、幸い、脳出血は増えなかったという結果になりました(6)。
 この結果を受けて、医療従事者は「やれやれ」と胸をなでおろしたのですが、残念ながら脳出血を起こすという風評を完全に払しょくするには至っていないようです。
 「薬を飲んで脳出血が増えた!」という話はあっという間に世の中に広まりますが、「実は日本人では増えていなかった」と言う話は取り上げられることがほとんどありません。情報を正確に伝えるということは、本当に難しいと痛感します。
 さて、脳出血まで行かなくとも、スタチンにも副作用はあり得ます。
 頻度の多いものとしては、筋肉にダメージが生じる「横紋筋融解症」があります。スタチンを飲み始めて筋肉のだるさや痛みが生じたら要注意です。
 定期的に採血をして、LDLコレステロールがきちんと下がっているかどうかを確認するのはもちろん、筋肉が壊れていないかをチェックする必要があるのです。そのほか、スタチンは妊婦、妊娠の可能性がある人、妊娠を希望する女性、授乳婦に対しては原則禁忌ということも注意が必要です。
 それらを差し引いても、スタチンは比較的安全で効果のエビデンス(科学的根拠)もそろっている、非常に優等生的な薬です。
 私自身、「薬を飲んだほうがいい」と薦めるのは多少の抵抗感があります。けれども、特にFHの場合は、努力だけでどうにかなるものではありません。むしろ生活習慣の改善だけで何とかしようとする風潮の方が、有害なケースもあるのです。
 生活習慣が乱れているのに、それに何の注意も払わずに薬だけを飲むのは間違っていると思います。ただ一定の努力をしてもLDLコレステロールが下がらないのであれば、そこが薬を飲み始めるタイミングなのかもしれません。
参考文献
• (1)Nordestgaard BG et al. Familial hypercholesterolaemia is underdiagnosed and undertreated in the general population: guidance for clinicians to prevent coronary heart disease: consensus statement of the European Atherosclerosis Society. Eur Heart J. 2013;34:3478-90a.
• (2) Harada-Shiba M et al. Guidelines for the management of familial hypercholesterolemia. J Atheroscler Thromb. 2012;19(12):1043-60.
• (3)Cholesterol Treatment Trialists' (CTT) Collaboration. Efficacy and safety of LDL-lowering therapy among men and women: meta-analysis of individual data from 174,000 participants in 27 randomised trials. Lancet. 2015 11;385:1397-405.
• (4)Itoh H et al. Intensive Treat-to-Target Statin Therapy in High-Risk Japanese Patients With Hypercholesterolemia and Diabetic Retinopathy: Report of a Randomized Study. Diabetes Care. 2018 Jun;41(6):1275-1284.
• (5)Amarenco P et al for the stroke prevention by aggressive reduction in cholesterol levels (SPARCL) investigators: High-dose atorvastatin after stroke or transient ischemic attack. N Engl J Med. 2006; 355: 549-59.
• (6) Hosomi N et al. The Japan Statin Treatment Against Recurrent Stroke (J-STARS): A Multicenter, Randomized, Open-label, Parallel-group Study. EBioMedicine. 2015 6;2:1071-8.
• 会員管理
正社員
アキレス腱が太いと何かにイケナイ、と聞いた覚えがありました。最近は日替わりで健康バラエティが放送されるので、混同してしまいます。エスカレーターで気になる「太い」人がいると、ああなってはいけないと自らの生活を反省してみます。自らの努力だけでは防ぎきれないということが恐ろしいと思います。で、わたしのは... 7mm程度でした。
2019/02/27 10:38:053返信いいね!
o

近藤 慎太郎
医師兼マンガ家 日赤医療センター、亀田総合病院、クリントエグゼクリニックなどで勤務
コメントありがとうございます。9mm以上が肥厚となりますので、大丈夫そうですね(笑)。
蛇足かと思いますが、高コレステロールを伴っている場合に意義がある所見になります。
2019/02/27 12:38:362いいね!


イデル総司令官
契約社員
漫画が分かりやすいですね。
極力、薬に頼らず、生活習慣病を改善するためにも、己の高コレステロールが遺伝由来なのか、生活習慣由来なのか判断しておくことは大切なのですね。
それにしても、全国で30万人ですか……。
シャレにならんほど多いですね。
2019/02/27 13:11:522返信いいね!

近藤 慎太郎
医師兼マンガ家 日赤医療センター、亀田総合病院、クリントエグゼクリニックなどで勤務
コメントありがとうございます。おっしゃる通りで、同じ病気に見えても原因が違うので、対処法も違ってきます。
FHはこれだけ多いのにあまり認識されておらず、専門家は警鐘を鳴らしています。
2019/02/27 15:29:181いいね!

あい〜だ
「9mm以上が肥厚となります」と書かれても、どのように測るのか
書いてないので不安をあおるだけになります。マンガが有るので測り方を漫画で説明してください。(ひょっとして次週に続く?)
2019/02/27 17:50:35返信いいね!

近藤 慎太郎
医師兼マンガ家 日赤医療センター、亀田総合病院、クリントエグゼクリニックなどで勤務
申し訳ありません。精密な測定は医療機関でレントゲンかエコーを使ってやります。まずはコレステロール値が正常な人と比べていただければ良いかと思います。
2019/02/27 20:12:571いいね!


シンちゃん
この先生のシリーズは、漫画がポイント捕まえていてわかりやすいので、楽しみですね。FHなんて初めて聞きました。自分のアキレス腱を定規で測ると1cmくらいで「自分はFHか!?」と思いました。振り返ると小学生くらいからたまに左胸が痛くなることがあ...続きを読む
2019/02/28 07:02:001返信いいね!

近藤 慎太郎
医師兼マンガ家 日赤医療センター、亀田総合病院、クリントエグゼクリニックなどで勤務
コメントありがとうございます。
HDLが高い高コレステロール血症であれば問題ないとは思いますが、LDLにもご留意ください。
アメリカと日本はやっぱり医療も似ているようで結構違います。アスピリンは心臓病のみならず大腸ポリープも予防すると考えら...続きを読む
2019/02/28 16:53:17いいね!

とし
投資家
ポスト、現代等の総合週刊誌が特集する記事では、スタチンは百害あって利益なしと評することが多いので、この記事は新鮮。ぜひ前述の週刊誌の記者または医師と討論していただきたい。
2019/03/03 12:30:57

https://business.nikkei.com/atcl/seminar/19/00126/00005/?P=3&mds


 

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