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揺れる英国:EUはユーロ圏と非ユーロ圏の二重構造に移行するほかない:ユーロ圏の財政的政治的統合の進展が鍵
http://www.asyura2.com/16/kokusai13/msg/563.html
投稿者 あっしら 日時 2016 年 5 月 01 日 04:27:57: Mo7ApAlflbQ6s gqCCwYK1guc
 


揺れる英国

(上) EUへ不満と期待 二分
残留派が経済的メリット訴え、離脱派は財政負担・移民に反発

 【ロンドン=小滝麻理子】英国は欧州連合(EU)から離脱すべきか、残留すべきか。6月23日の英国民投票まで2カ月を切った。離脱派がEUの官僚体質への不満や移民問題を叫ぶ一方で、キャメロン政権ら残留派は経済的なメリットを説き、英世論は真っ二つに割れている。英国のEU離脱「Brexit(ブレグジット)」は、欧州統合の流れに逆行するだけでなく、世界経済にも打撃を及ぼすリスクをはらむ。


 「6月23日を英国の独立記念日にしよう」

 国民投票に向けた正式キャンペーンが始まった15日夜。離脱派の中心人物、ジョンソン・ロンドン市長は英中部マンチェスターで宣言した。「このままでは英国はナビゲーションの壊れたタクシーの乗客だ」とEUの機能不全をあげつらうと、聴衆から歓声が上がった。


5400億円持ち出し

 EUの官僚体質への反感は根深い。加盟国に緊縮財政を強いる一方、EUの支出は過去10年で4割強増加した。財源は各国の分担金だ。英国は、ドイツ、フランスなどと同様、配分される予算より分担金が多く、2014年度でみると43億ユーロ(約5400億円)の「持ち出し」になる。

 EU予算の半分以上は農業や域内の低所得国への補助に回る。拠出超過の先進国にEUからインフラ整備の予算が“下賜”される例もある。英国民の目には欧州議会とEU官僚が権限と組織を肥大化させていると映る。

 伝統的に競争を重視する英国と、民間部門への政府関与を好む大陸諸国との溝は深い。英国民の多くは労働時間規制や製品の安全基準などEUのルールは細かすぎると受け止める。銀行員の報酬制限や金融取引税などの導入にも、金融街シティの反発は強い。離脱派は「規制を緩和し、中国やインドなどと独自に自由貿易協定(FTA)を結ぶ方が英国の競争力が高まる」と主張する。

 流入が続く移民の問題でも、年間30万人強という純流入数を減らして英国民の職を守り、福祉制度の「ただ乗り」を阻止すると訴える。欧州で移民やその子弟によるテロが相次いだことも離脱派に追い風となっている。

 これに対し残留派は経済的な打撃に焦点を当てたキャンペーンを展開。英財務省は18日、EU離脱は30年までに国内総生産(GDP)を約6%押し下げるという試算を公表。キャメロン首相は「EUに残れば、英国はより強く、より安全で、より豊かになれる」と訴える。


「帝国」への郷愁

 この結果、直近の世論調査では離脱が4割、残留が5割弱と、やや残留派が盛り返している。ただ差は小さく、移ろう世論を見通すのは難しい。実際、1975年にEUの前身、欧州共同体(EC)の加盟継続を問う国民投票を行った際は、世論は短期間で離脱優勢から残留へ変化した。

 離脱派を根っこで支えるのが、大英帝国時代から育まれた「英国と大陸欧州は違う」という自負と気概だ。特に73年のEC加盟前を知る世代には「独立」という言葉は魅力的に響く。「EUの中の英国」で育った若い世代で残留支持が多数派なのとは対照的だ。

 英国史が専門のリンダ・コリー米プリンストン大教授は23日付英フィナンシャル・タイムズへの寄稿で「離脱派は『失われた帝国』を求めるノスタルジーにとらわれている」と指摘した。EUへの嫌悪感と「独立」への郷愁。理屈を超えた感情が欧州統合の行方を左右しようとしている。

[日経新聞4月28日朝刊P.7]

(中)経済覆う不透明感 離脱なら投資急減も

 【ロンドン=黄田和宏】「1〜3月の商業用不動産取引の落ち込みは全国で4割、ロンドンでは6割に達した」。4月中旬、英上院で証言した英中央銀行イングランド銀行のカーニー総裁は、欧州連合(EU)離脱問題を巡る不透明感は、既に経済に悪影響を及ぼしていると懸念を示した。

輸出4割はEU

 EUは英国の輸出の4割以上を占める最大の貿易相手だ。離脱となれば、英国の輸出に甚大な影響が及びかねない。最大の経済ロビー団体、英産業連盟(CBI)は「最善の将来はEUにとどまること」と立場は明確だ。会員向け調査でも、8割は残留を支持し、離脱派は5%にとどまる。

 企業が危惧するのは離脱後の混乱が長引き、投資などの企業活動が滞ることだ。CBIはスイスなどの過去の事例をもとに、英国とEUの新たな関係の構築に「10〜15年かかる可能性がある」と警鐘を鳴らす。

 3%近い英国の高い成長率は、EUなど海外からの投資に支えられてきた面がある。だが、ロンドン・スクール・オブ・エコノミクスの予測では、EUから離脱した場合には、「今後10年間に海外からの直接投資が22%減少する」という。

 懸念されるのは金融センターとしてのロンドンの地位低下だ。金融業は対内投資残高の4割強を占める。欧米の金融機関は英国を拠点に欧州各国に金融サービスを提供してきたが、EU離脱はそうしたビジネスモデルを揺るがしかねない。自動車産業でも、離脱が現実になれば生産台数が約12%に相当する18万台以上落ち込むとの試算もある。貿易交渉が進まなければ、EUへの自動車輸出に10%の関税がかかる懸念もある。


身構える市場

 影響はヒトの流れにも及ぶ。企業の採用活動に緩やかにブレーキがかかり、年末から年明けにかけて失業者数はじわり増加。離脱派は移民数の制限で英国民の職を守ると主張するが、英国立経済社会研究所は27日、移民労働者の制限は英企業の競争力に「重大で不利な影響を与えかねない」との調査結果を発表した。

 金融市場はリスクに身構える。離脱と残留の間で揺れ動く世論を映して値動きが大きくなり、市場参加者の不安心理を示すポンド・ドルの予想変動率が大幅に上昇した。

 債券市場も反応している。オズボーン英財務相は今月中旬、EU離脱の影響を巡り「物価が上昇し、インフレ目標を採用する英中銀がこれに対応するだろう」と利上げ圧力が高まる可能性を示唆した。英10年物国債利回りは26日に1.6%台後半と3カ月ぶりの高水準に上昇(債券価格は下落)。「現時点で離脱は完全には織り込まれていない」(シティグループのジェレミー・ヘイル氏)が、英国債の2割強を占める海外投資家は敏感になっている。

 独調査会社センティクスが26日発表した投資家向け調査では、機関投資家の約2割、個人の3割が英国のEU離脱を予想する。EUを離脱した場合には8割近い機関投資家が「EUの安定が脅かされる」と考えており、欧州市場全体に影響が及ぶのは必至だ。

[日経新聞4月29日朝刊P.6]


(下)「離脱ドミノ」EU警戒 止まらぬ求心力低下

創設国で波乱


 今月6日、オランダで欧州連合(EU)の未来に影を落とす事態が発生した。EUとウクライナの連携強化を進める「連合協定」の是非を問う国民投票で、反対派が勝利したのだ。国民投票はオランダ国内の反EU派が仕掛けたもので、その行方は英国のEU離脱「ブレグジット」を問う国民投票の前哨戦という位置づけで注目を集めていた。

 オランダ(ネザーランド)のEU離脱「ネグジット」を主張してきた極右政党、自由党のウィルダース党首は「EUの終わりの始まりだ。英国も続くと期待する」と気勢を上げた。ブリュッセルの「EU官僚」から解放され、南欧諸国のツケを払う必要がなくなれば、オランダ経済はもっと良くなる。その主張は英国の離脱派と重なる。

 欧州統合の源流は1952年発足の欧州石炭鉄鋼共同体にある。オランダは創設6カ国の一つで、今回の反EU派の勝利は統合の「核」で波乱が起きた形だが、ざわついているのはオランダだけではない。

 フランス人の53%がEU離脱を問う国民投票を望んでいる――。3月、独立系シンクタンクの「欧州政策センター」がブリュッセルで開いた政策セミナーで、英エディンバラ大学のヤン・アイヒホルン研究員らがまとめた衝撃的な調査が話題をさらった。


仏極右に追い風

 素早く反応したのは仏極右政党の国民戦線のマリーヌ・ルペン党首だった。自身のブログに仏のEU離脱を意味する「フレグジット」と題した記事を掲載。同調査を「非常に心強い結果だ」と取り上げた。国民戦線は2017年に迫る仏大統領選で政権奪取すれば、EU離脱を問う国民投票を実施すると公約している。難民危機へのEUの不手際を“追い風”に、党勢は強まるばかりだ。

 英国を起点に広がるEU離脱ドミノの懸念。だが、EU首脳らは、打つ手を見つけられないでいる。

 「超国家的な組織体が必要だと訴えても、もはや欧州の国民からは尊敬されない」。今月19日、仏ストラスブールの欧州議会。反EUの勢力拡大を問われたユンケル欧州委員長は、欧州統合の求心力低下を認めた。「EUの過度な干渉」が加盟国の不満を招いていると自ら指摘し、EUへのさらなる権限集中に慎重な構えをみせた。英国民に残留を選ぶようメッセージを送った形だが、守勢は覆いようもない。

 EUのトゥスク大統領は英国のEU離脱が引き起こす地政学的リスクへの警戒を促す。主要国である英国の離脱は「EUの分断を目指す者たちにとって勝利となる」。トゥスク氏はウクライナと国境を接するポーランドの元首相。ロシアの脅威という「共通の敵」を求心力につなげようという意識は高いが、それ以上に今のEUがさらされている遠心力は強い。

 46年に「欧州合衆国」構想を唱え、第2次世界大戦後の荒廃から欧州統合への道を示したのは、英首相を務めたチャーチルだった。それから70年。今度は曲折を経ながらも統合へと進んできた欧州の歩みを、英国が反転させるのか。6月23日の英国民投票には、欧州の未来がかかっている。

(ブリュッセル=森本学)

[日経新聞4月30日朝刊P.7]

 

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