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トランプ打倒の前に、ヒラリーは党内で「板挟み」状態 〜迫られる苦渋の決断 水面下でつづく予備選の「延長戦」(現代ビジネス
http://www.asyura2.com/16/kokusai14/msg/422.html
投稿者 赤かぶ 日時 2016 年 6 月 30 日 08:04:30: igsppGRN/E9PQ kNSCqYLU
 

ようやくヒラリーへの支持を表明したリベラル派のエリザベス・ウォーレン連邦上院議員(左)。しかし、これでヒラリーの足元が"盤石"になったわけではない……〔photo〕gettyimages


トランプ打倒の前に、ヒラリーは党内で「板挟み」状態 〜迫られる苦渋の決断 水面下でつづく予備選の「延長戦」
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/49043
2016年06月30日(木) 渡辺将人 現代ビジネス


渡辺将人(北海道大学准教授)


■水面下で続く予備選の「延長戦」


先日、オハイオ州で、ヒラリー・クリントン元国務長官とエリザベス・ウォーレン連邦上院議員が共に壇上にのぼった。しかし、民主党女性上院議員で唯一ヒラリーへの支持表明をしていなかったウォーレンは、ヒラリーの支持を今月(2016年6月)になってようやく表明した経緯がある。


ウォーレンは、バーニー・サンダースと同じ「反ウォール街」の左派であり、サンダース旋風の事実上の生みの親である(拙稿「サダース旋風がヒラリーに与える「党内外圧」 http://gendai.ismedia.jp/articles/-/48069)。ウォーレンのヒラリー支持に、サンダース支持者は悲鳴をあげた。無論、ウォーレンは単に取り込まれたわけではない。リベラル派の利益のための政治決断である。

一方、ウォーレンの支持でサンダース支持層の取り込みにメドがたったと安心するヒラリー陣営も、「副大統領候補にウォーレンを!」とエスカレートとするリベラル派の要求には手を焼いている。


この時期の副大統領候補選びは、メディアへのリークが飛び交う「情報戦」「心理戦」になる。陣営は観測気球(アドバルーン)を打ち上げ、メディア、有権者、支持基盤(献金筋)、相手政党の反応を見定める。周辺からのノイズも増える。


7月25日から始まる民主党全国大会まで1ヵ月を切ったなか、両陣営は、党綱領と副大統領候補の2つを決めなければならない。民主党の内部では、水面下ではこれら2つをめぐる予備選の「延長戦」が続いている。


* * *


一般論として予備選は無風よりも「好敵手」がいたほうが望ましい。ヒラリー陣営にとって「適度なチャレンジャー」が出現してくれることは理想だった。支持基盤が活性化し、草の根動員、献金などの本選への助走がつくし、メディアの枠も相手政党に独占されずにすむ。


しかし、サンダースは「適度」ではなかった。今回の民主党指名争いでは、カリフォルニア州までサンダースは凄まじい粘りを見せた。この死闘は2008年のオバマとヒラリーの戦いにも匹敵するものだ。



凄まじい粘りを見せたサンダース。その支持層をヒラリーは取り込めるか〔photo〕gettyimages


ヒラリー陣営の支持基盤は活性化し、選挙資金は潤沢になったが、サンダース支持層の取り込みという課題を背負い込んだ。


政策面でヒラリー陣営は、TPP反対、キーストーン・パイプライン建設反対とリベラル派にベタ折れしてきた。本来であれば、そろそろ中道回帰の時期だが、それを阻止する動きもある。


■いかに「和解」を演出するか


2008年の大統領選挙でも、オバマ派とヒラリー派の対立がなかなか癒えなかった。


オバマ陣営は全国党大会4日のうち2日目を丸々、クリントン夫妻に差し出した。「これで和解の象徴になるのでは」とオバマ陣営の幹部に筆者が言ったら、「それは表向きだ。オバマ派とヒラリー派はお互い顔も見たくない。だが、ヒラリーに1日はあげないともたない。それで2日目に封じ込めた」と嗜められた。


クリントン元大統領やヒラリーの演説を聞きにでかけようとすると、オバマ派だった議会関係者の面々は「今日はクリントン・フェスタ。壇上も客席もクリントン派だけになる。党大会はボイコットして、皆でバーで飲むから来い」と踏み絵を迫られたほど、ギスギスしていた。


全国党大会はメディア・イベントである。メディアでどう伝えられるかが勝負であり、実際にスタッフや支持層が夏の時点で割れたままでも、演出上「候補者の和解」「民主党の一致結束」がアピールできれば成功である。2016年のヒラリー陣営もとりあえず、そのラインを達成できればいい。


この微妙な時期に、リベラル派は2つのボールをヒラリー陣営に放り込んできた。


1つは民主党全国党大会で発表される政策綱領(プラットフォーム)をサンダース派との共同執筆にさせろという注文だ。これをヒラリー陣営と民主党全国委員会は承諾した。


民主党の政策綱領は15人の委員で作成される。そのうち6名がヒラリー陣営からの推薦者、5名がサンダース陣営からの推薦者、残りの4名を民主党全国委員会の委員長指名とすると決まった。


ヒラリー陣営と1名差でサンダース陣営に席を譲るというのは、相当に寛大な配慮だ。ヒラリーとサンダースが予備選過程で獲得した一般投票の数に比例して配分された。


得票の比例配分で、というだけでも敗者の陣営への異例の配慮だが、人選にはサンダース色が色濃く滲んだ。それはヒラリー陣営も全国委員会も折り込み済みだっただろう。


サンダース陣営は「アラブ系アメリカ人インスティチュート」の会長のジェームズ・ゾグビーを指名。ゾグビーはパレスチナの権利の擁護者だ。ほかにはアフリカ系学者のコーネル・ウエスト、リベラル派のキース・エリソン下院議員、環境保護活動家のビル・マッキベン、先住民団体のデボラ・パーカーなどが並んだ。黒人、先住民、女性という「マイノリティ」に配慮した人選でもあった。


■荒れ模様の綱領作り


しかし、形だけの「ガス抜き」は往々にして火種にもなる。もし、委員を対立陣営から入れても、綱領への政策の反映には制限をかけるとすれば、サンダース支持者の取り込みには有害な可能性もある。実はこの綱領作りが既に荒れ模様だ。


まず、あからさまなTPP批判は見送られた模様だ。民主党綱領がTPPを推進する民主党のオバマ政権を批判することの矛盾を避けたということだが、サンダース陣営はヒラリーもサンダースも反対しているTPPにどうして配慮する必要があるのかと抗議している。


また環境関連ではシェールガス掘削で問題視されるフラッキング(水圧破砕法)への慎重な猶予や、炭素税なども却下された。ゾグビー肝いりのパレスチナ人の国家樹立につながる提案も外交的に踏込み過ぎであり実現困難だ。


サンダース派が望む最低賃金の15ドルへの引き上げにも、15ドルを目指す方向で一致したものの、進め方に柔軟性を持たせたいヒラリー派と細かい文言で折り合いがつかなかった。


他方、これまで民主党政権が容認してきた死刑の廃止を求めることや、いっそう厳しい金融規制などでは一致した模様だ。


サンダース派が望む政策の多くが反映されないことに、サンダース陣営は党綱領批判の声明を出し、委員のコーネル・ウエストが検討会で抗議の意を示すまでの展開になった。


対立を顕在化させるリスクをとったことの当然の代償だったが、それでもサンダース陣営から5人を招いたことで、党綱領の制作過程にリベラル派も絡ませたという「足跡」は得られたという声はある。「和解」へのソフトランディングとしては妥当だったという評価だ。


■ウォーレン「ヒラリー絶賛」の意味


もう1つのリベラル派が投げ込んだボールは、ウォーレンの満を持してのヒラリー支持である。筋金入りのリベラル派であるレイチェル・マドウのMSNBC番組を支持表明の場に選んだのは、ウォーレンにとってまさに「ホーム」での「支持基盤への挨拶」を意味していた。「私の真の意図をわかってくださいね」ということだ。


予備選中に立場をとらなかったのはオバマ大統領も同じだ。ヒラリーの指名獲得の見込みが決まった段階で正式に支持を表明したが、その言説は主としてトランプ批判に絞られている。つまり「トランプを阻止するために民主党政権が引き続き必要」という論理で、積極的なヒラリー応援には抑制的だ。


ウォーレンは「褒め殺し」戦略を持ち込んでいる。6月21日に支持者に送信したメールでウォーレンは次のように述べている。


「ヒラリーはファイターです。選挙戦を通して、ヒラリーはウォール街に必ず責任を取らせ、最低賃金を引き上げ、社会保障を拡充し、大学の学費で負債を抱えないように援助すると言ってきました。女性の権利、LGBTの権利、移民の権利、公民権のために、ヒラリーは必ず戦ってくれます。それこそがヒラリーのアジェンダであり、プログレッシブ(進歩派)のアジェンダだからです」


ヒラリーを褒めちぎっているが、実際には半ば「圧力」のような言い草だ。ここまで言われれば、「いや私は必ずしもそうではありません」とは返しにくい。ご期待有り難うと言うしかない。ウォーレンはメール後半ではトランプ批判を展開し、最後はヒラリーへの献金依頼で締めくくった。


ウォーレンはサンダースに比べると「党人」であり、リベラルな政策を実現する上での現実主義者である。サンダースは民主党に属してこなかったし今でも心から「デモクラット」とは名乗らない。フロリダ州の銃乱射事件で、ようやく「銃規制に賛成」の立場を示したが、これまでは民主党が推進する銃規制法案に反対票を入れてきた過去もある。


だが、ウォーレンは民主党のアジェンダを「左旋回」させるためならば、清濁併せ吞む覚悟を見せつつある。ヒラリーと手を携えて壇上にあがるぐらいのことは、党のためなら喜んで引き受ける。


■サンダースとウォーレンに挟まれて…


そもそも党綱領委員にサンダース派5名が入るだけでは、形式的「ガス抜き」に終わる可能性はあった。


そこでサンダースは「選挙戦やめないぞ。戦い続けるぞ」と反ヒラリーの熱狂的な支持者を満足させるだけでなく、党綱領の下書きにいちいち文句を付ける声明を出している。サンダースは「ヒラリーに投票する」ことは明らかにしたが、「支持(エンドースメント)」はできないとして、綱領の内容への不満を訴え続ける構えを見せている。


他方で、ウォーレンは「ヒラリーこそがプログレッシブの鑑です。きっとウォール街に厳しくしてくれるはずです」という褒め殺しを続ける。


このサンダースとウォーレンの「良い警官、悪い警官」「アメとムチ」のような、妙な役割分担のサンドイッチで、ヒラリー陣営が本選での中道回帰という通常の大統領選挙の王道戦略を採らないように、見えないプレッシャーを与えている。


その仕上げになっているのが、副大統領の下馬評報道だ。様々な人物の名前があがる中、一時期リベラル・メディアが喧伝していたサンダースというチョイスは完全に影を潜め、ここにきてウォーレンが「ワイルド・カード」役を果たしている。


ウォール街は「左傾化までは選挙戦略上、理解できるが、ウォーレンを副大統領候補に選ぶことは臨界点」という姿勢だ。


これはヒラリー陣営にとって苦渋の決断になる。ウォーレンとの「二人三脚」は、頑固なサンダース支持者を招き込む上での特効薬だが、金融界との「衝突」にまで踏込めば、選挙資金で不利になるからだ。ウォール街と付かず離れずでやってきたクリントン派にとって、かつてない「ルビコン」になりかねない。


だが、ウォール街を遠ざけることでこそ、サンダース支持層の取り込みが完了できるとの現実論もある。サンダース支持層がヒラリーの選挙に本格合流すれば、凄まじい草の根の小口献金力がヒラリーを助けるという見立てもある。


無論、これは相当な楽観論だ。サンダース支持の活動家の情熱的献金力は、対象がサンダースでなければ同じレベルでは発揮されないだろう。


ウォーレンは金融規制の鬼として知られる学者上院議員として専門を活かしている範囲では輝くが、大統領向きではないとの見方が玄人筋の大勢だ。最高司令官として軍を動かす人にはなれないという意見だ。しかし、ウォーレンは軍のトップの役割を引き受ける覚悟ができていると、米メディアに示唆している。


正副2人の女性候補コンビは「ラディカル」だし、ヒラリーが自分よりも目立つ人間をはたしてホワイトハウスに迎えるかには疑問があると、関係者の見立ては割れている。また、ウォーレン採用は、ただでさえトランプ寄りになっている白人男性労働者票を完全に遠ざける。


しかし、ウォーレンがトランプ打倒の最終兵器として米メディア報道や政治関係者のソーシャルメディアで書き立てられていることの裏には、板挟み状態のヒラリー陣営の迷いと、予備選終了後も見えない形で続いている「延長戦」におけるリベラル派の迂回的な攻撃が象徴されている。


どこまでが支持者の勝手応援団による「ノイズ」にすぎず、どこまでが信憑性のあるインサイド情報か、ソーシャルメディアと報道の洪水のなかで見えなくすることで、リベラル派は結果としてウォーレンの存在感を浸透させることに、ある程度成功している。


渡辺将人(わたなべ まさひと)
1975年東京生まれ。北海道大学大学院准教授。シカゴ大学大学院国際関係論修士課程修了。早稲田大学大学院政治学研究科にて博士(政治学)取得。ジャン・シャコウスキー米下院議員事務所、ヒラリー・クリントン上院選本部を経て、テレビ東京入社。「ワールドビジネスサテライト」、政治部記者(官邸・外務省担当、野党キャップ)。コロンビア大学、ジョージワシントン大学客員研究員を経て現職。第4回アメリカ学会斎藤眞賞受賞。主著『見えないアメリカ』(講談社現代新書)、『現代アメリカ選挙の変貌』(名古屋大学出版会)、『アメリカ政治の壁』(岩波新書、近刊)。


 

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コメント
 
1. 2016年6月30日 12:22:51 : 3fO4ayX48A : qI7tOEcDlE8[25]
副大統領候補は、白人男性だろうな。予備選でサンダースに集まったのは、リベラル左派票というよりも白人男性票じゃないの。そこを補う人選をするのが普通だろう。

今の段階でなんだかんだ言っても、本線になれば民主党は結束するのよ。特に、相手がトランプだし。左派の取り込みに気は使うだろうが、それを最優先する人選はしないと思うけどね。

で爺


2. 2016年7月01日 20:20:46 : ewUNDXeW9E : _kYA4_QcorQ[41]
なんだよFBIの捜査全然書いてないじゃん

内輪揉めよりそれが重大問題だろう


3. taked4700[5503] dGFrZWQ0NzAw 2016年7月02日 20:05:33 : imk9nBPjJU : z0L3Y7mdIxQ[4]
>ウォーレンを副大統領候補に選ぶ

十分にあり得ることだと思います。

個性化が必要であり、これがヒラリー・クリントン政権だとイメージを描く必要があるからです。


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