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「皇帝は歴史の奴隷である」(トルストイ)−−ペレス前イスラエル大統領の死に思ふ   西岡昌紀
http://www.asyura2.com/16/kokusai15/msg/456.html
投稿者 西岡昌紀 日時 2016 年 9 月 30 日 22:57:22: of0poCGGoydL. kLyJqo@5i0k
 

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http://blog.livedoor.jp/nishiokamasanori-rekishiokangaeru/archives/66157358.html


http://mixi.jp/view_diary.pl?pt=1475242890&content_id=4217509&route_trace=010002700000&destination=diary%2F6445842-1955827355&sig=7c18b3d10a7993a103faa81d6054dce3fe3a524a&from=news&id=1955827355&owner_id=6445842


トルストイの『戦争と平和』に、忘れられない一文が有る。−−「皇帝は、歴史の奴隷である。」−−と言ふ文だ。即ち、皇帝が命じて国家を動かすと言ふのは見かけだけで、真実は、皇帝は、歴史の流れに沿って動いてゐるだけだ、と言ふ意味だ。最近、この文を思ひ出す事が二度有った。


『戦争と平和』の中で、トルストイが「皇帝は、歴史の奴隷である。」と言ふ一文を書いたのは、ナポレオンの侵攻に対抗して、ロシア軍が決起する場面においてだ。それは、皇帝が、居並ぶロシア軍兵士の前で、出陣の号令を掛ける場面だ。その光景に対するトルストイの言葉が、この一文なのだ。


即ち、一見、それは、皇帝の命令によって、ロシアがナポレオンに対して立ち上がったかの様に見える光景である。しかし、真実は、皇帝が命令したから戦争が始まったのではなく、戦争が不可避に成ったから、皇帝は、戦ひを命じる役を演じてゐるだけだ、と言ふ事なのだ。


それが、『戦争と平和』における「皇帝は、歴史の奴隷である。」と言ふ言葉の意味である。


自分は、『戦争と平和』のこの一文を、最近、二度思ひ出す機会が有った。


一度目は、『シン・ゴジラ』を見た時だ。ゴジラに翻弄される日本の総理大臣も、アメリカの大統領補佐官も、皆、「歴史の奴隷」に見えた。−−日米の政治家たちを、見事に「歴史の奴隷」として描いた庵野秀明監督は凄い。


そして、二度目は、2日前のシモン・ペレス前イスラエル大統領(1923−2016)の訃報に接した時だ。ペレス氏も、トルストイが「歴史の奴隷」と呼んだ役割を演じた人物だったと、自分は思ふ。


頓挫した中東和平におけるペレス氏の役割は、まさしく、「歴史の奴隷」だった。何故なら、世界は、中東和平を必要としてゐたからだ。それが実現しなかった事が、現在の世界の混乱の原因のひとつだと自分は思ってゐる。


もちろん、ペレス氏の政治家としての生涯を全肯定するのではない。多くのパレスチナ人から見れば、彼も、「シオニスト」の一人に過ぎない、と言はれるであろう事は、良く知ってゐる。又、逆に、イスラエル右派からは、ペレス氏が、無責任な「左翼政治家」と批判されてゐる事も知ってゐる。


政治は結果だ。だから、オスロ協定が破綻し、中東和平が実現しなかったと言ふ結果から見れば、彼は『シン・ゴジラ』の大河内総理大臣と同様、敗者である。それは、わかって居る。


だが、ペレス氏の訃報に接して思ふ事は、氏が取り組んだ事は肯定的に評価されるべきだ、と言ふ事だ。ペレス氏のやり方が稚拙であったと言ふ批判はもちろん有るだろうし、「シオニストはシオニスト」と言ふパレスチナ人多数派の冷めた感情は百も承知して居る。だが、それでも、自分はそう思ふ。


ペレス氏は、稚拙ではあっただろう。そして、そもそも、パレスチナに対する侵略を行なった側(シオニスト)の一人である事は、言ふまでも無い。しかし、それでも自分は言ふ。限界と批判されるべき点は有ったが、ペレス氏は、ユダヤ人が進むべき道が何であるかを理解してゐた政治家ではあったと。


これが、トルストイの言ふ「歴史の奴隷」の意味である。優れた政治家は、皆、自分が「歴史の奴隷」である事を理解して居る筈だ。ペレス氏は、歴史が自分に何を命じてゐるかを正しく理解した「奴隷」であったと、自分は思ふ。


イスラエルとシオニズムを批判する事が多い自分だが、中東和平の実現を志向したペレス氏(1923−2016)の評価すべき点は、公平に評価したい。御冥福をお祈りする。


2016年(平成28年)9月30日(金)


西岡昌紀


http://blog.livedoor.jp/nishiokamasanori-rekishiokangaeru/archives/52050190.html

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ペレス前大統領の棺、イスラエル国会に 各国要人ら追悼
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2016年09月29日 23:26 朝日新聞デジタル

朝日新聞デジタル


写真イスラエルの国会で29日、ペレス前大統領の棺に追悼に訪れた人たち=渡辺丘撮影
イスラエルの国会で29日、ペレス前大統領の棺に追悼に訪れた人たち=渡辺丘撮影

 28日に死去したノーベル平和賞受賞者のイスラエルのシモン・ペレス前大統領の棺が29日、エルサレムの国会に移され、ネタニヤフ首相やビル・クリントン元米大統領ら各国要人や多くの市民が追悼に訪れた。


 30日の国葬には、オバマ米大統領やオランド仏大統領らが参加。日本から、日イスラエル友好議員連盟会長の中谷元・前防衛相が首相特使として派遣される。


 ローマ・カトリック教会のフランシスコ法王は28日、弔電で「平和へのたゆみない努力に改めて感謝している。彼の思い出と何年にもわたる貢献が、私たち皆が人々の和平と和解へ向けて動くよう鼓舞することを望む」と哀悼の意を示した。(エルサレム=渡辺丘)

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