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トランプとの対決姿勢を鮮明にしたメルケル 一番ヤバイのはEU トランピズムの正体 不法移民の強制送還優先でない=下院議長
http://www.asyura2.com/16/kokusai16/msg/319.html
投稿者 軽毛 日時 2016 年 11 月 14 日 14:19:32: pa/Xvdnb8K3Zc jHmW0Q
 

トランプとの対決姿勢を鮮明にしたメルケル

熊谷徹のヨーロッパ通信

祝辞に埋め込まれた“毒矢”
2016年11月14日(月)
熊谷 徹

メルケル首相はトランプ氏に厳しい態度で臨む(写真:ロイター/アフロ)
 11月9日にドナルド・トランプ氏が米大統領選挙で勝利した時、各国首脳は外交儀礼に基づいて同氏に祝いの言葉を贈った。ドイツのアンゲラ・メルケル首相、そして日本の安倍晋三首相が発表した祝辞は、トランプ氏に対する両国の態度の違いを浮き彫りにした。

 安倍首相が当たり障りのない表面的な祝辞を送ったのに対し、メルケル首相は祝辞の中にトランプ氏に対する「毒矢」を埋め込んだ。

トランプに示した協力の「条件」

 メルケル首相は祝辞の中で、まるで学校の教師が生徒を教え諭すように、ドイツが重んじる価値を並べ上げた。「ドイツにとって、EU以外の国の中で、米国ほど共通の価値によって緊密に結ばれている国はありません。その共通の価値とは、民主主義、自由、権利の尊重、全ての個人の尊厳を重んじることです。人権と尊厳は、出身地、肌の色、宗教、性別、性的な嗜好、政治思想を問うことなく守られなくてはなりません」。

 メルケル首相がこれらの言葉によって、わざわざ「性別、宗教や肌の色、同性愛者か否かで人間を差別してはならない」と指摘したのは、トランプ次期大統領が選挙運動の期間中に、女性、メキシコ人、イスラム教徒、同性愛者を蔑むかのような発言を繰り返してきたことに対する、暗黙の批判である。

 メルケル首相の最も鋭い「毒矢」はその次に飛んできた。それは、「Auf der Basis dieser Werte(これらの価値の前提の下に)」というわずか5つの言葉だった。彼女は、こう言った。「トランプ氏がこれらの価値を我々と共有するならば、私はトランプ氏とともに働く準備があります」。

 つまりメルケル首相は、「トランプ氏がこれまでのヘイト・スピーチで示してきた、女性や外国人、イスラム教徒、同性愛者に対する差別的な態度を改めないのならば、ドイツ政府はトランプ氏と協力する気はない」というメッセージを送ったのだ。同盟国の首相が、次期大統領に「あなたと協力するかどうかは、あなたが一定の条件を満たすかどうかにかかっている」と宣言するのは、極めて異例である。メルケル首相は「あなたとともに働くのを楽しみにしています」という、彼女がこの種の祝辞でしばしば使う言葉も、あえて避けた。

 来年トランプ大統領が誕生した後、日米同盟がどうなるかは、未知数である。それにもかかわらず、安倍首相は祝辞の中で日米同盟を「希望の同盟」と持ち上げた。さらに同首相は、「トランプ次期大統領と緊密に協力し、日米同盟の絆を一層強固にするとともに、アジア太平洋地域の平和と繁栄を確保するために、日米両国で主導的役割を果たしていくことを、心から楽しみにしています」と述べ、トランプ氏と無条件で協力すると宣言している。そこには、メルケル首相が埋め込んだような、トランプ氏のヘイト・スピーチへの批判は込められていない。

 私はメルケル首相の祝辞を聞いて、政治が「言葉の芸術」であること、そして我々日本人とは異なり、歯に衣を着せずに思ったことを言うドイツ人の国民性を強く感じた。ドイツでは、日本よりも個人主義、そして発言の自由が尊重されている。たとえ発言を向ける相手が、世界最強の国の次期大統領であってもだ。

大半のドイツ人はトランプを嫌っている

 トランプ氏を批判したのは、メルケル首相だけではない。ドイツのヨアヒム・ガウック連邦大統領が報道機関に向けて出したコメントにも、トランプ氏に対する懸念が込められていた。米国大統領選挙の投票日つまりトランプ氏が大統領にえらばれた日は、11月9日だった。ガウック大統領はコメントの最初で、この日付がドイツでは特別の意味を持っていることに言及した。

 ドイツで11月9日は、歴史に残る大事件が起きる特異な日と見なされている。1923年のこの日には、ヒトラーがミュンヘンでクーデターを試みた。1938年には、ナチス政権が全国でユダヤ教会を破壊し、多数のユダヤ人を殺害・逮捕した「帝国水晶の夜」事件が起きた。1989年にベルリンの壁が崩壊したのも11月9日だった。つまり、この「特異日」に起きた一連の出来事に、政界のアウトサイダーが大統領として米国で最高権力を握るという「椿事」が加わったのだ。

 ガウック大統領は「米国で大統領選挙が行われている間、世界の多くの人々が不安を感じた」と述べ、彼がトランプ氏の言動について懸念を抱いていることを示唆した。もちろんガウック大統領は、トランプ氏の勝利をナチスの台頭と同列に並べたわけではない。しかし彼のコメントの底に、一抹の疑念が横たわっていることは明らかだ。

 ドイツではトランプ氏の勝利は「想定し得る最悪の事態」と受け止められている。大半のドイツ人は、トランプ氏ではなくヒラリー・クリントン元国務長官が大統領になることを願っていた。彼らにとって、トランプ氏が大統領になることは、隣国フランスで、右派ポピュリスト政党「国民戦線(FN)」のマリーヌ・ルペン党首が大統領になるのと同じことだ。

「ポピュリスト・インターナショナルの急先鋒」

 メルケル政権の閣僚たちによるトランプ批判は、首相や大統領よりもさらに露骨だった。同政権で副首相を務める、ジグマー・ガブリエル経済エネルギー大臣は「トランプ氏の勝利は、我々ドイツ人にとっての警告である。彼は所得格差や社会の分裂に対する人々の失望を利用して票を集めた」と述べ、トランプ氏が取るポピュリスト的な姿勢を批判。

 ガブリエル副首相は、「現在、世界各国の右派ポピュリストたちが強権的政治家のインターナショナル(国際戦線)を形成しつつある」と考えている。このポピュリスト・インターナショナルにはロシアのウラジミール・プーチン大統領、トルコのレジェップ・タイイップ・エルドアン大統領、フランスのFNのルペン党首などが属している。ガブリエル副首相は「トランプ氏は、このポピュリスト・インターナショナルの先頭に立つ人物だ」と指摘した。

 さらに同副首相は「トランプ氏が属する共和党は、時計の針を、旧態依然とした悪い時代に戻そうとしている。彼らは、女性は台所とベッドにいればよいと考えている。彼らは同性愛者を刑務所に押し込め、労働組合を冷遇しようとしている。口を開いたものは、公の場で攻撃される」と舌鋒鋭く批判した。

 現在ドイツの政界やメディアは、「欧州で拡大しつつある右派ポピュリズム勢力にとって、トランプ氏の勝利が追い風となる」との懸念を高めている。ドイツでも反イスラム、反EUの旗を掲げる右派ポピュリスト政党「ドイツのための選択肢(AfD)」が、州議会選挙で連戦連勝を続けている。その支持率は10%を超えている。旧東ドイツの一部の地域では、有権者の3人に1人がこの党を選んでいる。

 特に大きな不安の種は、西欧諸国との対決姿勢を強めるロシアのプーチン大統領が、トランプ氏に好意的な姿勢を示していることだ。米国大統領選挙の選挙運動の期間中に、暴露ポータル「ウィキリークス」が民主党の電子メール約2万通を公開し、米国の政治関係者に衝撃を与えた。ドイツ政府部内では「ロシアの諜報機関が民主党のサーバーからメールを盗み出し、クリントン候補を不利な立場に陥れるために、ウィキリークスに情報を提供したのではないか」という見方が強まっている。プーチン大統領は、トランプ次期大統領にいち早く祝辞を贈っている。

 来年9月には、ドイツ連邦議会選挙が行われる。メルケル首相は「ロシアがサイバー攻撃によってこの選挙結果を左右しようとする危険がある」と述べている。

同盟関係への亀裂に重大な懸念


 またドイツ政府のフランク・ヴァルター・シュタインマイヤー外務大臣は今年8月、トランプ氏を「ヘイト・スピーチの伝道師(Hassprediger)」と呼んでいた。シュタインマイヤー外相は、トランプ氏が勝利した後「この投票結果は、多くのドイツ人が願っていたものではない。トランプ氏が大統領になることで、多くの事が難しくなるだろう」と強い懸念を表明。

 トランプ氏は、選挙運動の期間中に「米国は友人を必要としない。北大西洋条約機構(NATO)は役に立たない」と発言している。NATOは、米国に率いられて、第二次世界大戦後、ソ連の脅威から西欧を守ってきた軍事同盟である。その同盟を率いる最高司令官となるトランプ氏が、欧州防衛の要であるNATOの必要性を疑問視しているのだ。これは、欧州の安全保障にとって重大な脅威である。シュタインマイヤー外相は、次期大統領のこの言動について、「今後は米国の外交政策について、先を見通すことが難しくなる。国際関係における大きな混乱が起きないことを望む」とコメントした。

 ドイツ国防省のウルズラ・フォン・デア・ライエン大臣も、次期大統領が提唱する防衛政策に対する疑問を隠さなかった。彼女は「トランプ氏はNATO加盟国に対し、『あなたたちは軍事同盟にどのような貢献をしているのか?』と問うてくるだろう。だが我々も米国に対し、『あなたたちは、NATOの将来をどう考えているのか』と問うつもりだ」とコメントしている。

 ドイツでは、トランプ次期政権が同盟国に対し軍事的な貢献を増大するよう求めてくることは不可避という見方が強い。これまでNATOでは、ある加盟国が軍事攻撃を受けた場合、他の加盟国はそれを自国への攻撃と同等と考えて反撃する義務を負った。いわゆる集団的自衛の原則である。だがトランプ氏は選挙運動の期間中に、「米国などNATO加盟国が反撃するのは、攻撃された国がNATOに対して十分な貢献を行っていた場合に限るべきだ」と主張した。

 米国はこれまで他のNATO加盟国に対し、防衛予算を少なくとも国内総生産(GDP)の2%に増やすよう求めてきた。2015年の時点で29あるNATO加盟国のうち、米国(3.33%)を除くと、2%を超えているのはギリシャ(2.38%)、ポーランド(2.23%)、英国(2.09%)、エストニア(2.07%)の4カ国だけだ。ドイツの防衛費の対GDP比率は1.19%であり、米国の要求にはほど遠い。

 政治の経験がゼロで、ビジネスマンであるトランプ氏は、歴代の大統領よりも、安全保障政策の上でコスト・パフォーマンスを重視するだろう。「外国の防衛ただ乗りは御免だ」という態度は、米国の庶民にもわかりやすい。今後米国が、同盟国に防衛支出の拡大を迫る可能性が強い。

ナチス時代への反省が国是


 戦後の西ドイツ、そして今日のドイツ政府は、ナチス・ドイツが1930年代から1945年まで欧州で人種差別や他民族の迫害を繰り返したことに強い反省の意を示している。人間の尊厳を踏みにじったナチスの行為を二度と繰り返してはならないという決意は、ドイツの国是である。

 ドイツの憲法に相当する基本法は、「人間の尊厳は絶対に侵してはならない。政府は、人間の尊厳を守る義務がある」という一文で始まっている。メルケル首相や閣僚たちがトランプ次期大統領に拒否反応を示すのは、トランプ氏が選挙期間中に行った言動に、人種や宗教に基づく差別的な態度を感じ取っているからだ。

 例えばトランプ氏は選挙期間中に、大統領に就任した場合、米国に不法に滞在している約1100万人の外国人を国外退去させる方針を明らかにしていた。この問題について、欧米のメディアはしばしば「deportation(移送)」という言葉を使う。これはナチスがユダヤ人を強制収容所へ移送した事実をも示す言葉であり、ドイツ人やユダヤ人にとっては、戦慄すべきイメージを伴っている。

 もちろんドイツは、超大国である米国を無視することはできない。米国はドイツにとって重要な貿易相手国であり、ドイツは米国に防衛面でも大きく依存している。したがって、ドイツが今後トランプ政権との対話の道を探ることは確実だ(実際、メルケル首相は11月11日にはトランプ氏と初の電話会談を行っている)。しかしドイツ人が、トランプ次期大統領の全ての政策を無条件に受け入れることはない。人権、そして人間の尊厳の擁護は、ドイツにとって越えてはならないレッド・ラインだ。

 ドイツ人は、過去のナチスによる犯罪に対する反省に基づき、この一線だけは譲らないだろう。トランプ氏がメキシコ人、イスラム教徒、同性愛者などに対して差別的な政策を取った場合、ドイツ人たちは、トランプ氏をはっきりと批判するだろう。

 これが、ドイツと同じく米国と同盟関係にある日本政府との、大きな違いだ。私はドイツに26年前から住んでいる一市民として、ドイツ政府が11月9日に見せた毅然たる態度を、誇りに思う。

このコラムについて

熊谷徹のヨーロッパ通信
http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/opinion/15/219486/111100022/?


 

ライアン米下院議長:不法移民の強制送還は共和党の優先課題でない
Ben Brody
2016年11月14日 11:08 JST
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共和党下院院内総務:ドローンを用いたバーチャルの壁もあり得る
トランプ氏:最大300万人の犯罪者らを追放ないし収監する可能性

米下院共和党の指導部は13日、ドナルド・トランプ次期大統領が唱えてきた不法移民の強制送還は優先課題ではないとの見解を示した。またメキシコとの国境に壁を建設する計画についても、国境の一部については壁の代わりにドローンによる国境パトロールの導入が可能だと指摘した。
  ライアン下院議長はCNNの番組「ステート・オブ・ザ・ユニオン」で、「国境警備がわれわれの最優先課題だ」と発言。トランプ氏が主張する不法移民の強制送還は共和党とホワイトハウスにとって「焦点」ではないとした。トランプ氏は米国内の最大1200万人の不法移民を強制送還すると昨年11月に述べていた。
メキシコと接するアリゾナ州ノガレスの国境警備隊員
メキシコと接するアリゾナ州ノガレスの国境警備隊員 Photographer: Amanda J. Crawford/Bloomberg *** Local Caption *** Leslie Lawson
  トランプ氏の移民をめぐる発言はその後、後退したりまた元に戻したりと、揺れ動いた。今月13日に公表されたCBS「60ミニッツ」とのインタビューでの一部テキストによると、トランプ氏は犯罪者やギャングのメンバー、麻薬ディーラーらを含む不法移民200万−300万人を米国から追放するか、収監する可能性があると語った。また国境の一部については壁ではなくフェンスにすることを受け入れるつもりだと発言した。
  共和党のマッカーシー下院院内総務は「FOXニュース・サンデー」とのインタビューで、メキシコ国境に壁を構築する必要はあるが、ドローンを用いたバーチャルの壁もあり得ると述べた。また次の会期で共和党が移民問題よりも重視する主要優先課題は医療、雇用拡大、税制改革、規制緩和だと説明した。
原題:Ryan Downplays Deportation in Trump-Era Congress Agenda (1)(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2016-11-14/OGLZ9U6TTDS301  

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コメント
 
1. 2016年11月14日 14:20:56 : OO6Zlan35k : ScYwLWGZkzE[638]
トランプ勝利の衝撃、一番ヤバイのはEUだ

キーパーソンに聞く

2016年11月14日(月)
蛯谷 敏
 ドナルド・トランプ氏が第45代米大統領への就任を決めた。この衝撃は大きく、週が明けた今も落ち着く気配がない。世界各国の政府はトランプ政権との付き合い方を模索している。

 中でも大きなショックが広がっているのがEU(欧州連合)加盟国だ。米国との経済的な結びつきが深いだけでなく、NATO(北大西洋条約機構)の運営など安全保障面にも影響が及ぶ可能性がある。そのインパクトを、大和総研ロンドンリサーチセンターの菅野泰夫シニアエコノミストに聞いた。

(聞き手は蛯谷 敏)

ドイツのベルリンでも反トランプを呼びかける運動が広がったが…(今年9月)。(写真:ロイター/アフロ)
ドナルド・トランプ氏が米大統領選に勝利して以降、世界各国がその対応に奔走し始めました。欧州への影響はどうでしょうか。


菅野泰夫(すげの・やすお)氏
1999年大和総研入社。年金運用コンサルティング部、企業財務戦略部、資本市場調査部(現金融調査部)を経て2013年からロンドンリサーチセンター長兼シニアエコノミスト。研究・専門分野は欧州経済・金融市場、年金運用など。執筆したリポートはこちら)
菅野:トランプ氏が大統領に正式に就任するまでまだ3カ月ほどありますから現時点では精緻な分析をするのは難しいですが、英国への影響とEU加盟国への影響を考えてみましょう。

 まず英国です。報道を見ていると、テリーザ・メイ英首相とトランプ氏の関係は良好とは言えないようです。トランプ氏は大統領選が終了した後、日本や韓国など各国の首脳と次々に電話会談をしています。メイ首相と会話をしたのは選挙の2日後で、10番目前後だったと報道されています。メイ首相はトランプ氏の過去の発言を否定的に捉えていると言われており、個人としての考え方は決して近くはないと思います。

 一方で、互いの国が置かれた状況は、とても似てきました。いずれも自国の経済を優先する保護主義的な色合いを強めています。英国が国民投票でEU離脱を決めた一方で、トランプ氏はNAFTA(北米自由貿易協定)やWTO(国際貿易機関)などの国際的な枠組みからの脱退を示唆しています。

 他国に縛られることなく自国の国益を優先するのがその狙いです。ただし、今後、英国と米国の利害が一致すれば、貿易などの交渉はスピーディーに進む可能性があります。トランプ氏は個人的に英国のEU離脱を支持していました。自身の躍進が米国に与える影響を「Brexit Plus Plus Plus」と連呼してもいました。

オバマ大統領は英国がEU離脱を決定する前、「離脱すれば、米国との貿易交渉で最後列に並ぶことになる」と警告しました。これに対してトランプ氏は「離脱したら、貿易交渉を真っ先に始めたい」と述べていました。

菅野:そのため、今後、両国が接近する可能性はあると思います。メイ首相も、電話会談の中で、両国の関係をかつてのレーガン・サッチャー時代になぞらえて語りました。

 むしろ、心配しているのは、EUへの影響です。トランプ大統領の誕生は、ただでさえ揺れているEUの結束を、さらに弱体化させる可能性があります。

どのような影響がありますか。

菅野:ポイントは、2つあります。

 1つは、NATO(北大西洋条約機構)の枠組みの将来です。トランプ氏は過去の発言の中で、「NATOは時代遅れの存在」と度々批判してきました。NATO加盟国は、GDP(国内総生産)比で2%を国防費として負担する目標が課されています。米国は自国の防衛費の拠出は増やす方針ですが、NATOへの貢献を減らす可能性が指摘されています。米国はNATOの柱と言える存在で、これがなくなれば、NATOの抑止力は著しく低下します。

そうなれば、EUにおいて、テロ組織やロシアの脅威が拡大しかねないというわけですね。

菅野:ロシアのプーチン大統領とトランプ氏の関係が今後どうなるかは分かりませんが、仮に米国がNATOから遠ざかれば、ロシアの脅威が増すのは間違いないでしょう。もちろん、NATO加盟国もそうした事態にならないよう、トランプ氏がロシアに接近する動きを阻止するでしょうし、トランプ氏も政策方針を変える可能性は十分にあります。

「反ユーロ」「反EU」政党を完全に勢いづかせた

 トランプ氏の勝利がEUに与えるもう1つの影響は、「反ユーロ」や「反EU」を掲げる極右政党をさらに勢いづかせたことです。トランプ氏が、Brexitを主導したUKIP(英国国民党)のナイジェル・ファラージ元党首と親密な関係にあるのは有名です。今回の結果を、欧州各国の極右政党が歓迎しています。

 フランスの極右政党である、国民戦線のマリーヌ・ルペン氏はツイッターでトランプ氏に賛辞を送りました。オランダの極右政党である自由党のヘルト・ウィルダース党首も「トランプ氏の当選は我々にも追い風」とメディアに語っています。フランス、オランダ両国とも来年に選挙を控えており、これらの極右政党の躍進が予想されています。

 特に、フランスの大統領選に出馬すると言われているルペン氏は、これまで絶対に勝利することはないとみられてきました。しかし、「トランプ大統領」が現実になった今、その可能性を絶対にないとは言い切れなくなっています。

 他にも、今年12月に実施されるイタリアでの国民投票、オーストリアでのやり直し大統領選など、トランプ氏の勝利によってその流れが分からなくなりそうな選挙が無数にあります。EUの結束が再び大きく揺さぶられることになるでしょう。

EUは今後どうなっていきますか。

菅野:一言で言えば、内向きになるでしょう。EU各国の国内政治が不安定になりますから、EUとして統一歩調を取ることは難しくなるでしょう。仏オランド大統領、伊レンツィ首相、そして独メルケル首相もみな、国内政治を安定させることに手いっぱいになり、EUとしての全体最適よりも部分最適を優先するでしょう。

 具体的に言えば、これまで推進してきたFTA(自由貿易協定)などの活動は停滞する可能性が高い。10月30日、EUはカナダとのFTAに署名しました。最後までベルギーの国内調整が難航し、やっとの思いで署名にたどり着いた。今回はなんとかまとまりましたが、EUが今後もこうした結束を維持できるかは、非常に疑わしい。

 加盟国は次第に、EUに加盟していること自体を足かせと感じるようになっていくでしょう。今後、米国や英国は、緊縮財政から財政出動に政策を転換する。その結果、仮に経済が上向くことになれば、緊縮財政を強いるEUに対する不満がさらに高まるでしょう。

 こうした苦しい状況の中、中東から流入する難民がさらに増え続けています。米国がNATOへの関与を弱めれば、中東紛争の解決はさらに遠のくからです。難民の増加は、EUの結束をさらに困難にするでしょう。

世界の主要国が内向きになっていくと。

1930年代のブロック経済に似てきた

菅野:1930年代にブロック経済が広がりました。この状況に似ていくと思います。拡大を続けてきたEUも、当面はEUという枠組みをどう維持するかが最大の課題となるでしょう。

 もちろん、EUがすぐに解体してしまうとは思いません。しかし、その結束がかつてないほど揺らいでいるのは間違いありません。その行方を占ううえでも、来年の欧州各国での選挙は注視しておく必要があります。

EU離脱を決めた英国は懸命だった?

菅野:結果的に、英国のEU離脱決定は時代の流れを映し出していると言えるかもしれません。もちろん、離脱した英国も課題が山積していますから、英国の判断が正しかったとは言い切れませんが、これからの時代を象徴する変化であることは間違いないでしょう。

 保護主義が世界的に広がる今、多くの国の政府が姿勢を大きく変化させています。最優先すべきは自国民である、自国の経済である。自国のことは自国で守り、利害関係が一致する相手とは個別に交渉する。そんな潮流が当面は主流になるでしょう。

 そこには、大国や巨大な連合の傘の下で守られたセーフゾーンはありません。私は、この変化を「ニューノーマル」と呼んでいます。グローバル化の時代から次のフェーズに完全に移ったと言えるかもしれません。

 こうした時代の中でどう立ち振る舞うか、日本も自ら考えなければならないと思います。


このコラムについて

キーパーソンに聞く
日経ビジネスのデスクが、話題の人、旬の人にインタビューします。このコラムを開けば毎日1人、新しいキーパーソンに出会えます。
http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/interview/15/238739/111300219/


2. 2016年11月14日 14:21:42 : OO6Zlan35k : ScYwLWGZkzE[639]
次期大統領を生んだ「トランピズム」の正体「白人中間労働者層」の危機感を呼び覚ました異端者

アメリカ現代政治研究所


2016年11月14日(月)
高濱 賛

オバマ大統領と会談するトランプ氏(左)(写真:AP/アフロ)
本命とみられたヒラリー・クリントン民主党大統領候補が、大方の予想に反して敗れてしまいました。相手は政治の門外漢、ドナルド・トランプ共和党候補。この「トランプ現象」「トランピズム」は何なのでしょうか。

高濱:米国の識者の間でも「トランピズム」の定義づけをめぐって意見が分かれています。一過性のポピュリズム(大衆迎合主義)だとか、いやもっと根の深い社会現象だ、とか。

 ただ、識者の間では一つの共通認識があります。

 トランプ氏は、当初、貧富の格差や移民流入に対する、一部の白人労働者層の怒りや不満を煽ることで、反体制一本やりの選挙戦を続けていました。ところが選挙戦が進む中で、その怒りや不満は白人一般大衆へと裾野を広げ、ある種の「世直し運動」になってしまいましたという認識です。

 トランプ氏自身、「これは選挙キャンペーンじゃない。ムーブメント(運動)だ」とまで言い切っていました。「保守対リベラル」といった座標軸では表せない社会現象となってしまったのです。

 「錦の御旗」は、Against Institution、つまり反既成体制・反既成制度、反ポリティカル・コレクトネス*でした。

*:ポリティカル・コレクトネス(Political Correctness=PC)という言葉は、社会学者アレン・ブルームが1987年に著した「The Closing of American Minds」(アメリカン・マインドの終焉)の中で最初に使った。人種的差別や宗教上の差別を全面的に否定する正義を正当化すること。例えば米国の公立学校ではキリスト教の行事であるクリスマスを公的行事にすることは禁じられている。「クリスマス休暇」も「ホリデー休暇」と呼ぶ。

 選挙キャンペーンがいつの間にやら一種のムーブメント(運動)になってしまった点。つまり「トランプ現象」とは、トランプ氏個人から乳離れして一人歩きし、巨大な社会現象になってしまったのです。

反自由貿易、反移民、反大企業、反インテリ、反軍事介入

「トランピズム」には政治理念があるのでしょうか。

高濱:ある識者によると、トランプ氏の主張は以下のように整理されます。

1)自由貿易は中産階級層の雇用を奪い、収入減につながる。

2)大企業や金融機関は信用できない。大企業の持つ影響力を極力、制限すべきだ。

3)(メキシコやアジアなどからの)移民及び移民政策は信用できない。移民は基本的に制限すべきだ。

4)自由貿易は米勤労者の雇用を奪い、賃下げにつながる。北米自由貿易協定(NAFTA)からは撤退。環太平洋経済連携協定(TPP)は破棄すべきだ。

5)米国は国際社会での役割を可能な限り減らし、米軍派遣や他国への介入をできるだけ避けるべきだ。米国は(中東やアジアなど)他国の戦争への介入を避けるべきだ。

6)北大西洋条約機構(NATO)には懐疑的である。(日本や韓国やドイツなど)同盟国を含む他国および国連などの国際機関が米国に対して抱く「真意」(Motive)には疑念がある。

7)米政府は米産業や雇用を保護するために関税障壁を設けるべきだ。

8)富裕層、既成の政治家、インテリやメディアは信用できない。
( "Is Trumpism the Future of American Politics? " Richard Back, empresa-journal.com., 8/30/2016)

「偉大な国家」とは70年以前の白人優先国家

ということは、トランプ氏が掲げてきた「Make America Great Again」(もう一度米国は偉大な国にする)というスローガンは、最初は現状に不満を持つ白人中産階級労働者層の「復活」を意味していたわけですね。

高濱:当初、トランプ氏が主張していた「偉大な米国」とは、1970年以前の米国を指していました。まだ黒人公民権が認められておらず、移民も法律で厳しく制限されていた時代です。人口比でも白人は87.5%を占めていました。

 ところが70年以降、公民権施行とともに才能のある黒人やアジア系移民の社会進出が目立ち始めます。移民法の改正で、メキシコをはじめとする中南米や中国や韓国などアジアからの移民が大量に入ってきました。選挙では非白人票が一定の影響力を持つようになります。

 人口比では、白人の比率は2010年、全体の72.4%にまで減っています。2044年には50%を切り、有色人種がマジョリティになると予測されています。
("A Look at the 1940 Census")

 つまり、それまで人種的に「白人」(Causian)であるというだけで、たとえ低学歴、低所得のブルーカラーであっても威張って生きていた人が、そうはいかなくなってきたのです。白人優先の「Community(社会共同体)」*が解体し始めたのです。

*:米国で使われているCommunityは、利害、宗教、人種、文化慣習などを共有する社会共同体を指す。

マイノリティになり下がる白人たち

 米ジョージ・メイソン大学にジャスティン・ゲスト博士という新進気鋭の学者がいます。同博士は、「トランピズム」をここまで拡散させたのは、「新しい白人マノリティ」(New Minority)が恐怖心を抱いているからだ、と指摘しています。

 ゲスト博士によれば、この人たちは政治思想的に右翼・右派というのではなく、「人種的ナショナリスト」(Racial Nationalist)です。中には大衆保守の「ティーパーティ」(茶会)やエバンジェリカルズ(キリスト教保守派)と重なる人たちもいます。

 ゲスト博士はこう分析しています。「異文化、異宗教の移民が自分たちの住む町に雲霞のごとく入り込み、自分たち白人は人口比で少数派(マイノリティ)になっていく。かっての白人だけの『古き良き米国社会』の基盤が非白人によってぶち壊されていく。そうした社会環境に対する恐怖心がトランプ候補により即発され、それが超党派的に白人一般大衆の間に『トランピズム』を形成していった」。

 ゲスト博士は、オハイオ州など「ラストベルト」(錆びついた工業地帯)5州に住む白人ブルーカラー層を対象に行った聞き取り調査からその実態を探り当てています。
("The New Minority: White Working Class Politics in Age of Immigration and Inequality," Justin Gest, Oxford University, 2016 )

トランプは反体制、反インテリの旗手?

一つ疑問に思うのは、そうした「新しい白人マイノリティ」は、一方で反富裕層、反大企業、反インテリを唱えていますよね。なのに、どうしてニューヨークを拠点に全米各地に不動産やカジノ、ゴルフ場を展開しているトランプ氏に共鳴しているのですか。それにトランプ氏も名門ペンシルベニア大学ウォートン経営大学院を出ているインテリじゃないですか。

高濱:トランプ氏の暴言や喋り方をとらえて、「あいつは本当にウォートンで勉強したのか」と疑る人もいましたけれど(笑い)。

 確かにトランプ氏は億万長者に違いはありませんが、あくまでも不動産やカジノを経営する新興成金二代目。ロックフェラーやカーネギーといった由緒ある富豪と同じカテゴリーには入りません。東部エスタブリッシュメントの一角を占めているわけでもありません。それに公職経験ゼロ、ワシントンの「インサイド・ベルトウェー」(ワシントン政界やマスコミ)とは無縁です。

 ジョージタウン大学の歴史学者、マイケル・ケイジン博士などは、トランプ氏は「多くの政治家に無視され、見捨てられたと感じている白人マイノリティ」を扇動するには最適の役回りだったと言い切っています。
("Populism: Old Whine, New Botttle," Michael Kazin, Foreign Affairs, 10/6/2016)

「トランプ死すともトランピズムは死なず」

トランプ大統領の下で今後、「トランピズム」は米国社会にさらに浸透していくのでしょうか。

高濱:識者の中には、トランプ氏が言い出した「トランピズム」は米社会の一角にどんと腰を下ろし、分断する米社会で一定のインパクトを与えると見る人も少なくありません。

 政治的にみれば、共和党内で一定の勢力として「トランプ派」として根づくのか、あるいは共和党の外で超党派的に第三勢力として生き続けるのか、予測は分かれています。

 前述のゲスト博士などは、共和党は再生のために「トランピズム」から学べ、と主張しています。つまり、トランプ氏を支持した白人ブルーカラー層の「一揆」の声を政策として取り入れることが党の再生につながるというのです。

 しかし人口構造が今後どんどん多様化していく米社会で、トランプ氏が火をつけた白人中心主義が数の上で、将来性があるのか。「トランピズム」は大統領選以後、どのような道筋を辿るのか。まったく予見できません。


このコラムについて

アメリカ現代政治研究所
米国の力が相対的に低下している。
2013年9月には、化学兵器を使用したシリアに対する軍事介入の方針を転換。
オバマ大統領は「米国は世界の警察官ではない」と自ら語るようになった 。
2013年10月には、APECへの出席を見送らざるを得なくなった 。
こうした事態を招いた背景には、財政赤字の拡大、財政赤字を巡る与野党間の攻防がある。

米国のこうした変化は、日本にとって重要な影響を及ぼす。
尖閣諸島や歴史認識を巡って対中関係が悪化している。
日本にとって、米国の後ろ盾は欠かせない。

現在は、これまでに増して米国政治の動向を注視する必要がある。
米国に拠点を置いて20年のベテラン・ジャーナリスト、高濱賛氏が米国政治の最新の動きを追う。http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/opinion/15/261004/111100032/


3. 2016年11月14日 14:43:15 : 9QewkUGcqk : 4QXc8C8kgnU[240]
メルケルに訊きたい。理念は法律に優先するのか?
彼女もそろそろ年貢の納め時ではないのか。

4. 2016年11月14日 15:54:45 : Q82AFi3rQM : Taieh4XiAN4[534]
 筆者熊谷氏はドイツに20年以上暮らしているにも関わらず、EUが行っていることを認識していないようだ。

 メルケルが「子供を諭すように」語ることについてあれこれ「誇りに思って」論評しておられるが笑止としか言いようがない。
今日のヨーロッパと米国の歴史をご存知ないのだろう。知らない世界について知っているようなフリをして「通信」など発表するな。

 中東を破壊して移民を増やし、富を一部の人間に集中させ政治的意図によって戦争を意図的に起こしている国々のことを、(ドイツであろうとも)人々が知らないとでも思っているのだろうか。

ヨーロッパからの通信などしなくてよろしい。
誇りにする(ヒトラーの親族)メルケルに殉じてドイツ人になったらよかろう。


 


5. 暴論有理[151] llyYX5dMl50 2016年11月15日 01:24:02 : 25VYnQbaIo : aDeL70fpFuw[1]
4は正しいな。熊谷はナチのプラモデル少年上がりだからな。nhkにもいたし、歴史の裏を読めない真面目人間なんだよ。

ズバリ言おう。

トランプもメルケルもプーチンのマペットだ。eu=ロシア=米孤立主義者は同盟してるんだよ。あと、ukのeu離脱も怪しくなってきたぞ。この動きはヒラリー=ネオコン(国務省隠れ赤)=英連邦、要するに英米イスラエル同盟なんだな。これに反対しているのが、茶会劣化版のトランプだ。トランプはネオコン、英米イスラエルを挟み撃ちにするためにeuとロシアと組んで結局、オバマ路線を継続するだろう。

今回のトランプさん勝利の殊勲賞はプーチンとアサンジだ。


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