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クリントンが大統領になれなかった理由 「ジェンダーで投票を決めません」(WEDGE)
http://www.asyura2.com/16/kokusai16/msg/382.html
投稿者 赤かぶ 日時 2016 年 11 月 18 日 13:28:15: igsppGRN/E9PQ kNSCqYLU
 

              敗北を宣言するクリントン候補(写真:代表撮影/UPI/アフロ)


クリントンが大統領になれなかった理由 「ジェンダーで投票を決めません」
http://wedge.ismedia.jp/articles/-/8260
2016年11月18日 海野素央 (明治大学教授、心理学博士) WEDGE Infinity


 今回のテーマは「クリントンの敗因とその意味」です。民主党ヒラリー・クリントン前国務長官は、大口献金者との電話会議で米連邦捜査局(FBI)が投開票日の11日前に公表した私用メール捜査再開がクリントン陣営の勢いを止めたと述べました。本稿では、現場の視点からクリントン敗因を探り、それが米国社会及び世界にどのような影響を与えるのかについて考察します。

■クリントン敗北の真因

 どちらの候補に投票するべきか決めかねている「無党派ジレンマ層」がオクトーバーサプライズ(投開票日の1カ月前に起きる選挙結果に大きな影響を及ぼす驚くべき出来事)を重視するのか、戸別訪問でクリントン陣営の運動員と交わした最後の会話に価値を見出すのかが、両候補の勝敗を左右すると筆者はこれまで指摘してきました。結局、決めかねていた無党派ジレンマ層は、オクトーバーサプライズの影響を受けてトランプ支持に動いたのです。

 10月に入ると有権者の目が共和党ドナルド・トランプ候補のわいせつ発言及び女性スキャンダルに向きましたが、投開票日直前のFBI捜査再開の公表によりクリントン候補のメール問題に関心が戻ってしまったのです。エディソン・リサーチによる出口調査によれば、投開票日があった11月6日の週に決めかねていた有権者の47%がトランプ候補、42%がクリントン候補に投票をしています。

 ただ、現場の立場から述べますとクリントン敗北の真因はアフリカ系、ヒスパニック系及び若者の熱意の欠如と言えます。2008年米大統領選挙で筆者は研究の一環としてオバマ陣営に入り、南部バージニア州で戸別訪問を実施しました。ことにアフリカ系並びに若者から、米国史上初の黒人大統領を誕生させようという熱意が伝わってきました。それとは対照的に、今回の大統領選挙では彼らの中にはクリントン候補を米国史上初の女性大統領にするという強い決意がなかったのです。

 ニューヨーク市マンハッタン区チェルシーで街頭に立ち有権者を対象に支持を訴えた際、バーニー・サンダース上院議員(無所属・バーモント州)を支持する若者の女性は、「ジェンダーで投票を決めません」と断言したのです。それに対して中西部アイオワ州デモインで戸別訪問を行ったとき、クリントン陣営が標的としていた高齢者の白人女性は、「生きている間に女性大統領をみたい」と語っていました。明らかに、民主党内にクリントン候補に対して意識の世代間の溝が存在していました。クリントン候補は若者を熱狂的にしてそれを埋めることができなかったのです。現場の視点でクリントン敗退を分析しますと、オクトーバーサプライズといった外的要因のみならず、支持者並びに選対内の熱意といった内的要因の影響も看過できないのです。

■クリントンとオバマの「異文化連合軍」

 異文化連合軍は、主として女性、アフリカ系、ヒスパニック系及び若者から構成されています。クリントン候補は、2012年米大統領選挙でオバマ大統領が用いた異文化連合軍のモデルを採用し選挙を戦いました。

 同じ選挙モデルを用いたにもかかわらず、出口調査によりますとクリントン候補は、女性、アフリカ系、ヒスパニック系並びに若者(18−29歳)のいずれにおいても、オバマ大統領よりも票を獲得できませんでした。たとえば、2012年オバマ大統領がアフリカ系の93%を得たのに対して、クリントン候補は88%で5ポイント落としています。一方、ヒスパニック系は同大統領が71%、同候補が65%で6ポイントも下げました。

 若者もみてみましょう。オバマ大統領は若者の60%を獲得したのに対して、クリントン候補は55%です。驚いたことに、同候補は女性票に最も期待していましたが、わずか1ポイント差ですが同大統領を下回っています。同候補の冷めた異文化連合軍は、トランプ候補の白人労働者及び退役軍人を核とした熱狂的な「同文化連合軍」に敗れたのです。

■メッセージの空白

 2015年4月クリントン候補は、インターネットを通じて「中間層のために戦う」というメッセージを発信して出馬宣言しました。ところが、筆者が同年8月に東部ニューハンプシャー州コンコードで戸別訪問を実施した際、クリントン陣営が標的としていた無党派層の50代の白人女性がこう語ったのです。

 「中間層と戦っているのはヒラリーではなくトランプだ」

 すでに同候補のメッセージは無党派層から否定されていました。2015年12月に再度コンコードに入り戸別訪問を行うと、トランプ候補のメッセージである「米国を再び偉大な国に取り戻す」は、確実に有権者に浸透していたのです。

 2016年7月になってようやくクリントン陣営は、「一緒になればもっと強くなれる」という新たなメッセージを作ったのです。白人、ヒスパニック系、アフリカ系及びアジア系などすべての人種・民族が協力すれば国やコミュニティが良くなるというメッセージです。ヒスパニック系やイスラム系を標的として人種並びに民族を分断する選挙戦略をとったトランプ候補と対比する狙いがあったのです。それに加えて、サンダース陣営と一緒になって戦おうという意図もありました。

 クリントン候補は出馬宣言をしてから人種や民族の融和を呼びかけるメッセージを発信するまでに、15カ月を費やしています。選挙戦におけるメッセージという視点から言い換えますと、15カ月間の空白を作ってしまったのです。さらに悪いことに、内部告発サイト「ウィキリークス」はクリントン陣営の幹部が同候補の「中間層のために戦う」というメッセージが浸透していない点について議論しているメール内容をネット上で暴露したのです。トランプ候補のメッセージは白人労働者及び退役軍人に突き刺さっていましたが、クリントン候補のそれは彼らの心にまったく響いていなかったのです。

■メッセージの形成の仕方

 次に、トランプ・クリントン両候補のメッセージを比較してみましょう。メッセージは4段階を経て形成されます。第1に、ブレインストーミングを通じて複数のメッセージを出し合い、最終的に核となるそれを選択します。第2に、何故核となるメッセージが有権者にとって重要なのか、選択した理由を明確化します。第3に、核となるメッセージをどの有権者に最も浸透を図りたいのかを決定します。たとえば、トランプ陣営は白人の労働者階級並びに退役軍人を最も重要度の高いグループに分類をしたわけです。第4に、核となるメッセージを実現するための政策を作って有権者にアピールをします。

 トランプ候補を例にとってみましょう。選挙期間中、同候補は、「米国を再び偉大な国に取り戻す」という核となるメッセージを一貫して発信しました。米国が他の諸国に移民や通商政策において敗れていると議論してメッセージの重要性を訴えたのです。そのうえで、オバマ大統領の医療保険改革制度の廃止と取り換え、国境の壁の建設、イスラム教徒の一時的入国禁止、北米自由貿易協定(NAFTA)の再交渉並びに環太平洋経済連携協定(TPP)の脱退を挙げました。これらの変革(チェンジ)を実行に移せば、米国は再生すると主張したのです。一方、クリントン候補は「一緒になればもっと強くなれる」というメッセージに対して具体的な政策を示すことができませんでした。

■3つの「こ」

 クリントン候補の敗北により、同盟国の意識が薄いトランプ候補が次期大統領になることが決定しました。同候補とって同盟国は守るべき国ではなく、自国の利益を徹底的に引き出すための取引先なのです。クリントン候補とは異なり、トランプ候補はビジネス感覚で外交・安全保障を捉えているのです。その結果、アジアにおいて中国の自由度が増して海洋進出の動きを強める可能性が高まりました。

 トランプ候補の思考様式には、「コスト、効率、公平・不公平」の3つの「こ」があります。同候補は、通商、外交・安全保障をコスト、効率、公平・不公平という自身の主観的な価値基準で判断する傾向が強いと言えます。これまでの米大統領が主張してきた民主主義、自由及び人権といった他国との共通の価値観とはかなりズレています。今後、日本はトランプ候補の3つの「こ」に悩み、対応を迫られるでしょう。

 2016年米大統領選挙は、一言で言えば分断の選挙でした。トランプ候補の勝利は、世界における反移民、反文化的多様性、反自由貿易体制及び反グローバルの潮流をさらに強化することになりました。今、これらの潮流を止めるリーダーや国が求められているのです。

 

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コメント
 
1. 2016年11月18日 14:07:45 : 2ATN4fbdNk : YzjwyhIBt34[1]
黒人のオバマが大統領になっても何も変わらなかった。(オバマは白人富裕層の女性とケニアのエリート官僚との間に出来た息子だから、そもそも通常の意味での「アメリカ黒人」の範疇には入らないのだが)だから、いまさら、女性のヒラリー・クリントンが大統領になっても同じことだったろうと日本人でも思う。女性と言ってもヒラリーは並の男性などはるかに上回る特権的な立場の人物だ。

日本でも、かつて社会党に勢いがあった頃、党首だった土井たか子氏が総理になったらいいのにという声が中年女性を中心に上がったこともあった。しかし、今、稲田朋美が総理になればいいと思う女性は(日本会議の会員でもない限りは)まずいないだろう。


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