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イタリア国民投票は「No」、かすむEUの未来 格差広げるトランプ流ポピュリズム政策 岡部直明「主役なき世界」を読む
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投稿者 軽毛 日時 2016 年 12 月 06 日 06:25:40: pa/Xvdnb8K3Zc jHmW0Q
 

イタリア国民投票は「No」、かすむEUの未来

ニュースを斬る

2016年12月6日(火)
蛯谷 敏

イタリアで実施された憲法改正を巡る国民投票の結果は「NO」。敗北を認めた会見で、マッテオ・レンツィ首相は辞任する意向を表明した。(ロイター/アフロ)
 憲法改正は「NO」――。12月4日、世界が注目したイタリアの国民投票は、拍子抜けするほど早く勝負がついた。

 イタリアのマッテオ・レンツィ首相が進退をかけて問うた憲法改正の是非は、投票締め切り直後の世論調査で、「賛成」が42〜46%、「反対」が54〜58%となり、否決が優勢であることが明らかになった。それからまもなくの5日午前0時過ぎ(現地時間)、記者会見を開いたレンツィ首相は「反対派の勝利は明白。責任はすべて私にある」と敗北を宣言した。

 同首相は5日の午後にセルジオ・マッタレラ大統領に会い、辞任の意向を伝える方針だ。最終的な投票結果は賛成40.89%、反対59.11%、投票率は65.47%だった。

 結果は、レンツィ首相の苦戦が伝えられていた事前の世論調査通りとなった。予想通りとは言え、世界の金融市場に与えるショックは大きい。締め切り直後の「否決優勢」の世論調査を受け、通貨ユーロは1ユーロ=1.067ドル台から1.056台に急落。5日、アジアや欧米の株式市場にも余波が広がった。

政治停滞の“元凶”を解消するはずだったが

 そもそも、イタリアのこの国民投票は、国内の政治改革の一環として、実施されたもの。本来なら、世界の株式市場を揺さぶるほどの影響を与えるはずではなかった。

 レンツィ首相が求めたのは、端的に言えば、議会が法案を審議するスピードを上げることだった。イタリアでは、第2次世界大戦後の1948年に施行した憲法によって、上院と下院が完全に対等な力を持っている。

 ファシスト政権を生んだ戦時の反省から、政党の暴走を抑止するために設計された仕組みだ。一方で、法案の審議に時間がかかり過ぎることが欠点とされてきた。これが、政策運営を進めにくくしている構造的な要因だと、レンツィ首相は考えてきた。

 そこで、レンツィ首相は、現在よりも上院の権限を大幅に縮小する一方で下院の力を高める仕組みを構築しようと取り組んできた。

 2015年にまず、下院の新選挙法を施行。これは、下院の選挙で最も多い票を得た政党に大きな権限を与える制度だ。第1党は、全630議席のうち54%にあたる340議席を自動的に獲得できる。第1党となれば、議席の過半数を握れるため政策を進めやすくなる。

 そして、上院の権限を縮小すべく憲法改正を問うたのが、今回の国民投票だった。具体的には、(1)上院の議席を現在の315から100に削減する、(2)上院の議員は選挙で選ぶのではなく、地方自治体の代表などで構成する、(3)内閣不信任案を決議できるのは下院だけとする――など。議会は事実上の一院制となり、上院は、諮問機関的な役割を担うものに変更する。

 下院における第1党の力を強め、上院の権限を弱めることで、停滞する政策を一気に進める。これが、レンツィ首相の大きな構想だった。首相は憲法改正が実現した場合、法案成立のスピードは大幅にアップし、さらに年間5億ユーロ(約650億円)ほどのコスト削減が可能になると訴えていた。

国内問題から国際的な政治イシューに

 繰り返しになるが、国民投票はあくまでもイタリア政治が抱える積年の課題の解消を目指すものだった。ところが、ある発言によって、国内問題は、EU(欧州連合)の結束を占う国際的な政治イシューへと変貌してしまった。

 それは、レンツィ首相による「国民投票に自らの進退をかける」との発言だ。本来、政治改革の是非を問うはずだった投票は、「レンツィ政権発足後の2年間の成果に対する信任投票の意味合いを帯びてしまった」(ロンドン・スクール・オブ・エコノミクスのロレンゾ・コドグノ客員教授)。

 しかし、レンツィ首相が就任から約2年の間に実施した政策に対する国民の評価は冷ややかだ。「あえて言えば、労働改革を進めたこと。しかし、これは前政権が取り組んでいた改革を引き継いだに過ぎない」と、JETROミラノ事務所の山内正史氏は言う。しかも、労働改革は解雇規制を緩和したもので、むしろ企業側に立った政策との批判もある。

 イタリア国民の多くは、レンツィ首相の政策によって景気が回復したという実感に乏しい。むしろ、中東やアフリカ地域からの移民が増え続けるなど、イタリアの課題を何も解決していないと考える人が多い。レンツィ首相がかつて市長を務めていたフィレンツェに住む30代の女性は、「彼は我々の生活を何も良くしていない。だから、国民投票にはノーを入れた」と述べていた。

 自ら踏み込んだ発言をしてしまった結果、自身の首を締める。レンツィ首相の行動は、英国のEU離脱決定を巡る責任を取って辞任した英デイビット・キャメロン前首相の姿にも重なる。

EUの結束力を占うイベントに

 このレンツィ首相の進退発言が、世界を大きな不安に陥れた。否決されて同首相が辞任した場合、イタリアで政治混乱を引き起こすのではないか、という懸念が広がったのである。

 タイミングも最悪だった。英国が6月に国民投票を実施し、EUからの離脱を決め、欧州ではEUの結束に対する不安がかつてないほど高まっている。仮に、レンツィ退陣後のイタリア総選挙で、EUに懐疑的な政党が躍進した場合、EUの混乱はさらに広がるのではないか、との連想が広がる。

 実際、イタリア国内ではEUに懐疑的な勢力が台頭している。その代表が、コメディアンのジュゼッペ・グリロ氏が立ち上げた「五つ星運動」。既に、同党出身者が、トリノとローマの市長を務めている。その他、マテオ・サルヴィ二氏が率いる北部同盟も勢いを増している。いずれも、今回の国民投票では「NO」を呼びかけた。既存の政党に対して不満を抱く国民の支持を集め、「反エスタブリッシュメント」政党としてのポジションを確立した。

 現状に不満を抱く国民の支持を背に、既存政党に挑む構図は、英国のEU離脱や米国の大統領選とよく似ている。そして、英米ともに既存勢力が敗れたことから、イタリアでも今後同じ状況が繰り返されるのではないか、との不安が駆け巡っている。

金融機関も火種としてくすぶる

 さらにイタリアには、国民投票とは別に燻り続けている火種がある。金融機関の不良債権問題だ。イタリアの銀行の多くは、2008年のリーマンショック時に大きな打撃を避けることができたがゆえに、銀行改革が遅れていると言われてきた。

 イタリアの金融機関ではユーロ危機以降積み上がった不良債権の処理が進んでおらず、借り入れた資金の利子しか支払うことができない無数の“ゾンビ企業”に苦しめられている。レンツィ首相は今年4月に銀行救済基金などを設立、対応にあたってきた。

 ところが今年6月、英国のEU離脱決定によって欧州景気が減速する懸念が増した結果、イタリアの金融機関の脆弱性が改めて浮かび上がった。これを回避するため、欧州委員会やECB(欧州中央銀行)は、イタリア政府に対して不良債権処理を急ぐように圧力をかけている。

 難しいのは、これが国内世論の反発を招き、政治が混乱に陥る可能性があることだ。金融機関に公的資金を注入すれば国民の税金が使われることになる。

 不良債権に苦しむ金融機関の象徴が、イタリア銀行3位のモンテ・デイ・パスキ・ディ・シエナ銀行(モンテ・パスキ)だ。同行は50億ユーロ(約5970億円)の増資や、不良債権を証券化した上での売却などの経営再建策を7月に発表した。イタリアの金融関係者は、「国民投票の結果に関係なく、増資計画は粛々と進められる」と言う。しかし、今後イタリアで政情不安が広がり、投資家が増資計画に対して慎重になれば、救済計画が狂う可能性も否定できない。

 モンテ・パスキだけではない。イタリアでは、銀行の支店数が3万を超えている。これの半減と15万人に上る従業員の削減が急務だと言われている。しかし、銀行改革を積極的に推進していたレンツィ首相の辞任によって、改革が頓挫する可能性も出てきた。「そうなれば、イタリア銀行が抱える本質的な問題が先送りされ、銀行危機の火種が燻り続けることになる」と、金融関係者は指摘する。

分からなくなったフランス大統領選

 では、今後イタリアはどうなるのか。

 焦点の一つは、レンツィ首相が本当に辞任するかどうかだ。5日の敗北宣言で、辞任の意志を表明したものの、マッタレラ大統領は慰留すると見られる。仮に慰留を受け入れれば、レンツィ政権は続行することになる。しかし、非常に不安定なものにならざるを得ない。

 一方、当初の宣言どおり辞任すれば、大統領が新たな首相を指名し、暫定政権が発足する。今のところ、候補として挙がっているのは、グラッソ元大統領、パドアン財務相、フランチェスキーニ民主党元党首など。ただ、この場合も暫定政権であることから、政権運営は不安定にならざるを得ないだろう。

 その結果、2018年2月に実施が予定されている総選挙が、大幅に前倒しになる可能性も否定できない。

 選挙になった場合に注目を集めるのは、先に触れた新興政党の動きだ。今回の結果を受けて、五つ星運動をはじめとする、既存政党に対抗する勢力が議席を増やすことは間違いない。実際、レンツィ首相が敗北を認めた後、五つ星運動のグリロ氏は早期の解散総選挙をブログで呼びかけた。もっとも、いくら急伸しているとはいえ、政権を担うまでの議席数は得られないというのが、多くの識者の見方だ。

 だが、こうした動きは、むしろイタリア以外の国で反EU勢力に勢いを与える可能性が高い。

 真っ先に挙がるのが、フランスだ。この結果を受けて、はやくも来年の大統領選を意識した動きが出始めている。フランスの極右政党、国民戦線の党首で、大統領選への立候補を表明しているマリーヌ・ルペン氏は早速、ツイッターでイタリアの国民投票の結果を称賛した。

 一方、反EUの勢いを削ぐ動きもある。同じ4日にオーストリアで実施されたやり直し大統領選では、反移民を掲げる極右、自由党のノルベルト・ホーファー氏が敗れ、緑の党のアレクサンダー・ファン・デア・ベレン氏が勝利した。ホーファー氏が勝てば、EU初の「極右出身の国家元首」が誕生するところだった。

 それでも、欧州各地で噴き上がる、既存のエスタブリッシュメントに対する反発は広がっている。今回のイタリア国民投票の結果は、この動きをさらに強めることにつながる。グローバリズムよりもナショナリズムを優先する世界の流れは、2017年以降、さらに増幅する可能性が高い。


このコラムについて

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日々、生み出される膨大なニュース。その本質と意味するところは何か。そこから何を学び取るべきなのか――。本コラムでは、日経ビジネス編集部が選んだ注目のニュースを、その道のプロフェッショナルである執筆陣が独自の視点で鋭く解説。ニュースの裏側に潜む意外な事実、一歩踏み込んだ読み筋を引き出します。
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格差広げるトランプ流ポピュリズム政策

岡部直明「主役なき世界」を読む

排外主義に物申すのは同盟国・日本の役割
2016年12月6日(火)
岡部 直明
 所得格差の拡大を背景に登場したドナルド・トランプ米次期大統領だが、そのポピュリズム(大衆迎合主義)政策は格差をさらに拡大する危険をはらんでいる。北米自由貿易協定(NAFTA)見直しや環太平洋経済連携協定(TPP)からの離脱など、排外主義は結局、米国経済を悪化させ、中間層の雇用を奪うことになる。その一方で、ウォール街重視の閣僚配置や金融規制の緩和は金融資本主義をさらに刺激することになるだろう。こうして、格差はさらに拡大する。この矛盾に目をつぶり、目先のポピュリズムに走れば、トランプ政策は世界経済を危機に陥れることになりかねない。


12月1日、ドナルド・トランプ次期米大統領は、米インディアナ州にある空調大手「キャリア(Carrier)」の工場を視察。キャリアが予定していたメキシコへの生産移転計画と、国内での人員削減を中止させたことを明らかにした。同時に、国外へ生産を移転する米企業は代償を払うことになると警告した。(写真:Tasos Katopodis/Getty Images)
NAFTA見直しは英離脱並みの衝撃

 大統領選中にNAFTA見直しを公言してきたトランプ氏は、1日の演説で「NAFTAはひどい失敗作だ。見直すことになるだろう」と述べた。当選後はNAFTAについての言及を封印してきただけに、排外主義の本質が変わらないことを改めて示すことになった。

 欧州連合(EU)に次ぐ巨大経済圏であるNAFTAの見直しは、英国のEU離脱、それも自由な市場アクセスのない「ハードBREXIT」に似ている。その衝撃はグローバル経済全体に及ぶ。メキシコは日本を含め世界各国と自由貿易協定を締結している。日本の自動車メーカーなど、その多くは米市場に照準を合わせている。そうした生産ネットワーク、サプライチェーンが分断されることになる。

 トランプ氏のNAFTA見直しの動きを受けて、メキシコ・ペソは急落し、メキシコの成長減速は避けられなくなっているが、メキシコ経済に大打撃を与えるだけではすまない。それは米国経済にも当然、跳ね返ってくる。

資本主義の土台揺るがす介入主義

 トランプ氏はメキシコへの進出計画を打ち出している米空調大手のキャリアのインディアナ州工場での人員削減を中止させたと誇らしく語ったが、大統領の強権で企業の計画をくつがえさせることになれば、資本主義の土台が揺らぐ。本物のビジネスマンなら、この基本原理がわからないはずはない。このトランプ氏の行動に、米メディアの一部には「選挙公約を実現した」などという評があるのには驚く。米メディアや経済界から、この暴挙に対して真正面からの批判が起きないとすれば、権力者の強権を黙認する米国社会の衰退を嘆かざるをえない。

 トランプ氏は「海外移転した米企業には重税を課す」とも述べている。こんな措置が実行可能かどうかは別として、米国企業がグローバル企業としてビジネスを展開することに制裁を科す事態になれば、グローバル経済の相互依存関係は大きく崩れることになる。

 貿易や投資をプラスサムではなく勝ち負けでしかととらえない誤った経済感覚を改めないかぎり、トランプ氏は反グローバル主義の落とし穴から抜け出せないだろう。

ウォール街偏重に変身

 大統領選挙中からの大きな変化は、トランプ氏がウォール街偏重ともいえる姿勢に転じていることだ。民主党のヒラリー・クリントン候補をウォール街寄りだと批判していたのとは様変わりの大きな変身である。財務長官にはゴールドマン・サックスのパートナーをつとめたスティーブン・ムニューチン氏を、商務長官には投資家で「再建王」の異名もあるウィルバー・ロス氏を起用することにしたのをみても、それは明らかだ。

 さらに、リーマンショックを受けて導入された金融規制を緩和する方針を鮮明にしている。ウォール街にはこの金融規制には反発が強かっただけに、方針転換を歓迎し、金融株の上昇につながっている。しかに、期待先行の「トランプ・ラリー」は金融バブルとその後に待ち受ける金融危機の危険をはらんでいる。

 とくに、大規模なインフラ投資や大型減税で、財政赤字の拡大が予想されるだけに、財政危機との連鎖は大きな懸念材料だ。

FRBの独立性脅かす恐れ

 こうしたなかで、重要なのはFRB(米連邦準備理事会)のかじ取りだが、トランプ氏はイエレンFRB議長について「再任しない」と明言している。イエレン議長がトランプ氏の大統領当選後も金融規制の緩和に反対すると鮮明にしているだけに、両者の溝はかなり深い。

 FRBは今月、再利上げするとみられているが、さらに来年も慎重に出口戦略を続ける構えである。しかし、トランプ氏は不動産王の経験から、金融緩和に傾斜している。あつれきが生じる危険がある。

 問題は、米国に根付いてきたFRBの独立性が脅かされかねないことだ。それは米国経済そのものの信認、そして基軸通貨ドルの信認にも響くだろう。

保護主義と金融肥大化で格差拡大

 やや皮肉だが、トランプ流のポピュリズム政策は格差の是正どころか格差の拡大を招くだろう。世界経済の潮流にそぐわぬNAFTA見直しなど反グローバル化の動きは、米国の成長力を削ぐことになる。TPPから離脱すれば、アジア太平洋地域からの成長の果実を取り込めなくなる。それはトランプ氏の集票基盤である白人中間層の雇用に響くことになる。

 一方で、金融資本主義の肥大化に手を貸すことになれば、格差をさらに拡大する。所得格差が拡大したのは、グローバリズムのせいではなく、実体経済と金融経済の落差が広がったためである。いわば、ウォール・ストリートとメイン・ストリートの落差である。金融資本主義を刺激して、ウォール街をさらに活性化し、保護主義でメイン・ストリートを封鎖することになれば、格差はさらに拡大することになる。

トランプ流、負の連鎖の危険

 問題は、トランプ流のポピュリズム政策が世界中に負の連鎖を起こす危険があることだ。とりわけ英国の離脱決定で混迷するEUへの連鎖が懸念される。オーストリアの大統領選挙では、極右の候補が敗退したが、イタリアでは憲法改正をめぐる国民投票で、ユーロ懐疑派のポピュリズム政党である五つ星運動の進出を許した。レンツィ首相は辞任に追い込まれ、イタリア政治の混迷は避けられなくなっている。

 来年春のフランス大統領選挙では共和党フィヨン候補が最有力だが、トランプ当選で勢いづく極右、ルペン候補が決戦に残る可能性は濃厚だ。メルケル首相が4選をめざす来年秋の独総選挙でも右派勢力が台頭する危険がある。

 米欧間でのポピュリズムの負の連鎖は、世界経済の大きな不安定要因になる。そうでなくてもロシア、中国、トルコ、フィリピンなどに広がる強権政治は、大恐慌後の1930年代を連想させる。

安倍首相はトランプ氏に警告を

 ここで重要なのは、日本の役割である。トランプ流排外主義に物申すのは、同盟国である日本の責任だろう。真っ先にトランプ氏と会談した安倍晋三首相の責任は重い。

 TPPへの参加を繰り返すだけではすまない。米国が不参加なら、他のTPP11カ国ととともに、東アジア地域包括的経済連携(RCEP)との結合をめざすことだ。そうして米国の翻意を待つしかない。同時にEUとの経済連携協定の締結を急ぐことだ。EUにとっても、保護主義の防波堤になるだけに、早期合意を導ける可能性がある。

 それだけではすまない。NAFTAの見直しに反対することだ。域外国だからといって遠慮する理由はない。日本企業の利害に直結しているからこそ、見直しに反対して当然だ。それによって、グローバル経済の相互依存がいかに深いか、排外主義の危険がいかに大きいかを説くべきだ。

 トランプ氏は排外主義の本質を簡単に変えるとは思えないが、だからこそ国際社会と連携して粘り強く説得するしかない。それが同盟国としての責任であり、国益である。


このコラムについて

岡部直明「主役なき世界」を読む
 世界は、米国一極集中から主役なき多極化の時代へと動き出している。複雑化する世界を読み解き、さらには日本の針路について考察する。
 筆者は日本経済新聞社で、ブリュッセル特派員、ニューヨーク支局長、取締役論説主幹、専務執行役員主幹などを歴任した。
 現在はジャーナリスト/明治大学 研究・知財戦略機構 国際総合研究所 フェロー。
http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/report/16/071400054/120500013/
 

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