★阿修羅♪ > 国際16 > 864.html
 ★阿修羅♪  
▲コメTop ▼コメBtm 次へ 前へ
トランプ氏の「一つの中国」見直し論がもたらす衝撃 米中関係の根幹揺るがす 立命館大の「親中派」中国人学者が上海で謎の失踪
http://www.asyura2.com/16/kokusai16/msg/864.html
投稿者 軽毛 日時 2016 年 12 月 29 日 06:39:34: pa/Xvdnb8K3Zc jHmW0Q
 

トランプ氏の「一つの中国」見直し論がもたらす衝撃
なぜ米中関係の根幹を揺るがすことになるのか
2016.12.29(木) 阿部 純一
台湾、アフリカのサントメ・プリンシペと断交=蔡政権で初、中国が圧力か
台湾・台北でスピーチをする蔡英文総統(2016年10月10日撮影)。(c)AFP/SAM YEH〔AFPBB News〕
 米国の次期大統領となるドナルド・トランプ氏による「米国が“一つの中国”に縛られるのはおかしい」という発言が注目されている。

 米「フォックス・ニュース」の12月11日のインタビューに応えた発言であり、「中国の貿易・外交政策次第では」という条件付きのものであった。しかし、たとえ条件付きの発言であるにしても、「一つの中国」に疑義が示された衝撃は大きい。言うなれば米中関係の根幹を揺るがすことにもなるからだ。

 1979年1月の国交樹立以降、歴代の米政権が遵守してきた「一つの中国」政策にはそれなりの重みがある。しかも、それは台湾の現状を維持するために米中がギリギリの妥協を重ねて生み出したものだった。

現状の米中関係に不満を抱いているトランプ氏

 少し詳しく論じてみよう。

 米国はカーター政権時に、同盟関係にあった台湾(中華民国)と国交ならびに相互防衛条約を断ち、中華人民共和国を唯一正当な政府として認め、その代わりに中国は台湾に対する「武力解放(武力統一)」を「平和統一」に改めた。米国と中国はそうやって台湾の扱いについて折り合いをつけ、以来、歴代の米政権は「一つの中国」政策を採り続けてきた。

 米国はまた、中台の交渉による平和的統一への期待を表しつつ、台湾への防衛用兵器の供与などを盛り込んだ「台湾関係法」を米国内で成立させ、台湾の安全保障に引き続き関与する姿勢をとった。もちろん、台湾関係法は台湾の「独立」を助長するものではなく、あくまで台湾海峡両岸の現状維持を目指すものであった。

 では、トランプ氏は米中関係をどうしたいのだろうか。

 トランプ氏や彼の周辺にいる政策アドバイザーには、台湾が置かれている状況への不安と同時に、現状の米中関係への不満がある。つまり、米国が不必要な譲歩を重ねてきた結果が中国の現状変更を伴う拡張主義的行動を許し、民主主義体制下にある台湾が中国の経済的・軍事的圧力にさらされている事態を生んだと見ているのである。

 たしかに、間もなく退場するオバマ大統領が、台湾が望む兵器、例えばF-16戦闘機C/D型の新規供与などを却下してきた事実も含め、中国に毅然とした態度を取ってきたとは言い難い。

 同様に、台湾内部でも、もはや「一つの中国、台湾は中国の一部」という考え方を支持するのはごく少数派で、大多数の人は台湾が「事実上独立した政治主体」であるという現状を支持している。米国がそうした状況にある台湾に同調すれば、中国の言う「一つの中国」はすでに虚構化しているのであって、実態は「一つの中国、一つの台湾」となっている以上、米国が中国の主張に追随するのはおかしいと考えても不自然ではない。

中国人にとって台湾とは?

 しかし、中国人のメンタリティーはおそらく違うのだろう。台湾は日清戦争で中国(清)が敗れた結果、日本に割譲されたが、もともとは中国に帰属していた。だから第2次世界大戦で日本が敗れた結果、蒋介石の中華民国が台湾を取り返したのは当然のことであった。その中華民国を、毛沢東が中国革命で台湾に追いやったが、米国が蒋介石を庇護した結果、今日まで台湾に中華民国が命脈を保っている。「中国革命を成就させること、つまりは台湾を中国に統一するという中国(中華人民共和国)の悲願を成就させることは、中国に課せられた神聖な使命だ」ということなのだろう。中国にとって、台湾はあくまでも「不可分の領土」なのである。

 中国のこの「一つの中国」の論理をよく理解している米国人なら、トランプ氏の発言がいかに危険なものであるかが分かっているだろう。

 もし米国が、台湾の「独立」を助長するような動きに出れば、米国との戦争の危険を冒してでも中国は阻止する行動を取るだろう。逆に、もし中国の指導部が拱手傍観するようであれば、愛国ナショナリズムに駆り立てられた中国人民が指導部を厳しく突き上げることは想像に難くない。つまり、中国はいずれにしても暴れ出すことになる。

中台が歩み寄れる余地はどんどん消滅

 とはいっても、こうした中国側の事情を現在の台湾の人たちは懸念こそするだろうが、だからといってそのまま受け入れ、おとなしく我慢し続けるとは思えない。

 中国の台湾との「平和統一政策」は、香港で先行適用された「一国二制度」である。だが、香港の現状が示すようにうまく機能していない。台湾はこの政策を当初から拒否し続けてきた。しかも人口の大多数が台湾で生まれ、台湾で育った人々であるから、中国は彼らにとってたまたま言葉が通じる「外国」にすぎない。要するに、中国と台湾とでは、お互いの認識が果てしなく乖離してしまっていると言っていいだろう。

 お互いに歩み寄れる余地が時間の経過とともに消滅していく中で、経済的にも軍事的にもパワーでまさる中国が、台湾を経済的に従属させ、軍事的に戦意を喪失させることで、軍門に下ることを強要しようとしていると、台湾の人々は受け止めている。米国に頼り、防衛面ではあまり期待できない日本にも頼るのは、台湾にとって日米同盟以外に、他に寄る辺がないからである。

 その台湾では、2016年5月に発足した民進党の蔡英文政権が、「一つの中国」で中台が合意したとされる「92年コンセンサス」を認めない姿勢を堅持している。そのため、中国側は台湾への観光客を制限したり、台湾を国際機関の会議から締め出そうとしたり、様々な形で圧力を強めている。トランプ発言は、そうした状況下で発せられた。

米国内で高まっていた台湾へのシンパシー

 こうした背景を理解した上で、あらためて今年の米大統領選挙を振り返ってみると、米国内での台湾へのシンパシーの高揚が見えてくる。

 今年の米大統領選挙では、民主党のヒラリー・クリントン候補も、共和党のトランプ候補も、共に中国には厳しい姿勢を取っていた。それは、米国全体に中国に厳しい目を向ける雰囲気があったからである。

 それに加えて、米政界には今年に入って「台湾寄り」の姿勢が目立っていた。南シナ海における中国の人工島建設など、米中関係にマイナスになることを承知の上で、中国は勢力拡張政策を取ってきた。米国内の動きはそれに対する反動と見ることができる。

 2011年、台湾総統選挙を翌年に控え、民進党の総統候補として蔡英文が訪米した時、米国側はけんもほろろの対応をした。米中の協調を図る上で、海峡両岸の接近に積極的な国民党の馬英九総統の続投が望ましいとの判断があったのだろう。ところが、翌年の総統選挙をにらんだ2015年に蔡英文が訪米した際は、米国側は手のひらを返すように歓待した。米国がいかに中国との関係に苛立っていたかが分かる。

 その動きは今年になっても止まらず、米上下両院では6月から7月にかけて、台湾関係法と台湾に対する「6つの保証」を再確認する決議案が全会一致で採択された(決議案の正式名称は「『台湾関係法』と台湾に対する『6つの保証』を米台関係の基礎とすることを再確認する両院一致決議案」)。

(「6つの保証」とは、レーガン政権時代の1982年に議会に対して説明された6項目からなる台湾政策。(1) 台湾への武器供与の終了期日を定めない、(2) 台湾への武器売却に関し、中国と事前協議を行なわない、(3) 中国と台湾の仲介を行わない、(4) 台湾関係法の改正に同意しない、(5) 台湾の主権に関する立場を変えない、(6) 中国との対話を行うよう台湾に圧力をかけない、を指す。)

 こうした動きがトランプ次期大統領の対中政策を形作っていると言っても過言ではない。

 この議会決議を受け、米共和党は政策綱領にこの「6つの保証」を書き込んだ。これに関与したとされるのが、共和党系シンクタンクであるヘリテージ財団のフェローを務めるスティーブン・イェーツ氏である。彼はトランプ氏の政権移行チームのメンバーとなっている。

 また、同じく政権移行チームでトランプ氏の外交・経済アドバイザーを務め、このほどトランプ次期政権がホワイトハウス内に新設する「国家通商会議」の委員長に指名されたカリフォルニア大学アーバイン校教授のピーター・ナバロ氏も台湾寄りの姿勢が明確だ。彼は、今年7月「ナショナル・インタレスト」のウェブサイトで「米国は台湾を見捨てることはできない」を掲載し、台湾の置かれた立場に対する深い同情の念と米国にとっての高い戦略的価値を論じている。ナバロ教授は米中の通商政策の専門家だが、今後は米中外交へも影響力を行使しうる立場になる。

抜本的見直しが求められている対中政策

 では、トランプ政権下の米中関係はどうなるのか。台湾への高まるシンパシーが「一つの中国」政策を揺るがすことになるのか。

 はっきり言えることは、これまでの米国による
経済大国化、軍事強国化の手助けをしてきたことだ。その中国が一方的な「現状変更」勢力となっている現在、米国に対中政策の抜本的見直しが求められているということだ。

 米国の穏健派は「一つの中国」を見直す危険を指摘するが、その立場が往々にして中国の立場を代弁することになっている点に気づかずにきた。そうした状況に一石を投じたトランプ氏の発言は議論を広げ、深める機会となった。問題は、いかに政策にまで高めるかだ。米国外交の知恵に期待したい。

[JBpressの今日の記事(トップページ)へ]
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/48772


 

立命館大の「親中派」中国人学者が上海で謎の失踪
後ろ盾になっていた人物が失脚か?
2016.12.29(木) 新潮社フォーサイト
新潮社の会員制国際情報サイト「新潮社フォーサイト」から選りすぐりの記事をお届けします。

習近平体制になってから「失踪」「拘束」の事例が相次いでいる(2016年11月11日撮影)。(c)AFP/WANG ZHAO〔AFPBB News〕
(文:野嶋 剛)
 立命館大学教授の中国人学者、周瑋生さん(56)が上海に学会のため出張した10月下旬以降、2カ月にわたって日本の自宅に戻らず連絡が取れない状況になっている。中国当局に何らかの理由で拘束されている可能性がある。
 周さんは日本でも指折りの自他共に認める「親中派」だった。その周さんがトラブルに巻き込まれたとすれば、それは一体なぜなのだろうか。
 周さんが何かの事件や捜査に巻き込まれて拘束されたことを立証する情報は今のところなく、断定はできないが、大学側や家族が2カ月以上連絡を取れないということは、過去の類似のケースからすれば、拘束の可能性は否定できない。
 すでに大学で何度か教授会なども欠席しているとみられ、学生たちに成績をつける試験や年度末も近づいており、大学側も公表に踏み切ったのだろう。このことは、病気や家庭の事情などではなく、何らかの異常事態であるという関係者の共通認識を示している。立命館大学関係者によると、すでに学内でも周さんの「失踪」情報は学部長レベルで今週共有されているという。
駐日大使館からの信頼も厚い
 周さんと筆者は10年以上の付き合いがあり、頻繁に連絡を取り合うほどではなかったが、周さんの専門である中国の環境問題について時々コメントを電話やメールで求めていた。半年ほど前、メールで1度やりとりし、「近いうちにお会いしましょう」という話もしていた。失踪したとの情報に接したとき、最初に思ったのは無事であることを祈りつつ、「あの周さんですら、『地雷』を踏んでしまったのかもしれない」という感慨だった。
◎新潮社フォーサイトの関連記事
・「日本在住の中国人学者」拘束の背後にいる中国「インテリジェンス機関」
・遂に「令完成」が米国へ「機密情報」提供開始か
・トランプに「好感」を抱く中国人の心象風景を読む
政策科学部の教授である周さん。安否が気遣われるが・・・(立命館大学HPより)
 周さんは浙江省出身で、若い頃から日本に留学し、研究者としては珍しく対外的な活動に自ら熱心に参加するタイプだった。日本在住の中国人系研究者らでつくる日本華人教授会議や、日中国交正常化以降に来日して長期在住する「新華僑」と呼ばれるグループなど、いくつもの中国人団体で指導的な立場にあった。
 また、中国政府の肝いりで日本の各大学で開設された中国語を学ぶ機関「孔子学院」についても積極的に関わり、立命館孔子学院の初代院長を務め、現在も名誉学院長の肩書きを持っている。2007年の温家宝首相(当時)の来日のときに、立命館大学に温家宝を招聘することに大きな役割を果たしたという話は有名である。
 中国の駐日大使館からの信頼も厚く、本国の政府にも複数の高級幹部にパイプがあるとされた。「親中派」であることを周さん自身も隠そうとしているわけでもなく、ことあるごとに「日中友好」の重要さをいつも訴えていた。ただ、学内で中国政府の方針と合わない立場にいる反体制人士を講演などに呼ぶことがあると、「中国政府がどう反応するか保証できませんよ」といった考えを伝えてかなり強硬に反対論を唱えることがあり、そうした中国政府べったりとも見える姿勢に疑問を感じる同僚も少なくなかったことは事実だ。
 ただ、周さんが日本において、中国政府と密接な関係を持ち、中国政府に近い立場を取っていたとしても、日本の法律の範囲内であるならば、別に問題であるわけではない。在日中国人にはそれぞれの主張や立場があり、日中関係が良好とは言えない状況でも、周さんのような存在が自由に活動できていること自体、日本社会の寛容な価値観を示すものである。
共通している「親中」の立場
本コラムは新潮社の会員制国際情報サイト「新潮社フォーサイト」の提供記事です。フォーサイトの会員登録はこちら
 最大の疑問は、周さんのように、日本において、中国政府の影響力を維持するにあたって強い味方となってきた人物が、どうしてこのようなトラブルに巻き込まれるのか、ということである。また、もし周さんが拘束されたとすれば、まったく逆説的に、中国政府と緊密な関係を持っていたからこそ、起きてしまった問題ではないかとも考えられる。
◎新潮社フォーサイトの関連記事
・「日本在住の中国人学者」拘束の背後にいる中国「インテリジェンス機関」
・遂に「令完成」が米国へ「機密情報」提供開始か
・トランプに「好感」を抱く中国人の心象風景を読む
 日本にいる中国出身の研究者をめぐっては、2013年に東洋学園大の朱建栄教授が中国当局に拘束され、約半年後に解放された。また、2014年には神戸大学の王柯教授も数週間にわたって拘束されている。今年3月には趙宏偉・法政大教授が中国で一時失踪状態になるなど、事例が相次いでいる。
 もちろん、それぞれ連絡が取れなくなったり、拘束されたりした理由は違うだろう。朱教授の場合は、日中関係に絡んだ部分で国家安全省から取り調べを受けたと筆者は聞いている。王教授は専門が中国の少数民族問題であり、中国政府と緊張関係にあるウイグル族の関係者との関わりもあったため、取り調べ対象になったとみられる。
 それぞれ内容は異なっていても、どの人物も日本においていわゆる反中的な主張を展開しているような人物ではないというところでは共通している。むしろ今回の周さんや朱教授のように、中国政府の立場や中国人の考え方を日本人に対して代弁する立場にいたという点に注目すべきだろう。
失脚した「令計画」の関係か?
 興味深いのは、これらの事件がいずれも2012年の習近平政権の登場以降に起きていることだ。この間、最大の出来事は、中国政治で激しい権力闘争が展開され、中国政治の構造的な変化が起きたことだ。それまでの「江沢民派」「共産党青年団派」という2つの流れに、「習派」が腐敗対策などを理由に敢然と切り込み、多くの逮捕者を出しながら、現在、習氏の指導的な立場が固まりつつある。
 周さんの場合、もし拘束だとすれば、国家安全に関する問題を扱う国家安全省や公安部門か、腐敗問題などを扱う中央検査紀律委員会の2つのルートが考えられる。
 環境問題が専門である周さんを、国家安全省が取り調べるというのはあまり考えられない。この場合は、周さんと繋がりがあった人物が腐敗摘発に絡んだ紀律委員会の調査対象となり、周さんも巻き込まれた、という風に推測することがもっとも蓋然性が高そうである。
 周さんと関係が深いのは、温家宝首相の招聘に関わったことでわかるように、胡錦濤前政権に近いグループだったとみられる。そのなかで当然思いつくのは、現在、胡錦濤氏の番頭役だった令計画・前党中央弁公庁主任が紀律委員会の捜査対象となり、失脚していることだ。
 もちろん周さんの知人が汚職に関わっていたというつもりはないが、その人脈に連なるトップの人物が捜査対象になるだけで、家族・知人・友人・同僚まですべての関係者が芋づる式に取り調べを受けることは、中国では当たり前のように起きている。
◎新潮社フォーサイトの関連記事
・「日本在住の中国人学者」拘束の背後にいる中国「インテリジェンス機関」
・遂に「令完成」が米国へ「機密情報」提供開始か
・トランプに「好感」を抱く中国人の心象風景を読む
 中国ではいったんスパイ容疑などで捜査対象となれば、数カ月の拘留などは当然のように行われる。しかも日本国籍を持っていなければ、完全に中国国民として調査を受けるわけで、北京にある日本の大使館も外交ルートで身元の安全を確認することすら困難なことになってしまう。外交部傘下である在日本の中国大使館もこうしたケースでは、本国の国家安全や公安にかかわる部門にコンタクトを取ることはかなり難しい。国籍を除いてほぼ日本人と同じように生活していた彼らは、日本と中国の間に落ち込んでしまう形になる。
誰も安全圏にいない時代
 在日中国人ではないが、先日北京で拘束された日本人の日中青年交流団体の幹部も、業界ではかなり有名な「日中友好人士」だった。
 国交正常化以降の日中関係には、過去から現在まで「友好的」であるか否かによって、関わる人間をスクリーニングする傾向があった。「友好的」と認定されれば、中国政府の人脈にアクセスできて、訪中の機会も増えて「熱烈歓迎」され、ますます中国ファンになるという無形の慣習が作られていた。
 それは日本人、中国人を問わず、常に「政治との距離」を近づけることが、仕事上のメリットを得る近道であり、そこには、人脈が何よりモノを言う、トップダウンで「人治」の中国社会の特色があるからだった。
 しかし、いまこうして「親中」あるいは「友好」人士の相次ぐ拘束を目の当たりにすると、なおさら我々は中国政治との距離感について考え直さなければならないと実感させられる。中国における最高指導者レベルで展開される熾烈な権力闘争や有無を言わさぬ意思決定の影響のもとでは、日々の地道な「日中友好」での貢献など役に立たず、まったく別の論理で一網打尽にされてしまう。それは文化大革命などの過去の苛烈な政治運動でも同様に見られた現象でもあった。
「後ろ盾」になっていた人が失脚すると、その人物との関わりは「地雷」になってしまうのである。中国を批判するかしないか、好んで付き合うかどうかはそれぞれの選択だが、中国政治との距離や人間関係には大きなリスクが伴っており、誰一人として安全圏にいないような時代に入ったことを、周さんの問題から改めて感じさせられる。

野嶋 剛
1968年生れ。ジャーナリスト。上智大学新聞学科卒。大学在学中に香港中文大学に留学。92年朝日新聞社入社後、佐賀支局、中国・アモイ大学留学、西部社会部を経て、シンガポール支局長や台北支局長として中国や台湾、アジア関連の報道に携わる。2016年4月からフリーに。著書に「イラク戦争従軍記」(朝日新聞社)、「ふたつの故宮博物院」(新潮選書)、「謎の名画・清明上河図」(勉誠出版)、「銀輪の巨人ジャイアント」(東洋経済新報社)、「ラスト・バタリオン 蒋介石と日本軍人たち」(講談社)、「認識・TAIWAN・電影 映画で知る台湾」(明石書店)、訳書に「チャイニーズ・ライフ」(明石書店)。
◎新潮社フォーサイトの関連記事
・「日本在住の中国人学者」拘束の背後にいる中国「インテリジェンス機関」
・遂に「令完成」が米国へ「機密情報」提供開始か
・トランプに「好感」を抱く中国人の心象風景を読む
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/48795 
 

  拍手はせず、拍手一覧を見る

コメント
 
1. 2016年12月29日 13:55:06 : qbzIVVDG52 : 9xmuICjo2FE[31]
民主主義を標榜する以上、台湾の人々が政治的独立を望むなら、そうさせてやるべき。中国といい米国といい大国は力任せ。横暴でいけない。

  拍手はせず、拍手一覧を見る

フォローアップ:


★登録無しでコメント可能。今すぐ反映 通常 |動画・ツイッター等 |htmltag可(熟練者向)
タグCheck |タグに'だけを使っている場合のcheck |checkしない)(各説明

←ペンネーム新規登録ならチェック)
↓ペンネーム(2023/11/26から必須)

↓パスワード(ペンネームに必須)

(ペンネームとパスワードは初回使用で記録、次回以降にチェック。パスワードはメモすべし。)
↓画像認証
( 上画像文字を入力)
ルール確認&失敗対策
画像の URL (任意):
投稿コメント全ログ  コメント即時配信  スレ建て依頼  削除コメント確認方法

▲上へ      ★阿修羅♪ > 国際16掲示板 次へ  前へ

★阿修羅♪ http://www.asyura2.com/ since 1995
スパムメールの中から見つけ出すためにメールのタイトルには必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
すべてのページの引用、転載、リンクを許可します。確認メールは不要です。引用元リンクを表示してください。
 
▲上へ       
★阿修羅♪  
国際16掲示板  
次へ