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週に一度から年に一度に減った「党首討論」の勘違いー(田中良紹氏)
http://www.asyura2.com/16/senkyo206/msg/334.html
投稿者 赤かぶ 日時 2016 年 5 月 19 日 11:02:30: igsppGRN/E9PQ kNSCqYLU
 

週に一度から年に一度に減った「党首討論」の勘違いー(田中良紹氏)
http://www.twitlonger.com/show/n_1somrbl
18th May 2016 市村 悦延 · @hellotomhanks


今国会初めての党首討論がようやく行われた。

しかし今国会初めてと言うより昨年の6月17日以来1年ぶりの開催と言ったほうが良い。

制度が導入された1999年には毎週1回開かれるという触れ込みだったから

趣旨はまったく失われてしまった。

党首討論は政治改革の一環として英国議会の「クエスチョン・タイム」を真似て

毎週1回行われるはずだった。それがいまや英国とは異なる「の・ようなもの」になってしまっている。

なぜ日本では政治改革が根付かないのか。それをフーテンの経験から考えてみる。

冷戦時の日本は「55年体制」という自社対立の構図の中で政権交代なき政治体制を続けてきた。

東西対立の中で西側陣営の一員である日本は自民党が政権を握り、

野党第一党の社会党は護憲政党の役割を担うだけで決して政権は狙わない。

それが日本政治の基本構造であった。

そのため社会党は過半数を超える候補者を選挙に立候補させず、

全員が当選しても政権は握れないが必ず三分の一以上の議席を確保して憲法改正をさせない。

それを自民党が暗黙の裡に認める。それが吉田茂の敷いた経済重視・軽武装路線の延長にあった。

自民党は社会党の反対を口実に米国の軍備増強要求をかわし、

国家の持てる力を経済に特化して経済成長する。

米国にも国民にも自社は対立しているように見せつけるが、

それは軍事で米国に敗れた日本が経済で勝利を目指す「絶妙の対米外交術」なのだった。

そして自民党も社会党も「大きな政府」を志向し、米国の共和党と民主党のような差は存在しない。

それが世界で最も格差の少ない経済大国を生み出した。

ただしこの政治構造が有効なのは冷戦の間だけである。

米国が旧ソ連より日本の経済力に脅威を感じ始めた80年代後半、

日本は新たな政治構造を作る必要に迫られた。欧米諸国と同様に政権交代可能な政治構造である。

しかし権力の中枢を経験したことのない野党勢力が結集するだけで政権交代が可能になるわけではない。

長年政権を担ってきた自民党が二つに割れる必要があった。

そして米国の共和党と民主党、あるいは英国の保守党と労働党のような二大政党制を作ることが考えられた。

そのためにまず選挙制度を米国や英国が採用する小選挙区制に変えることが第一歩とされた。

そして対立軸も英米と同じく「大きな政府」と「小さな政府」にすることが考えられた。

小泉元総理の「構造改革路線」は「小さな政府」を志向した例であり、

小沢一郎氏の「国民の生活が第一」は「大きな政府」の例である。

一方で国会改革も必要になる。自社対立時代は表では激しく対立するが裏ではなれ合う体制であった。

そのため野党は政策よりスキャンダル追及に血道をあげ、

国会審議を止めては裏で法案の取引を行った。法案は議論なしに取引で決められていたのである。

そして大臣は法案の説明を官僚に任せ、政府委員という名の官僚が国会を取り仕切った。

そこで1999年に小沢一郎氏が提案したのが政府委員制度の廃止と英国議会を真似た「党首討論」である。

小沢氏は官僚の答弁を廃止し国会を政治家同士の議論の場にしようとした。

その結果、政府委員の答弁は減少したが、「党首討論」はうまくいっていない。

英国議会の「クエスチョン・タイム」は、毎週1回30分間首相に質問を行う時間だが、

事前に質問内容を通告せずぶっつけ本番で行われる。

野党党首に質問の優先権はあるが一般の議員も質問できる。

時間は短いがその時々の問題を巡り首相の能力を試すことが可能で、

また無名の議員が名を売る機会にもなる。

ところが日本では45分と短い時間で「質問」ではなく「討論」をさせようとした。

「討論」となれば双方向の議論になるから時間は余計にかかる。

それを短時間でやらせようとすると尻切れトンボの印象になる。

一方で日本には昔から予算委員会で総理に「質疑」をする時間がある。

ただし「質疑」の質問は事前通告制で、官僚がすべて事前に答弁資料を作成する。

つまり総理の本当の能力より官僚に助けられた能力しかわからない。

ところが日本の野党は予算委員会の「質疑」の方を重視する。

そして本会議や委員会に総理が出席する週は「党首討論」を行わないとの申し合わせにより

「党首討論」が減るようになった。

始まった当初は毎週1回行われたが、そのうち月に1回になり、

今では1年に1回という有様だ。こうした経緯をずっと見てきたフーテンが思うのは、

官僚依存がまだなくならない国会の姿である。

政府委員の答弁は減少したと書いたが、

大臣答弁のほとんどは官僚が作成した答弁書の棒読みか、

背後から官僚のアドバイスを受けて答弁に立つ大臣の姿である。

「党首討論」より審議時間の長い委員会質疑を好んで国会を官僚依存のままにしている野党は、

あの自社対立時代の表で激しく対立した国会審議の残像にまだ影響されているのではないかと

フーテンは疑っている。だがあの冷戦時代の日本の成功体験はもう戻ってはこない。

冷戦後の世界を生き抜くためにはあの時代とは異なる政治の仕組みを作らなければならないのに

その覚悟が希薄だと思うのである。

例えば熊本地震が起きたことで予定されていた「党首討論」を野党のほうから取りやめたと聞く。

しかし地震が起きたために国会の議論をやめるというのがフーテンには理解できない。

むしろ地震が起きたことで議論すべきことは多くあったと思う。

おそらく野党は「党首討論」で政府を追及する姿勢を見せれば国民の反発を買うと考えたからではないか。

そうであれば国会を追及の場としか考えない政権交代なき時代の国会の残像に影響されていることになる。

追及する必要があるときには追及するが、

総理の考えをあぶりだす必要があるときや野党から提案することもあるはずである。

また行政府の最高責任者が災害現場に行かなければならないということもない。

国会で議論することは重要な仕事である。

そして年に1度しか開かれなくなった「党首討論」を見て、

国会議員にその持つ意味をもう少し考え直してほしいと思う。

それは事前通告なしで質問を行うが、時間は短く、

そして時々の事柄に政治指導者が何を考えているかをあぶりだす機会にすることである。

それは官僚が作成した答弁を聞かせられるより、よほど国民の政治に対する判断力を養うと思う。

小選挙区制の弊害を羅列して、昔の中選挙区制に戻した方がよいという意見を聞くことがある。

フーテンはそうした意見にも戻ってはこない冷戦時代の成功体験の残像に影響されている

日本人の姿を見る思いがする。

小選挙区制を採用している国のすべてがおかしいのならわかるが、

うまくやっている国があればそれは選挙制度の話ではない。

むしろ制度を徹底していないための弊害かもしれない。

成功は失敗のもとであることを噛みしめて日本は前を向いた方がよい。

 

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コメント
 
1. 2016年5月19日 22:34:34 : eCkVyzTNOA : XFFN7imlNZU[98]

   「小選挙区制」のアメリカは共和・民主の2大政党が議会をほぼ独占し、数多く存在する小政党が代表を議会に送れずにいる。富者・強者代表の2大政党制といえる。貧者・弱者は、富者や強者が支配する国家のほどこしを受けるだけになり貧富の格差はますます拡大している。
 
   日本が貧富の格差を少なくしようと考えるなら、すぐにでも「小選挙区制」を止めることだ。このまま「小選挙区制」を続けると、自公の長期独占政権になるか、あるいは、アメリカ型の富者・強者代表の二大政党間の政権たらい回しになるだけだ。
 
 
   「小選挙区制」の下では、1強の党が絶対的に有利で多弱の党は絶望的である。2014年の衆院選小選挙区で自民党は得票率48%で76%の議席を獲得(比例区での自民党の得票率は33%)。2012年の衆院選小選挙区で自民党は得票率43%で79%の議席を獲得(比例区28%)。

   それぞれの党が得票率に応じた(有権者の意思を正しく反映した割合の)当選者を出すために「小選挙区制」をやめて「比例代表制」にすべきだろう。ヨーロッパで「小選挙区制」を採用しているのは8カ国に過ぎない。33カ国が「比例代表制」だ。

            


2. 2016年5月19日 22:37:20 : pqOmvGCP9A : Z1yCzvOh8N0[261]
ボロが出る だから減らそう 年一回

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