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特捜検察にとって”屈辱的敗北”に終わった甘利事件
2016年6月1日 郷原信郎が斬る
東京地検特捜部が、甘利元経済再生TPP担当大臣とその秘書のあっせん利得処罰法違反事件について、すべて「嫌疑不十分で不起訴」という処分を行った。
特捜検察にとって、“屈辱的敗北”であり、まさに「検察の落日」である。
週刊文春で報道された今回の事実関係は、ほとんどが録音記録等に基づくもので疑いの余地がない。秘書が、URに対して、再三にわたって、補償金の支払・増額を迫り、多額の政治資金を受け取ったり、個人で現金をもらったり接待を受けたり、甘利氏自身も、そのような業者から大臣室で現金を受け取る。そのようなことを平然と行えるのは、まさに、権力の一極集中の下での政権与党の有力閣僚の「驕り高ぶり」そのものである。そのような事案に対して、捜査の着手も大幅に遅れ、ようやくURへの強制捜査着手で、若干の期待をもたせたかと思えば、あっさり全員不起訴で決着。このような捜査の経過と結果は、過去には「日本最強の捜査機関」と言われた東京地検特捜部にとって“屈辱的敗北”以外の何物でもない。
時の政治権力に屈することなく、「厳正公平、不偏不党を貫く」というのが、検察の矜持だった。その検察を象徴する存在であった「東京地検特捜部」の看板は、地に堕ちたと言わざるを得ない。
検察が世の中の期待に応えられない場合の常套手段として、処分に先立って「前打ち報道」が行われ、そこで検察の内部情報に基づく「不起訴の理由」が説明される。
今回の場合、その典型が、不起訴の当日の毎日新聞朝刊の記事【「影響力行使」難しい証明 あっせん利得処罰法】だ。
そして、不起訴処分の公表の際には、検察当局は不起訴理由について何も説明しないという方法を採る。今回も、「構成要件に該当することの証拠は得られなかった」という決まり文句だけだった。
不起訴の「地ならし」に使われた毎日新聞の記事には、
などと書かれている。
「検察の裏スポークスマン」が、検察が最も強調したい「不起訴の正当化理由」をマスコミに説明したのであろう。
しかし、どう見ても、余りに「見え透いた言い訳」に過ぎず、一般的には、検察内部でも通用するはずのない理由だ。
少なくとも、「薩摩興業側」にとっては、なかなか交渉が進展せず補償が払われないから、甘利事務所に「口利き」を頼んだことは明らかだ。それが2013年6月、そして、「当初UR側から薩摩興業側に約1億8千万円の補償金額が提示され、その後、補償額は2千万円ずつ2段階で増額。最終的には約2億2千万円で合意に達した。(産経)」という経過で、2回の増額の末、約2億2千万円の補償が支払われたのが、同年8月20日。そして、その日に、謝礼として秘書に500万円が渡された。「14年度以降負担額が変わる可能性があった」としても、7か月以上も先のことであり、この補償額の決定とほとんど無関係であることは明らかであろう。
【甘利問題、検察捜査のポイントと見通し@(あっせん利得処罰法違反)】でも述べたように、甘利氏の政治家としての経歴に照らせば、「権限に基づく影響力」を認定する余地は十分にあるが、その「行使」があったか否かは微妙ではある。しかし、その点について証拠収集を徹底するために、敢えて、URへの捜索という強制捜査に踏み切ったのではなかったのか。少なくとも、秘書については、「権限に基づく影響力」についても徹底した捜査で最大限の証拠を収集して起訴し、後は裁判所の判断に委ねるというのが、検察がとるべき姿勢ではないのか。
それまで、収賄罪であれば、国会議員の職務権限、つまり、議会での質問や国政調査権の行使等に関連して対価を受け取る事案に限られ、事実上、野党議員が主たる摘発対象となっていた。それを、同僚議員等にも影響力を持つ「与党の有力議員」で「口利き」で対価を受け取る悪質な行為も処罰できるようにするために制定されたのが、あっせん利得処罰法である。
今回のような「絵に描いたようなあっせん利得事件」が不起訴で決着すれば、もはや、この法律は、有力な国会議員による悪質な口利きと対価受領の事案に対して全く使えないことになってしまう。要するに、与党議員ならやりたい放題だということだ。
今回の不起訴の直前の 5月24日に、法務省にとって最大の懸案だった「日本版司法取引」「盗聴の拡大」等を内容とする刑訴法改正案が成立したことと、今回の甘利事件の不起訴処分との関係にも疑いの目を向けざるを得ない。
私が得ていた情報では、昨年夏の通常国会で成立せず、継続審議となっていた刑訴法改正案は、少なくとも、甘利問題が表面化した1月末の時点では、夏の参院選を控え、審議で揉めそうな法案は審議に入りたくないという与党側の意向があり、今国会での成立は極めて難しいと見られていた。
ところが、予算審議の間、私が【甘利問題、検察が捜査着手を躊躇する理由はない】と述べていたのに、検察は甘利氏問題について捜査の動きを全くみせず、無事予算が成立するや、「刑訴法改正案の審議入り、今国会での成立の見込み」が報じられ、そして、その直後に、遅ればせながら、特捜部がURに強制捜査に入り、刑訴法改正案が成立した直後に、甘利氏のみならず秘書までも不起訴になったのである。
大阪地検の証拠改ざん問題や、陸山会事件での虚偽捜査報告書作成事件等で、社会の信頼を失った検察は、今回の不起訴で、微かな「社会の期待」も失った。
ロッキード事件で活躍した堀田力弁護士が、1月30日放映のTBS報道特集で、
と述べている(【1月30日放映TBS「報道特集」東京地検特捜部元検事、堀田力弁護士インタビュー】)
「特捜検察」に格別の思い入れを持ってきたOB諸兄にとって、このような特捜部の「みじめな姿」は耐え難いものであろう。
しかし、検察の捜査は“屈辱的敗北”で決着しても、この事件は、決して、これで終わりではない。
この事件については、弁護士らが告発を行っており、不起訴処分に対して、当然、検察審査会の申立てが行われるだろう。少なくとも、秘書について、「権限に基づく影響力の行使の要件を充たさない」という検察側の説明が、裁判所の判断に委ねることなく事件を決着させることの理由として、一般市民に納得できるものではないことは自明である。
また、【甘利問題、「あっせん利得罪」より、むしろ「あっせん収賄罪」に注目 〜検察捜査のポイントと見通しA】でも述べたように、実は、今回のような事件については、1990年代前半のゼネコン汚職事件での「検察の暴走」の副産物として出された中村喜四郎議員のあっせん収賄事件の最高裁判決からすれば、甘利氏本人についてもあっせん収賄罪が適用できる可能性は十分にある。
しかも、甘利氏への現金供与の目的とその際のやり取りなどは、既に週刊文春で報じられている薩摩興業側の総務担当者の話からも相当程度明らかであり、検察の手に寄らなければ犯罪の成否が判断できないというわけではない。
検察の屈辱的敗北が、「検察の落日」だけではなく、公正さを亡くした「日本社会の落日」とならないよう、今後の展開を期待したい。
我が国が日に日にロシアのようになっていく。経済もダメだし行政運営は独裁国家みたいだし、まさに我が国の凋落を目の当たりにしている気分だ。
— すぐるちゃん【ガラケー派】 (@suguru0220) 2016年6月1日
特捜検察の"屈辱的敗北"に終わった甘利事件 #BLOGOS https://t.co/1eWio4ZQcm
特捜検察にとって”屈辱的敗北”に終わった甘利事件: https://t.co/yYjg2FAWgu 法務省にとって最大の懸案だった「日本版司法取引」「盗聴の拡大」等を内容とする刑訴法改正案が成立したことと、今回の甘利事件の不起訴処分との関係にも疑いの目を向けざるを得ない
— 土佐の酔鯨 (@tosasuigei) 2016年6月1日
東京地検特捜部が、甘利元経済再生TPP担当大臣とその秘書のあっせん利得処罰法違反事件について、すべて「嫌疑不十分で不起訴」という処分を行った。
— 数学 M (@rappresagliamth) 2016年6月1日
特捜検察にとって、“屈辱的敗北”であり、まさに「検察の落日」である。
↓https://t.co/Ym1OTVDxL9
今は昔の 東京地検特捜部 郷原弁護士のブログより。長期安倍政権により どこも骨抜き状態。【「日本最強の捜査機関」と言われた東京地検特捜部にとって“屈辱的敗北”以外の何物でもない。】ホンマ 独裁政権にどこも太刀打ちできず。自民党政治家 勝手し放題。贅沢三昧。
— rimi (@rimi25n1) 2016年6月1日
国民にとってはこれほど"侮辱的敗北"な政治捜査はない。これほどの司法の極めて恣意的運用は、もはや法治国家の体をなさない無法状態。アベ政権のクーデターである。
— ゾーイ#自民党は毎日がエイプリールフール (@sekilalazowie) 2016年6月1日
特捜検察にとって”屈辱的敗北”に終わった甘利事件 | 郷原信郎が斬る - https://t.co/qeJpBD7X03
こんな結果しか出せないのであれば、地検特捜部なんていらないんじゃ?
— 岩田 浩史 (@iwatahiro) 2016年6月1日
特捜検察にとって”屈辱的敗北”に終わった甘利事件(郷原信郎) #SmartNews https://t.co/26DjLI1iGY
@tim1134 「甘利氏本人についてもあっせん収賄罪が適用できる可能性は十分にある」
— 美しき山河 (脱原発に一票、即全廃炉) (@b_sannga) 2016年6月1日
「…社会の信頼を失った検察は、今回の不起訴で、微かな「社会の期待」も失った」
『特捜検察にとって”屈辱的敗北”に終わった甘利事件 』郷原信郎 https://t.co/gHVLmo76iP
特捜検察諸氏が『屈辱的敗北』と自責しているなら、まだ救いの欠片でも見いだせるかもしれないが、ただ己の保身に汲々として何ら呵責もなく不起訴に終わらせているようにしか見えない。 https://t.co/BM3fYNbNau
— ©2016PrometheeleFou (@Prometheelefou) 2016年6月1日
特捜検察の"屈辱的敗北"に終わった甘利事件 https://t.co/JxmKD9frV2 大阪地検の証拠改ざん問題や、陸山会事件での虚偽捜査報告書作成事件等で、社会の信頼を失った検察は、今回の不起訴で、微かな「社会の期待」も失った。
— suzuki akiko (@doutonborigawa) 2016年6月1日
東京地検特捜部が甘利元経済再生TPP担当大臣とその秘書のあっせん利得処罰法違反事件について、すべて「嫌疑不十分で不起訴」という処分を行った。特捜検察にとって“屈辱的敗北”であり、まさに「検察の落日」である…無能な検察。泥棒が泥棒を取締まる法律を作るバカらしさ。金の亡者自民党。
— 武田 信繁 (@Tnobusige) 2016年6月1日
https://t.co/7q6cyyYxkC甘利不起訴、何が屈辱的敗北だ。予定の敗北であり、権力の補完機関である東京地検にとって痛くも痒くもあるまい。冤罪防止のための刑事訴訟法の改正案を圧力をかけて骨抜きにし、取調べの可視化を自分達に都合のいいように限定的にした組織である。
— 及川準 (@joikawa) 2016年6月1日
全く受け入れられないことだが、特捜は「屈辱的敗北」とさえ受けとめていないだろう。ムラの原発サラリーマンをトップリーダーに頂き、日本国は死んだ。
— rod stewart (@faceslondon) 2016年6月1日
特捜検察にとって"屈辱的敗北"に終わった甘利事件 https://t.co/iqWyVZBwcv # @HuffPostJapanより
「余りに「見え透いた言い訳」」「事実関係は、ほとんどが録音記録等に基づくもので疑いの余地がない」「要するに、与党議員ならやりたい放題」→特捜検察にとって”屈辱的敗北”に終わった甘利事件(郷原信郎)https://t.co/wAAdEnGM79
— tatuki_h (@tatuki_h) 2016年6月1日
"要するに、与党議員ならやりたい放題だということだ""公正さを亡くした「日本社会の落日」とならないよう、今後の展開を期待したい" / “特捜検察にとって”屈辱的敗北”に終わった甘利事件 | 郷原信郎が斬る” https://t.co/ngY15e17lY
— Toft (@toft_ff) 2016年6月1日
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