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独立自尊のかけらもない対米隷従安倍政権ー(植草一秀氏)
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31st Aug 2016 市村 悦延 · @hellotomhanks
9月26日に召集される秋の臨時国会。
重要案件が山積みである。
補正予算、TPP、共謀罪
などのメニューがすでに浮上している。
さらに、憲法改定までもが視界に入る。
憲法改定では緊急事態条項の加憲が目論まれている。
8月29日付メルマガ記事
「これが安倍売国政権の憲法全面改定手順だ」
に記述したように、
緊急事態条項加憲
→緊急事態条項発動
→憲法停止
→全面改憲
の悪だくみが水面下で蠢いている。
日本私物化である。
かむろてつ氏は安倍政権の「真・三本の矢」
を
戦争
弾圧
搾取
であると指摘している。
その正体がくっきりと浮かび上がっている。
これを私は、
「新・帝国主義」
と呼び換える。
憲法を破壊し、戦争推進国家に突き進む。
異論を唱える者は弾圧し、
新自由主義の経済政策で日本を覆い尽くす。
弱肉強食奨励=弱者切り捨て=市場原理主義国家に突進している。
弾圧
では、
刑事訴訟法を改悪した。
本来の課題であった取調べ過程の全面可視化は手を付けず、
司法取引、通信傍受等の捜査手法の拡大だけが実現した。
ここに「共謀罪」が創設されると、
「異論を唱える者」
を自由自在に犯罪者に仕立て上げることができるようになる。
刑訴法改悪+共謀罪創設
=新・治安維持法
である。
文字通り「日本の危機」である。
「共謀罪」など制定させてならないことは当然だが、
秋の臨時国会の最重要議案がTPPである。
元農林水産大臣の山田正彦氏が新著を刊行された。
『アメリカも批准できないTPP協定の内容は、こうだった!』
(山田正彦著、株式会社サイゾー、税込1620円)
先日来、紹介させていただいているTPP最終合意文書を分かりやすくまとめたブックレット
『このまま批准していいの?
続・そうだったのか!TPP 24のギモン』
http://notppaction.blogspot.jp/2016/08/tppq.html
が簡略版の最良テキストとすれば、山田氏の新著は、もう少し詳しく、
TPPの問題点を知りたい人々にとっての最良の著作である。
農業、漁業、食の安全、医療、金融、国有事業、そしてISD条項など、
TPPの最重要問題を、他国の具体的事例をふんだんに盛り込んで、
極めて分かりやすく、そして説得力をもって解きほぐしている。
日本の主権者の必読書である。
秋の臨時国会が始まるまでに、すべての日本の主権者がこの新著を読了するべきだと思う。
8月20日にはTPP批准阻止に向けての全国共有行動キックオフ集会が開催された。
会場に入りきれない主権者が全国から参集した。
この運動を牽引されているのが山田正彦氏である。
著者紹介によると山田正彦氏は、
「1969年に司法試験に合格するも法曹の道に進まず、
故郷の五島に戻って牧場を開き、牛400頭を飼育、豚8000頭を出荷するようになる。
その後、オイルショックによって牧場経営を断念。
弁護士に専念し、主にサラ金問題に取り組む。
四度目の挑戦で衆議院議員に当選。
2010年6月、農林水産大臣に就任。
現在、TPP批准阻止のため、精力的に活動中」
である。
自らの体験として牧畜業の厳しさを体得している。
TPPは日本の農林水産業を破壊するだけでなく、
国民医療制度を破壊し、
食の安全の基本環境をも破壊する。
さらに、日本の金融を収奪し尽くす最終兵器でもある。
決定的なことは、日本の諸制度を日本が決定する権限
=国家主権
を失うことである。
このようなTPPを、誰が何のために推進するのか。
当然に沸いてくる疑問である。
答えは単純明快だ。
グローバルな収奪を目指す巨大資本=多国籍企業
=ハゲタカ
が収益の極大化を目指して推進しているものなのだ。
そしてTPPの直接の最大のターゲットは日本である。
日本を根こそぎ収奪すること。
そして、日本の諸制度、諸規制を、完全に米国化すること。
これが目指されている。
日本が米国の51番目の州になるのではない。
日本が完全に米国の植民地になる制度である。
次に浮上する疑問は、そんな米国資本の利益極大化のための制度を、
なぜ、日本の政治家が推進するのか、というものだ。
安倍首相などは、「戦前の日本への回帰」を目指しているかのような言動が目立つが、
その行動と、米国資本の利益極大化とは矛盾するのではないか、との疑問が浮上する。
ところが現実はこうだ。
敗戦後の日本は1947年以降、米国の「日本反共化」政策に完全に組み込まれた。
敗戦直後の対日占領政策は、
「民主化」
を基本としたが、
1947年以降はこれが大転換し、
「非民主化」
に転換した。
そのなかで、日本は米国によって、
「反共化」を強制され、これを強制する米国に隷従する者だけが重用されてきた。
米国の支配下にある日本で権力の一端を担う条件はただひとつ。
「対米隷属」
だった。
この
「対米隷属」
の元祖が
吉田茂であり、岸信介であり、佐藤栄作
だったのだ。
岸信介元首相にしても、
「名に代へて このみいくさの正しさを
来世までも 語り残さむ」
の歌を残しているが、対米隷属で助命されたことを、何とか取り繕う、
負け惜しみの歌であると評するのが適正であろう。
安倍晋三氏は岸信介氏のこの精神構造をそのまま受け継いでいると言ってよいと思われる。
米国の指令、命令には逆らえない。
米国に対しては絶対服従。
これがすべての基本である。
この大枠のなかで、米国が許容する範囲内で言いたいことを言っているだけである。
米国に対峙する姿勢など、基本的に皆無なのだ。
米国は安倍氏が米国に対して「絶対服従」の姿勢を崩さない限り、安倍氏の存続を認めている。
何を言っても自由だが、それは、あくまでも「米国の命令に絶対服従」が絶対前提条件なのである。
ここでいう米国とは、米国を支配している巨大資本のことである。
米国民ではない。
米国を支配する巨大資本が安倍氏に対して絶対的な命令を出している。
秋の臨時国会での最重要命令として出されているのが、日本のTPP批准だ。
しかし、米国で批准の見通しは立っていない。
仮に来年以降、米国がTPPを批准することがあるにせよ、その場合は、米国が必ずTPPの内容を修正する。
修正されるTPPを日本が先行して批准することの正当性は皆無だ。
TPP批准を絶対に許してはならないのだ。
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