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安倍首相の国会演説で「デフレ」1回だけ 政府に“物申さない”日銀と一緒に「長期戦」へシフト? 上野泰也のエコノミック
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投稿者 軽毛 日時 2016 年 10 月 18 日 00:30:01: pa/Xvdnb8K3Zc jHmW0Q
 


安倍首相の国会演説で「デフレ」1回だけ


政府に“物申さない”日銀と一緒に「長期戦」へシフト?


上野泰也のエコノミック・ソナー
2016年10月18日(火)
上野 泰也

安倍晋三首相は9月26日に召集された臨時国会で所信表明演説を行った。長期政権への意欲をにじませ、「未来」を力説した。(写真:ロイター/アフロ)
所信表明演説では「未来」を18回連呼したが…

 9月26日に第192臨時国会が召集され、安倍晋三首相が同日午後に所信表明演説を行った。8月2日に決定した「未来への投資を実現する経済対策」の内容が経済政策分野で首相が発するメッセージの軸になり、キーワードの「未来」は、なんと18回も使われた。

 その一方で、「デフレ」という言葉が今回の演説に1回だけしか登場しなかったことに筆者は興味を抱いた。そこでこの機会に、安倍首相が13年以降に行った所信表明演説および施政方針演説に「デフレ」という単語が何回登場したかを調べてみた(<図表1>)。


■図表1:安倍首相が2013年以降に行った所信表明演説および施政方針演説に登場した「デフレ」という単語の数と、使われた文章
日時 演説の場面 「デフレ」の登場回数 発言内容・文脈
2013.01.28 所信表明演説 3回 デフレと円高の泥沼から抜け出せず、50兆円とも言われる莫大な国民の所得と産業の競争力が失われ、どれだけ真面目に働いても暮らしが良くならない、日本経済の危機。
私が何故、数ある課題のうち経済の再生に最もこだわるのか。それは、長引くデフレや円高が、「頑張る人は報われる」という社会の信頼の基盤を根底から揺るがしていると考えるからです。
これまでの延長線上にある対応では、デフレや円高から抜け出すことはできません。
2013.02.28 施政方針演説 1回 長引くデフレからの早期脱却に加え、エネルギーの安定供給とエネルギーコストの低減に向けて、責任あるエネルギー政策を構築してまいります。
2013.10.15 所信表明演説 2回 日本の隅々にまでこびりついた「デフレ」からの脱却は、いまだ道半ばです。
しかし、日本人は、いつしか自信を失ってしまった。長引くデフレの中で、萎縮してしまいました。
2014.01.24 施政方針演説 2回 日本経済も、三本の矢によって、長く続いたデフレで失われた「自信」を、取り戻しつつあります。
「経済の好循環」なくして、デフレ脱却はありません。
2014.09.29 所信表明演説 1回 引き続き、デフレ脱却を目指し、「経済最優先」で政権運営に当たっていく決意であります。
2015.02.12 施政方針演説 2回 デフレ脱却を確かなものとするため、消費税率10%への引上げを18か月延期し、平成29年4月から実施します。
15年近く続いたデフレ。その最大の問題は、日本人から自信を奪い去ったことではないでしょうか。
2016.01.22 施政方針演説 1回 「より安く」を追い求める、デフレ型の経済成長には、自ずと限界があります。
2016.09.26 所信表明演説 1回 アベノミクスを一層加速し、デフレからの脱出速度を最大限まで引き上げてまいります。
(出所)首相官邸HPより筆者作成

「デフレ」からの早期脱却が困難になり、発言傾向に変化?

 2012年12月26日に、第2次安倍内閣が発足。2013年1月の所信表明演説では「アベノミクス」による経済再生を目指すというメッセージが首相により強く発信され、「デフレ」という単語は3回も登場した。2014年と2015年には「デフレ」が2回登場する演説が必ず一度はあった。

 ところが2016年は、1月の施政方針演説、9月の所信表明演説ともに、「デフレ」は1回しか登場しなかった。重要な変化だと言えるだろう。日銀と同様に安倍内閣も、デフレ脱却という課題の達成については「長期戦」を覚悟せざるを得なくなったことの表れだろうと、筆者はみている。

 それは、日銀の異次元緩和による物価押し上げが事実上「空振り」に終わっていることに加え、政府の成長戦略(特に人口対策)が踏み込み不足のままであることの帰結という面もあろう。だが、安倍首相は9月26日の衆院本会議で、日銀の新たな政策の枠組みを評価した。

総括的な検証後、次は「政府の出番」の声が上がったが…

 日銀の側は、9月21日に決定した金融緩和の枠組み修正による「政府へのバトンタッチ」を、強く否定している。さながら「政府に物申さない中央銀行」の様相である。高い支持率を誇る安倍首相が「レジームチェンジ」をかけた結果が今の日銀だという事実があるので、そうした事実上の上下関係からすればやむを得ないと言ってしまえばそれまでだが、必要な施策を政府が十分とらずに日銀に「丸投げ」している部分があるとみている筆者の目には、やはり大いに問題含みの状況である。

 「総括的な検証」を経て金融緩和の枠組みを「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」へと修正した日銀が9月21日に出した対外公表文には、次の一節があった。

日銀が「総括的な検証」後(9月21日)に出した対外公表文の一節

 「4.政府と日本銀行は、2013年1月に共同声明を公表し、デフレからの早期脱却と物価安定のもとでの持続的な経済成長の実現に向け、政策連携を強化し、一体となって取り組むこととしている。日本銀行は、『長短金利操作付き量的・質的金融緩和』を推進し、2%の『物価安定の目標』をできるだけ早期に実現する。政府の財政運営、成長力強化の取組みとの相乗的な効果により、日本経済をデフレからの脱却と持続的な成長に導くものと考えている」
 これをうけて、市場やマスコミの一部から、金融緩和の「限界」を事実上意識しながら日銀は長期戦・持久戦対応へとスタンスを切り替えたのだから、次は「政府の出番」であり、成長戦略・構造政策をしっかり推し進めるべきだという声があがった。

日銀幹部、「政府へのバトンタッチ」を否定

 ところが、その5日後に筆者は驚かされることになった。大阪で黒田日銀総裁が行った挨拶(講演)に、上記の文章を踏まえた政府の役割についての言及が、一切なかったのである。その代わりにこの講演は、次の文章で締めくくられていた。

日銀 黒田総裁の発言

 「これまでも繰り返し申し上げている通り、金融政策に『限界』はありません。『政策のコストを最小に、ベネフィットを最大にする』、『そのための創意工夫を惜しまず、新しい挑戦をためらわない』、日本銀行は、2%の『物価安定の目標』をできるだけ早期に実現するために、今後とも最大限の努力を続けてまいります」
 しかも、同じ26日のIMF(国際通貨基金)主催のセミナーで、出席した日銀の下田知行・企画局参事役から以下の発言があった(ロイターの報道から一部を引用する)。これにも筆者は驚かされた。

日銀 下田知行・企画局参事役の発言

 「また、政府との政策連携に関し、『我々は金融緩和を十分やったから、財政政策、構造改革、所得政策にバトンを渡すという意図はない』とし、『金融政策には役割がある。財政政策、構造改革との連携、協調が重要だ』と語った」

(ロイターの報道から)
 ちなみに、9月29日に日経新聞「経済教室」に掲載された内田真一日銀企画局長の小論文の末尾には以下の記述があった。そして、政府の役割への直接の言及は見当たらなかった。

日銀 内田真一日銀企画局長の小論文(日経新聞「経済教室」)の一節

 「自然利子率を、成長力の強化によって引き上げる努力は大切だ。ただ、だからといって金融緩和の手を緩めてよいということでは全くない。現にまだ自然利子率は低いのである」
 黒田総裁と企画ライン幹部が同じ日に、直接・間接に同じメッセージを発したからには、9月の金融政策決定会合で行われた金融緩和の枠組みの修正はデフレ脱却に向けた取り組みにおける「日銀から政府へのバトンタッチ」を意味するものではないという、日銀執行部内で確立した見解・方針があるものと推測される。

ECBの主要メンバーは、日銀幹部とは対照的な振る舞い

 だが、日銀と同じように実験的な金融緩和に踏み出しているユーロ圏では、ECB(欧州中央銀行)の主要メンバーが、日銀の幹部とはきわめて対照的な振る舞いをしている。

 9月28日、ドラギECB総裁がドイツで議会証言に臨んだ。よく知られている通り、ECBが行っている金融緩和策への批判が、経済好調で保守的な気風のドイツではかなり強い。ドラギ総裁は(特に珍しいことではないのだが)ユーロ圏各国政府に努力を促す発言を、ここでも行った。ロイターが配信した記事を見てみよう。

欧州中央銀行 ドラギ総裁の発言
『ユーロ圏には低金利必要、各国政府も責任果たすべき=ECB総裁』

 「欧州中央銀行(ECB)のドラギ総裁は28日、独下院議会委員会で証言を行ない、ユーロ圏経済の成長回復に向け低金利が必要になっており、金利が通常の水準に戻ることを望むなら各国政府はそれぞれの責任を果たす必要があるとの考えを示した」

 「同総裁は『ECBの金融政策の恩恵を最大限引き出すには、各国政府のほか、欧州全体で他の機関も断固としてより多くの貢献を行なう必要がある』と述べた」

(ロイターの報道から)
 同日、フランス中銀のビルロワドガロー総裁は、ユーロ圏の財政統合を推し進めるための仕組み(制度変更)に関する私案を示すという、より踏み込んだことを行った。これについてもロイターの報道から一部を引用したい。

フランス中銀 ビルロワドガロー総裁の発言
『仏中銀総裁、ユーロ圏全体の財務省創設や合成債を提案』

 「欧州中央銀行(ECB)理事会メンバーのビルロワドガロー仏中銀総裁は、ユーロ圏の合成債(シンセティックボンド)や単一財務省の創設、共通予算などを求める野心的な構想を明らかにした。欧州連合(EU)議会委員会で述べた」

 「フランスは以前から、こうした展望を示しているが、負担増を懸念するドイツなどが反対しており、進展していない」

 「ビルロワドガロー総裁は、銀行が担保として活用できる安全資産の提供を目指し、ユーロ圏各国が実際に発行する国債に裏づけされた合成債を提案。『この場合、加盟国はそれぞれ債券の発行、返済に関する単独の責任を引き続き負う』とした」

 「またユーロ圏の経済政策を調整し、最終的にはユーロ圏の単一予算を策定するユーロ財務省の創設を提案。『真のユーロ圏予算は安定化手段となる。これにはユーロ圏全体の失業保険制度などが含まれる』とした」

(ロイターの報道から)
政府にも相応の取り組みを求めるのは当然のはずだが

 金融緩和で従来では考えられなかったほど踏み込んでいる中央銀行が、政府にも相応の取り組みを求めるのは、至極当然のことだろう。特に日本の場合、金融緩和の限界(というよりも危険水域への突入)は明らかであり、デフレ脱却に向けてしっかり動くべきは政府の人口対策や構造政策だと、筆者は認識している。

 だが、「アベノミクス」がスタートする際に「物価の問題は日銀の責任」だという役割分担を安倍首相が事実上行っており、それが現在も続いている感が強い。

 日経新聞が10月2日に掲載した記事「金融緩和 なぜ効かぬ?」は、この下の囲みに引用する最後の文章でひねりを効かせていると、筆者は受け止めた。政府の役割に関する日銀の9月21日のメッセージ発信は、ゲリラ的な「ステルス作戦」だったのだろうか。

日本経済新聞 10月2日記事「金融緩和 なぜ効かぬ?」の一節

 「黒田総裁の就任以前は日銀が金融緩和を進めさえすれば経済は成長するとの意見もあったが、緩和の限界が迫るなか、すっかり鳴りを潜めた。『構造改革や成長力強化に向けた取り組みによって、自然利子率(中立金利)を高めていくことも必要』。日銀は総括検証のなかに、政府への注文を忍び込ませた」

このコラムについて

上野泰也のエコノミック・ソナー
景気の流れが今後、どう変わっていくのか?先行きを占うのはなかなか難しい。だが、予兆はどこかに必ず現れてくるもの。その小さな変化を見逃さず、確かな情報をキャッチし、いかに分析して将来に備えるか?著名エコノミストの上野泰也氏が独自の視点と勘所を披露しながら、経済の行く末を読み解いていく。
http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/opinion/15/248790/101400064/  

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コメント
 
1. 2016年10月18日 20:59:53 : oCrAJL4UVg : BSkALVEdcgY[64]
見てるのは 死の商人の 未来だけ

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