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生活保護引き下げの防波堤・厚労省の「やる気スイッチ」はいつ入るか? 生活保護のリアル〜私たちの明日は? みわよしこ 
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投稿者 軽毛 日時 2016 年 11 月 05 日 02:01:21: pa/Xvdnb8K3Zc jHmW0Q
 

生活保護のリアル〜私たちの明日は? みわよしこ
【第69回】 2016年11月4日 みわよしこ [フリーランス・ライター]

生活保護引き下げの防波堤・厚労省の「やる気スイッチ」はいつ入るか?

生活保護引き下げを巡る
財務省・政権の圧力と逆らわない厚労省


2017年度予算編成に向かって、財務省は生活保護引き下げへの強い意向を示している。その防波堤となるべき厚労省の姿勢には疑問が残る
 社保審・生活保護基準部会(以下、基準部会)は、社会保障の専門家・有識者たちが、生活保護で保障すべき「健康で文化的な最低限度の生活」と必要な費用に関する議論を行う委員会だ。その新シリーズが、2016年5月から開催されている(厚労省・基準部会ページ)。

 議論されている内容は、主に以下の3つである。

1.子どものいる世帯に対する加算(特に母子世帯に対する「母子加算」)はじめ、世帯の類型や事情に応じた「加算」の見直し

2.生活保護費用に反映されている地域間格差の見直し

3.生活保護制度の見直しによる就労促進 

 いずれにしても、財務省は「高すぎるので下げるべき」という意向ばかりを発表している。厚労省は医療・年金・保険・生活保護と支出の必要が多いゆえに立場が弱く、明快に「厚労省は国民の生命と健康と人権を守る立場ですから、断固応じられません!」とは言いにくい立場にある。基準部会は厚労省内で開催されており、貧困研究に長年関わってきた委員を含む委員たちの多くは、引き下げることに対する懸念と反対を口々に表明している。

 しかし、2013年1月に発表された生活費分(生活扶助)引き下げ以来、基準部会としての、あるは委員としての主張は行われていない事柄が引き下げの口実に使われ、あるいは委員たちや部会報告書は引き下げに対する慎重論を述べていたにもかかわらず、別の理由(正体不明の「消費者物価指数」など)による大幅な引き下げが行われている。基準部会は、引き下げに対するブレーキとしての機能を全く発揮できなくなっているのが現状だ。財務省の生活保護引き下げへの圧力が、あまりにも強すぎるからである。

「基準部会は『引き下げ部会』か?」
委員の怒りと疑念

 この基準部会の部会長代理であり、前身となった生活保護関連の数々の審議会などの委員を長年にわたって務めてきた岩田正美氏(社会福祉学・日本女子大名誉教授)は、2016年10月7日に開催された第25回基準部会において、以下のように強い調子で語った(資料・議事録等は厚労省内ページにある。なお2016年11月3日現在、議事録はまだ公開されていないため、以下のやりとりは私の傍聴メモによる)。

「(新しい検討課題が、厚労省から基準部会へ)出て来るたびに引き下げされています。これではまるで『引き下げ部会』です」「部会というのは、下げるためにあるのかと聞きたいです」

 傍聴していた私は「岩田先生、カッコいい!シビれる!」という思いだった。むろん、私がどれほど感動してシビれても、生活保護引き下げが実行されてはどうにもならない。

 また岩田氏は、議論が開始されるタイミングについても、「予算編成前に、『(注:政権および財務省に対して)何をしゃべったらいいのか』ということでやっているのではないか? という疑いを持っています」と疑義を表明した。これは、基準部会の新シリーズがおおむね5月、財務省・財政審の次年度予算に対する「建議」の後に開始され、翌年1月、予算編成に間に合うタイミングで強引に報告書がまとめられて公開されているからである。岩田氏のこの主張を私なりに言い換えると、以下のようになる。

「まさか、政権・財務省に対して、厚労省が「財務省さんのご意図を踏まえて、専門家の委員会で審議して、私どもでおおむね同様に結論付けました」ということにするために、私たちを呼んで基準部会を開催しているのではないでしょうね?(ふざけるな!)」

 棘のありすぎる下品な言い回しに、岩田氏と私の人格の差が現れてしまっているけれども、問題は「厚労省にとって、基準部会とは何なんだ?」ということだ。


2016年10月29日、生活保護基準部会の終了後、にこやかな表情を見せる岩田正美氏
 そもそも基準部会は、岩田氏ら専門家たちが、物価指数・消費実態の最新データに合わせて生活保護基準を検討する常設部会の必要性を述べたので、2011年以後、設置されているのである。常設部会として設置されたときには、岩田氏は「いいなと思った」そうだ。しかし現状について、岩田氏は「仕切り直ししないまま、(新しい)テーマが出てくる」という。

「仕切り直ししないまま」の内容の1つは、生活保護費のうち生活費の本体(生活扶助)と加算(寒冷期・育児中・母子世帯・障害・高齢などに対する費用増加分)を、そもそも同じ基準で議論してよいのかどうかということだ。

 生活保護での生活費の本体は、まず「標準3人世帯」(33歳、29歳、4歳)に対して定められ、そこから「世帯単位の支出はどれだけか」「個人での支出はどれだけか」「単身ならどうか」「年齢が60代ならどうか」「生活コストがもっとかさむ地域ではどうか」といった検討を行い、一応、あらゆる類型の世帯に対応できるようにされている。加算は、「標準ではない」に対する費用なので、本来は生活費本体と一体化して考えるべきではない。

 しかし2004年、老齢加算(70歳以上の高齢者に対する加算)を廃止する議論にもかかわった岩田氏は、「加算や他の扶助をどう検証するかが次の議論になっているわけですが、議論が逆じゃないかと思います」と述べ、「加算について、(略)老齢加算のとき、加算と本体を一体化してしまいました。本当であれでよかったのか、自分も重い反省があります」と口にした。

「引き下げありきではない」
と一応は答えた厚生労働省

 今回、財務省が強く「見直すべき」としているのは、自民党政権下で廃止されて民主党政権化で復活した「母子加算」および子育て・教育にかかわる加算であるが、岩田氏は「(本体と)加算や他の扶助をどう扱うか、そのときそのときのやり方をしてきました。統一的にこのやり方でやろうということが決められないと、私たちも議論がしにくいです」と述べた。

 生活保護の生活費本体は1984年以来、「水準均衡方式」という方法で決定されている。しかし各種加算はライフスタイルに対するもので、もともと水準均衡方式で決められてきたわけではない。加算を、生活費本体と同様に低所得層の消費実態から決める「水準均衡方式」で取り扱うという方法は、それでよいのかどうか、どの審議会・委員会でもきちんと議論されてきていないのだ。

 これに加えて、2013年の生活費分引き下げに際しては、生活保護基準以下の生活をしている人々の消費も含めた「消費実態」を参照するという、私から見れば「もう、引き下げのためにやってるんでしょ?」という方法まで採用されている。生活保護は、国民に生活保護基準以下の生活をさせないための制度なのだから、保護基準以下の生活を含めた参照は行われるべきではない。このことには、もちろん、基準部会でも懸念や異義が表明されてきているのだが、厚労省も財務省も政権も、「華麗にスルー」しつづけている。

 岩田委員の懸念と疑問に対し、厚生労働省 社会・援護局保護課長の鈴木建一氏は、次のように答えた。

「部会の役割は、保護基準について、客観的科学的に議論することです。我々が受け止め、厚労大臣が基準改正に反映します。社会情勢に照らして、今の保護基準が妥当なのかどうか議論していただくのですが、結論ありきではなくて、科学的に議論していただくという趣旨で考えております」(太字は筆者による)

「基準の決め方、本体、加算、その他の扶助が足し合わせられるわけですが、まず本体が、生活費の根幹です。それではカバーできない特別な需要は、加算でカバーするのが現在の体系。そこは部分的には、加算の特別な事情にどう対応するかという見地です。最終的には全体像を見ていきたいと思います」(太字は筆者による)

 このくだりを記録した私のメモには、「おー!男に二言はないな?」「特別な事情に対応することは止めんのな?」というツッコミがある。

 結論ありきでない科学的な議論、特別な需要や事情のある人に対しても「健康で文化的な最低限度の生活」が具体的に費用によって保証されることを、厚労省は一応はやめないつもりであると考えたい。しかし財務省は、それでは困るのだろう。

あくまで引き下げを迫る財務省
議員質問にどう答えたか

 あくまでも引き下げを迫りたい意向の財務省は、2016年10月27日、財政審資料として、「母子加算のせいで生活保護世帯はゼイタクになりすぎている」と言わんばかりの資料を提示した。この資料の紹介と私のツッコミは、Yahoo!ニュース記事「貧困層は生きられなくなる!? 財政審方針にツッコんでみるテスト(生活保護と母子世帯編)」で詳しく紹介したので、関心をお持ちの方は、ぜひご参照いただきたい。

 そもそもの「生活保護母子世帯はゼイタク」と言いたくてたまらない感の比較そのものが、「デタラメ」と言いたくなるほどの内容である。中流の中〜下程度の世帯の月々の消費実態と、生活保護世帯の消費の最大値を比較して、いったい何がわかるというのだろうか。


財政審が2016年10月27日に公開した資料より。「生活保護母子世帯の可処分所得は中の中〜中の下くらいの世帯の可処分所得と同等」というが、むろんそんな事実はない。生活保護基準を「可処分所得」と見ることに大きな無理がある
拡大画像表示
 さらに財政審の資料は、生活保護母子世帯の母親の70%で健康状態が良好ではなく、70%にDV被害経験があり、子どもも「うつ病」をはじめとする疾患を抱えている比率が高く、何とか就労しても低賃金・不安定・非正規雇用であることが多いため「生活保護から脱却」とはいかないという事情を全く無視し、一般母子世帯の母親は80%が就労しているのに対して、生活保護母子世帯の母親の就労率は40%であることを示している。


財政審が2016年10月27日に公開した資料より。単純に就労率だけを比較すれば、たしかに生活保護母子世帯の就労率は一般母子世帯の半分程度だ。しかし背景には、働くことを難しくする深刻な事情・働いても生活保護脱却はできない雇用状況の劣悪さがある。
 さらにご丁寧にも「これだけの水準の金額が毎月保障されていることで、就労に向かうインセンティブが削がれている可能性がある」という文言まで示し、「生活保護費を与えるから働かなくなるのだ」と言わんばかりである。

 2016年11月2日、衆議院・厚生労働委員会において、初鹿明博議員(民進党)は、議員質問を行った。内容は、社会保障に関心を持っている人なら誰でも抱きそうな上記の疑問に加え、公教育・義務教育で親が支払わなくてはならないコストが日本ではあまりにも高いこと、手当類の「まとめ支給」が低所得層を苦しめていることである。この質問の動画は、衆議院インターネット審議中継サイトの「ビデオライブラリ」で見られる。


2016年11月2日、衆議院厚生労働委員会で質問する初鹿明博委員(衆議院インターネット審議中継よりキャプチャ)。母子家庭の貧困解消は「ライフワークの一つ」ということだ。
 まず、「不適切な比較である」という初鹿議員の質問に対する財務省の回答は、以下のようなものであった。

・2017年(平成29年)、生活保護基準の見直しが行われることを踏まえた資料だ

・生保世帯は事情が色々で、配慮は必要。

・しかし生活保護世帯は、就労しなくても一定金額が給付されることで、就労意欲が損なわれるのではないかと問題提起した。

・(財政審?)委員からも金額だけで議論していいのかという議論があった。ご意見をふまえて検討する。

 財務省・財政審には、ぜひ、「どうしても引き下げなくてはならない」という前提を取り払った議論をお願いしたい。

「使えるお金がない」「収入の波が激しい」
生活保護世帯の家計は火の車

 ついで初鹿氏は、公教育・義務教育で親が支払う教材費・制服代などが家庭にとってあまりにも大きな負担となっており、しかも地域による格差が激しいことに関する質問を行った。文科省は「現在は一定額の就学援助等などを、実費ベースに引き上げるよう検討する」という内容の回答を行った。

 また、生活保護母子世帯の場合、母子加算の他に、児童扶養手当・児童手当もある。これらの手当の分、生活保護費は削減されるので、月々の保護費が増えるわけではない。さらに児童扶養手当・児童手当が、4ヵ月または3ヵ月ごとの「まとめ給付」であり、何かと「物要り」になりがちな年度末の3月にはどちらも入らない。この結果、生活保護世帯は、「使えるお金が少ない」ことに加えて「収入の波が激しい」「最も物要りの月にお金がない」という家計管理の困難を抱えることになる。この点についても初鹿議員は質問を行い、厚労省から「実態調査を行っている」「支給のあり方を検討する」という回答を引き出した。

 これらの問題は、いわゆる「子どもの貧困」解消に関しても、根幹となる部分である。ぜひ、超党派での議員質問が活発に行われるようにと、強く望みたい。

「やる気スイッチ」は切れている?
弁護士たちが見た厚労官僚の姿

 しかし、国会でどのような議論が行われるとしても、現状はまったく楽観視できない。2016年11月28日、生活保護問題対策全国会議は、必ずしも生活保護そのものと直接関係しているとは限らないものも含めた75団体の賛同のもと、厚労省に「今般の生活保護基準の検証にあたっての要望書」を提出した。厚労官僚と直接対話した弁護士の小久保哲郎氏(同会議事務局長)は、以下のように述べた。


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「厚労省側は、今回の検証についても、『(筆者注・前回と同様に)基準部会の検証を踏まえて、最終的には厚生労働大臣の責任において適切に判断する』ということです。『基準部会の検証を尊重する』とは言いませんでした。率直なところ、『厚労省は、専門家の意見を踏まえたという体裁を取り繕うことすら放棄したのではないか?』と思われてなりません」

 厚労官僚たちは、そもそも「低所得層を効率的に痛めつけたい」という希望のもと、厚労省を目指したのだろうか? 断じてそんなことはないだろう。

 長年切れたままになっている、厚労省の「社会保障やる気スイッチ」をオンにするのは、容易なことではないかもしれない。大蔵省・財務省が強い力でオフにし続けている間に、もしかするとスイッチが錆びついて動かなくなっているのかもしれない。でも、オンにする手段はあると信じたい。

 次回は、就労支援を中心に生活保護の「いま」を考える予定だ。

http://diamond.jp/mwimgs/6/6/650/img_666232c53d2ff80b9c1aee99b75ed9cb271765.png
http://www.mof.go.jp/about_mof/councils/fiscal_system_council/sub-of_fiscal_system/proceedings/material/zaiseia281027/01.pdf
http://www.shugiintv.go.jp/jp/index.php?ex=VL&u_day=20161102
http://diamond.jp/articles/-/106721  

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