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ロシアで襲撃される米外交官「嫌がらせに拍車」
ロシアは「CIAのスパイ」と説明
モスクワの米大使館前で警備にあたるロシアの警察官（2013年）
By FELICIA SCHWARTZ
2016 年 7 月 8 日 13:28 JST
【ワシントン】米国務省は7日、駐ロシア米外交官に対するロシア当局の嫌がらせについて懸念が強まっているとの見解を示した。その際、モスクワにある米大使館前で職員がロシアの警察官に襲撃されている様子を撮影した動画を公開した。
この動画はロシアのテレビ局NTVが放映したもので、その動画には大使館前でタクシーを降り、入り口の階段を上ってきた男性にロシアの警察官が横から襲いかかり、男性を地面にねじ伏せる様子が映っている。
男性は仰向けにねじ伏せられたまま、体を少しずつずらして大使館のドアの前にたどりつき、中に入ろうと試みている様子だった。男性は米国の外交官だという。
米国務省のカービー報道官は、この動画が本物かどうかを確認することはできないが、それを疑う理由はないと述べた。
報道官は「この2年間、われわれは米国職員のひどい扱われ方を極めて不快に思ってきた」とし、「モスクワのセキュリティー担当者や交通警察による米外交官への嫌がらせや監視はその度合いを増しており、これは全くもって受け入れがたいことだ」と述べた。
ロシア外務省は、その米国の外交官はスパイだったと説明。同省のザハロワ報道官は米国が「歪曲もしくは完全に間違った情報」を流していると非難した。
同報道官は、映像に映っていた「外交官が実際はCIA（米中央情報局）のスパイであることは知られていた。あの夜、男は変装し、情報収集活動から戻ってきたところだった」と述べた。
CIAからはコメントが得られなかった。この外交官の身元は明らかにされておらず、まだモスクワに滞在しているのかどうかも不明だ。
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制裁下のロシア、活路求め東南アジアへ
軍事・外交から武器・エネルギー取引まで攻勢
左：ロシアによる東南アジアへの直接投資額（単位・百万ドル）、中：ASEAN諸国の軍事支出（単位：10億ドル）、右：ASEAN諸国によるロシア製武器の購入額（単位：10億ドル）
https://si.wsj.net/public/resources/images/OJ-AK716_SEARUS_16U_20160630040311.jpg
By BEN OTTO
2016 年 7 月 8 日 11:47 JST
【ジャカルタ（インドネシア）】ロシアが東南アジアで再び存在感を強めている。新たな外交関係や海軍の軍事演習、武器やエネルギーの取引を通じて貿易相手を多様化し、太平洋地域での影響力を復活させる狙いだ。
ロシアはエネルギー価格の下落と欧米諸国による経済制裁に苦しんでおり、その影響でリセッション（景気後退）に陥っている。これを背景にロシアは今、米国や中国、日本の影響が深く浸透している地域で、各国との関係の再構築に駆り立てられている。
急成長中の東南アジア諸国連合（ASEAN）加盟10カ国の経済を合わせると2兆6000億ドル（約262兆円）規模になる。切迫したエネルギー需要を抱え、軍事予算を増やしている最中のASEAN諸国は、ロシアの主要輸出品である炭化水素、エネルギー技術、武器にとって最も重要な市場のひとつだ。
ロシアのプーチン大統領は5月下旬、同国とASEAN諸国の首脳会議をソチで開催して新たなシグナルを発し、あらためてビジネスや貿易の取り決めを協議する舞台を作った。オーストラリア国立大学のロシア専門家マシュー・サセックス氏は「貿易協定だけでなく、軍事・安全保障面への参画とプレゼンス、それに多国間ベースでの関与といったものが見え始めている」と指摘。「今見えているのは、ロシアが本気であることを示す証拠だ」
旧ソ連が太平洋に展開する海軍力が最も強かったのは1980年代末期のことだった。2隻の空母に加え、米国と日本を合わせた以上の潜水艦を配備していた。ベトナムには国外の拠点として最大規模の基地を設けていた。1990年代のソ連崩壊後、ロシアは世界中から手を引いた。
ロシアの海軍関係者と打ち合わせをするインドネシア海軍の軍人（2014年3月） ENLARGE
ロシアの海軍関係者と打ち合わせをするインドネシア海軍の軍人（2014年3月） PHOTO: YULI SEPERI/GETTY IMAGES
だがここにきてロシアは東南アジア諸国をはじめ、地域の広い範囲で軍事面での連携を再構築しつつある。シンガポールにあるユソフ・イサーク研究所（ISEAS）のシニアフェロー、イアン・ストーリー氏は、ロシアについて「最近の経済危機を背景に、やや押しが強くなっている」と話す。
2014年と今年4月に、ロシアはインドネシア主導の多国間軍事演習「コモド」に参加した。この2年間、ロシアはベトナムのカムラン湾基地に戻ってきており、ドック入りの特権を得ているほか、空軍基地を空中給油機の拠点として使用し、そこで潜水艦基地を建設中のベトナムを支援している。昨年終盤、ロシアはこの地域に弾道ミサイルを搭載する新型原子力潜水艦を配備した。
米太平洋軍のハリス司令官は上院軍事委員会で先ごろ、アジア太平洋地域でのこうした進展は「ロシアが失地回復の攻勢を強めている」ことを意味するとしたうえで、新たな潜水艦は「この地域に対するロシアの本気度」を示していると述べた。
南シナ海での領有権の主張や違法な漁業、海賊行為などを巡って中国との緊張が高まるなか、インドネシアやシンガポール、タイ、マレーシア、フィリピンの軍事支出は2015年に過去最高額に達した。世界中の武器取引を集計しているストックホルム国際平和研究所（SIPRI）の調査で分かった。
ロシアはこの新たな需要の多くを満たしている。2015年までの5年間で、ロシアの東南アジア向け武器販売はその前の5年間の2倍を超える水準に膨らみ、50億ドル近くに達した。同じ期間にロシアの武器輸出先に占める東南アジア地域の割合は6％から15％に急増した。
貿易面では、ロシアが率いる旧ソ連構成国のグループが昨年、ベトナムと自由貿易協定を締結した。ロシアはこれを、ASEAN全域を網羅する取り決めにしようと攻勢をかけている。この地域の貿易でロシアが占める割合はわずか1％に過ぎない。
ジャカルタにあるロシア大使館のベロニカ・ノボセルツェバ参事官によると、経済規模が東南アジア最大のインドネシアに新たに参入しているロシア企業の事業内容は、農業や天然資源に重点を置いたものから航空機の航法システムや衛星といったハイテクベンチャーに焦点が移動しているという。
ノボセルツェバ参事官は「ロシアの国土の3分の2はアジアだ」とし、「ロシアを発展から締め出すことはできない」と述べた。
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