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ロシア、軍事力を誇示 シリア・バルト海配備など同時展開
イギリス海峡を通過するロシア海軍の空母「アドミラル・クズネツォフ」（21日）
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By JULIAN E. BARNES
2016 年 10 月 28 日 12:14 JST
【ブリュッセル】ロシアが最近、シリアやバルト海などに向けて部隊や兵器の大掛かりな配備を行っている。これは、ロシアの新たな軍事能力を印象付け、複数の地域で同時に作戦を展開する能力と意欲があることを誇示したものだ、と米国など西側同盟国当局者はみている。
ロシア海軍の艦隊は、空母「アドミラル・クズネツォフ」を旗艦としてシリアに向けて航行中だ。米当局筋によれば、それがシリア紛争で決定的な効果をもたらす公算はほとんどない。ロシアの海軍力は空軍ないし地上部隊ほどには近代化されておらず、「クズネツォフ」がもっている航空能力（艦載機などの能力）は限定的だからだという。
それでも、今回の兵力の展開は国際的な注目を集めている。ロシアはこの行動で北大西洋条約機構（NATO）内部に緊張をかき立てた。スペインは当初ロシアに一部艦船の燃料補給を認可したが、その後ロシアに燃料補給要請を撤回してもらった。NATOからスペイン政府に圧力が加わったためだ。
ロシア当局者は、これらの艦船について任務を継続するための燃料を十分確保していると述べた。船舶位置情報サイトのMarineTraffic.com.によれば、小艦隊を構成する艦船「オシポフ」は27日、モロッコ沿岸沖合にいるという。
ロシア軍艦のシリア派遣は、ロシアが複数の地域で兵力を増強しているなかで行われた。例えば軍艦のバルト海への追加派遣や、クリミア半島への核搭載可能ミサイルの配備などだ。
これに対し、NATOはバルト海や黒海でNATO軍部隊を増強しており、NATO加盟国は今週ブリュッセルで、新たな部隊派遣を表明した。例えば英軍とドイツ軍の戦車隊のバルト海諸国派遣だ。カナダは兵士450人と、米国製装甲輸送車「ストライカー」に似た軽装甲車両を派遣する。
カナダのサージャン国防相は、ＮＡＴＯの4つの戦闘群は防衛的な目的で派遣されるのは自明だと述べた。そして、NATOはその派遣を数カ月前に公表しており、完全な透明性を備えていると語った。
同相は、ロシアはといえば責任ある世界のパワーとして振る舞っていないと指摘。NATOの動きは「ロシアに建設的で生産的な対話に復帰させる」ことを意図していると述べた
これに対し、ロシアのグルシュコ駐NATO大使は、全体としてみればNATOと加盟諸国は相当大きな兵力増強を進めており、ロシア国境付近で一連の軍事演習を行っていると反論した。
同大使は「実際のところ、対話にオープンだとしきりに話しているにもかかわらず、現段階でのNATOの関心事はもっぱら兵力の増強であり、ロシアに対する包括的な軍事的、政治的封じ込め政策の強化だと批判した。
一方、米国欧州軍のカーティス・スカパロッティ最高司令官（NATOの欧州連合軍最高司令官を兼務）は26日、NATO国防相会議の場でロシアの兵力の現状を報告。ロシアが軍近代化、司令部改組、核ミサイル実験、カリーニングラード（ポーランドとリトアニアに挟まれた飛び地）への核搭載可能ミサイルの配備などを行っていると述べた。
同司令官は短い声明で、「われわれが目にしているのは、ロシアの大掛かりな軍事演習であり、それは規模、範囲、内容、目的、そして透明性の観点でNATOの演習から広くかけ離れている」と述べた。
ロシアはシリアに兵力を展開し、それと同時にNATO加盟国との国境沿いで軍事演習を実施しているが、米国やNATO当局者によると、これは、より現代的で効率的な軍事演習法を誇示する狙いがあるという。
それには、迅速な軍事介入を優先する狙いが含まれている。介入は、敵の意表を突くため演習をしばしば隠れみのにする。
米国や西側当局者は、シリアへの兵力展開とバルト海への軍艦2隻の追加派遣によって、複数の地域で同時に兵力を配備できるロシアの能力が注目されたと述べた。
そして、ロシアは海上発射巡航ミサイルなどの武器を展開しており、同国の軍事力が増大していることを示している、と当局者らは述べている。
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