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中国で急成長!利益率50%を誇る激アツ産業「シェアサイクル」とは 若手起業家が牽引する1兆6千億円市場(現代ビジネス)
http://www.asyura2.com/17/hasan118/msg/124.html
投稿者 赤かぶ 日時 2017 年 1 月 19 日 19:40:15: igsppGRN/E9PQ kNSCqYLU
 


中国で急成長!利益率50%を誇る激アツ産業「シェアサイクル」とは 若手起業家が牽引する1兆6千億円市場
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/50704
2017.01.19 駒形 哲哉 慶應義塾大学教授 中国経済研究  現代ビジネス


■自転車業界の救世主

昨年あたりから、中国の「シェアサイクル」が日本でも紹介されるようになっている。

中国では以前から「公共自転車」という名のいわゆる「コミュニティサイクル」がすでに存在してきた。これは日本でも導入され始めている仕組みと似ている。


  中国の公共自転車 〔PHOTO〕gettyimages

しかし、中国でこの1、2年で急速に普及し始めたシェアサイクル(中国語では「共享単車」)は、これとは異なる。専用駐輪スペースをもたず、利用者がスマホで最寄りの自転車(GPS搭載)を検索してQRコードで解錠(鍵にSIMカード内蔵)して使用し、乗り捨てが可能というものだ。

急拡大の途上にあるため、正確な状況を把握しにくいが、昨年までの段階で少なくとも30社近くが10都市ですでに事業を展開し、自転車の投入台数は計30万台に達しているという。

うち主要事業者の1つである「ofo」は昨年半ば段階での投入台数16万台のところ、100万台の投入を予定していたし、他のいくつかの参入企業も2017年に100万台以上の投入を計画している。

シェアサイクル業界では早くも競争が激化しており、利用料金30分1元(約16円)の先行業者に対し、後発組が値下げで対抗し、先行者がこれにまた対抗するという、お得意の価格競争が展開されている。

シェアサイクルは、不況の只中にある自転車業界の救世主ともいえるし、業界再編の推進力にもなりうる。

■なぜ今シェアサイクルが流行るのか

シェアサイクルの素地は2000年代以降、ある意味すでに整っていた。中国では自転車の盗難が多い。盗難数は日本の約10倍の年間400万台に上る(2007年頃の数字)。3〜4割が後日見つかる日本と違い、盗られたらまず戻ってこない。

このことがシェアサイクルの潜在的需要となっていた。特に敷地が広大でキャンパス内も自転車で移動することが多い大学では、その盗難が大きな問題だった。

また、より遠距離の移動に関しては、自転車はすでに電動スクーターに代替されていたが、大都市では、地下鉄の駅を出てから目的地までの1〜3q程度の移動に不便があった。一部都市では走行制限があることも影響しているものの、健康志向を持つ都市部の若者は電動スクーターをあまり使わない。

日本で最も紹介されている「摩拝単車」のユーザーの8割は80年代以降に生まれたいわゆる「八〇后」「九〇后」である。

そして決定的なのはIT技術の発展とスマホの普及で、シェアサイクルはまさにインターネットの普及と共にある新興ビジネスだ。

「ofo」の例で言えば、アプリのダウンロード等の利用手続きも決済(プリペイド入金と引き落とし)も、中国IT大手テンセントのアプリ「微信」を通じて行われる。GPSによる待機自転車探し、自転車の番号入力、解錠から利用時間と距離の測定、支払いまで全て自分のスマホ1台でできるのだ。

ofo Bicycle Sharing Service


中国のネット利用人口比率は2005年の8.5%から昨年6月には50.7%となり、都市部では70%に近づく(ネットユーザーの多くはモバイルによる利用)。ネット決済が急拡大したのも2010年代に入ってからで、シェアサイクル産業の条件が揃ったのが、まさに2010年代なのだ。

2015年に「インターネットプラス計画」が打ち出されたこと、16年からの第13次5ヵ年計画で、交通輸送における低炭素化の推進として公共交通手段優先、自転車利用の奨励が打ち出されていることも追い風になっている。

■「八〇后」「九〇后」が業界をリード

ユーザーの主力が1980年代、90年代生まれのいわゆる「八〇后」「九〇后」であるだけでなく、シェアサイクルを経営する側でもこれらの世代のプレゼンスが高い。

先発組の「ofo」は自転車好きの北京大学生だった3人を中心に2014年に創業された「九〇后」世代による企業だ。

彼らは何か自転車に関連した事業をしたいと思い、あれこれ検討した結果、キャンパス内で自転車が多くあるにもかかわらず、使用時間が短く、廃棄自転車も多いことに気づいた。また創業者の1人である戴威氏自身、学部生の時代に4度も自転車を盗まれた経験があった。

彼らはライドシェアのUber、民泊サイトのAirbnbなどシェアリングエコノミーを牽引する企業のビジネスモデルを参考に、シェアサイクルの事業化を思いつき、北京大学卒業のある投資家の資金を得てチャレンジした。

2015年に参入した「摩拝単車」の創業陣の1人でCEOの王暁峰氏は、厦門大学卒業後、P&G、Google、コティ(フレグランスブランド)勤務を経て、Uberの上海代表を務めた人物だ。

王氏は70年代生まれだが、同じく創業者の1人で総裁を務める胡瑋煒女史は82年生まれの「八〇后」世代だ。彼女は浙江大学卒業後、新聞記者となり自動車業界を担当する中で、自動車業界の変化を察知し、新聞社を辞めて自動車関連情報サイトを立ち上げた。

ある時の取材でシェアライドの可能性について示唆を得たが、コミュニティサイクルの使い勝手が悪かったという自身の経験を思い出し、インターネットの時代だからもっと簡単に使えるようにできるはずとの思いを抱いた。その胡女史が戴氏らと出会うことで「摩拝単車」が生まれた。

このようにシェアサイクル業界はIT業界経験者やインターネット世代によって牽引されており、既存の自転車産業とはかなり異質だ。



■既存メーカーへのインパクト

日本のある自転車関連メーカー経営者によれば、「摩拝単車」社は当初、一般の軽快車(いわゆるママチャリ)ではなく、前輪のフォークが車輪の片側から支える「片支持」であったり、チェーン駆動でなくシャフトドライブを採用したりして、おしゃれな若者に訴求する独自性の高い設計を施した自転車で市場にインパクトを与えた。

同社はこの特殊な自転車を江蘇省無錫で自社生産している。しかしこれでは生産コストがかかり、また量的拡大にも対応できないので、軽快車タイプも既存の自転車メーカーに生産委託して投入している。

一方、ofoなどその他の同業者は全て既存の自転車メーカーに生産を委託して主に軽快車タイプを投入しているという。

中国のシェアサイクル業界は、目下、「市場における陣取り合戦の段階にあり」(前出経営者の言葉)、とにかく市場に投入できる台数をできるだけ早く拡大する必要がある。その結果、生産委託先は自ずと生産能力が高い既存の大手完成車メーカーが中心となっている。

また、そもそも新興のシェアサイクル事業者は、一部コミュニティサイクルからの参入もあるが、主に自転車業界の外から参入しているので、知名度がある(宣伝をよくおこなっている)、生産実績があるメーカーを調べて生産委託先・提携先を選んでいるものとみられる。

したがって、全体として著しい不況に苦しむ自転車業界のなかでの一筋の光明は、大手メーカーに差すことになり、ネット受注・販売や製品構成の転換、品質向上などの経営努力をしない中小メーカーは淘汰されかねない。

こうした業界の構造変化の波のなか、昨年7月6日付本欄で紹介した日系ブレーキメーカーはシェアサイクル向け自転車用ブレーキ供給でも業界をリードしている。

一つは既存大手完成車メーカーへの供給シェアが高かったからだが、現地拠点の中国人責任者が業界の変化の波頭を捉えて、シェアサイクル事業者に、完成車メーカーとのマッチングを含めて売り込みを図ったからでもある。

■成長産業に集まる莫大な資金

シェアサイクルは目下投入台数30万台のところ、国泰君安証券の報告では、1000万台の需要(コミュニティサイクルを含む数字の可能性あり)、281億元(4500億円)の市場規模をもち、自転車や鍵の製造、関連サービスまで含めると1000億元(1兆6000億円)産業であり、なお市場規模は拡大していくとの見通しが示されている。また、平安証券の推計では利益率は目下50%とされる。

この成長産業が近年行き先を失っている資本市場の出口として注目されており、過大とも思われるほどの資金が流入している。

例えば「ofo」だけで2015年と16年に元建てで計4000万元、ドル建てで約2億ドル、「摩拝単車」は同期間に2億ドル以上の資金を調達しているとの報道もある。

また、株式市場でも、シェアサイクルに完成車を供給する「中路」、「深圳中華」、パーツを供給する「信隆健康」といった「シェアサイクル関連銘柄」の株価上昇が伝えられる。

旺盛な資金の流入を支えているのは「金沙江創業投資」などのファンド会社だ。

同社はシリコンバレーの創業投資ファンドと提携関係を持ち、IT関連産業や新興産業への投資を得意としている。経営陣やその下に連なるパートナー達の多くは海外留学経験をもち、同社参加以前の業務経験も豊富である。年齢は相対的に若い。

既存の銀行や株式市場とは異なるスキームで、インターネット関連産業を中心に資金が循環し始めている。



■産業の先行形成と政策法規の後発整備

シェアサイクルは良いことばかりではない。現段階ですでにメンテナンスや利用マナーが課題となっている。

また投入量の急拡大が続くなかで早晩、市場は飽和するだろうが、乗り捨て自由のシェアサイクルの投入量拡大がもたらす交通管理上の問題解決は避けて通れない。利用中の事故に関する保険制度の整備も必要だろう。

昨年12月27日に深圳市では全国初の、ユーザーの安全確保に関する条例案と駐輪エリア整備についての試行条例が出された。

しかし、こうした制度整備の動きは本稿執筆時点では全国的にはなお鈍く、シェアサイクル事業への旺盛な参入と「陣取り合戦」が先行して展開されている。

日本で推進されるコミュニティサイクルの運営主体は地方自治体であるのに対し、中国のシェアサイクルの運営主体は企業だ。

シェアサイクルは、インターネット世代、「八〇后」「九〇后」を担い手としIT関連産業を磁場とする新しい産業だが、「産業の先行形成、政策法規の後発整備」という新産業形成の中国的特徴ともいえるパターンを辿っている。

来るべき規制に備え、先行利益を享受し、そして政策法規策定に影響力を持ちうるべく、シェアサイクル事業者間の「陣取り合戦」は激化する可能性がある。

                
世界の工場とまで呼ばれる中国の産業発展。圧倒的な世界シェアをもつ中国の自転車産業をとりあげ、徹底した現地調査により多角的に分析し、この産業のダイナミズムを明らかにする――。



 

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