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黒田日銀も萎縮、「トランプ砲」の威力 $110 トラ不安解消へ3つの根拠 中国外準、越えた危険な一線 ギリシャ再びデフォ
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投稿者 軽毛 日時 2017 年 2 月 08 日 16:54:11: pa/Xvdnb8K3Zc jHmW0Q
 

コラム:
黒田日銀も萎縮、「トランプ砲」の威力

FX Forum | 2017年 02月 8日 12:53 JST 関連トピックス: トップニュース

上野泰也みずほ証券 チーフマーケットエコノミスト
[東京 8日] - 日銀が昨年9月から「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」の枠組みの下で実施しているイールドカーブ・コントロールの運営がこのところ変調しており、債券市場参加者の不安や疑念が強まっている。円金利の上昇を抑制しようとする黒田日銀の姿勢が萎縮したことを市場は見て取っており、その背後にはトランプ米大統領の影がちらついている。

3日の10時10分に日銀がオファーした長期国債買い入れのうち残存期間「5年超10年以下」は4500億円で、当初予定額からの増加幅は400億円にとどまった。このため、日銀の金利低下抑制姿勢の弱さへの失望感から債券を売る動きが一気に強まり、10年物国債利回りは一時0.150%まで急上昇。20年債は0.730%、30年債は0.905%、40年債は1.060%をつけた。10年債の0.150%は、四捨五入すれば0.2%であり、もはや「0%程度」とは言いにくい水準である。

これに対し日銀は、通常の午後のオペ時間(14時)より早い12時30分に10年債0.110%で金額無制限の指値オペを実施した。債券は買い戻されたものの、市場の疑心暗鬼がこれで解消したわけではなく、10年債の利回り低下は節目の0.1%をやや下回るところまでにとどまっている。

<トランプ大統領の刺激を回避した日銀>

上記の一幕についての通説は、日銀が午前中に市場の反応を読み誤ってしまい、想定外に金利が上がったため、午後一番に後始末で「伝家の宝刀」を抜いたというものである。

だが、筆者はそれとは異なる見方をしている。午前中に400億円の増額しか行わない場合、市場で失望感が強まって金利が程度の差はあれ上昇することは、おそらく日銀調節デスクを含む誰の目にも明らかだった。

午前中は中途半端なオペを打つにとどめ、午後に火消しをしたのは、基本線としては予定通りの行動(一種の芝居)であり、こうしたオペの打ち方をすることでトランプ大統領を刺激することも、債券市場を完全に突き放して壊すことも、両方とも回避したのではないかという少数説を、筆者はとっている。

仮に、午前中にいきなり指値オペをオファーしていたら、10年債が0.150%まで売り込まれることはなかった。その代わり、日銀の強固な金利上昇抑制スタンスが内外で印象付けられて、トランプ大統領による円安誘導批判を強めかねなかった。

そして、午前中の失望感を招く日銀の動きによって債券市場がかなり不安定化したため、為替介入で言えば「スムージングオペ」にあたる、事態を沈静化させるための強力なオペを日銀がやむなく打つことが、誰が見ても文句なしに正当化される状況になっていたと言える。

また、日銀は長期ゾーンでは指値オペを実行したが、それとセットで超長期ゾーンでも行うことはしなかった。10年債と違って超長期ゾーンは金利ターゲットの設定されているゾーンではないと言ってしまえばそれまでだが、イールドカーブ・コントロールの当初の想定(市場が日銀から受けた説明)では、超長期ゾーンの金利水準については昨年9月の金融政策決定会合時点の水準が一つの目安だという話になっていたはずである。

ところが、超長期ゾーンの金利上昇を抑制しようとする動きを、日銀はこのところ見せなくなっており、金利上昇抑制の面で、あえて「手抜き」をしている感が漂う。そして、日銀の金利上昇抑制行動が弱まった背後に、少なくとも10―11日に迫った日米首脳会談の前はトランプ大統領を刺激しないよう「おとなしくしている」ことを選んだ日銀の姿が、筆者には見えてしまう。

<年末1ドル=98―100円へ3つの根拠>

トランプ大統領は1月31日、薬品業界大手のトップらとホワイトハウスで会談した際、他国の「通貨供給量、通貨安誘導」によって米国が損害を被っていると述べた上で、「中国は(通貨安誘導を)行っているし、日本は何年も行ってきた」と非難した。

中国については現在進行形である一方、日本は現在完了形という違いはあるものの、日本の為替政策と金融政策が、円高カードをちらつかせる「トランプ砲」によって直撃された瞬間だった。

これらの発言は、トランプ政権の保護主義的な姿勢が強固であることを、市場に強く印象付けるものである。そして、「アメリカ・ファースト(米国第一主義)」の下で米製造業が「復活」するためには、自国通貨ドルが他国通貨に対して強いことは、大きな障害になる。したがって、「強いドル」政策という看板は歴代政権と同じように掲げつつも、ドル相場が大幅に上昇することを、トランプ大統領は今後も嫌う可能性が高い。

上記のトランプ発言が飛び出した日、ドルは対円で112円割れ寸前まで一時下落した。その後、フランス大統領選挙で極右・国民戦線のルペン党首が勝利する可能性への警戒感、米雇用統計における時間当たり賃金の伸び鈍化という円買いドル売り材料が重なった6日には、ドル円は111円台に突入した。

この6日の動きはきわめて重要である。なぜなら、今年のドル円が、大きな振れを伴いつつも、結局のところ年末時点では98―100円程度で着地するだろうと筆者が見ている根拠が凝縮されていたからである。

すなわち、1)あまりにも大きくなり過ぎたトランプ政権に対する期待の揺り戻し(「トランプラリー」の反動)が今後も避けられない上に、2)今年は欧州の政治イベントのリスクを主因とする「リスクオフ」の円買いが何度も訪れる年になりそうであり、しかも、3)織り込み過ぎた米国の年内利上げ回数(2―3回)をはがす動きが徐々に出てくるだろうという見方である。

筆者は最近、セミナーなどの場で以下のメッセージを発信している。為替市場では今年も円安予想と円高予想が拮抗(きっこう)しているが、筆者は円高を予想している一人であり、下記の3点がその根拠になっている。

●日銀の金融政策を含む政策動向やマーケットの動きを見る際は、「米国(トランプ政権)>日本(安倍政権)>日銀」という、現実的に考えた場合の一種の上下関係を意識する必要がある。日銀のオペ姿勢にも、それは微妙に反映されている。10―11日に行われる日米首脳会談の結果、トランプ大統領が円安誘導批判や暗黙の日銀量的緩和批判をしなくなるかどうかが、目先の重要な関心事である。

●トランプ大統領には、ストラテジーも、ロードマップもなさそうである。場当たり的な「ディール(取引)」を繰り返しているうち、過大な期待の反動が、実体経済とマーケットの双方で大きくなるだろう。

●フランス大統領選挙を中心に、今年は欧州の政治リスクが非常に大きい年で、欧州連合(EU)およびユーロの将来像が揺さぶられかねない。欧州発で「リスクオフ」に傾く場面が多くなると、米国の利上げはチャンスをつかむのが困難になる。昨年11―12月のユーフォリア(陶酔感)的な米国の消費マインド高揚と新車販売増加の反動が年明けからすでに起こりつつあることや、議会共和党の「小さな政府」志向を背景とする減税プランの規模縮小および実行時期の先送り見通しも手伝い、米国の年内利上げはあるとしても1回までにとどまるだろう。

*上野泰也氏は、みずほ証券のチーフマーケットエコノミスト。会計検査院を経て、1988年富士銀行に入行。為替ディーラーとして勤務した後、為替、資金、債券各セクションにてマーケットエコノミストを歴任。2000年から現職。

*本稿は、ロイター日本語ニュースサイトの外国為替フォーラムに掲載されたものです。

(編集:麻生祐司)

*本稿は、筆者の個人的見解に基づいています。


コラム:トランプ氏のトヨタ批判ツイート、神通力に限界 2017年 01月 09日
視点:トランプ円安は幻想、進む「米国の日本化」=青木大樹氏 2017年 01月 23日
コラム:理不尽なトランプ円高に備えよ=唐鎌大輔氏 2017年 01月 24日
http://jp.reuters.com/article/column-forexforum-yasunari-ueno-idJPKBN15N096


 

 
 

 

ドル110円のシグナル点灯か:識者はこうみる

[東京 7日 ロイター] - 東京外国為替市場で7日、ドル/円は111円台後半でのもみあいが続いている。日米首脳会談を控えたドル安警戒感と、欧州政治リスクを背景に、ドルは一時111.59円と11月28日以来の安値をつけた。

市場関係者のコメントは以下の通り。

●ドル110円のシグナル点灯か ユーロ/円下落にも注意

<IG証券 シニアFXストラテジスト 石川順一氏>

ドル/円はこのところ強固なサポートラインだった112円を割り込み、昨年11月末の水準まで下落した。トランプ米大統領の通商政策がドル安を志向していることが主因ではあるが、フランス大統領選の先行き不透明感や10日の日米首脳会談の動向が警戒され円高圧力が高まっていることも一因となっている。

トランプ米大統領があらためて円安誘導批判に言及するなどした場合は円高に動きやすく、111円前半にある週足一目均衡表の雲下限を下方ブレイクする可能性がある。心理的節目で、トランプラリーの高安の半値戻しの水準である110円トライのシグナルとなるだろう。

また、クロス円ではユーロ/円の動きに注目したい。前日、ユーロは120円を割り込み、12月5日以来の安値をつけた。欧州の政治リスクが意識されやすい局面に突入しており、円高をけん引する可能性がある。

ドル/円が110円を割り込む局面では、トランプ政権の米ドル安政策が相当意識されている可能性が高い。欧州の政治リスクが意識される可能性も考えれば、最新の米為替報告書が公表される4月にかけて107円台まで下落する展開もあり得る。

一方、ドル買い要因として注視すべきは、トランプ氏の予算教書だろう。選挙公約通り大規模減税とインフラ投資を盛り込んだ内容となれば、トランプラリーから脱落気味の米ドルにひとまず買い戻し圧力が強まりそうだ。

●日米首脳会談後も円安批判続く可能性高い

<JPモルガン・チェース銀行 為替調査部長 棚瀬順哉氏>

今年に入ってドル/円は上値の重い展開が続いているが、1月第4週までは、米政府当局者によるドル高けん制発言等を受けた、ドル安主導の動きだった。当時は、ドルと円が両方弱く、オセアニア通貨と北欧通貨が強含むというリスクオン時の典型的なパターンだった。

しかし、それ以降現在に至るまでは、リスク回避的な様相を呈している。

リスク回避時には、通常、ドルと円が両方買われるところだが、トランプ大統領が中国と共に日本の通貨政策を名指しで批判したことから、ドル買いが抑制され、円買いが目立っている。さらに、欧州の政治リスクに対する懸念が高まっていることも、円高に一定程度寄与しているとみられる。

為替市場では、短期筋の円ショートがまだ残っているとみられ、それらが全て巻き戻されるとすれば、109円程度までのドル安/円高はあり得るとみている。

米政権の円安批判は日米首脳会談後も続く蓋然(がいぜん)性が高いだろう。

会談に際して日本からは経済協力パッケージを提示するとされるが、これまでに報じられてきた範囲では、米自動車メーカーの通貨安に対する不満を抑えるような内容は盛り込まれていない。今後は、二国間の自由貿易協定(FTA)で為替条項を盛り込むなど、90年代の貿易摩擦時と似通った状況になるのではないか。

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焦点:企業決算への反応鈍い日本株、本業懸念やトランプリスクが重荷 

[東京 8日 ロイター] - 日本の企業業績は着実に拡大基調にあるとはいえ、市場の高い期待には届かず、日本株の反応は鈍い。個別企業の決算を注意深くみると、「稼ぎ頭」の電子部品や自動車メーカーには本業の懸念が浮上したところもある。

「トランプリスク」に日本企業が直面する中、為替がさらに円高方向に振れるリスクもあり、来期の業績に対する市場の楽観的な見方が修正されつつつある。

<本業失速に人手不足の圧力>

電子部品大手、村田製作所(6981.T)が1月31日に発表した2016年10─12月期の売上高は、前年同期比10.5%減、営業利益は同32.7%減。円高だけでなく、成長の源泉だった「通信モジュール」が、思わぬ打撃を受けたことも響いた。

複数の部品をパッケージ化し、顧客に供給する通信モジュールの10─12月期の売上高は26.7%減。決算発表翌日の村田株は4%安。米アップル(AAPL.O)関連株が軒並み高となる中、逆行安となった。

モジュールの失速の主因は、アップルが昨年発売した「iPhone(アイフォーン)7」に搭載される同モジュールのシェア低下とみられている。

アナリストらによると、村田はアイフォーン7に対応するエンジニアを十分に確保できず、開発の立ち上がりに遅れが発生。自社が不得手な部品をモジュールに組み込もうとした結果、コストパフォーマンスが悪化し、シェアを他社に奪われたようだ。

村田の幹部は決算会見で、来期の売上高が前年比で10%程度増加する見通しを示した。実現には今年中の発売が有力なアップル製スマートフォンの新モデル向けの受注が大きく左右する。

しかし、人手不足の問題がすぐに解消できるかは不透明。サプライヤー間の競争も激しさを増している。「失策が今期だけにとどまるとも言い切れない」(岩井コスモ証券・投資調査部副部長の有沢正一氏)との指摘もある。

<のしかかるトランプ大統領の不透明感>

マツダ(7261.T)は2月2日、17年3月期の利益予想を下方修正した。日本・北米の販売台数予想を引き下げたことなどが主因。東海東京調査センターの杉浦誠司シニアアナリストは「技術力への自負から、値引きせずブランド価値を高めようとしてきたが、価格が高くなり、顧客がついてこられなくなった」と分析。米国での販売改革など「『治療中』の北米では台数の伸びは見込めない」とみる。

トヨタ自動車(7203.T)は6日に通期業績予想を上方修正したが、翌日のトヨタ株は2%を超す下落。修正後の営業利益予想は1兆8500億円(前年比35.2%減)。2兆円を上回る水準とみていた市場予想を下回り嫌気された。

同社は17年1月分から1ドル=110円と円安方向に想定レートを見直したが、市場の関心は金融事業にも向かった。

米国での中古車価格の動向を踏まえ、リース車両の残価コストの引当金を積み増し、中間期時点で200億円と見込んでいた金融事業関連の減益要因を1150億円に拡大した。「米国での販売環境に対するトヨタの警戒感が現れている」(中堅証券)との声もある。

みずほ証券リサーチ&コンサルティングの集計によると、17年3月期の国内企業の純利益増減率は、2月3日現在で前年比プラス2.2%。12月末時点の事前予想マイナス2.9%から改善した。(東証1部・金融除く、時価総額ベースで発表率60%)。

これは米大統領選後の急速なドル高/円安の進行で、輸出企業を中心に業績予想の上方修正が相次いだことが背景にある。

一方、日経平均.N225は、安川電機(6506.T)が先陣を切って第3・四半期決算を発表した1月23日以降、ほぼ横ばい。個別物色の域を脱しきれず、全体相場の押し上げにはつながっていない。

<乏しい割安感>

トランプ米大統領が、日本を名指しして通貨安政策をとってきたと批判し、ドル/円JPY=EBSの一段上昇への期待感は後退している。米国内のインフラ投資拡大が日本企業の業績に好影響をもたらすかも未知数だ。

三井住友アセットマネジメント・シニアストラテジストの市川雅浩氏は「あれだけ強く米国第一主義の姿勢が打ち出されれば、企業も構えてしまう。来年度の企業側の業績見通しは、より慎重な数字が出る可能性がある」と述べる。

日経平均の予想1株利益は、2月7日時点で1213円。年初水準に比べ2.8%上昇した。予想株価収益率は16倍台後半から15倍台半ばまで低下したが、概ね14─16倍台で推移してきたアベノミクス相場のレンジの中では、割安感は乏しい。

足元の水準はすでに天井なのか、それとも一段上のバリュエーションを許容しじり高基調を続けるのか──。優良企業の本業における「不調」をにらみ、疑心暗鬼が市場に渦巻いている。

(長田善行 編集:田巻一彦)

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コラム:
「トランプ不安」解消へ3つの根拠

FX Forum | 2017年 02月 8日 15:11 JST 関連トピックス: トップニュース

熊野英生第一生命経済研究所 首席エコノミスト
[東京 8日] - トランプ米大統領が何を発言するのかが読めないので、先行き不透明感が続きそうだと言われる。しかし、筆者は就任100日後の2017年4月末には、今よりもずっと不透明感は薄らぐと見ている。だから、現在の不安についての過大評価もきっと解消するだろう。

まず、トランプ大統領の意向だけで経済が動くわけではない。日本や中国が何年も通貨安誘導を繰り広げていると批判したが、ドル円レートは大幅な円高にはなっていない。昨年11月からのトランプラリーは、米経済の加速と利上げ予想によるドル高観測も加わった相乗効果である。ドル高傾向は、今後もファンダメンタルズに沿って継続するとみられる。

<ゲーム理論の教訓>

不透明感が変わる3つの予想シナリオ(根拠)を考えてみたい。まず、1つ目の予想として、トランプ大統領の発言は、次第にサプライズの度合いが小さくなるだろう。これは、私たちがいくつものトランプ発言を聞いて、馴れてくるからである。

就任100日後には、私たちは経験値を増やして、トランプ大統領の発言を今よりも冷静に評価できるようになるだろう。不透明とは、私たちの判断材料が乏しいという条件下では成り立つが、材料が増えると予想が立てやすくなって、不透明さは薄らいでいく。

2つ目の予想は、トランプ発言が摩擦を警戒して、刺激度を落としてくるというものである。メキシコとの間に壁をつくるとか、関税率を45%、35%に引き上げるという爆弾発言は、相手国から強い反発を受ける。国内でも移民排斥への批判はすさまじい。

ゲーム理論という分野で、最強の戦術は「しっぺ返し」だということが言われる。相手の一手に合意のときは優しく受容して、反対のときは強力に仕返しする。すると、相手は次第に仕返しを嫌がって合意になびいていく。

今後、トランプ大統領の政策は、さまざまな反論を受けるだろう。すると、前に進むほど摩擦の痛みに苦しんで、相手からの合意を得やすい行動に変わっていく。要するに、自然と封じ込められる力が働いて、小ぶりに変わっていくというシナリオである。

だから、日米2国間の自由貿易協定(FTA)への合意など早々に決めるのは損だと考えられる。環太平洋連携協定(TPP)のような多国間協議に後から米国が乗ってくる可能性は十分にある。

<内向き化は不利>

3つ目は、時間が過ぎていくと、今は巨大な不透明要因に見えるトランプ大統領が相対的に小さくなっていくだろうという予想である。

トランプ大統領の政策は、今のところオバマ前大統領の政策をひっくり返す意味で混乱を大きくしている。暗黙のうちにトランプ大統領は、オバマ前政権のレガシーを引きずっている。人々が望んでいる政権は、次第に前任者の否定からトランプ大統領自身の成果へとシフトする。他人を批判するのはやさしいが、建設的に議論するのは難しい。

また、旧来からのモンロー主義が色濃くなると、米国の国際的な存在感は小さくなる。2017年は、欧州各国で選挙があり、中国でも政治局常務委員が交代する。これらの新しいイベントの中では、内向きになっていく米国は不利である。

2017年の出来事が過ぎていくと必ずトランプ大統領の不透明感は、現在の地平から見るよりも小さく見えてくることだろう。

*熊野英生氏は、第一生命経済研究所の首席エコノミスト。1990年日本銀行入行。調査統計局、情報サービス局を経て、2000年7月退職。同年8月に第一生命経済研究所に入社。2011年4月より現職。

*本稿は、ロイター日本語ニュースサイトの外国為替フォーラムに掲載されたものです。(こちら)

しばらくは円安・ドル高に振れる傾向続くだろうという大方の予想と同じ=麻生財務相 2017年 01月 31日
視点:トランプ円安は幻想、進む「米国の日本化」=青木大樹氏 2017年 01月 23日
コラム:米中対立、日本は「漁夫の利」得られるか=嶋津洋樹氏 2016年 12月 13日
http://jp.reuters.com/article/column-forexforum-hideo-kumano-idJPKBN15N0ET


 


 
コラム:中国の外貨準備高、越えた危険な一線
Special | 2017年 02月 8日 15:55 JST 関連トピックス: トップニュース


 2月8日、中国の外貨準備高は、憂慮すべき譲れない一線を越えたと言える。写真は人民元とドル紙幣。北京で昨年1月撮影(2017年 ロイター/Jason Lee)
Pete Sweeney

[香港 8日 ロイター BREAKINGVIEWS] - 1月末の中国外貨準備高が約6年ぶりに3兆ドルを割り込んだ。政府が資本流出を取り締まる中、減少ペースは鈍化した。しかし、象徴的な数字や目標、指数水準などに固執する国にしてみれば、憂慮すべき譲れない一線を越えたと言える。

中国の外貨が減少し続けているのは、次なる一線を守ろうとする試みが一つの要因。つまり、1ドル=7元を超える元安にしないということだ。中国人民銀行は1月にオフショアで介入を繰り返し、今やそれが理にかなうかどうかにかかわらず、その節目を守らざるを得ない状況にある。米財務省が4月の為替報告書で中国を為替操作国に認定する可能性があるのがその背景だ。

ただ、為替操作国認定はドルに左右される部分が大きい。もし長らく続くドル高がピークに近づいているなら、中国政府も安心できる。また、月130億ドル以下の外貨減少なら恐れることもない。国際通貨基金(IMF)の指針では中国に求められる外貨準備高の最低水準は2兆6000億ドルとされ、それに迫るには4000億ドル近い余裕があるからだ。

不幸なことに、元が底値付近にあると考えるエコノミストはほとんどおらず、年内にさらに5%かそれ以上下落するとの見方もある。もし中国が市場原理に完全に委ねるとしたら、おそらく急落という結果を招くだろう。それが資本流出を加速し、米国の報復を招くことになる。中国の外貨準備高の絶対的水準はまだ問題ではないが、それがどちらに向かっているかは懸念すべきだ。

●背景となるニュース

*人民銀行が7日公表したデータによると、1月末の中国外貨準備高は12月末から123億ドル減少し、2兆9980億ドルとなった。

*1月の減少幅は12月の減少幅(410億ドル)と比べて大幅に少なく、7カ月ぶりの低水準となった。

*元の切り下げが実施された2015年8月以来、約5000億ドル減少。それでも、中国の外貨準備高はなお世界最大。元は16年に対ドルで6.6%減少し、1994年以来の下落幅となった。

*筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています。


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アングル:ギリシャ再びデフォルト懸念、返済前に改革審査難航
News | 2017年 02月 8日 16:10 JST 関連トピックス: トップニュース

 
ビナのゼニツァで2015年6月撮影(2017年 ロイター/Dado Ruvic)
[ロンドン 7日 ロイター] - ギリシャ国債の民間投資家は、デフォルト(債務不履行)はもう二度と起きないという5年前に欧州当局が表明した約束を信用できなくなっているようだ。

こうした強い約束があったからこそ、ギリシャは民間投資家に対して債務の大幅な元本削減を実施してからわずか2年で国際金融資本市場へのスピード復帰を果たした。

その際に国債を買った投資家の理屈は単純で、2012年に債務再編の適用を免れた公的債権者が、今度は痛みを引き受けるべきだというものだった。

しかし新たなギリシャ国債の最初の返済が7月17日に予定される中で、ギリシャと公的債権者を代表する欧州連合(EU)、国際通貨基金(IMF)の話し合いは紛糾していることから、国債価格は公的債権者のリスク負担が実現しないリスクを織り込む水準まで下落している。

投資家にとって一番の懸念は、ギリシャの改革審査が7月初めまでに完了しない事態となれば、同国は債務返済の資金が確保できなくなるという点だ。

約300万ユーロのギリシャ債を保有するLBB─インベストのポートフォリオマネジャー、ルッツ・ローマイヤー氏は、ギリシャは債務を返済すると予想しながらも、果たして返済できるかどうか「若干の疑念」があると打ち明けた。

eMAXXのデータによると、このほかカルマニャック・ジェスティオンやルーミス・セイレス、パトナム・インベスト・マネジメント、PIMCOもギリシャ債に投資している。

ギリシャは最新の第3次金融支援を受け入れる見返りにさまざまな改革を実行することに合意したが、今年の選挙を前に国内有権者から反発を受けるのを恐れて支援条件を守っていない。

こうした中で7日の国債価格は額面当たり0.95ユーロで推移。償還期限が近づいて本来なら額面をやや上回っているべきところ、異例の低水準となった。トレーダーの話では、6%のデフォルト確率が織り込まれている。

ギリシャのクレジット・デフォルト・スワップ(CDS)のプレミアムも急騰し、今後5年間のデフォルト発生確率を50%近くと示す水準にある。

デフォルト確率は今後数週間でさらに高まってもおかしくない。複数の欧州当局者は、20日に開く次回のユーロ圏財務相会合までに、ギリシャは問題点を解決する必要があると警告している。これを過ぎると3月のオランダを皮切りに、9月のドイツまで主要国が相次いで国政選挙に突入し、交渉が政治的に難しくなるとみられるからだ。

<時間との闘い>

1月26日のユーロ圏財務相会合では、債権団がアテネに戻って改革審査を完了するスケジュールを設定できなかった。ギリシャ側は今月7日、債権団の要求の一部は「非論理的」と批判し、歩み寄りの気配は見えない。

ソシエテ・ジェネラルのエコノミスト、Yvan Mamalet氏は「EU諸国の政治日程が立て込んでくれば、改革審査を完了するのは極めて困難なことが判明するだろう。だからこそ、3月初頭が合意に達する可能性がある最後の時期に思える。これを過ぎれば、7月の債務返済も厳しくなる」と指摘した。

ギリシャ第3次金融支援にIMFが参加するかどうか分からないことも、同国の返済ができなくなるリスクを高めかねない。IMF内には、ユーロ圏が課した財政目標に反対し、ギリシャに債務軽減措置を提供すべきだとの声がある。

ギリシャの主要債権者であるドイツは、IMFの関与は第3次支援に必要不可欠だと強調している。ショイブレ財務相は、ビルト紙のインタビューで、IMFが手を引くようなら、ギリシャのユーロ圏離脱に賛成するとまで言い切った。

ショイブレ氏の発言は極端かもしれないが、UBSのストラテジストは、IMF抜きの新たな合意が成立したとしても、欧州各国の議会が承認するまでに時間が必要で、それ自体がギリシャのデフォルトリスクを高めると予想している。

(John Geddie記者)

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ギリシャ、経済成長促進には年金予算削減や減税が必要=IMF 欧州、火種絶えず−債券緊張 日銀長期金利ゼロ%を堅持、牽制
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