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金融所得税率引上げは大衆増税 マイナス金利導入1年〜地銀苦しい IoT・AI 賢くなっていくAIと生きていく子供たちへ
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投稿者 軽毛 日時 2017 年 2 月 27 日 21:03:25: pa/Xvdnb8K3Zc jHmW0Q
 

金融所得税率引上げは大衆増税
2017年2月23日
金融調査部 制度調査担当部長 吉井 一洋
2017年2月3日に平成29(2017)年度の税制改正関連法案が通常国会に提出された。証券・金融関連の税制改正項目の目玉は、積立NISAの導入、一般の所得税では、配偶者控除の見直しが注目されている。その一方で、今回の年度改正の過程で、マスコミ等に取り上げられることはほとんどなかったが、検討されていた項目がある。それは金融所得の税率引上げである。

例えば、政府の税制調査会の資料では、「金融所得の分離課税の税率を国税、地方税合わせて20%から25%に引き上げていく」ことを検討すべきという意見が掲載されている(※1)。経済同友会は株式の譲渡所得と配当の税率に限定して20%から25%への税率引上げを提案している(※2)。

いずれも、金融(又は株式)所得の20%税率の適用が、所得税の再分配機能をゆがめており、是正のために税率の引上げが必要という主張に基づく。これらは、政府税調などで示されたある資料(※3)をベースに議論がされている。それは年間の税額を所得金額で割った平均税率が、年間所得1億円を超える層から低下していることを示すものである。しかし、この資料には、特に下記の点で偏りが見られる。
●各所得者層の人数を考慮していない。年間所得が1億円を超える層の納税者全体に占める人数割合は0.03%にすぎない(国税庁統計に基づき筆者試算)。
●富裕層だけでなく、中低所得者層の金融所得の税率も20%から25%に引き上げられる。むしろこの層の課税強化への影響が大きい。政府税調の資料も経済同友会の資料も確定申告で納付された税額に基づいており、源泉徴収ありの特定口座で申告なしで納付した税額や申告不要を選択した配当所得は含まれていないため中低所得者層には影響が少ないように見えるが、例えば、一般のサラリーマン層の場合は、むしろこれら申告なしに分類されるものが多いと思われる。

そこで、申告なしで納付した税額を、各所得者層別に推計・配分して修正してみると、図表のようになる(※4)。金融所得の税率を5%引き上げた場合、年間400万円から600万円あるいは1,200万円前後の層からの税収増が大きいことがよくわかるだろう。

即ち、金融所得税率の引上げというのは、富裕層への課税強化に見せかけた大衆増税なのである。ちなみに図表は、株式の配当や譲渡による所得のみを対象としており、公社債の利子・預貯金の利子などは含めていない。金融所得一体化を推進する中で金融所得の税率を引き上げるということであれば、これらの税率も5%引き上げられることになり、大衆増税的な側面はより強くなろう。預貯金の利子の税率はそのままで、既に金融所得一体化の対象とされている株式、投資信託や公社債の税率のみが引き上げられるのであれば、リスクを負った投資は阻害されることになる。株式のみ税率引上げということだと、一体化を現状よりも後退させることになる。

わが国の場合、納税者の85%程度は、所得税・住民税合わせた適用税率が20%以下であり、5%引き上げると通常の所得よりも金融所得の税率の方が高くなる。特に、配偶者控除の適用が受けられなくなる年間所得1,000万円超の給与所得者など中堅所得者層にとって大きな打撃となろう。金融所得税率引上げは「貯蓄から資産形成へ」という国策から考えても、慎重に考えるべきであろう。(※5)

金融所得税率引き上げによる「平均税率」(所得税)と税収に与える影響

http://www.dir.co.jp/library/column/20170223_011746.png


(※1)2016年度第5回税制調査会「説明資料〔所得税B〕」(平成28年10月25日 財務省)7頁
(※2)経済同友会「未来への希望を拓く税制改革」(2016年10月3日)17頁
(※3)2015年度第24回税制調査会「説明資料〔所得税B〕」(平成27年10月23日 財務省)22頁
(※4)図表左軸の税率は所得税の税率のみ(個人住民税は+10%)
(※5)本稿では簡略化のため、復興特別所得税の記載は省略している。

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マイナス金利導入から1年〜業態別にみる銀行への影響
2017年2月27日
• 金融調査部 研究員 菅谷 幸一
日本銀行がマイナス金利政策を導入してから1年が経過した。マイナス金利政策の導入は、未曽有の国債金利の低下(イールドカーブのフラット化)をもたらしたが、その影響は特に金融機関の資金運用に大きく表れたと言える。
国内銀行の預貸業務に与えた影響に焦点を当ててみると、貸出金利は、それまでも低下傾向にあったが、マイナス金利政策の導入で一段と低下ペースを強めた。こうした貸出金利の低下は、@預貸金利鞘(=貸出金利−預金金利)をさらに縮小させた一方、A資金需要(借入需要)を喚起し貸出の増加につながったともみられる。ただし、こうした影響の表れ方や度合いは、業態により異なる。
@については、マイナス金利政策の導入によって、預金金利も低下したが、貸出金利に比べてその低下幅が小さかったため、預貸金利鞘の縮小が一層進んだ。これは、預金金利がすでにゼロ近傍にあり、引き下げ余地が小さいためである。業態別では、新規・ストックともに、概して都市銀行よりも地域銀行(地方銀行・第二地方銀行)の貸出金利の低下幅が大きくなった(※1)。これは、地域金融機関同士の競争が金利低下に拍車をかけているためと考えられる。
Aについては、都市銀行と地域銀行では、貸出の動きに違いが見られる(図表参照)。都市銀行では、マイナス金利政策の導入以前から増勢が弱まっており、導入後もその動きが続いたが、2016年秋頃から大・中堅企業向けを中心に増勢を強めている。一方、地域銀行の貸出においては、マイナス金利政策の導入後、中小企業向け・個人向けの増勢が強まっているものの、大・中堅企業向けは2016年半ば頃から減少に転じている(※2)。地域銀行がリスクテイクを強めている一方、都市銀行はむしろ慎重である様子が窺えよう。
地域銀行は、利鞘縮小の影響を大きく受けていることから、より高い利回りを求めて、また、取引先の拡大に向けて、今後も中小企業向け貸出をはじめリスクテイクを強めていく可能性が考えられる。ただし、地域銀行の貸出増加は、現在にかけて、アパートローンや住宅ローンなどの不動産分野が中心となっている点には留意が必要である。今後は、最近の金融行政方針に示されているように、事業性評価に基づく貸出や経営支援を広げていくことが求められるであろう。銀行の中小企業向け貸出が中小企業の経済活動にどのような影響を与えていくのか、合わせてみていく必要があるだろう。

http://www.dir.co.jp/library/column/20170227_011759.jpg

(※1)総合ベース。対前年同月比。日本銀行「貸出約定平均金利」「預金種類別店頭表示金利の平均年利率等について」「定期預金の預入期間別平均金利(新規受入分)」に基づく。
(※2)対前年同月比。日本銀行「預金・現金・貸出金」に基づく。

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執筆者紹介
• 菅谷 幸一Koichi SUGAYA
リーマン・ショックを契機とする世界金融危機の発生を受け、金融システムの安定化や危機の再発防止に向けた、国際的な金融制度改革の取組みが進展しています。多くの分野では、各論の議論が大詰めを迎えつつあるか、あるいは、各国・地域での法制化・実施の段階に入ってきており、今後、個別分野毎に策定された規制が複合的に実施されていくことになります。金融規制は複雑化しており、事前の検証や想定とは異なる影響が金融市場ひいては実体経済に及ぶかもしれません。このような観点から、金融制度改革の取組みを踏まえつつ、金融セクター及び金融資本市場の動向や規制強化による影響について、調査研究を行っていきたいと思っています。

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http://www.dir.co.jp/library/column/20170227_011759.html 

 


IoT・AIの発展と教育が目指すもの
2017年2月24日
常務理事 道盛 大志郎
昨年末に、二つの国際的な学力調査の結果が相次いで発表された。一つはTIMSSで、国際教育到達度評価学会が、小学4年生と中学2年生を対象に4年毎に実施している。もう一つはPISAで、OECDが、高校1年生を対象に3年毎に実施している。その二つが重なり、いずれもがなかなかの好成績であった。

学校で学んだ知識・技能がどれだけ習得されているかを測定するTIMSSは、算数・数学は小中学生ともに前回と同じ世界5位、理科ではいずれも順位を上げて小学生が3位、中学生が2位であった。

学んだ知識・技能を実生活の課題にどの程度活用できるかを評価するPISAは、読解力が順位を落として世界8位となったものの、数学的リテラシーは5位、科学的リテラシーは2位と堂々たる成績であった。

これらの調査の成績は、2000年代前半に目に見えて低下し、特にPISAについてはOECD諸国平均にまで落ち込む分野も出て、「ゆとり教育の悪しき影響」と随分話題になった。それが、2000年代終わり頃から回復傾向を見せ、今回の両調査においては、初めて文部科学大臣がコメントを出すまでに至っている。

筆者は長らくの間、我が国の長所をよく表現してくれる指標として、これらの調査に注目していた。日本の強みを話す際のネタにもよく使った。しかし、ここ数年は躊躇するようになっていた。その理由は、もちろん、IoT(モノのインターネット化)やAI(人工知能)をはじめとする、IT技術の目覚ましい進歩である。これらの進歩によって、IoTやAIで代替できる仕事の範囲が着々と広がり、人との役割分担は変わっていく。労働人口の約半分は20年以内に代替可能との試算もある。しかも、その影響の表れ方は、我が国にとって、より厳しい試練になると思ったからだ。

IoTやAIは、さまざまなデータ同士を瞬時に繋ぎ合わせたり、膨大なデータを瞬時に処理しながら、状況を分析し、解決策を提示し、プロセス全体を制御・管理していくことができる。しかも、それを人間では考えられないスピードで行い、学習して自らを向上させていくこともできる。そうすると、人間でいえば、当たり前のことを上手に正確にこなしたり、事態を着実に把握しながら小さな改良やカイゼンを積み上げていったり、匠の技術や高度な擦り合わせにより丁寧なモノづくりをしたり、といったことは、いずれ人間離れしたこれらの技術に凌駕されていくことになるであろう。これらは、取りも直さずこれまで日本の強み、日本の美徳とされてきた事柄だ。

TIMSSやPISAが測定する能力は、これからも、日本国民のスムーズな家庭生活や社会生活の基盤を担ってくれるであろう。しかし、我が国の産業や経済が、世界に伍して発展していくに当たっての指標にはなり得ない。世界のどの国も、同じIoTやAIを購入しさえすれば、これまでの日本の強みを再現できてしまうからだ。

したがって、これから教育が注力しなければならないのは、IoTやAIが苦手な分野、例えば創造力とか、抽象的論理の思考力とか、微妙な感情を理解し対応する能力とか、高度なコミュニケーション能力とか、でなければならないと思う。しかもそれらをかなり高いレベルで達成していく必要がある。こうした能力も、部分的には、IoTやAIが代替してしまうであろうからだ。

こうした問題意識は、今般発表された学習指導要領に盛り込まれてはいるが、内容的にはこれまでの路線を継承した上での接ぎ木のようなものであるし、何よりも、入試や塾の在り方も含めた教育全体にメスを入れていかなければ、結局は何も変わらない。また、中国などの背中が遠くなり始めた大学ランキングに象徴されるように、高等教育の強化も喫緊の課題であろう。

TIMSSやPISAでの復活は、喜ばしい出来事ではあるものの、その意義は、急速に限定されつつあるように思う。

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コメント
 
1. 2017年2月27日 21:43:25 : nJF6kGWndY : n7GottskVWw[3710]

>金融所得税率引上げは大衆増税

ただし金を持っている大衆ほど、たくさん納税することになるw


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