★阿修羅♪ > 経世済民120 > 719.html
 ★阿修羅♪  
▲コメTop ▼コメBtm 次へ 前へ
遠のくトランプ大減税、米景気悲観は不要 ドル110円割れは買 相場の落とし穴 中国にトランプ報復で好機 ECB金政策維持
http://www.asyura2.com/17/hasan120/msg/719.html
投稿者 軽毛 日時 2017 年 4 月 06 日 20:06:56: pa/Xvdnb8K3Zc jHmW0Q
 

FX Forum | 2017年 04月 6日 18:57 JST 関連トピックス: トップニュース
コラム:
遠のくトランプ大減税、米景気悲観は不要

竹中正治龍谷大学経済学部教授
[東京 5日] - 税制改革、インフラ投資と並んでトランプ政権の目玉の1つだった医療保険制度改革法(オバマケア)の改廃法案の可決に失敗したことで、同政権の先行きに不透明感が濃くなった。

議会共和党の幹部とトランプ大統領は、税制改革法案の組成に向かうと言っており、同政権への期待はまだ剥落していない。しかし、税制改革について議会共和党の首脳部は財政赤字を膨張させない「歳入中立(revenue-neutral)」の方針を貫こうとしているようだ。国境調整税の導入や法人税率の引き下げを伴う改革も、税収入全体ではあまり減らないものになる可能性が高い。

つまり「トランプ大減税で今後10年間に4―6兆ドルの減税」という選挙キャンペーン、並びに大統領就任直後まで語られてきた減税の「大盤振る舞い」が実現する可能性は大きく後退しつつあると考えた方が良いだろう。そうなれば大減税がもたらす短期・中期的な景気の大上振れというシナリオも消える。

それでは期待剥落で株価もドル相場も急落、長期金利も低下基調になるかと言うと、それほど単純でもない。なぜなら米国の実体経済は水準としては底堅く、方向としては上向いているからだ。今後は過剰な期待の下方修正と底堅い実体経済の双方がどの辺に収束するかがポイントとなる。本論では、こうした条件下での2018年末までの長期金利を推計してみよう。

<高い景気楽観度と低い大統領支持率のパラドックス>

まず現下の米国経済の様相は、景気の先行きに対する各種の信頼感指数(confidence index)が実体経済の動向を超えて大きく上振れていることが特徴だ。これは消費者から大企業、中小企業の経営者まで広範囲に見られる。

例えば米国のコンファレンス・ボードが公表する消費者信頼感指数は2016年10月の100.80から直近3月は125.60に急上昇し、リーマン・ショック前の高値である2007年8月の111.90の水準を超えている。

また、大企業経営者の景況感調査であるCEOエコノミック・アウトルック指数(四半期ベース)は、2016年10―12月期の74.2から2017年1―3月の93.3に19.1ポイント上昇している。四半期の上昇幅としては2009年10―12月期以来の大きさだ。

さらに、中小・個人事業経営者層の同種の調査データであるNFIB(National Federation of Independent Business)小規模事業楽観度指数は、2016年10月の94.1から直近3月の105.3に急上昇している。これは2004年1月の107.70に次ぐ高さだ。

ところが一方で、トランプ大統領に対する支持率は、ギャロップの調査によると35%で、就任後間もない大統領への支持率としては異例なほど低く、不支持率は59%と高い(3月28日時点)。このパラドックスをどのように理解したら良いのだろうか。

もちろん、雇用、賃金、企業利益など2016年まで緩やかな回復が続いてきたので、その累積的な変化が消費者から経営者層まで主観的な景気楽観度(confidence)を押し上げている面はある。海外の景気も穏やかに上向いてきた。しかし、それだけでは各種の景気楽観度指数が2016年11月を境にそれまでのトレンドから上方屈折的に急上昇していることを説明できない。上方屈折が生じたタイミングから判断して、こうした主観的な景況感の急上昇も「トランプ現象」の一部と考えられる。

筆者が考えるに、このパラドックを説明できるのは「隠れトランプ支持者仮説」である。選挙前の大統領候補支持率調査ではトランプ候補は地域別支持調査でも明らかに劣勢だった。ところが、実際の大統領選挙結果ではトランプ票が意外に伸び、大逆転の結果となった。このギャップの説明として指摘されたのが「隠れトランプ支持層」の存在だ。彼らは選挙前の候補者調査では「トランプ候補支持」とは答えなかったが、選挙では同氏に票を投じたわけだ。同様のギャップが大統領支持率調査と景況感の調査の間に生じているのではなかろうか。

つまり「あなたはトランプ大統領を支持しますか」と問われると、就任後も大統領にふさわしくない言動を繰り返している同氏を「支持します」と答えることに躊躇(ちゅうちょ)する。しかし、既存の政治家・政党にうんざりし、トランプ大統領が何かしらの快挙を遂げ、経済的なブームを起こしてくれると密かに期待している人たちが意外に広範に存在していると考えると、上記のパラドックスは辻褄(つじつま)が合う。

もっとも、「隠れトランプ支持者」というのは一種の比喩であって、実際はそうした心情的な傾向が広範に存在していると言った方が適切だろう。この推測が正しければ、今後トランプ政権の支持率の実相は、政治面の支持率調査に上記の景気楽観度指数類を参照して判断すべきだろう。

そうした期待の一方、経済学の目で見れば、トランプ政権の掲げる政策の中に米国の長期的な経済成長率を押し上げるようなものは、ほとんど見いだせない。「規制緩和政策」にはそうした可能性があるが、成長促進のための規制改革という難しい調整を実行できる能力を同政権が備えているようには見えない。大看板の保護主義政策や反移民政策は成長マイナス政策である。

短期・中期的に唯一景気を上振れさせる可能性のあった大減税やインフラ投資による拡張的な財政刺激は、冒頭に述べた通り、議会共和党の首脳部の意向で実現しそうにないか、あるいは大幅にスケールダウンしそうである。したがって、いずれ過剰な期待は剥落し、高騰した景気楽観度指数類は実体経済に見合った水準まで低下するだろう。

<実体経済の底堅さが救い>

ただし、それは必ずしも悲観的なシナリオを意味しない。前回コラム「日本経済の春はいつまで続くか」(2017年2月27日付)で述べた通り、2009年を底に始まった米国経済の回復は失業率が4%台後半(4.8%、2017年2月)まで下がった結果、景気回復の終盤局面に入り始めてはいるが、まだ回復継続の余裕はある。

米株価にはやや高値感も出ているが、リーマン・ショック前やITバブル時のような金融・投資面で目立った過剰な信用膨張や不均衡も生じていない。自動車ローンの延滞率上昇を懸念する向きもあるが、自動車ローンは米国家計債務に占める比率で10%以下であり、その延滞率の上昇は住宅ローン危機のようなマクロ経済に大ショックを起こすものにはなり難い。

大きな外生的なショックがなければ、次の米国の景気後退は物価上昇を受けた金利上昇によってブレーキがかかるという戦後典型的に繰り返されたものになろう。むしろ今の局面で大減税などやってしまう方が、不必要な景気の過熱から、金利高とドル高を経て、その後の反動的で大きな景気後退を起こすリスクが高まるだけだ。

次に米連邦準備理事会(FRB)が予想(3月公表時点)する2.1%程度の経済成長が2018年末まで続いた場合、長期金利(10年物国債利回り、2.4%、3月31日現在)がどの程度上昇するか、推計してみよう。

トランプ相場が始まる前の当コラム「ドル長期金利はどこまで上がるか」(2016年9月27日付)では、ドルの長短金利格差と国内総生産(GDP)ギャップの相関関係の高さに注目し、推計を行った(因果関係としてはGDPギャップの変化が原因、長短金利格差が結果)。

GDPギャップとは、実際のGDPと経済がフル稼働した場合に実現できる潜在的なGDP成長の乖(かい)離度を示すものだ。需要不足の景気後退局面では「実際のGDP<潜在GDP」となり、GDPギャップはマイナスとなる。景気が回復するに伴いGDPギャップのマイナスは縮小し、好況期にはプラスに転じる。連邦議会予算局(CBO)の直近の推計では2016年10―12月期のGDPギャップはマイナス0.9%である。

その後の検証で、長期金利(10年物米国債利回り)の変化は、1)GDPギャップ、2)短期金利(翌日物フェデラルファンド金利)の2つの独立変数を使った重回帰分析で高いレベルで説明できることがわかった。期間2000―16年の月次データによる回帰分析の結果、変数間の関係性は有意(関係性が偶然でない)で、説明度を示す決定係数(R2)は0.82である。これはGDPギャップと短期金利の変化で長期金利の変化の82%を説明できることを意味する。

また、それぞれの変数の関係を見ると、短期金利の1%ポイントの上昇は長期金利を0.63%ポイント上昇させる。さらにGDPギャップ1%ポイントのプラスの変化は長期金利を0.20%ポイント低下させる。掲載図には10年物米国債利回りの実績値と推計値を示した。もちろん推計値は実績値とぴったり重なりはしないものの、そのトレンドによく沿っていることがわかる。

http://static.reuters.com/resources/media/editorial/20170404/fxforum.gif

「GDPギャップのプラスの変化(=景気回復の進行)が長期金利を低下させる」との点に首を傾げる読者もいるだろう。しかし、昨年9月の論考で述べたように、GDPギャップと長短金利格差には負の相関があることを想起していただきたい。

景気後退局面への移行局面(GDPギャップはマイナスに変化)では、金融緩和で短期金利が長期金利よりも急速に低下するので長短金利差は拡大する。一方、景気回復の終盤局面(GDPギャップはプラス)では金融引き締めで短期金利は高水準になるが、景気の天井感が次第に強まり、長期金利は上げ渋るので長短金利差はむしろ縮小する。この結果、GDPギャップと長短金利差の関係は負の相関となる。こうした事情が働いているので、長期金利を短期金利とGDPギャップの2つの要因(説明変数)で回帰分析すると、GDPギャップと長期金利の関係には負の相関が見られることになるのだ。

また、経済・金融現象の時系列的な回帰分析は対象期間を変えると、変数間の関係性を含む回帰結果ががらりと変わってしまうことがよくある。しかし、期間を1990―2016年、2005―16年に換えて同様の分析をしても、安定的に同じ関係性が見られることを言い添えておこう。

<米10年債利回りは来年3%超えへ>

さて、以上の回帰分析で得られた推計式を使用し、3月に公表されたFRBの経済見通しに従って2018年末までの長期金利を推計してみよう。FRBの見通しでは、実質GDP成長率は2017年、2018年とも2.1%、フェデラルファンド金利は2017年末1.4%、2018年末で2.1%である。これは0.25%の金利引き上げを年平均3回実施した場合(今後2018年末まで5回)にほぼ等しい。

この想定で得られる10年物米国債利回りの予想推計値は、2017年末で3.0%、2018年末で3.5%となった。ちなみに期間1990―2016年から得られる推計式を使うと2018年末の予想値は3.4%、同じく2005―16年では3.1%となる。

もちろん、この種の推計は確率的なブレを伴うものだ。大ざっぱに可能性の高いブレの範囲は2%台後半から4%前後程度のレンジとなる。結論として、2018年末までには10年物米国債利回りは3%を超える可能性が高いと考えておくべきだろう。とりわけ昨年暮れから年初にかけた米国長期債の利回り上昇・価格低下で評価損を被った債券投資家には要注意の予想である。

今後の税制改革案で減税が大幅にスケールダウンする、あるいは税制改革法案自体が行き詰まれば、消費者や経営層の過剰な景気楽観度は低下、調整を免れない。それに伴い株価やドル相場も下落、調整局面となる可能性が高い。

しかし、実体経済の回復が継続し、FRBの穏やかな金利引き上げシナリオが続く限り、拡大する金利格差がドル相場の下落を底支えすることになろう。その結果、ドル相場の対円での下落はそれほど大幅なものとならず1ドル=100円台にとどまるのではなかろうか。もっと深いドル安・円高は、米国経済が再び次の景気後退に入る時になるだろう。

*竹中正治氏は龍谷大学経済学部教授。1979年東京銀行(現三菱東京UFJ銀行)入行、為替資金部次長、調査部次長、ワシントンDC駐在員事務所長、国際通貨研究所チーフエコノミストを経て、2009年4月より現職。経済学博士(京都大学)。最新著作「稼ぐ経済学 黄金の波に乗る知の技法」(光文社、2013年5月)

*本稿は、ロイター日本語ニュースサイトの外国為替フォーラムに掲載されたものです。

(編集:麻生祐司)

*本稿は、筆者の個人的見解に基づいています。

*このドキュメントにおけるニュース、取引価格、データ及びその他の情報などのコンテンツはあくまでも利用者の個人使用のみのためにコラムニストによって提供されているものであって、商用目的のために提供されているものではありません。このドキュメントの当コンテンツは、投資活動を勧誘又は誘引するものではなく、また当コンテンツを取引又は売買を行う際の意思決定の目的で使用することは適切ではありません。当コンテンツは投資助言となる投資、税金、法律等のいかなる助言も提供せず、また、特定の金融の個別銘柄、金融投資あるいは金融商品に関するいかなる勧告もしません。このドキュメントの使用は、資格のある投資専門家の投資助言に取って代わるものではありません。ロイターはコンテンツの信頼性を確保するよう合理的な努力をしていますが、コラムニストによって提供されたいかなる見解又は意見は当該コラムニスト自身の見解や分析であって、ロイターの見解、分析ではありません。

ロイターをフォローする
あわせて読みたいRecommended by
コラム:ドル長期金利はどこまで上がるか=竹中正治氏

コラム:遠のくトランプ大減税、米景気悲観は不要=竹中正治氏
トランプ氏のウルトラ財政出動、ドル高止まらぬリスク内包
コラム:トランプノミクスと日本の蜜月が終わる時=竹中正治氏
http://jp.reuters.com/article/column-masaharu-takenaka-idJPKBN1761US?sp=true


 


 


FX Forum | 2017年 04月 6日 11:59 JST 関連トピックス: トップニュース
コラム:ドル110円割れは買いか、3つの根拠

植野大作三菱UFJモルガン・スタンレー証券 チーフ為替ストラテジスト
[東京 5日] - 2017年度が幕を開けた。例年、桜の季節を迎えると、本邦の為替市場関係者の間で「新年度のドル円相場」を巡る論戦が活発化する。以下、筆者の見解を述べておきたい。

まず目先の相場展開については、円高気味のスタートを想定している。毎年、新しい会計年度が始まると、「本邦投資家による新年度の外国証券投資が動き出す」「金融商品販売各社の期初商いが活発化する」などの思惑を背景にした円安期待が強まりやすいが、今年度に限れば、それを妨げる要素がたくさんある。

最初に、米国ではトランプ大統領の目玉公約だった医療保険制度改革法(オバマケア)代替法案の下院採決が頓挫したことで、米新政権の政策遂行力に対する疑念が明滅している。市場の期待の本丸である米税制改革やインフラ投資の可視化が遅れることへの焦燥感が漂っており、当面はドル円相場の上値を抑える心理的な重しになりそうだ。

次に、この先の政治日程を眺めると、トランプ政権下で新設された「日米経済対話」の初会合が4月中旬に予定されている。来日するペンス米副大統領やロス商務長官による厳しい対日要求への警戒感が広がっているほか、米財務省が近く公表する「為替報告書」でも日本の通商・金融・為替政策に対する批判的記述があるかもしれないとの懸念が渦を巻いている。

加えて、すでに佳境入りしているフランス大統領選挙についても、5月7日の決選投票で極右政党・国民戦線(FN)党首であるルペン候補の敗退が確定するまではフランスの欧州連合(EU)離脱いわゆる「フレグジット」への警戒モードを解除できない。事前の世論調査ではルペン候補の敗色は濃厚であり、市場経済派のマクロン候補(元経済相)が勝利しそうだが、昨年の英国民投票や米大統領選挙は世論調査通りの結果にならなかった。

為替の神様のいたずらか、奇しくも仏大統領選挙の決選投票は日本のゴールデンウィーク最終日に行われる。古参のドル円ファンたちは、「日本人が休みの間に相場が荒れた」記憶を非常にたくさん持っている。

このため、日本の連休明け頃までは、本邦在住の為替市場関係者の間にリスク許容度の緩和による円安気運が広がることを期待し難い。どちらかと言えば上値が重く、下値の柔らかい地合いが続くのではないか。もしも節目の1ドル=110円を割ってストップロスを誘発した場合、さらに数円程度の余地で円高が進む可能性はあるだろう。

ただし、仮に目先110円を割り込んだ場合でも、定着するレベルではないと考える。今年度のドル円相場について、筆者は「買いたい弱気派」に所属しており、110円割れのレベルでは、むしろ買い下がりで臨みたい。理由を3つ挙げておく。

<過大評価されるルペン・リスクと日米通商摩擦懸念>

第1に、仏大統領選挙は「ルペン敗北・マクロン勝利」で決着するだろう。いわゆる「政治ネタ」に予断を持つのは禁物だが、メインシナリオを決めずに相場の予測はできない。昨年の英国民投票や米大統領選挙が「まさか」の結果になった後、両国から伝わってくる諸々の報道は、大方のフランス人にとって他山の石になっていそうだ。

あくまで私見だが、現在の英国や米国を見て、「自分の国もあんな風になりたい」と考えるフランスの有権者が過半数を超えそうだとは思えない。仏大統領選挙が終了した後の為替市場では、恐らく「ルペン・リスク」からの解放感が広がるだろう。

第2に、日米通商摩擦による円高リスクを筆者はあまり重視していない。米国の対日貿易赤字の大きさから見て、今後の2国間交渉で何らかの改善策は要求されそうだが、プラザ合意前に240円を超えていたドル円相場が一時70円台になっても米国の対日赤字はなくならなかった。目に見える結果を早く求めるトランプ政権は、日本に対して為替よりも直接的で即効性のある不均衡の解消策を求めてくるのではなかろうか。

もちろん、日米間の通商協議が行き詰った場合は、交渉の道具として為替口先介入や文書介入による「円高カード」を切ってくる可能性はある。だが、3月の当コラムで指摘したように、近年のドル円市場の売買金額は、年間約2京4700兆円程度に膨張している。

為替市場よりはるかに規模が小さい国内外の債券・株式市場でも、長期金利や株価は政治家が意のままに動かすことはできない。独立した中央銀行による金融政策と自由な国際資本移動が確立されている2国間の為替レートは、政府による操作がより困難なはずだ。

あくまで筆者の見解だが、日米両国でどんな要職にある人物でも、特定の政治家や閣僚が為替相場に対する自らの想いを口頭や文書で伝えるだけでは、せいぜい数日から数週間、長くても数カ月程度の一時的ショックを市場に与えられるだけだ。長期間にわたってドル円の上下限を制限し続けたり、長期的なすう勢を支配したりすることは、無理な時代になりつつあると考えている。

<日米金融政策格差によるドル円上昇圧力が再浮上>

第3に、衆目に明らかな日米金融政策の印象格差が今後一層鮮明になり、次第に「政治的ノイズ」による円高観測を凌駕し始めるだろう。まず米国サイドでは、いわゆる「トランプノミクス」への期待が急速に萎える中でも景気が堅調に推移、「一刻も早くトランプ財政が発動しなければ失速する」との危機感は漂っていない。

現在、主要通貨圏では米国だけで孤高の利上げが進行しており、トランプ政権の迷走を目の当たりにしても、米連邦公開市場委員会(FOMC)メンバーからは、今年3月に実施した利上げを含めて「年内3回」程度の実施を支持する発言が相次いでいる。

昨年末の記者会見でイエレン米連邦準備理事会(FRB)議長は、ほぼ完全雇用状態に達した米国経済に財政刺激は「明らかに必要ない」と述べていた。一般に、民間の活力で経済がうまく回っている間、規制緩和以外の政策について、政府はむしろ「何もしない」のが一番良かったりする。足元の米国経済はそんな状態にあるのではないか。

次回の米利上げは6月に実施される可能性が高く、マーケット・トークの題材としてはすでに相当織り込まれている。だが、ドルの短期調達コストや運用利回りが今の水準からさらに0.25%程度の幅で上昇した場合、その影響を回避できない国内外の投機家や投資家の為替売買行動に無視できないインパクトが及んでいくだろう。

翻って日本の金融政策に目を転じると、異次元緩和開始から4年が過ぎても「物価目標2%」の達成が視野に入っていない。「短期金利=マイナス圏に水没、長期金利=ゼロ%界隈に固定」という異例の金利操作は長期化の可能性が極めて高い。「インフレ率実績を目標から上振れさせる」という「オーバーシュート型コミットメント」を撤回しない限り、ベースマネーの漸増も続く仕組みになっている。

日銀の金融政策に対する評価は十人十色だが、筆者は日本中の金融機関、諸法人、個人投資家が安全かつ満足のいく円金利を稼げる機会を見いだすのがどんどん困難になっている点を重視している。仏大統領選挙絡みのモヤモヤ感が晴れる頃まで待つ必要はあるが、日銀が現在の超低金利政策を根気よく続けていれば、米追加利上げ観測の実現とともに、ドル高・円安圧力が表出してくる時期が早晩やってくるだろう。

年度後半に想定すべきドル円の上値めどをピッタリ当てる自信はないが、ひとまずは心理的節目の115.00円、そして昨年末高値の118.66円などを意識している。これらを抜いた場合はその時の状況を踏まえ、120.00円前後の攻防まで踏み込むか否かを検討したいと考えている。

*植野大作氏は、三菱UFJモルガン・スタンレー証券のチーフ為替ストラテジスト。1988年、野村総合研究所入社。2000年に国際金融研究室長を経て、04年に野村証券に転籍、国際金融調査課長として為替調査を統括、09年に投資調査部長。同年7月に外為どっとコム総合研究所の創業に参画、12月より主席研究員兼代表取締役社長。12年4月に三菱UFJモルガン・スタンレー証券入社、13年4月より現職。05年以降、日本経済新聞社主催のアナリスト・ランキングで5年連続為替部門1位を獲得。

*本稿は、ロイター日本語ニュースサイトの外国為替フォーラムに掲載されたものです。

(編集:麻生祐司)

*本稿は、筆者の個人的見解に基づいています。

*このドキュメントにおけるニュース、取引価格、データ及びその他の情報などのコンテンツはあくまでも利用者の個人使用のみのためにコラムニストによって提供されているものであって、商用目的のために提供されているものではありません。このドキュメントの当コンテンツは、投資活動を勧誘又は誘引するものではなく、また当コンテンツを取引又は売買を行う際の意思決定の目的で使用することは適切ではありません。当コンテンツは投資助言となる投資、税金、法律等のいかなる助言も提供せず、また、特定の金融の個別銘柄、金融投資あるいは金融商品に関するいかなる勧告もしません。このドキュメントの使用は、資格のある投資専門家の投資助言に取って代わるものではありません。ロイターはコンテンツの信頼性を確保するよう合理的な努力をしていますが、コラムニストによって提供されたいかなる見解又は意見は当該コラムニスト自身の見解や分析であって、ロイターの見解、分析ではありません。

ロイターをフォローする
あわせて読みたいRecommended by
コラム:ドル110円割れは買いか、3つの根拠=植野大作氏

コラム:トランプノミクスはアベノミクスの再来=村上尚己氏
日米首脳会談控え、積極的なドル買いは手控え=今週の外為市場
コラム:米大統領選、どちらが勝っても円高濃厚=唐鎌大輔氏
http://jp.reuters.com/article/column-forexforum-daisaku-ueno-idJPKBN17706E

 

 

 
Column | 2017年 04月 6日 11:25 JST 関連トピックス: トップニュース

コラム:米株高騰を招いたトランプ相場の「落とし穴」

James Saft

[3日 ロイター] - 米リフレ政策期待を背景とするいわゆる「トランプ相場」による株式市場の高騰は、2つの相互に関連する問題をはらんでいる。つまりそれは、トランプ大統領とバリュエーションだ。

トランプ政権が医療保険制度改革(オバマケア)代替法案を撤回したことで、減税、インフラ投資、規制緩和といった面でも同様の失敗が繰り返されるリスクが明確になった。株式市場のバリュエーションが歴史的に見て高水準にあり、米連邦準備理事会(FRB)が利上げ局面に入っている今日、こうしたリスクは大きな脆弱(ぜいじゃく)性の原因となっている。

大統領選挙後に見られたリスク資産の価格上昇を支える中心的な論理は、共和党がホワイトハウスと議会の双方を握ったからには、経済成長を加速するだけでなく、経済成長が企業の収益改善につながりやすくするような政策を強行するだろう、という考え方だった。

そのような動きが生じるのはこれからかもしれないが、S&P500銘柄に関して、株価売上高倍率が史上最高、過去10年間の収益で計算した株価収益率も、「ドットコム・バブル」の崩壊後には見られなかった高水準にあることを思えば、誤解の余地はほとんどない。

ヤルデニ・リサーチの市場ストラテジスト、エド・ヤルデニ氏は、「いずれも目がくらむほど高い水準だ。しかし、トランプ氏が規制緩和を進め、減税の実施に成功すれば、この水準も正当化されるかもしれない。彼の政策がGDP(国内総生産)成長率とS&P500社の売上高を押し上げるうえでどれだけ役に立つかは分からない。とはいえ、企業収益の追い風になるのは確かだ」と書いている。

「ただし、トランプ氏の勝利により、ファンダメンタルズやバリュエーションに関する合理的な評価とは何の関係もない、溶解システムを作動させたというリスクはある」

確かに、消費者信頼感指数や中小企業景況感指数などは上昇しているが、これらセンチメントに基づく経済指標と、実際に動いた金額を記録するよりハードな指標とのあいだには、顕著な乖離(かいり)が現れている。アトランタ地区連銀が発表する予測「GDPナウ」では、第1・四半期の米国の経済成長率は1.2%にすぎない。

もちろん、センチメントが独自の現実を生み出すことはある。だが、アナリストが予測する企業収益改善のペースは、選挙前よりも減速している。選挙前には、法人税減税も、海外利益の国内還流に対する減税措置も、甘い期待程度のものでしかなかったにもかかわらず、である。

政策による刺激によって促される前に、米国企業社会において投資、雇用、成長という好循環が突然始まると期待するのは、ばかげている。そのような政策変更が現在の政権運営のもとで行なわれると期待するのもリスクが大きい。実際にそうした政策変更が実現したとしても、その政策がうまくいくと見るのは憶測にすぎない。

<バリュエーションと将来利回り>

また、FRBの政策担当者のなかに、バリュエーションの高水準を指摘する声が増えつつあるという事実がある。これは恐らく、少なくとも今回は、彼らが金利設定の調整において、そうしたバリュエーションの高さを実際に織り込み始めている可能性を示唆している。

ボストン地区連銀のローゼングレン総裁は先週、FRBが引き締めのペースを加速すべき理由として「高水準の資産市場価格」を挙げ、一部の資産市場が「少し高めに」なっていると述べた。またサンフランシスコ地区連銀のウィリアムズ総裁も、特に株式市場は「少しバブル気味かもしれない」と指摘している。

ローゼングレン総裁同様、ウィリアムズ総裁は、FRBで金利決定を担当する連邦公開市場委員会において今年は投票権を持っていないが、財政政策への期待という点で市場は「少し現実よりも先走っている感がある」とも述べている。

市場の動きが実体経済に裏付けられ、財政・経済政策によって上げ相場がさらに拡大する可能性はあるが、他方で、市場の過熱を防ぐ意味も込めてFRBが金融引き締めを予想よりも加速させる可能性もある。

状況がどのように推移しようと、1つの事実は残る。過去の実績からして、将来の利回りが期待できないレベルまで、現在のバリュエーションが上昇してしまっているということだ。

いくつかの指標からすると、バリュエーションの中央値は世界的に過去最高の水準にあり、将来の利回りが、債券投資をわずかに上回る程度になることを示唆している。

ソシエテジェネラルのロンドン法人でクオンツストラテジストを務めるアンドリュー・ラプソーン氏は、「高いバリュエーションは将来の利回りを予想するうえで非常に参考になることが分かっている」と書いている。

「たとえば利回り2.0%以下(つまり配当よりも小さい)の債券よりも総利回りが大きければ、リスクがはるかに大きくても株式を保有する見返りとして十分だと考えるのであれば、今日のバリュエーションでもかまわないということになるだろう。株式投資にはリスクプレミアムが伴うべきだと考えるのであれば、今日の水準には問題がある」

現在の株式市場の投資家は、そろって現在のバリュエーションを容認する方向に賭けているが、トランプ政権が公約している、あるいは示唆している各種の計画の相当部分を実現しない限り、これが成功するとは考えにくい。

だが、米国において包括的な税制改革が最後に実施されたのは、1986年のレーガン政権時代である。時代も今とは大違いだし、共和党も現在とは大きく異なり、もっと一枚岩だった。それを考えると、これはリスクの高い賭けである。

税制改革が断片的で、海外利益の国内還流に対する減税措置のように手っ取り早く成果を挙げることを意図したものになるとしよう。減税分の大半は、自社株の買い戻しを通じて株式市場に還元されるだろう。

経済成長とインフレを20世紀の標準的な水準に押し戻すようなリフレーションが生じる可能性は、それよりもはるかに低い。株価は、最終的には確実に、この事実を反映するはずである。

*筆者はロイターのコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています。(翻訳:エァクレーレン)

アングル:米国株は割高にあらず、株価収益率の盲信は危険
コラム:今の金融市場は「根拠なき熱狂」か
コラム:今の金融市場は「根拠なき熱狂」か
http://jp.reuters.com/article/column-trump-rally-saft-idJPKBN17806P?sp=true

 

 

Business | 2017年 04月 6日 16:47 JST 関連トピックス: ビジネス, トップニュース

現行の金融政策スタンスから外れる必要性ない=ECB総裁

[フランクフルト 6日 ロイター] - 欧州中央銀行(ECB)のドラギ総裁は6日、現在の金融政策スタンスを見直す必要性はみられないと述べた。

当地で開催された会議で「記者会見の冒頭で一貫して示している認識から外れる理由はない」と述べた。

また「金利、資産買い入れ、フォワードガイダンスといったスタンスの構成要素に選択肢を設けるには、インフレ率が中期的にわれわれの目標に近づいており、あまり緩和的でない金融政策状況でもその状態が維持されると確信する必要がある」と指摘した。


ECBの超緩和策、リスクは一段と明確=独連銀総裁

緩和的な金融政策、現時点で適切─独連銀総裁=英FT
緩和的な金融政策、現時点で適切─独連銀総裁=英FT
ECB理事会メンバー2人、一段の緩和策必要ないと主張
http://jp.reuters.com/article/ecb-draghi-idJPKBN1780QQ

 

 

 Column | 2017年 04月 6日 18:10 JST 関連トピックス: トップニュース

コラム:中国に対するトランプ氏の「報復」が生む好機

Pete Sweeney

[香港 5日 ロイター BREAKINGVIEWS] - トランプ大統領は、「非常に困難」だと大統領自身が認める会談に向けて準備を進めている。中国の習近平国家主席は6─7日、米フロリダ州にあるトランプ大統領の別荘を訪れるが、米政権内の強硬派は、対中貿易赤字を減らすべく懲罰的措置を求めている。

貿易戦争となれば破滅をもたらしかねない。だが、愚行と何も手を打たないことのはざまには、外国企業への長年にわたる規制に対して報復する余地がある。そうなれば、中国で活動する米企業のみならず、窮地に立たされている中国の改革派にも歓迎されるだろう。

中国共産党は秋の党大会で指導部を刷新する予定だが、米中首脳会談について、一部の米外交官は圧力をかける絶好のチャンスと捉えている。中国の経済リベラル派から見ても、会談は建設的になり得る。彼らは長い間、金融サービスやテクノロジー、エンターテインメントなどの分野において外資参入の強化を推進してきたからだ。

中国の指導者層は米国のお化けを引き合いに出して、怖がらせることで改革を進めてきた。1990年代、当時の朱鎔基首相は、中国の世界貿易機関(WTO)加盟に関連した米国の要求を、国有企業改革の口実として利用した。

最近では、人民元が国際通貨基金(IMF)特別引き出し権(SDR)の通貨バスケットに採用されるとの見通しが、経済保守派に対し、為替と金利の管理を緩め、債券市場を開放するための説得材料となった。

とはいえ、中国が約束したにもかかわらず、世界第2位の経済大国の大部分において、外国人投資家は排除されたままである。同国では依然として国有企業が優位に立っており、過去2年間、政府による投資が経済を軌道に乗せてきた。

中国消費の「奇跡」を伝える話はいろいろあるが、世界銀行のデータによると、同国の家計消費は2015年、国内総生産(GDP)のわずか37%を占めるにすぎない。一方の米国は68%である。

何十年もの間、このようなゆがみに外国企業は寛容だった。改革の勢いに自信があったし、収益も伸びていたためだ。しかし現在、中国にいる米国企業の経営者たちは悲観的な見方を強めている。

在中国の米国商工会議所が1月に発表した調査によると、投資先としての中国の魅力は2012年以降、年々低下し続けている。また、ロジウム・グループのデータは、同期間中に米国が行った対中直接投資の価値が低下していることを示している。

その一方で、中国政府による保護は強化されている。

2025年までに国内の先進製造業の成長を促進し、付加価値の低い製造業からシフトを図る包括的な計画「中国製造(メード・イン・チャイナ) 2025」では、国内の外国ブランドを締め出し、国の支援を全面的に受けたバリューチェーンを強化することによって海外での競争力も高めることを提唱している。暴露系のメディアでは、ケンタッキーフライドチキン(KFC)やスターバックスのような外国企業を攻撃するキャンペーンも行われている。

<これぞ投資>

それ故、米国政府の仕事人間たちは一連の政策手段を打ち出している。1つの選択肢は、経済安全保障を検討するため、対米外国投資委員会(CFIUS)の権限を拡大することだ。CFIUSはもともと、機密の技術取得を防ぐために設立された。

もう1つの選択肢は、中国の産業政策によって損害を被った米産業界を代表して、米国政府が通商ルールに基づいて申し立てを積極的に行うことだ。

だが現在はやっている言葉は「相互主義」である。これは、中国の差別的な政策を自国企業に向かわせることによる完全報復へと道を開くことになるだろう。議員たちは、米国企業が中国で現在締め出されている業界に中国企業が投資するのを阻止するかもしれない。本土企業に現地で合弁事業を設立することを義務づけたり、主要テクノロジーの譲渡を求める可能性がある。

極端なことを言えば、米国は中国のオンラインサービスに対し、独自のネット規制を立ち上げることも可能だ。このようなシナリオにおいては、大連万達集団(ワンダ・グループ)の米映画館運営大手AMCエンターテインメント・ホールディングス買収のような企業買収も阻止できる。あるいは、買い戻すこともあり得るだろう。

理論的には、こうした手法が与える脅威は、中国に門戸を開放させ、米国のように行動させるには十分だろう。その一方で、最終的に米国が中国のようになってしまうリスクもある。

たとえそうだとしても、相互主義への選択的アプローチによって、中国の国民を苦しめることなく同国からより良い政策を引き出せるかもしれない。例えば、中国企業からの投資が阻まれても、米中どちらかの経済成長が必ずしも落ち込むわけではない。完全雇用に近づき、株式市場も記録的高水準にある米国は、中国のキャッシュにあまり飢えてはいない。

一方、中国は米国による投資を今なお必要としている。エンライト・スコット・アンド・アソシエーツの調査によれば、中国GDPの35%近くが、そして雇用の4分の1以上が、外国企業かその関連企業で占められている。そのような投資の大半は、とりわけハイテク業種においては米国企業で占められている。

残念なことに、トランプ大統領の照準は間違った方向に合わせられている。米国の対中投資よりも、自国に資本と雇用を取り戻すことを心配している。大統領はまた、米国で販売される中国製品のコスト増を求めている。このような考え方は、中国市民の多くから仕事を奪いかねない。UBSのアナリストによると、中国輸出企業の雇用者数は4000万人に上る。

中国の交渉担当者たちは、自称「取引の達人」であるトランプ大統領との実りある議論を楽しみにしている。もし米国大統領が、米国での貿易障壁を設けることより、中国での投資障壁を減らすことに重点を置くなら、中国政府内で鳴りを潜めている同調者に活力を与えることになるだろう。

*筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています。

*このドキュメントにおけるニュース、取引価格、データ及びその他の情報などのコンテンツはあくまでも利用者の個人使用のみのためにロイターのコラムニストによって提供されているものであって、商用目的のために提供されているものではありません。このドキュメントの当コンテンツは、投資活動を勧誘又は誘引するものではなく、また当コンテンツを取引又は売買を行う際の意思決定の目的で使用することは適切ではありません。当コンテンツは投資助言となる投資、税金、法律等のいかなる助言も提供せず、また、特定の金融の個別銘柄、金融投資あるいは金融商品に関するいかなる勧告もしません。このドキュメントの使用は、資格のある投資専門家の投資助言に取って代わるものではありません。ロイターはコンテンツの信頼性を確保するよう合理的な努力をしていますが、コラムニストによって提供されたいかなる見解又は意見は当該コラムニスト自身の見解や分析であって、ロイターの見解、分析ではありません。

ロイターをフォローする
あわせて読みたいRecommended by
コラム:トランプ大統領、北朝鮮に「禁断のカード」切るか

コラム:トランプ帝国主義が招くドル高と中国衰退=武者陵司氏
コラム:不安先行のトランプ円高は短命か=尾河眞樹氏
コラム:「絶望死」が増加する米国社会の暗い闇
http://jp.reuters.com/article/column-china-trump-idJPKBN1780Y7

 

Technology | 2017年 04月 6日 17:00 JST 関連トピックス: トップニュース

NTTが固定電話で新料金、24年から全国一律3分8.5円に

[東京 6日 ロイター] - NTT(9432.T)は6日午前に開かれた総務省有識者委員会で、2024年から固定電話の通話料金を全国一律3分8.5円にすると表明した。固定電話網(PSTN)をインターネットの技術を使ったIP網に移行するのに伴い変更する。

これまでは距離に応じて通話料金が高くなる仕組みだったが、新たに提供する「メタルIP電話」はIP網の特性を活かして全国一律の通話料金を採用。現状の市内通話3分8.5円を全国に拡大することで、長距離は大幅に安くなる。基本料金は現行水準を据え置いた。

固定電話網はIP網に移行するが、利用者宅までは従来のメタル回線を使う。変換装置は局舎に置かれるため、利用者宅の工事は不要で電話機もそのまま使える。

固定電話網の要となる交換機はすでに製造が停止されており、NTTによると2025年には維持限界を迎える。こうした状況を踏まえ、同社は同年までにIP網へ移行する構想を公表していた。

ただ、IP網に移行すると、事業者間の調整や一部サービスを終了する必要が出てくる。このため、総務省は情報通信審議会に電話網移行円滑化委員会を設置、IP網への移行で生じる問題などについて議論を進めている。

6日の委員会では有識者から、固定電話市場の更なる縮小が予想される中で、「(足元にメタル回線を使う)メタルIP技術に固定しないで考えていくことも必要なのではないか」といった意見も出ていた。

NTT東日本の矢野信二取締役は6日午後に開いた説明会で、東西合わせて2172万件(昨年末)の固定電話の回線数について「2024年には半分近くになると見込んでいる」と述べ、1000万件程度まで縮小するとの見通しを示した。

<二次答申に向けユニバ議論も>

固定電話の議論と切り離せないのが、ユニバーサルサービス制度との関係だ。現在、固定電話は国民生活に不可欠な通信サービス(ユニバーサルサービス)として指定されており、NTT東西会社は固定電話を誰もが使える料金で全国一律に提供する義務を負っている。

だが、携帯電話など新たな通信手段が台頭する中で、固定電話の利用率は年々低下しており、業界では制度が時代に即していないとの声も聞かれるようになってきた。

総務省有識者委員会はこうした点も議題に上げ、今年の夏から秋をめどに移行のあり方に関する二次答申を取りまとめる方針だ。

高市早苗総務相は2月14日、閣議後の記者会見で「将来を見据えて最低限度のサービスとして必要なものが何であるか、考える時期だと思っている」と述べ、見直しを示唆した。

*内容を追加します。

(志田義寧)

ロイターをフォローする
あわせて読みたいRecommended by
NTTが固定電話で新料金、24年から全国一律3分8.5円に

NTTとKDDI、ソフバンが固定電話規制で火花 総務省会議
固定電話の全国提供義務「議論を」、NTT社長が要望
携帯電話の新料金「わかりにくい」指摘相次ぐ、総務省会合
http://jp.reuters.com/article/ntt-fixedline-idJPKBN1780FG?sp=true
 

  拍手はせず、拍手一覧を見る

フォローアップ:


★登録無しでコメント可能。今すぐ反映 通常 |動画・ツイッター等 |htmltag可(熟練者向)
タグCheck |タグに'だけを使っている場合のcheck |checkしない)(各説明

←ペンネーム新規登録ならチェック)
↓ペンネーム(2023/11/26から必須)

↓パスワード(ペンネームに必須)

(ペンネームとパスワードは初回使用で記録、次回以降にチェック。パスワードはメモすべし。)
↓画像認証
( 上画像文字を入力)
ルール確認&失敗対策
画像の URL (任意):
投稿コメント全ログ  コメント即時配信  スレ建て依頼  削除コメント確認方法

▲上へ      ★阿修羅♪ > 経世済民120掲示板 次へ  前へ

★阿修羅♪ http://www.asyura2.com/ since 1995
スパムメールの中から見つけ出すためにメールのタイトルには必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
すべてのページの引用、転載、リンクを許可します。確認メールは不要です。引用元リンクを表示してください。
 
▲上へ       
★阿修羅♪  
経世済民120掲示板  
次へ