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日本の子どもの貧困分析 非正規労働者の組織化とその効果 同一労働同一賃金と日本の労働市場〜見られないジョブ型 
http://www.asyura2.com/17/hasan121/msg/334.html
投稿者 軽毛 日時 2017 年 4 月 23 日 00:16:27: pa/Xvdnb8K3Zc jHmW0Q
 

日本の子どもの貧困分析

2017年4月
明坂弥香
大阪大学社会経済研究所 特任研究員
伊藤由樹子
公益社団法人日本経済研究センター 主任研究員
大竹文雄
大阪大学社会経済研究所 教授
元内閣府経済社会総合研究所客員 主任研究官

要旨
本研究は、日本の子どもの貧困について、世帯属性の特徴とその変化を明らかにするため、『就業構造基本調査』を用いた分析を行った。本研究では、貧困指標として「相対的貧困」と「絶対的貧困」の2種類を用いた。この2種類の貧困状態をもとに、どのような特性を持つ世帯が貧困状態にあるのか、また、どのような要因によって貧困率が変化しているのかを明らかにした。さらに、貧困リスクと子どもの高校就学の関係についても分析した。
本研究の結果から、次の三点が明らかになった。第一に、子どもが貧困になっている確率が高い世帯の特徴は、1歳以下の小さな子どもがいる、世帯主が女性、世帯主の年齢が低い、世帯主の学歴が低い、子どもの数が多い、大人が一人の場合であった。第二に、1997年と2012年の間で貧困率の変化を要因分解すると、世帯属性の分布の変化は貧困率を引き下げる影響を与えた。一方、同一世帯属性での貧困確率の変化は貧困率を引き上げる影響を与えた。第三に、貧困リスクが高い子どもほど、高校就学率が低く、就業率が高い傾向にあった。ただし、高校生の年齢層における非就学・就業の割合は、1997年以降低下傾向にある。

全文ダウンロード
http://www.esri.go.jp/jp/archive/e_dis/e_dis337/e_dis337.pdf

日本の子どもの貧困分析別ウィンドウで開きます。(PDF形式 1.09 MB)

全文の構成

1ページ要約
2ページ1. はじめに
3ページ2. 貧困率の定義
4ページ(相対的貧困)
4ページ(絶対的貧困)
5ページ3. データ
5ページ(1)『就業構造基本調査』について
6ページ(2)分析データの構築
8ページ4. 推定方法
8ページ(1)モデルの定式化
8ページ(2)Blinder-Oaxaca分解の非線形モデルへの適用
10ページ4. 推定結果
10ページ(1)貧困状態にある子どもと世帯の特徴
11ページ(2)貧困率上昇の要因分解
13ページ(3)貧困リスクと就学・就業との関係
14ページ5. 結論
16ページ【参考文献】
17ページ表1:記述統計1(子ども個人及び子どもがいる世帯に限ったサンプルの記述統計)
19ページ表2:記述統計2
20ページ表3:ロジット分析による貧困確率の推計(個人データを対象にした分析)
21ページ表4:ロジット分析による貧困確率の推計(世帯データを対象にした分析)
22ページ表5:貧困率変化の要因分解(個人データを用いた分析)
24ページ表6:貧困率変化の要因分解(世帯データを用いた分析)
26ページ表7:非就学・就業の決定要因
27ページ表8:非就学率変化の要因分解
28ページ表9:就業率変化の要因分解
30ページ図1:1980年代以降の日本の相対的貧困率
31ページ図2:相対的貧困率の定義
32ページ図3:相対的貧困線の推移
33ページ図4:国民生活基礎調査における貧困率との比較
34ページ図5:ロジット分析における限界効果の変化(個人データを用いた分析)
35ページ図6:ロジット分析における限界効果の変化(世帯データを用いた分析)
36ページ図7:貧困リスクと非就学の関係
37ページ図8:貧困リスクと就業の関係
http://www.esri.go.jp/jp/archive/e_dis/e_dis337/e_dis337.html

 

調査シリーズNo.170
非正規労働者の組織化とその効果―アンケート調査による分析―
平成29年3月31日
概要
研究の目的
本研究の目的は、非正規労働者を組織化した労働組合が、組織化後に、非正規労働者(組合員)に対して、どのような取組を行い、どのような成果をもたらすかを明らかにする。
研究の方法
本研究では、2016年7月から10月まで実施した『非正規労働者の処遇改善の実態に関するアンケート調査』に基づく観察事実の整理と分析を行う。有効回答数は3,227であり、回収率は約15.0%である。
主な事実発見
本研究の主な事実発見は、3点である。以下では、労働組合に加入した非正規労働者を非正規組合員と呼び、組合のタイプは図表1の通りとする。
第1に、非正規労働者の組織化の背景である。その背景について、非正規労働者比率(非正規労働者が従業員全体に占める割合)と組織化の対象となる非正規労働者の業務内容の2つの側面から見ると、非正規労働者比率が高い事業所(企業)であるほど、組織化される可能性が高く、組織化の対象となる非正規労働者は、より正社員に近い仕事を担当する非正規労働者である可能性が高いことがわかった。前者は、非正規労働者の量的な重要性(量的基幹化)であり、後者は、非正規労働者の質的な重要性(質的基幹化)を示す。ただし組織化の理由には、非正規労働者の基幹化以外に、@非正規労働者の労働条件の向上、A非正規労働者の雇用の維持、B正社員と非正規労働者のコミュニケーションの向上もあり、組織化の背景を基幹化だけで説明するのは困難である。
第2に、組織化が進む余地である。未組織組合の中には、組織化を検討している組合(未組織・組織化検討中組合)が存在するほか、非正規労働者を組織化した組合(組織化組合)の3割程度が更なる組織化を検討している。他方で、未組織組合で組織化の取組を行っていない組合(未組織・組織化未実施組合)の多くは組織化を検討しないと回答している。今後、非正規労働者の組織化がどの程度進展を見せるかは、未組織組合の多くが組織化の必要性を認識し、取り組むかにかかっている。
第3は、組織化の効果である。労働組合は、非正規労働者を組織化すると、多様なチャンネルを通じて、非正規組合員の意見を収集したり、彼(彼女)らの処遇改善を実現する等、非正規組合員のため活動を行ったりする。補章では、傾向スコア・マッチング法を用いて、非正規労働者を組織化することによる非正規労働者の処遇改善効果を検証している。組織化によって、非正規労働者の処遇改善が実現される割合が高まる可能性があることが明らかとなった。労働組合は、非正規労働者の組織化を通し、その発言機構(組合員の意見を代弁する組織)としての機能を果たし得る。
図表1 組合のタイプ

政策的インプリケーション
本報告書の政策的インプリケーションは、労働組合が非正規労働者を組織化すると、労働組合は正社員組合員と非正規組合員の利害を調整し、「組織内の均衡処遇」を実現する可能性があるということである。
労働組合が正社員と非正規労働者の賃金格差に対して、どのような方針を持っているかを見ると(図表2)、非正規労働者を組織化した組合は、両者の賃金格差を縮める必要性を感じているのに対し、未組織組合は、両者の賃金格差を容認するか、その方針を決めていない。こうした意識の差は、労働組合が正社員と非正規労働者間の賃金格差を是正する取組を行うか否かにつながると考えられる。
そのうえで、正社員と非正規労働者の賃金格差を是正するための取組の1つとして、正社員と非正規労働者の賃金制度を公開することがあげられる。正社員と非正規労働者間の適切な賃金格差を設定する(均衡処遇の実現)には、両者の仕事と賃金制度の違いを理解する必要があるからである。
正社員と非正規労働者の賃金制度の公開状況を見ると、組織化・非正規組合員存在組合は、正社員と非正規労働者の賃金制度について、非正規労働者を含め、広く従業員や組合員に公開している。逆に、未組織組合では、正社員の賃金制度については、正社員のみに開示する割合が高く、非正規労働者の賃金制度については、開示していない割合が高い。
これらの調査結果を踏まえると、労働組合は非正規労働者の組織化を通じて、正社員と非正規労働者の賃金格差の是正を組合の方針に組み込み、両者の賃金制度に関する情報共有を促す。そして、非正規労働者の処遇改善が行われる過程において、組織内で「適切な」処遇格差のありようを議論することにつながっていくものと考えられる。その先にあるのは、「組織内の均衡処遇」の実現ではないだろうか。
図表2 正社員と非正規労働者の賃金格差に対する方針

政策への貢献
非正規労働者の処遇改善ならびに今後の集団的労使関係のありようを模索する際の判断材料となる。
本文
• 調査シリーズNo.170全文(PDF:7.2MB)

全文がスムーズに表示しない場合は下記からご参照をお願いします。
http://www.jil.go.jp/institute/research/2017/documents/170.pdf


• 表紙・まえがき・執筆担当者・目次(PDF:KB)
• 第T部 調査概要(PDF:1.2MB)
o 第1章 調査の目的と方法
o 第2章 調査結果の概要
o 補章 非正規労働者の組織化による非正規労働者の処遇改善効果の暫定的評価
• 第U部 付属資料(PDF:3.4MB)
研究の区分
プロジェクト研究「非正規労働者施策等戦略的労働・雇用政策のあり方に関する調査研究」
「非正規労働者の組織化と労働組合機能に関する研究」
研究期間
平成28年度
執筆担当者
前浦 穂高
労働政策研究・研修機構 副主任研究員
中野 諭
労働政策研究・研修機構 副主任研究員
関連の研究成果
• 調査研究報告書No.30(日本労働研究機構編)『チェーンストア業界における雇用の多様化と労使関係』(1992年)
• 資料シリーズNo.9『パートタイマーの組織化と労働条件設定に関する事例調査報告』(2005年)
• 労働政策研究報告書No.48『パートタイマーの組織化に関する労働組合の取組み』(2006年)
• 調査シリーズNo.96『非正規労働者の組織化に関するヒアリング調査』(2012年)
• ディスカッションペーパー15-01『非正規労働者の組織化の胎動と展開−産業別組合を中心に』(2015年)
• 資料シリーズNo.174『非正規労働者の組織化と労働組合機能に関する研究』(2016年)
入手方法等
刊行物のご注文方法をご確認ください。
問い合わせ先
内容について
研究調整部 研究調整課 03(5991)5104
ご購入について
成果普及課 03(5903)6263

http://www.jil.go.jp/institute/research/2017/170.html

 
「同一労働同一賃金」と日本の労働市場〜見られないジョブ型への動き

経済調査部 金子 実
正規・非正規間の待遇格差の是正を目的として、「同一労働同一賃金ガイド
ライン案」(以下、「ガイドライン案」という)がまとめられた。本稿では、
ガイドライン案の検討過程で参考にされた、企業横断的・雇用形態横断的に賃
金が決定される欧州諸国のジョブ型の労働市場と類似したものに、日本の労働
市場が移行しつつあるか否かについて、日本における平均勤続年数や年功賃金
カーブのトレンドを企業規模別に分析することにより検討した。
その結果、全体の平均を見ると、日本的雇用慣行が弱まっているとも見える
が、企業規模別に見ると、企業規模間の差が縮小しており、その要因の一つと
して中小企業における定期昇給制度の広がりが考えられることから、日本の労
働市場においては、トレンドとしてもジョブ型の傾向が強まっているとは必ず
しも言えないと考えられる。したがって、「同一企業内でのみ、同一労働同一
賃金を考える」というガイドライン案は、長期的にも妥当であり続ける可能性
がある。
非正規職員についても、正規職員と同様に評価が行われ、それに応じた待遇
改善が行われることは、労働力人口が減少する中で、所得格差の是正策として
のみならず、成長戦略としても重要である。
1章 はじめに
2章 日本的雇用慣行
3章 平均勤続年数、勤続による賃金上昇率のトレンド
4章 定期昇給制度
5章 おわりに
http://www.dir.co.jp/publicity/edit/publication/pdf/cho1704_04.pdf


 
鹿野達史の日本経済の視点〜円高進行の下でも、企業の景況感が改善〜企業の増産基調は継続、景気回復が明確に
http://www.sc.mufg.jp/report/business_cycle/sk_report/pdf/sk20170421.pdf


 
Forex Weekly〜ドル、円、ユーロの為替見通し。「三つのリスク」
リスク三役揃い踏み

15 日に北朝鮮によるミサイル発射が失敗し、有事に発展しなかったことから、マーケットのリス
クオフは和らいでいる。ドル円は 108 円台前半まで円高となったが、週後半には 109 円台へ戻ってき
た。だが、来週は再び朝鮮半島情勢への注目が高まるほか、フランス大統領選や米国議会など他のリ
スク要因があり、マーケットは警戒しながら一週間を通過していくことになる。23 日にフランス大
統領選第 1 回投票、25 日は北朝鮮の朝鮮人民軍創建 85 周年、28 日が米国の暫定予算期限、というス
ケジュールである。従来から注目されていたフランス大統領選と米国の暫定予算期限、というリス
ク要因に最近の地政学リスクが加わって、来週はリスク要因が三つ並ぶ。
これら三つのリスク要因のうち、リスクが現れた場合のマーケットへのインパクトは、朝鮮半島情
勢、フランス選挙、米国議会、の順に大きいと考えられる。
朝鮮半島情勢のリスクとは北朝鮮と米国単独もしくは同盟軍による武力衝突の勃発である。現状、
北朝鮮と米国のいずれもが攻撃を受けた場合に反撃するとの態度であり、どちらかが動けば武力衝突
は避けられないだろうが、どちらも動かなければ膠着したまま何事も起きない、と予想される。北朝
鮮による威嚇的なミサイル発射が再び実施される可能性はあり、どのようなミサイルがどこに着下し
たかによって武力衝突へ発展するリスクが高まる。
北朝鮮は核拡散防止条約からの離脱し、核兵器の開発と核実験を続けてきた。これに対して米国を
始め、近隣諸国、および国連が対話や経済制裁といった手段で解決を試みてきた長い歴史がある。そ
の中で米国の北朝鮮政策が北朝鮮の態度に影響を与えている。下図のように大統領によって北朝鮮政
策は大きく異なる。
北朝鮮の核開発と米大統領の対応
1990年代 クリントン ・経済制裁
・平和対話、交渉 → 1994年 北朝鮮は核開発停止と開発施設廃棄に合意
→ 1990年代後半 北朝鮮穏健化
2000年代 ブッシュ ・北朝鮮、テロとの闘い
・経済制裁強化 → 2003年 北朝鮮は核拡散防止条約からの離脱宣言
→ 2000年代初頭 緊張高まる
<六者会談> → 2005年 北朝鮮は核廃絶に合意
・経済制裁 → 2006年 北朝鮮は核実験を実施
2010年代 オバマ ・経済制裁
<国連安保理 制裁決議> → 2010年代前半 北朝鮮の軍拡
・経済制裁拡大 → 2010年代後半 北朝鮮の軍拡加速
(注)各種資料より筆者政策
クリントン大統領は平和的な対話を主とし、経済援助によって核開発停止を促した。続くブッシュ
大統領は同時多発テロの後でもあり、北朝鮮政策も強硬路線だった。北朝鮮は六者会談には応じたも
のの、強硬な米国の態度で対応を翻す、といった結果となった。そして、オバマ大統領は国連や他国
との協調を重視し、対話や経済制裁のみで対応したが効果はなく、その間、北朝鮮は軍備強化を進め、
核実験を繰り返した。これを受けたトランプ大統領は単独軍事行動も辞さないとの強い態度に転じた。
だが、米国が強硬になり過ぎれば、北朝鮮の態度が硬化し、武力衝突となるリスクがある。米国は今
FOREX WEEKLY 2017/4/21
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月上旬にシリアとアフガニスタンを爆撃したが、北朝鮮に対しては、周辺の中国、韓国および日本な
どへの影響もあり、今回は米国が先制攻撃を仕掛ける可能性は低いと考えられる。
中国は米中首脳会談の後、北朝鮮に対して経済制裁に動き、米国の軍事的圧力行為には加わってい
ない。習主席は朝鮮半島の非核化を支持しているが、対話による解決を望んでいる。米国も中国によ
る交渉を重んじるだろう。したがって、今回の米国による圧力の結果として武力衝突があるとすれば、
北朝鮮が先手を打った場合のみと考えられる。北朝鮮が行動を起こすか否かは不透明だが、武力衝突
の可能性が高いことが抑止力となる、というのが一般的な考え方である。マーケットは米国のシリア
攻撃を経て、朝鮮半島有事を警戒してきたが、有事となれば、大きなリスクオフの相場となるだろう。


韓国の株式相場と為替相場
韓国総合株価指数(左軸)
韓国ウォン(右軸)
(注)韓国ウォンは対ドル、
下方向がウォン安
(データ)Bloomberg
来週のリスクのうち、二つ目のフランスの大統領選と三つ目の米国の暫定予算期限到来は、
朝鮮半島情勢に比べれば、リスクが現れてもリスクオフの度合いは限定的で、かつ短時間だと予想さ
れる。
フランスの大統領選は第1回投票が 23 日に実施される。マクロン候補、フィヨン候補、および、
EU離脱を掲げる極右のルペン候補、極左のメランション候補のうち二人が 5 月 7 日の決選投票へ向
かうことになるが、フランス国民は昨年の米大統領と同様に、支持者を明確には決めかねているケー
スが多く、世論調査も揺れている。
後掲のチャートのように、米大統領選でトランプ氏が勝利した時からフランスのEU離脱の可能性
を意識したマーケットとなっており、フランス国債利回りはドイツ国債利回りよりも上昇幅が大きい。
また、ユーロは米大統領選直後のドル高の影響もあり、下落した。ただ、こうした“ポピュリズム懸
念相場”は相応に織り込まれたところで一巡し、過去 2 か月はトレンドは継続していない。第一回投
票でルペン氏が残れば、フランスのEU離脱が懸念されるが、英国のBrexitの相場の学習効果
では、離脱の決定や実行までに時間があることから、マーケットのネガティブな反応は一時的なもの
となると予想される。メランション候補が残れば、財政赤字拡大を懸念したフランス国債売りが予想
されるものの、ユーロは売りの反応ではないだろう。
どちらも残らなければ、ポピュリズム台頭懸念は解消され、フランス国債の買戻し、ユーロの安心
FOREX WEEKLY 2017/4/21
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買い、の反応が予想されるが、昨年 11 月以降の動きからは、フランス国債の買戻しは“最大”40bps、
ユーロはフランス要因だけではなくトランプ相場もあったことから、対ドルで“最大”でも 1.10 ま
での上昇、という計算となる。こう考えると、フランス大統領選はリスク要因ながら、リスクが現実
化した場合よりも回避された場合のポジティブな反応の方が大きいと思われる。


(データ)Bloomberg
最後に三番目の米議会だが、暫定予算の期限が 28 日到来するため、休会明けの米議会は急いで暫
定予算延長を可決する必要がある。もし可決できなければ、政府閉鎖である。上院で可決に必要な
60 票を確保するためには、共和党だけではなく民主党からも賛成を得る必要がある。これまでのよ
うに、民主党が一切協力しないというスタンスを貫けば、可決できずに政府閉鎖となる。政府閉鎖は
国民から不評となると恐れれば、少なくとも一部の民主党議員は賛成に投じ、結果、政府閉鎖は回避
される。一方、トランプ大統領を支持しない国民の中には議会妨害を民主党のポイントだと捉える
人々もいるため、民主党議員の中には選挙民の賛同を得るために反対に回る人々もいると考えられる。
このため、政府閉鎖のリスクは皆無とは言えない。
ただし、実際には政府閉鎖を長期間続ければ民主党にはダメージとなるため、政府閉鎖があっても
長期化することはないと考えられる。また、ヘルスケア代替が滞った後であるだけに、議会が機能し
ていないと判断され、税制改革への期待度が一段と低下するリスクが来週の第三のリスクではあるが、
期待剥落の相場が進んでいるため反応は限定的、暫定予算延長が可決されても反応は限定的、と思わ
れる。
FOREX WEEKLY 2017/4/21
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ディーラーに聞きました(来週のドル円相場の方向性〜ブルベア)

週 3 月 13 日〜 20 日〜 27 日〜 4 月 3 日〜 10 日〜 17 日〜 2
http://www3.keizaireport.com/file/FXWEEKLY170421.pdf


 日本経済レポート(2017年4月)〜緩やかな回復
2016 年 10-12 月の実質GDP(国内総
生産)は前期比 0.3%(年率 1.2%)の増加と
なり、過去最高の水準を 4 四半期連続で更
新した。財貨・サービスの輸出と民間企業設
備投資が牽引役となり、合計で実質 GDP 成
長率を前期比 0.7%pt 押し上げた。
輸出は前期比 2.6%の増加となった。地
域別に輸出数量を見ると、中国向けが前期
比 7.8%増、NIEs 向けが同 5.6%増と高い
伸びとなり、米国向けも同 2.4%の増加とな
った。また、品目別では、機械機器の大半
で輸出数量が増えた。半導体等電子部品
やその製造装置等からなるデジタル関連製
品は前期比 6.5%の増加となり、これらを除
いた電気機器は同 8.3%と大きく伸びた。完
成車の輸出は前期比 3.1%の、また自動車
部品の輸出は同 6.9%の増加だった。さらに、
その他の一般機械は前期比 4.2%の増加と
なった。一方で、財貨・サービスの輸入は前
期比 1.3%の増加となり、実質 GDP 成長率
を同 0.2%pt 押し下げた。
民間企業設備投資は前期比 2.0%の増
加となった。法人企業統計に基づく設備投
資(ソフトウエア投資を含む)は名目で製造
業が前期比 6.7%増、非製造業は同 3.4%
増だった。製造業の主要業種が軒並み増え、
鉄鋼業等の金属関連セクター
は前期比 15.5%の、化学セク
ターは同 9.5%の増加となった。
もっとも、輸送用機械セクター
はリーマン・ショック前以来の水
準となる投資額 8,000 億円台を
2016 年 4-6 月に回復した後は
伸び悩み、また電気・情報通
信機械セクターやその他一般
機械セクターは増加したものの
7-9 月まで減少した反動のよう
にも見える。

民間住宅投資は前期比 0.1%の増加と
ほぼ横ばいだった。住宅着工戸数はすでに
2 四半期連続で減少しており、10-12 月は貸
家の着工が前期比 6.2%とやや大きく減少
した。住宅ローン金利の上昇が抑制要因と
なった可能性がある。
民間最終消費支出は横ばいだった。飲
食サービス等に向けた支出が増加したが、
野菜や衣服等に向けた支出は減少したと見
られる。天候不順による生鮮食品の価格の
上昇が響いたようだ。ただし、耐久財に向け
た支出は 5 四半期連続で増えており、家計
は必ずしも財布の紐を締めてばかりでもない
ようだ。
公共投資は前期比 2.5%の減少となっ
た。国は 2016 年 10 月に成立した補正予算
で投資関連経費を 2.0 兆円増やしたが、発
注の動向を示す公共工事請負金額は 2 四
半期連続で 10-12 月も減少した。また、2017
年度予算における国の投資関連経費は 9.1
兆円となり、高水準であるものの 2016 年度
(補正後)の 10.5 兆円に比べると規模が小
さくなった。
世界経済の持ち直しを追い風に
世界の実質 GDP 成長率(市場レートベ
ース)を試算すると、一時 2016 年 1-3 月に
前期比年率で 2.1%程度まで低下したが、
2016 年 4-6 月は中国の、7-9 月は米国の寄
与で、それぞれ、同 2.7%程度と同 3.0%程
度へと回復した。10-12 月になると 3 四半期
ぶりに若干低下したが、前期比年率 3.0%
程度の水準は維持した。米国大統領選挙
でトランプ大統領の誕生が決まると、大規模
な減税と社会資本投資が成長に寄与すると
の期待が高まったが、その前に世界経済は
持ち直しを始めていた可能性が高い。また、
オランダ経済分析局(CPB)の集計によれば、
2016 年 10-12 月の世界の貿易数量は前期
比 1.1%の増加となり 2014 年 7-9 月以来の
伸びとなった。「スロー・トレード」という言葉
を聞く機会が増えたが、世界経済に続いて
貿易も下げ止まった可能性がある。
言うまでもなく、世界経済の持ち直しは
日本の輸出に追い風となるはずだ。もっとも、
品目別に考えると先行きは必ずしも楽観で
きない。たとえば、デジタル関連製品の輸出
が伸びた一因は、初代モデルの発売から 10
周年を迎えたスマートフォンのモデルチェン
ジにあるようだ。完成車の輸出では、その約
4 割を占める米国で新車販売台数が高水
準ながら頭打ちとなる可能性が高い。さらに、
自動車部品の輸出の約 2 割を占める中国
では小型車を対象とする減税策の見直しが
響く可能性がある。
2016 年 4-12 月の法人企業の経常利益
は 65 兆円に達し、前年同期に比べ 2.3%の
増加となった。利益の拡大は設備投資を下
50
60
70
80
90
100
110
120
10 11 12 13 14 15 16
機械類の主要品目別輸出数量指数
自動車部品 電気機器
完成車(新車) 一般機械
デジタル関連
2010=100
電気機器はデジタル関連製品を、一般機械はデジタル
関連製品と自動車部品を含まない
注:
出所: 財務省資料を使い戦略研試算
3
支える可能性が高い。また全国の 10,000 社
以上を対象とするアンケート調査によると、
2016 年 12 月時点で生産・営業用設備が過
剰と答えた企業の割合は製造業で 10%程
度と 2008 年以来の低い水準にあり、さらに
非製造業の場合は不足とした企業の割合
が過剰とした企業の割合を 2013 年 9 月から
上回っている。もっとも、違うアンケート調査
によれば、上場企業が考える日本経済の、
あるいは主力部門が属する業界の実質成
長率は、1%程度と過去最低水準にあるとい
う。製造業の生産活動の水準は未だ 2007
年の 9 割程度にとどまり、サービス産業から
なる第三次産業でも漸く同水準にすぎない。
過去の拡大期のように設備投資が伸びを高
める可能性は未だ低そうだ。
年率 1%程度の成長が続く見通し
日本経済と世界経済の接点は、財やサ
ービスの純輸出(輸出−輸入)と、海外に投
資した金融資産や企業の現地法人といった
対外資産が稼ぐ収益の純受取(受取−支
払)からなる。さらに、純輸出は、数量の増
減にあたる実質純輸出と、輸出価格と輸入
価格の差にあたる交易利得に分解すること
ができる。振り返ると、これら三要素の合計
(実質純輸出+交易利得+純受取)は中長
期的に日本経済を押し上げるよう働いてき
たが、リーマン・ショック前の 2007 年 4-6 月
をピークに 2014 年 1-3 月までは大きく押し
下げるよう働いた。その後、逆に最近は過去
のピーク時の水準を回復している。
一般に、円相場の下落は実質純輸出と
純受取に追い風となるが、交易利得には輸
入価格が上昇することから逆風となる。また
資源価格の上昇も交易利得に逆風になる
が、産出国の成長が加速すれば実質純輸
出に追い風となるはずだ。たとえば、エネル
ギー価格の上昇を背景に、交易利得は
2008 年 10-12 月まで悪化したが、実質純輸
出は増加した。その後、リーマン・ショックが
起きると、実質純輸出が急減したが、逆に交
易利得は改善した。
一方で、2010 年 10-12 月から 2014 年
1-3 月の 3 年 6 カ月間は、対外純資産の増
加を背景に収益の純受取は高水準を維持
したものの、実質純輸出と交易利得の悪化
が同時に起きた。実質輸入が 2014 年 4 月
の消費税率引き上げ(5%→8%)前に駆け
込み需要が膨らんだ影響で増えたうえ、実
質輸出は 2011 年 3 月に起きた東日本大震
災や 2011 年 10 月に一時 75 円/ドル台ま
で上昇した円高が足かせになった。そもそも、
世界の実質 GDP 成長率が 2013 年までの 3
年間は年率 2.6%(市場為替相場ベース)に
とどまったことも実質輸出が伸びなかった原
因だ。交易利得の悪化は、リーマン・ショック
後に一時下落した原油入着価格が 2011 年
 
世界経済の日本経済押し上げ効果
(2000年1-3月比)
純輸出 交易利得
対外資産の純受取 三要素合計
2011年価格、兆円
注:
出所: 内閣府、戦略研


2000年1-3月以降の累積額。なお、この期間に実質
GDPは460兆円から525兆円に増加した
4
から 4 年連続で 100 ドル/バレルの水準を
上回った影響が大きい。
目下のところ、原油入着価格は 50 ドル
/バレル台に、円相場は 110 円/ドル台に
ある。世界経済は力強さこそ欠けるも持ち直
している。最善期は過ぎたかもしれないが、3
年前までに比べ日本経済をめぐる環境が好
転していることは間違いない。ESP フォーキ
ャスト調査によれば、民間調査機関等の実
質 GDP 成長率の予測を平均すると 2019 年
1-3 月まで前期比 0.25%(年率 1.0%)程度
の成長を続ける見通しとなるという。目先は
公共投資と民間住宅投資が減少する可能
性があり、また、原油価格の上昇が加速す
れば物価の高まりが民間消費支出を下押し
する懸念もあるが、輸出と民間設備投資を
柱に緩やかな景気回復が続く見通しだ。
(主任研究員 鈴木雄介
http://www.mitsui.com/mgssi/ja/report/detail/__icsFiles/afieldfile/2017/04/21/170420k_suzuki.pdf  

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