ソニーは1970年代以前から、同業他社が「事業部制」を取るのに対し、社外化を進めてきた。それらは「ソニー木更津」とか「ソニー一ノ宮」とか「ソニー稲沢」と呼ばれ、ソニー＋所在地を組み合わせた「株式会社」を多数、設立してきた。戦後、日本で持株会社が禁止されていた頃から、事実上の「持株会社制度」を導入してきたのである。まさに、法の目をすり抜けた巧妙なアクドイ方法である。

ソニー製品が故障すると、修理担当の「ソニーサービス」が担当したが、利潤を得るため、修理代金を高くしていた。サービスの修理ミスも多かったが、それでも瑕疵を認めず、全てユーザーの責任にしてトラブルが頻発した。ソニーが市場から見捨てられたのは、これら「利潤を追求した」別個の株式会社の暴走による事例が多い。

ソニー＋地名の会社が乱立していた時代は過ぎ去り、ソニーはこれらの会社群を次々と閉鎖して、諸外国の工場に製造を外注するようになった。円高ドル安の時代を先取りして、リストラしやすくしたのは、やはりソニーの経営者たちはアメリカのロックフェラーと仲が良かったからだろう。ロックフェラーから、日本経済の弱体化計画を聞かされ、20年前から日本国内の生産拠点のリストラをやりやすいように経営していたのである。

●ソニーはラジオ製造部門を1976年に「十和田オーディオ」に移転させた。この時点では「桜電気」とか「ソニー木更津」も並行して生産していたが、これらは円高ドル安でソニー本体に取り潰された。従業員は、世界一高性能のソニーラジオをつくっていると言う誇りを失い、それからというもの貧しい生活に転落するほかはなかったのである。

その「十和田オーディオ」が遂に逆襲に出た。ソニーが所有していた休眠ブランドのアイワの権利を買い取り、復活させるという。ソニーのラジオ部門リストラで、委託生産の減少に苦しんでいた十和田オーディオが、いつまでも下請けではないぞ ! との気概を見せたのである。まさしく、怒りの逆襲である。

ソニーに切り捨てられたパソコン部門も、独自にスマートフォンに進出している。ソニーのスマートフォンである「エクスペリア」に逆襲し、切り捨てられた恨みを晴らしている。今後、このような動きが広がることが予想される。