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今の日本株は嵐の前の静けさか、夏以降に急変動も−楽観市場は要注意 グリーンスパン警告−債券バブル破裂 安倍3つのシナリオ
http://www.asyura2.com/17/hasan122/msg/818.html
投稿者 酢 日時 2017 年 8 月 02 日 09:43:17: JVuupfBNpkXsE kHw
 

今の日本株は嵐の前の静けさか、夏以降に急変動も−楽観市場は要注意
関根裕之、長谷川敏郎、Min Jeong Lee
2017年8月2日 06:38 JST

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• 日経平均の上期値幅比率は今世紀2番目の低さ、7月もこう着相場
• 金融政策の大転換で市場動揺なら日経平均は4000円変動も−大和証

ことし上期の値幅比率が10年ぶりの低水準となった日経平均株価は、下期に入ると日々の変動がさらに小さくなった。2001年以降、上期の動きが小さいと下期に大きく変動するという経験則があり、投資家は低ボラティリティーに安心している場合ではないのかもしれない。
  日経平均の1−6月の高値(2万0230円)と安値(1万8335円)の差を前年の終値で割ったことし上期の値幅比率は9.91%。同比率が10%を下回るのは01年以降では3度しかなく、最も低かった07年の9.3%に次ぐ2番目の低さだった。
  

https://assets.bwbx.io/images/users/iqjWHBFdfxIU/imnT.Y3zIDgk/v1/-1x-1.png 
  
  7月に入ると日経平均はこう着色を強め、同月では取引時間中に前日比で1%以上動いた日がなかった。これはことし初めてのことだ。日経平均ボラティリティー指数は26日に12.23と、10年11月の算出開始以来の最低を更新。米国でもシカゴ・オプション取引所のボラティリティー指数(VIX)が21日に1993年12月以来の水準に落ち込み、ボラティリティー低下は世界的な傾向となっている。
  穏やかな相場が続くが、これは「嵐の前の静けさ」と、大和証券投資戦略部の石黒英之シニアストラテジストは判断している。21世紀に入ってから、「日経平均の年前半のボラティリティーが低いと、もれなく年後半はボラティリティーが拡大している」ためだ。最も低かった07年は仏BNPパリバを発端とするサブプライム問題の影響で年後半に2倍に拡大、3番目の05年は郵政解散で4倍、4番目の14年も下半期に6割増えた。
  JPモルガン・アセット・マネジメントの重見吉徳グローバル・マーケット・ストラテジストは、グローバルに低ボラティリティーが恒常化しているため投資家がその特異さに気づきにくい心理にあることを指摘する。「どこかでこの上昇相場が終わると思いながらも、いつ終わるか分からないため買っているという印象」だとした上で、「それがまさに上昇相場の終わりに近いような動き。問題はいつ、何によって調整が起こるのかは誰にも分からないことだ」と同氏は言う。
  大和証の石黒氏は現在の株式市場が「米金融当局が金融政策を正常化させる一方、利上げを急がない姿勢で、低金利継続を背中に買っている楽観状態」であることから、「各国中銀が正常化に向けて動き出す8月後半から9月にかけて相場が動く可能性がある」とみる。下期変動率のベースとなる6月末の日経平均終値2万0033円を基準として過去の経験則から20%近く変動すると仮定すれば、「まず1万8000円程度まで調整した後、年末にかけては米政策期待で2万2000円程度まで上昇と、4000円の値幅に備える必要がある」と同氏は言う。
  ただ、年後半も凪相場が続くとの見方も根強い。岡三アセットマネジメントの前野達志シニアストラテジストは、「米国で金融政策の正常化が進み、利回り曲線が逆イールド化し、景気後退を織り込み始めるまで、ボラティリティーの大きなスパイクはないだろう」とみる。前野氏はそうした相場環境が訪れる時期を19年と想定しており、米金融政策の方向性や政策期待からことし秋以降にボラティリティーが上がったとしても一時的だとみている。
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2017-08-01/OTY5QN6K50XV01


グリーンスパン氏が警告−株価ではなく債券バブルの破裂に用心を
Oliver Renick、Liz Capo McCormick
2017年8月1日 09:30 JST 更新日時 2017年8月1日 14:33 JST
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実質長期金利はあまりにも低過ぎて持続不可能−インタビューで指摘
真の問題は債券市場のバブルが崩壊した時に、長期金利が上昇する点

アラン・グリーンスパン元米連邦準備制度理事会(FRB)議長は、株式市場の行き過ぎを探し回る株式弱気派に対し、債券相場について心配した方がよいと警告した。実際にバブルが発生しているのは債券市場であり、それが破裂した場合には誰にとっても悪い事態をもたらすという。

  グリーンスパン氏はインタビューで、「どのような基準から見ても、実質長期金利はあまりにも低過ぎるため、持続不可能だ」と指摘。「こうした金利が上昇する場合、かなり急速に上昇する公算が大きい。われわれが経験しているのは株価ではなく債券相場のバブルであり、それは市場に織り込まれていない」と語った。
  その上で、「真の問題は債券市場のバブルが崩壊した時に、長期金利が上昇する点だ。われわれは1970年代以降目にしたことのないスタグフレーションへと、違った経済局面に移行しつつあり、それは資産価格にとって良くないものだ」とグリーンスパン氏は論じた。

  グリーンスパン氏によれば、実質金利が上昇すれば、米株価を割安と捉える残り少ないバリュエーション手法の一つが試されることになり、特に株式は債券とともに打撃を受けることになる。同氏の見解を支える理論は「FEDモデル」として知られる。広く受け入れられているわけでは決してないが、債券相場が株価よりも急速に上昇している限り、投資家はより割安な資産を保持し続けるのが妥当とされる。

  このモデルに従えば、米株価は現時点で債券相場と比較して最も魅力的な水準の一つにある。グリーンスパン氏が例示する米インフレ連動国債(TIPS)10年物利回り(現在0.47%前後)を用いると、S&P500種株価指数の益回り(4.7%前後)との差は20年平均を21%上回っている。これは過去最高値水準にある主要な株価指数や、金融危機以降で最高近辺にある株価収益率(PER)を正当化している。

  グリーンスパン氏の論理では、金利が急上昇し始めれば、投資家は急速に株式を手放すべきだということを意味する。ゴールドマン・サックスのデービッド・コスティン氏は、S&P500種の年末時点の推計を引き上げているウォール街の動きに加わらない理由の一つにインフレ高進の脅威を挙げている。
原題:No Bubble in Stocks But Look Out When Bonds Pop, Greenspan Says(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2017-08-01/OTZBZ26TTDS001

 
2017年8月2日 山崎 元 :経済評論家・楽天証券経済研究所客員研究員
安倍政権の行方「3つのシナリオ」で予測するマーケットの動き


参院予算委の閉会中審査で、加計学園問題に関して答弁する安倍晋三首相。世論調査での不支持率が高まるなど、政権の基盤が揺らぎ始めている Photo:日刊現代/アフロ
突然到来した「政治の季節」

「政治の季節」が突然やってきた。

「安倍一強」とも言われ、来年秋の自民党総裁選での安倍晋三首相の三選が動きようのない既定路線かと思われた状況が、一転して不透明化してきたからだ。

 一つには、安倍政権が、森友学園、加計学園など、「お友達優遇疑惑」を上手く処理できなかったこと、もう一つには内閣改造を待たずに稲田朋美防衛大臣が辞任せざるを得なくなったことなど、政権やその周辺の問題などが原因となって安倍政権に対する国民の不信感が高まった。

 また、7月に行われた東京都議選で自民党が大敗したことで、都民ファーストの会のような「受け皿」さえあれば、安倍政権は強くない(倒し得る)という状況認識も台頭してきた。

 各メディアの世論調査では、安倍内閣の支持率が軒並み大きく下げて、不支持率と大きく逆転した。もともと「政局」の話題が好きなマスコミは、解散・退陣などのシナリオを想像し、次の首相候補を公然と語るようになった。

 安倍首相の「モリカケ疑惑」については、裁判なら有罪になるような決定的証拠は出てこないだろうが、政治の文脈にあって、問題はそこではない。安倍氏が身内を優遇するイメージを払拭できなかった点で、政権側は失敗した。

 安倍氏にとって、前回の政権時と同様に「お友達」が鬼門だ。籠池泰典氏も、加計孝太郎氏も、稲田朋美氏も、国民から見ると安倍首相が特に優遇したように見える。

 一方、安倍政権の大きな“政治的財産”だった「国民の脳裏に残る民主党政権時代の悪い記憶」を忘れさせないためにいるかのようだった、民進党の蓮舫代表と野田佳彦幹事長が共に辞任することとなり、最大野党である民進党も遅ればせながら看板替えのプロセスに入った。

 もともと民進党の最大の存在意義は、選挙のための「共同体」だったと筆者は理解しているのだが、「政治マーケティング」(という分野があるとして)的な常識で考えると、半ば自滅を目指すかのような体制がなぜ選択されたのか、その理由は日本の組織一般の失敗を研究する上で興味深い。

 とはいえ、民進党も本来の目的(≒次の選挙への適応)に対する行動を開始したので、安倍政権としても油断はできない。

 また、小池百合子東京都知事の周辺では、東京都政だけでなく国政に進出する準備が進んでいるようであり、いわば「国民ファーストの会」的な新党が国政選挙に間に合うように整備される可能性が出てきた。

 本稿では、こうした政局の流動化が、今後、経済とマーケットにどう影響するのかを考えてみたい。

大きなポイントは「来年3月」

 さて、政治談義の道草から拙稿の本題に戻って、経済・マーケットからの観点に視点を絞る。今後あるかもしれない政治的シナリオは、例えば、以下の三つが考えられる。

(1)安倍内閣が低支持率(というよりも、高い不支持率)を背景に、安倍氏の体調不良などを理由として今年度内(来年3月よりも前)に退陣する。

(2)民進党、「国民ファーストの会」(仮称)の準備が整わないうちに、安倍首相が早期に解散総選挙に打って出る(この先の場合分けとして、a.議席を減らしても政権を維持できる結果か、b.政権を失う大敗を喫するか、という場合分けがある)。

(3)来年秋まで粘って、10月に予定されている消費税率引き上げの再延期を掲げて自民党総裁選・衆議院選挙を戦うところまで持ち込む。

 もちろん政治は、株価や為替レートのためにあるわけではない。だが、マーケットの側から見た場合、最も大きな決定要素は、「来年3月」まで安倍政権がもつかどうかだ。端的に言って、次の日銀の正副総裁を、誰が首相の内閣が任命するのかという点に最大の注目点がある。

 来秋の消費税率引き上げの有無にも関心が集まるが、日銀の正副総裁は任期が5年に及ぶし、金融緩和の継続に対する期待形成に大きな影響を与える。

 安倍首相が来年3月まで在任しているなら、金融緩和に積極的な正副総裁を選ぶだろう。しかし、「安倍首相の次の首相」が人事を行う場合、現在の黒田総裁よりも金融緩和に消極的な人物を任命する確率が大きくなる。

 そうなると、「日本だけが積極緩和の中、米欧が金融緩和を縮小する」という状況が維持されなくなる公算が高まるので、結局のところ、「安倍政権が来年3月まで続かないだろう」という強い観測が出た時点から、円高と株安が進行する可能性が大きい。

 もっとも、安倍政権が継続した場合であっても、黒田総裁の続投とは限らない。黒田氏が2014年の消費税率引き上げの影響を過小評価し、事実上税率引き上げを後押ししたことを、安倍首相が快く思っていない可能性がある。

 ただし、黒田氏以外に「金融緩和に積極的」というイメージを持った後任者がいるかというと、簡単には思い浮かぶ人物がいない。安倍政権継続の場合、「黒田総裁続投+リフレ派の学者の副総裁+日銀プロパー副総裁」といった組み合わせになるのではないかと予想しておく。副総裁2人に関しては入れ替えがありそうだ。

 いずれにせよ、現在、すでに株式・不動産・外貨建て資産などに大きな買いポジションを持っている投資家の中には、政治的には安倍首相を支持していなくても、安倍首相の続投を願っている人が少なからずいるのではないか。もちろん、こうした人たちが願うのは、(3)の「来秋まで安倍政権が粘ってくれる」ことだ。

内閣改造後の世論調査に注目

 前記した三つのシナリオのいずれになるのか、あるいは別の流れになるのか(政治には大きな意外性があるし…)大いに気になるところだが、当面の注目は、8月3日に予定されている内閣改造後の世論調査だろう。

 これで支持率がさらに下落し、不支持率が拡大するようだと(政治に詳しい記者によると不支持率が重要だという)、党内で「安倍降ろし」が活発化する可能性があり、(1)の「年度内退陣」の確率が高まる。

 巷間、次の首相候補としてよく名前が挙がるのは、岸田文雄外務大臣と石破茂氏だ。だが、例えば、禅譲を約束しつつ岸田氏の協力を得ることで、すでに安倍氏に対する批判を始めている石破氏を牽制できれば安倍政権は延命できるかもしれないが、相当に難しい舵取りが必要となりそうだ。

 さりとて、支持率が下がる中で(2)の「早期解散」に打って出る元気が安倍首相にあるかどうかは疑問だ。また、仮に総選挙ともなると、民進党も「国民ファーストの会」(仮称)も必死で体制を整えるだろうから、「野党の準備不足」を頼りに解散に打って出て議席を大きく減らしでもしたら、安倍首相が続投するのも簡単ではなさそうだ。

 したがって、8月3日の内閣改造は、安倍首相にとっても、マーケットの先行きに注目する人にとっても、相当に重要なイベントとなるが、本稿執筆時点(8月1日)では「人気取り」につながる画期的なサプライズ(例えば「小泉進次郎厚生労働大臣」といった感じか)は想像しにくい。むしろ、人事を終えることで、ポストを得られなかった入閣待機者の人心が離れることの方が心配だ。

 なお、喜ばしくない想定だが、北朝鮮が軍事的な動きを強めるような事態が起こると、国民の政権交代への期待が不安に変わって、結果的に安倍政権を支える効果があるかもしれない。

 マーケットとしては、今後、内閣改造及びその後の世論調査、安倍政権の打つ手などの様子を見ることになるが、安倍政権の継続に見切りをつけるポイントがくると、いささか心配な状況になる可能性が大きい。

 この場合、後任者にどのくらいアベノミクス(特に金融緩和政策)が引き継がれるかを探ることになるが、特に来年3月に向かって「政治リスク」を意識しなければならない状況が続きそうだ。

 投資家にとって(日本経済にとっても)一つの憂鬱は、安倍氏の「次」として名前の挙がる人々の多くが、財政緊縮的であったり、金融緩和に対して理解不足だったりするように見えることだ。

 そうなると投資家は、「アベノミクス相場の終わりの始まり」の可能性を意識しなければなるまい。今後の展開によっては、リスク資産への投資ポジションを引き下げることを検討すべきだが、マーケットでは、こうした諸々の状況も含めて価格が形成されている理屈なので、リスク資産の「売り過ぎ」には注意したい。ポートフォリオの調整は、やるとしても、「ぐずぐずと少しずつ」がコツである。

(経済評論家・楽天証券経済研究所客員研究員 山崎 元)
http://diamond.jp/articles/-/137189  

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コメント
 
1. 2017年8月02日 10:13:08 : OO6Zlan35k : ScYwLWGZkzE[706]
消費者物価は今秋にもピーク−増える先行き鈍化予想、2%到達程遠く
藤岡徹
2017年8月2日 06:00 JST
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• 一段と早く物価が頭打ちとの見方−第一生命やシティグループ証など
• エネルギー価格上昇による物価の押し上げ要因が剥落へ

消費者物価指数(CPI)は日本銀行が掲げる2%物価目標に到達することなく、今秋にもピークを迎え、上昇傾向に歯止めがかかるとみるエコノミストが増えている。
  ブルームバーグ調査の予想中央値によると、生鮮食品を除くコアCPIは今年第4四半期に0.8%上昇となった後、減速するとの見通しだ。しかし、エコノミストの中には、エネルギー価格による押し上げ要因が剥げ落ち、一段と早く物価が頭打ちになるとの見方も出ている。

  第一生命経済研究所の新家義貴主席エコノミストは、コアCPIは今秋に前年比0.7%〜0.8%程度まで上昇した後、伸び悩むとみている。新家氏は先月28日付リポートで「2%達成が難しいのはもちろんだ」とした上で、2018年度にコアCPIが伸び率を高めるだけでも相当ハードルが高いとの認識を示した。
  同様の見方は新家氏だけではない。バークレイズ証券は同日付リポートで、コアCPIの前年比プラス幅は9月に0.8%上昇となった後、徐々に減速すると予想。シティグループ証券の村嶋帰一チーフエコノミストは同日付リポートで、全国コアCPIは9月〜11月に0.7%上昇になると試算した上で、「12月以降は、再び伸びがやや鈍化する公算が大きい」と予想している。

  日銀は先月20日公表の展望リポートで、コアCPI前年比の見通し(政策委員の中央値)を17年度は1.4%上昇から1.1%上昇へ、18年度は1.7%上昇から1.5%上昇へ下方修正し、2%達成時期を「18年度ごろ」から「19年度ごろ」に先送りした。
  来春に任期を迎える黒田東彦日銀総裁は同日の記者会見で、現行の長短金利操作付き量的・質的金融緩和の枠組みの下で「2%の実現に向けたモメンタムは維持されている」とし、2%目標の堅持をあらためて強調した。
  日銀は14年4月の展望リポートで16年度のコアCPIを2.1%上昇と想定したが、現実は0.2%下落にとどまった。黒田総裁は会見で、物価見通しが外れたことで信用がなくなるということはないと言明。日本は予想物価上昇率が足元の物価に引きずられる傾向が強いことを十分に勘案していなかったと説明した。
  物価の伸び悩みに頭を悩ませているのは日銀だけではない。米連邦公開市場委員会(FOMC)は先月25、26両日の定例会合後の声明で、低インフレの局面が続いていると強調した上で、「インフレ動向を注視している」との記述を踏襲。欧州中央銀行(ECB)のドラギ総裁は物価目標に到達していないことから量的緩和政策の変更は急がないとの見方を示した。
  日本の消費者物価は0%近傍で推移しており、物価目標達成の道のりは遠い。金融緩和策が長期化する中、政治家やエコノミストからは出口戦略に向けた丁寧な説明を求める声が上がっている。
  総務省が先月28日発表した6月のコアCPIは0.4%上昇、エネルギーの寄与度は0.35ポイントだった。

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2017-08-01/OTZW9F6JTSE801

 

【FRBウオッチ】テーラー・ルールが可視化する金融バブルの拡大
山 広恒夫
2017年8月2日 05:00 JST

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• FF金利、利上げ後もなお適正金利を大幅に下回る
• 次期FRB議長、テーラー教授も候補の一人と目される

金融空間では史上最大規模のバブルがなお膨張を続け、実体経済とかけ離れて浮遊しているようにみえる。米連邦準備制度理事会(FRB)を中心に展開する金融市場では、行き過ぎた緩和政策が過去に何度も大波乱を巻き起こしてきた。特にバーナンキ第14代FRB議長が考案した大規模資産購入(LSAP)とゼロ金利政策をセットにした「異例の緩和」は、未曾有(みぞう)の金融バブルをいまだに膨らませている。
  1990年代から今世紀初めにかけて生じたIT株式バブルと、2007年に崩壊が始まる住宅金融バブルはいずれも、連邦公開市場委員会(FOMC)によるフェデラルファンド(FF)金利引き下げで醸成され、その後の引き上げで破裂、景気後退へとつながってきた。今回の景気拡大局面では9年目にしてなお政策金利が極めて低い水準に設定されており、バブルは株式市場はじめ債券、自動車ローン、学資ローンなど広範な領域で先例のない水準まで膨張しているようにみえる。

  FOMCは現在、FF金利の誘導目標を1〜1.25%のレンジと、なお歴史的な低水準に維持している。債券購入で4兆5000億ドル(約496兆円)に拡大したFRBのバランスシートも、まだ手付かずのままだ。今回の金融緩和度を目視するため、次期FRB議長候補の一人と目されるジョン・テーラー教授(スタンフォード大学)が考案した「テーラー・ルール」に基づく適正な政策金利水準を目安にすると、実際のFF金利水準はこの目安を大幅に下回ってきた上、その期間が異常に長くなっていることが明らかになる。

  昨年11月の時点で、FF金利誘導目標上限(0.5%)は、テーラー・ルール値(3.9%)を3.4ポイント下回っていた。この時のテーラー・ルール値に対するFF金利の下方乖離(かいり)は、1970年代以降で最大となった。低い政策金利に量的緩和を加えれば、政策効果は過去最大と言っても過言ではあるまい。
  さらに1970年代は金融空間はまだ小さく、金融緩和効果は実体経済を直撃し、ハイパーインフレションが引き起こされたものの、目立った資産バブルは生じていない。しかし、1982年末から始まる景気拡大の中で、米国経済は金融空間の拡張期に入る。ハイパーインフレを強力な金融引き締め策で終息させたボルカー第12代FRB議長は、米経済の基盤を強化したことで後世に名を残した。しかしこれが史上最大のバブル膨張のお膳立てとなったのは皮肉なことだ。

  ハイパーインフレのトラウマ(心的外傷)に悩まされて80年代から20世紀末にかけては引き締めに傾いた金融政策がとられたが、今世紀に入るとデフレ懸念が頭をもたげ始め、緩和的な政策が優先されるようになる。
  特に2008年9月のリーマン・ショック以降、グレートリセッションとその後遺症の低成長経済を克服する目的で、ゼロ金利やLSAPなど超緩和措置が延々と続けられてきた。今回の景気拡大局面での金融緩和は、テーラー・ルール値とFF金利の下方乖離が70年代と同じ程度に広がっているが、当時の緩和度(下方乖離)は急速に縮小する局面にあった。
  一方、今回は2011年末にテーラー・ルール値と現実のFF金利が一致する0となった後、2016年11月末の3.4ポイントに至るまで5年間にもわたり緩和度を高めてきた。その後、3度利上げが実施されたが、今年7月末の時点で下方乖離幅は2.5ポイントとなお歴史的に極めて高い緩和度を保っている。この前代未聞の緩和は、基軸通貨ドルを操るFRBが主体となっているだけに、その繰り出すバブルが崩壊すれば、リーマン・ショックを凌駕(りょうが)する危機が訪れる恐れがある。 

  1979年8月にFRB議長に就任したボルカー議長は、FF金利を20%まで引き上げる気概を有していた。この強力な引き締めで経済の安定化に成功する。一方、イエレンFRB議長は景気拡大期9年目にして、なお超金融緩和を続けている。もっともそのボルカー議長にしても、その後の金融自由化による金融空間の拡大にはなすすべもなかった。
  
(【FRBウオッチ】の内容は記者個人の見解です)
 
--取材強力:Chris Middleton, Vince Golle, Catarina Saraiva

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2017-08-01/OTRRPH6JTSEB01


 

債券トレーダー、コンピューター取引への恐れ薄れる−グリニッチ調査
Matthew Leising
2017年8月2日 06:48 JST

債券トレーダーは年々、社債の電子取引に対する抵抗が薄れている。グリニッチ・アソシエーツの最新調査で明らかになった。
  米欧のトレーダーを対象とした調査によれば、コンピューター取引が自分たちの仕事に対するリスクになるとの回答は、2015年から半減した。グリニッチのリポートをまとめた市場構造調査責任者のケビン・マクパートランド氏は、この変化は外的要因よるものだと指摘。規制によって顧客から大量に債券を買い取ることができなくなった銀行は、業務全体を手放すよりは小規模な取引を電子的に行う方が良いと判断したと説明した。
  調査によると、電子取引を脅威だと感じている債券ディーラーの割合は21%と、15年調査の46%から減少。機会とみなすとの回答は58%と、54%から増えた。グリニッチは4−6月(第2四半期)に債券トレーダー・セールス幹部46人を対象に調査した。

原題:Wall Street’s Fear of the Computer Drops in Bond Market Survey(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2017-08-01/OU0EY56VDKHS01


 


 


コラム:米金融政策の視界をさえぎる複合要因=鈴木敏之氏
鈴木敏之
鈴木敏之三菱東京UFJ銀行 シニアマーケットエコノミスト
[東京 31日] - イエレン米連邦準備理事会(FRB)議長の任期満了(2018年2月3日)が刻々と近づいている。FRBは年内、あと1回の0.25%の追加利上げと、量的緩和からの正常化であるバランスシート縮小に着手する意向を示している。だが、本当に実行されるのかと言えば、不確実な情勢だろう。

不確実性の背景には、低過ぎるインフレ率がある。イエレン議長は、需給の緩み(スラック)が小さくなればインフレ率が上がるという関係を諸判断の根幹に据えてきた。だが、失業率は4.4%まで低下しているのに、賃金上昇率は抑制されている。今の賃金上昇率では、一般物価で目標のインフレ率2%にはなかなか届きそうにない。

この問題は、いっそう複雑になっている。FRBは、インフレ率が低下したことについて、携帯電話サービス、処方箋薬の価格下落など一時的要因によるものだとの見方を示しているが、この説明は納得を得られていない。

有効求人倍率が大きく上昇している日本も、失業率が低下している欧州も、米国と同じく、低いインフレ率に直面しているのである。世界同時的とも言えるこの問題を、米国の携帯電話サービス料金で説明するのは無理があるだろう。

さらに、原油価格の上昇が止まり、期待インフレ率が上昇しないという問題が迫ってくる。インフレ率は、スラックと期待インフレ率で決まるとみるのが現実的だが、期待インフレ率に対しては原油価格の影響が大きい。原油価格は、昨年後半こそ、石油輸出国機構(OPEC)の減産合意の動きがあって上昇したが、その上昇は止まっている。もうすぐ、前年比の上昇はなくなってしまう。要するにスラックも期待インフレ率も、目標の2%に到達できていない一般物価のインフレ率を押し上げる動きになっていないのだ。

これでは、物価安定の責務を達成しているとは言えず、バランスシート縮小、追加利上げを確実視することはできない。

ちなみに、次の米連邦公開市場委員会(FOMC)は9月19―20日開催予定であり、長い時間が空く。その間に発表される物価統計が、米金融当局者によるインフレに関する説明への不信を小さくするよりも大きくする可能性の方が高いだろう。

加えて、今の政治情勢では、予算審議の難航は必至であり、債務上限問題の先行きが懸念される。9月19―20日は、その紛糾の最中かもしれない。

このような状況で、やってみないとどういう影響が出るのかわからない面の多いバランスシート縮小に本当に着手できるのか。不確実性の度合いは9月19―20日に向けて大きくなるとみられる。

<FRB人事を巡る視界不良>

また、同時進行でFRBの議長交代、大幅刷新に向けた動きが始まっている。これは、2018年以降の金融政策を一段と見えにくくしている。

第1に、FRB理事は7人が定員だが、来年にかけて5人の新理事が入ってくる。空席が3つあり、イエレン議長とフィッシャー副議長の任期はそれぞれ2018年2月3日、同年6月12日に切れる。

5人の理事交代があれば、政策は不連続になる。中でも、エコノミスト理事が加わることによる影響には注意が必要だ。プリンストン大学教授だったバーナンキ氏が理事になった際の持論は、インフレ目標だったが、その主張は実現した。

そして、バランスシート拡大停止には、非伝統的な金融政策に懸念を示していたスタイン元理事(ハーバード大学教授)の影響があったと思われる。ちなみに、報道で名前が挙がっているカーネギー・メロン大学のグッドフレンド教授が理事に就くのであれば、ゼロ金利になった場合の対応として同氏が主張しているのはマイナス金利政策である。

第2に、コーン国家経済会議(NEC)委員長、スタンフォード大学のテイラー教授、コロンビア大学のハバード教授、ウォルシュ元FRB理事ら、報じられている後継の議長候補者たちは、今の政策決定には関与していない。バーナンキ氏は、グリーンスパン議長時代のFRB理事。イエレン議長は、バーナンキ議長時代にサンフランシスコ地区連銀総裁、副議長だった。両氏とも議長就任前から政策決定に深く関与していたので、ある程度の連続性を見込むことができた。しかし、今回の議長交代は、イエレン議長再任でなければ、大きな不連続があり得る。

第3に、FRB副議長が2人体制になる(1人は金融規制監督を担当)。物価安定と持続可能な雇用の最大化という従来からの責務の傍らで、経済成長に資する金融システムの設計・施工においてFRBへの期待を大きくするものとなるだろうが、2人の副議長に温度差がある事態を市場は経験しておらず、不確実性はこの点でも高まるだろう。

<イエレン議長の主張を否定する後任候補>

さて、米国の景気回復、拡大は2009年6月の底から数えるとすでに8年が過ぎている。歴史的に見れば、あと1年ほどすると、拡大の持続を見込むことに抵抗が感じられる時間帯に入ってくる。

イエレン議長のもとでFOMCが示している経済見通しは、2019年まで景気拡大が続き、3%までフェデラルファンド(FF)金利を上げていくことを描いているが、景気が後退すれば、それは現実的ではない。市場は、その見通しを信じておらず、利上げサイクルは間もなく終わることを見越している。

FRB議長交代は、実現の見込めない空虚な見通しを書き換えるか、あるいは、その理想実現の方策を明示した上での経済見通しに書き換える機会となる。そうした中、新議長候補たちは連名で小論「より高い経済成長への展望」(On The Prospects For Higher Economic Growth, by John F.Cogan,R.Glenn Hubbard,John B.Taylor,Kevin Warsh, July 18,2017)を発表した。金融政策の枠組みを超える内容だが、2%成長で我慢する必要はなく、規制緩和と税制改革で3%成長は実現できるという主張だ。

これは、イエレン議長が先日の議会証言で答弁した「3%成長は難しい」という主張を否定していることになる。仮にこの著者陣の中の誰かが次のFRB議長になるならば、スラックが小さくなってもインフレ率が高まらない理由について説得力をもって説明し、景気拡大が寿命を迎えそうな中でも成長率引き上げが可能との主張を実現できるのかが、問われることになる。

期待はあるが、不確実性は大きい。市場参加者は、米国の金融政策について、9月の次のFOMC、そしてその先の議長交代、FRB理事の大幅刷新後も、視界不良の「雲中飛行」を覚悟しなければならないだろう。

ただ、安心材料を1つ挙げれば、皮肉なことだが、低いインフレ率だ。誰が議長になっても急激な引き締めだけはなさそうである。

*鈴木敏之氏は、三菱東京UFJ銀行市場企画部グローバルマーケットリサーチのシニアマーケットエコノミスト。1979年、三和銀行(現・三菱東京UFJ銀行)入行。バブル崩壊前夜より市場・経済分析に従事。英米駐在通算13年を経て、2012年より現職。


米金融政策の視界をさえぎる複合要因=鈴木敏之氏
イエレン米連邦準備理事会(FRB)議長の任期満了(2018年2月3日)が刻々と近づいている。FRBは年内、あと1回の0.25%の追加利上げと、量的緩和からの正常化であるバランスシート縮小に着手する意向を示している。だが、本当に実行されるのかと言えば、不確実な情勢だろう。 記事の全文

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https://jp.reuters.com/article/column-forexforum-toshiyuki-suzuki-idJPKBN1AG0E5


 


6月の米個人消費失速、所得も横ばい−価格は前年比1.4%上昇に鈍化
Shobhana Chandra
2017年8月1日 23:59 JST

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米個人消費支出(PCE)は6月に勢いが失速した。個人所得も配当支払いの減少を背景に低迷した。国内総生産(GDP)の7割を占める個人消費支出が6月に勢いを失ったことで、第3四半期のスタート地点が低くなり、今期の成長率を抑制する可能性がある。
  米商務省の1日発表によると、6月のPCEは前月比0.1%増加。ブルームバーグがまとめたエコノミスト予想の中央値と一致した。前月は0.2%増だった。
  6月の個人所得は前月比ほぼ変わらず。市場予想は0.4%増だった。前月は0.3%増。6月は配当が3%減少(前月は4.8%増)したことが響いた。
  PCE価格指数は2カ月連続で前月比横ばい。米連邦公開市場委員会(FOMC)が年間2%のインフレ目標の基準とする同指数は前年比1.4%上昇と、前月の1.5%上昇から減速した。市場予想は1.3%の上昇だった。これで同インフレ率は4カ月連続マイナスとなった。
  食品とエネルギーを除くコア価格指数は2カ月連続で前月比0.1%上昇。前年比では1.5%上昇(予想1.4%上昇)。

  インフレ調整後の実質ベースのPCEは前月比変わらず。前月は0.2%増だった。実質ベースのPCEのうち、耐久財への支出は前月比0.1%減。サービス支出は0.1%増。
  インフレ調整後の可処分所得は0.1%減と、今年に入って初のマイナスとなった。賃金・給与は0.4%増(前月0.1%増)。
  貯蓄率は3.8%で、前月の3.9%から低下した。
  統計の詳細は表をご覧ください。
原題:Americans’ Spending Barely Grew in June as Incomes Stagnated(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2017-08-01/OU0DTN6S972C01


 


コラム:米国も「権威主義的国家」に向かうのか

河野龍太郎BNPパリバ証券 経済調査本部長
[東京 1日] - 1800年以前の人類の長い歴史の中で、長期的な1人当たりの所得増加率はほぼゼロ%だったと考えられている。もちろん、それ以前に経済が全く成長しなかったわけではない。しかし、それは1人当たり所得の増加によるものではなく、主に人口増加による所得の増加が原因だった。つまり、生産性とそれに連動する生活水準の継続的な向上が始まったのは19世紀からだ。

現在の富裕国(1人当たり所得水準の高い国)を見ると、産油国や都市国家以外は、いわゆる先進国と呼ばれる国々だ。富裕国の所得水準が高いのは、高い成長率が続いているからではない。収斂(しゅうれん)の法則も働き、富裕国の成長率は決して高くはないが、それでも所得水準が低所得国に凌駕されることはない。この200年間を見ると、トップ30カ国に新たに加わったのは、産油国や都市国家などを除くと、日本など極めて限られた国だけだ。

富裕国と低所得国の間で、一体、何が異なるのか。富裕国の成長率は拡大局面でも、それほど高くなるわけではないが、後退局面でマイナス成長となる期間が短いことが特徴だ。反対に低所得国は、拡大局面では富裕国を上回るスピードで成長するが、所得収縮が頻繁に生じ、落ち込みも大きいため、貧しいままなのである。

低所得国の政策当局者には、持続的成長という発想が不十分で、景気拡大局面でより高い成長を追求し、「ブーム&バスト」(景気の大きな振幅)が起きやすいのだろうか。もし仮にそうだとしても、それは富裕国も同じだ。高い成長が訪れると、それが永続するかのような錯覚に陥り、政策当局者を含め皆が「ブーム&バスト」に拍車を掛けるのは変わらない。

1800年以前は今の富裕国も1人当たり成長率がゼロだったと述べたが、それはずっとゼロだったことを意味するわけではない。プラスの成長の時代もそれなりにあったが、経済収縮の時代もあったため、均(なら)すとゼロ成長だったということだ。つまり富裕国になれたのは、所得収縮期を減らすことのできる社会制度が19世紀に備わったから、ということだが、それは一体何だったのだろう。

今回は、ノーベル経済学賞を受賞した新制度派経済学の大家、故ダグラス・ノース教授らが、近代的な政治・経済システムの成立を「暴力の制御」というユニークな視点から論じた著書「暴力と社会秩序:制度の歴史学のために」(以下、本書)を参照しつつ、この点を検討してみたい。

<途上国から先進国への移行はなぜ稀か>

人類の歴史は、暴力とその制御の歴史とも言える。暴力回避の成否が、社会の安定と発展を大きく左右してきた。動乱が生じれば、経済成長が止まるどころか、経済収縮を余儀なくされる。近代社会が誕生したのは19世紀だが、今でも国民が政治的自由と経済的自由を享受するのはわずか30カ国足らずで、全人口の15%に満たない。政治学では秘密投票による選挙を民主制の象徴として重んじるが、仮にそれが行われていても、権威主義的国家では、野党勢力は国家による暴力の威嚇を常に意識して行動を取らざるを得ない。

本書は、先進国とそれ以外の国で何が異なるのか、暴力の制御という視点から、理論的、歴史的に分析した野心作だ。有史以来、人類にはこれまで3つのタイプの社会秩序が存在した。1つ目は、狩猟採集時代の社会秩序で、2つ目は、その後長らく社会基盤となった自然国家の社会秩序(アクセス制限型の社会秩序)である。3つ目が、19世紀の西欧に出現し、現在の先進国で見られるアクセス開放型の社会秩序だ。現在も先進国ではない国々では、程度の差はあれ、経済資源や政治組織へのアクセスが制限される自然国家型の社会秩序が続いている。

経済発展が全く望めない狩猟社会においては、暴力の頻度は今よりも相当に高く、武力を持つエリートと持たない非エリートの間で支配関係が生まれ、その後、原始的な自然国家が形成されていった。支配層は非エリートの経済資源へのアクセスを制限することでレント(超過利潤)を得るが、このレントの配分を巡って、支配層内で武力的闘争が生じる。しかし、互いに争うより協力する方が、レントが大きくなるインセンティブ構造を構築することで、支配層は暴力を制御してきた。よく観察すると、こうした社会安定の論理は、今も多くの国家で観察される。

従来の理論は、マックス・ウェーバー流に、暴力を独占する単一主体として国家を扱ってきた。本書は、その論理が当てはまるのは先進国だけで、自然国家においては、国家を単一の主体ではなく、支配連合の均衡、パワーバランスとした点に大きな意義がある。

例えば、大不況、相対価格の変化、技術革新など大きな外的ショックによって、内紛や内乱が生じるのは、国家が単一の主体ではないことの明白な現れだ。外的ショックが分配すべきレントを縮小させたり、デメリットを被るエリートを生じさせ支配連合内のパワーバランスを大きく崩すがゆえに、内紛や内乱が生じる。その後、社会を安定させるべく、インセンティブ適合的なレントの配分構造が再構築される。

私たちは、経済成長を促進すると考え、先進国と同様に、途上国に対しても規制緩和を強く求める。しかし、規制緩和でむしろ途上国経済が混迷することがあるのは、有利になるエリートが現れる一方、不利になるエリートが現れ、支配連合内のパワーバランスが崩れ政治が不安定化するからである。内乱が生じれば、経済収縮が続く。

アジア危機の際、支援条件として、国際通貨基金(IMF)は厳しい経済構造改革を要求し、それがさまざまな社会的亀裂を当該国にもたらしたことはよく知られているが、本書の仮説を当てはめれば、IMFは誤った政策を推進したということになるのだろう。政治的、経済的な競争促進が社会秩序の安定を促すのは、政治的組織や経済的組織の新設が万人に認められている先進国だけなのである。

自然国家では、経済構造が変われば、エリート連合内のパワーバランスが崩れるため、時として暴力の制御も困難になる。アクセス開放型秩序の先進国では、仮に政治的癒着でレントが生み出されても、政治的競争の中で縁故主義的な施策に対し強く批判が生じるため、レントそのものが長続きしない。あるいは無理に押し通そうとすると、政権そのものの存続が難しくなる。それゆえ、法の支配を強く意識した政権運営となるため、政治システムと経済システムが独立して動いて見える。

もちろん、先進国でなくても、法の支配が貫徹しているように見える国もある。しかし、それは、我々がビジネスをする相手が支配連合のエリート層だからだ。成熟した自然国家では、エリート層の間では法の支配が適用されるが、非エリートに対しては、多くの経済資源への自由なアクセスは強く制限されている。また、自然国家と取引を行う我々外国人に対しても、法の支配が適用され、当該国政府からの介入は抑制される。しかし、大半の国民にとっては、エリートや彼らと取引する海外企業だけが法外な特権を得ているということになる。

<19世紀に成長の時代が訪れた理由>

本書では、自然国家からアクセス開放型秩序への移行について、英米仏の歴史的事例を詳細に検討している。従来の学説では、これらの国で19世紀に成長の時代が始まったのは、15世紀や16世紀の地理的発見や科学的発見に続いて、17世紀、18世紀に政治経済思想の発展が訪れたおかげとされてきた。つまり、人々の創意工夫による経済的利益の追求を擁護する自由主義的政治思想が広く普及、その後、蒸気機関などの広範囲な実用化によって、19世紀に成長の時代の到来という形で、それらの理論が花開いたというのが通説だ。

ただ、本書が示す通り、最も先進的だったはずの英国においてさえ、18世紀半ばまで、支配連合内のエリートも、党派的対立の下で、死や追放の恐怖に直面していた。さらにこの段階でもまだほとんどの人には経済資源への自由なアクセスは制限されている。

本書も、17、18世紀の政治経済思想の発展の恩恵は認めてはいるが、19世紀半ばに成長の時代が幕を開けたのは、株式会社など経済組織の自由な設立が可能になったことの影響が大きい点を強調している。それまで個別の案件ごとに、議会が限られた一部の超エリートにのみ認めていた会社設立が、1844年法や1856年法の制定によって、非属人的な行政手続きだけで可能となった。その後、実際に会社設立が急増、分業の利益を可能にする経済組織が自由に作られるようになり、経済が持続的に成長するようになった。現在も、所得水準の高い国の経済組織数(主に企業数)は著しく、一方で所得水準の低い国の経済組織数は少ないままである。

ところで、19世紀半ばの法改正を70年ほどさかのぼる1720年に「南海バブル」が生じている。その際、株価操作による不正根絶を目指してバブル法が制定された。そこでは、企業体をより少数に限定し、そもそも競争を抑制することが国王や特権商人、議会など支配連合の財政的、政治的利益になるとの判断もあって、企業設立は株式会社を含め、強く制限された。

アダム・スミスは1776年に著した「国富論」の中で、自由で開放された競争が望ましく、参入制限でレントを生み出す企業体を強く批判していた。一部企業の有用性を認めつつも、企業体全般へのスミスの評価が低いのは、当時の多くの企業体が、政治的利益を確保するための経済的特権の象徴、つまり縁故主義的政策の象徴だったためである。

<米国が「自然国家」へ後戻りする可能性は>

さて、先進国以外では、今でも政権交代があると、苛烈な政治的報復が繰り広げられる場合がある。政権を失うと暴力的な政治報復を懸念するがゆえに、より強権的な政権運営が追求されるケースもある。民主化が進んでいたはずの国で、いつの間にか権威主義的色彩が強まっているケースも少なくない。

1990年代、2000年代の長い経済成長の後、リーマン・ショックや、欧州債務危機といった先進国発の大きな外的ショックの余波で、支配連合内のパワーバランスが不安定化し、安定化を図るべく権威主義的色彩を強めたということもあるのだろう。もちろん、それが事態を悪化させる可能性もあるのだが。

実は、本書を手にした直接のきっかけは、政敵の投獄をほのめかすトランプ大統領の出現で、米国も権威主義的国家に向かうのではないか、と懸念したためだった。米国では、顧客や株式市場ではなく、ホワイトハウスを向いた企業経営者も増え、縁故資本主義的色彩が見られるのも事実である。自然国家へ後戻りすることはあるのか。

ただ、本書を読み進めて分かったのは、先進国は解決方法を競争的に発見する高い適応能力を備えているということだ。経済・政治のいずれにおいても、問題解決の可能性を最も秘めたグループが新たに市場や投票を通じて選出され、問題解決にチャレンジする。政治的、経済的な競争の存在のおかげで、アクセス制限的社会秩序である自然国家に比べ、新たな環境への適応能力は高い。解決策が直ちに得られない問題についても、新たなグループが現れ、よりましな解決策の模索が可能である。何より米国では、あまりに極端な政策については、三権分立によって、けん制のメカニズムが強く働く。それゆえ、米国が権威主義的国家に向かうのは、何とか避けられるのではないか。

1つ心配されるのは、米国に限らないことだが、多くの先進国で、既存の政党システムがうまく機能しなくなっていることである。本書が提示する19世紀に誕生した先進国のアクセス開放型秩序は、政治面では、政治的競争を可能とする政党システムを前提としていた。人々を包摂(ほうせつ)する新たな政党やそれに代わるシステムが生まれてくれば良いが、それが果たして可能だろうか。政党を通じた政治の競争システムそのものが時代遅れになっているとすれば、事は深刻である。

*参考文献:「暴力と社会秩序:制度の歴史学のために」ダグラス・C・ノース、ジョン・ジョセフ・ウォリス、バリー・R・ワインガスト著 杉之原真子訳 NTT出版

*河野龍太郎氏は、BNPパリバ証券の経済調査本部長・チーフエコノミスト。横浜国立大学経済学部卒業後、住友銀行(現三井住友銀行)に入行し、大和投資顧問(現大和住銀投信投資顧問)や第一生命経済研究所を経て、2000年より現職。

*本稿は、ロイター日本語ニュースサイトの外国為替フォーラムに掲載されたものです。


ドル安と円安「共存」の賞味期限=亀岡裕次氏
ドル円は4月17日に今年の最安値108.12円をつけた後、114円台半ばを高値として上下動を繰り返してきた。その間の相場は、政治情勢、金融政策、経済指標で、ほぼ説明できる。これらの要因から考えて、今後のドル円相場はどうなりそうか。 記事の全文

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2. 2017年8月02日 11:07:34 : OO6Zlan35k : ScYwLWGZkzE[707]
著名空売り投資家の「弟子」が新ヘッジファンド−バリアントで成功
Simone Foxman
2017年8月2日 09:25 JST


ファーミ・クアディール氏

Source: Safkhet Capital
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ヘッジファンドのコーチュー、業界6倍の成績−テクノロジー株投資で

空売り投資家として名高いマーク・コホーズ氏の「弟子」、ファーミ・クアディール氏(26)は、ショート戦略のヘッジファンドに2億ドル(約220億円)を集める計画だ。
  同氏の新会社サフケット・キャピタルは、来年の早い時期に運用を開始する予定。空売り戦略の大規模ヘッジファンドを運営しているのは今や、キニコス・アソシエーツのジム・チャノス氏ら少数にとどまり、環境は厳しい。
  元ヘッジファンド運用者で今は個人として投資するコホーズ氏はクアディール氏について、「容赦がなくて、冷血で、頑固だと思う」とその資質を評価する。
  クアディール氏は過去2年、クレンサベージ・アセット・マネジメントの株式アナリストだった。バリアント・ファーマシューティカルズ・インターナショナルなど製薬会社への空売り投資の成功がコホーズ氏らの目にとまった。バリアント株は2015年8月のピークから90%下落し、7月31日の終値は16.46ドルだった。
  過去10年にはコホーズ氏のカッパー・リバー・マネジメントを含め空売りヘッジファンドが閉鎖に追い込まれ、近年も米株上昇相場の中で空売り戦略は苦戦を強いられている。空売り投資の厳しい現実を生き延びるためには冷酷でなければならないと、コホーズ氏がクアディール氏について述べた。  
原題:Cohodes Protege to Raise $200 Million for a Short Hedge Fund(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2017-08-02/OU0KBZ6VDKHS01

 

「ゴルディロックス」の相場上昇はまだ続く公算−野村のゲイナー氏
Sid Verma
2017年8月2日 10:56 JST

野村ホールディングスによれば、「ゴルディロックス」の相場上昇はまだ続きそうだ。
  同社の国際経済責任者ケビン・ゲイナー氏はインタビューで、世界の成長は企業利益を押し上げるのに十分力強く、同時にインフレを抑制する十分な落ち着きを示しており、広範な市場での値上がりを支える完璧な環境が少なくともあと12カ月は続くとの見方を示した。
  同氏は景気循環が頂点に達する中で、欧州の株式や高利回り債、新興市場のクレジットが2008年の金融危機より前の全盛期に見られたバリュエーションに追い付く可能性があると指摘。
  「相場上昇がもっと続く可能性がある。労働市場が逼迫(ひっぱく)し、経済成長がトレンドを上回っている場合、企業の収益性は落ち込み、それが弱気材料となるが、利益率に対するその種のプレッシャーは見受けられない」と述べた。

原題:Goldilocks Rally Has Legs If Nomura Gets Business Cycle Right(抜粋)

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2017-08-02/OU1BDQ6S972901


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