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個人消費がどうしても伸びないのは「アベノミクス円安」が原因だった 賃上げを迫るだけでは何ともならない(現代ビジネス)
http://www.asyura2.com/17/hasan124/msg/288.html
投稿者 赤かぶ 日時 2017 年 10 月 27 日 08:47:05: igsppGRN/E9PQ kNSCqYLU
 


個人消費がどうしても伸びないのは「アベノミクス円安」が原因だった 賃上げを迫るだけでは何ともならない
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/53310
2017.10.27 竹中 正治 龍谷大学経済学部教授 現代ビジネス


■このままでいいのかアベノミクス

かつてない大波乱の展開となった衆議院選挙は、結局大方の選挙予想通りに、自民党・公明党の与党が総議席の3分の2を超える圧勝となり、安倍政権が継続することとなった。

今後起こる最大の政治的なイベントは9条を中心にした憲法の改正論議であろう。一方で3本の矢としてスタートした「アベノミクス」は、多少の枝葉をつけ加えながらも既定路線の継続が見込まれている。

アベノミクスの実績評価については、エコノミストの数だけ異なる評価が存在するような状態だ。とりわけ金融・財政政策については議論の対立が先鋭化しているが、本稿ではむしろ消費、雇用、所得配分という実体経済面について、その成果と問題について指摘しておこう。

ちなみに私自身は、2012年12月のアベノミクス宣言で、過度な円高の修正、割安圏に低迷していた株価の回復が始まった際、「これで日本経済は好転する」と快哉を叫んだ一人である。

ただし、私は2%の物価目標が実現するまで現行の金融・財政政策を墨守すべきという「原理主義的リフレ派」ではない。経済・金融政策の効果は、それが実施される条件に依存しており、ある局面で有効でも次の局面では有効性は減少、あるいは消失すると考えているからだ。この点で「日和見主義的なリフレ派」と自称している。

■正規雇用はたしかに増えたが…

まずざっくりとレビューすると、安倍政権下で起こった改善は、雇用と企業収益の大幅な増加である。自営業を含む総就業者数は249万人増、うち雇用者数は240万人増加(2017年4-6月期時点、2012年10-12月期対比、以下同様)、うち正規雇用は86万人増、非正規雇用は172万人増だ(厚生労働省)。

こう言うと「やはり非正規雇用の増加が正規雇用の増加の2倍ではないか。雇用の質が低下している」というお決まりの批判が飛び出す。

しかし、正規雇用が減少して非正規雇用が増えたのは2013-14年であり、2015年以降は正規雇用の増加が145万人(内男性42万人増、女性103万人増)、非正規雇用が33万人増(2017年4-6月期、2015年1-3月期比較)で、正規雇用の増加が圧倒的になっている。しかも女性の正規雇用の増加が男性の2倍強である点にも注目しておこう。

2013-14年に起こった正規雇用の減少は、1947-48年生まれの日本の団塊の世代が2013年前後に65歳を迎え、正規雇用から各種の非正規雇用形態に移行したことが、おそらくひとつの要因だ。安倍政権が正規雇用を減らすような施策をしたわけではない。

学卒年次から65歳までの労働力人口が漸減する日本で、就業者数、雇用者数ともに増えているというのは、労働参加率(=労働力人口/(労働力人口+非労働力人口))が上昇していることを意味する。日本の労働参加率は、2012年9月の59.0%を底に、17年8月の60.8%まで上昇した。特に、女性の参加率は同期間に3.4%ポイント上昇して51.5%になっている。

企業利益の顕著な増加については多言を要しないだろうが、経常利益は金融も含む全産業合計で2012年の59.4兆円から2016年の83.6兆円へと、40.6%の増加となった(財務省法人企業統計)。直近の2017年4-6月期も前年同期比で21.7%の増益が続いている。

こうした企業利益の増加を背景に株価も上昇基調にあるが、日経平均の株価収益率(時価加重平均値)は15.0倍(10月20日時点)だ。2013年後半以降おおむね15倍前後で安定しており、現状の日本株価に過熱感はみられない。

■質的・量的緩和の魔法効果はなかった

もちろん、こうした望ましい変化の全てが安倍政権の政策の成果というわけではない。

これまでの実証的な調査、検証をベースにその諸要因をまとめると、@2012年まで続いた1ドル=80円前後の過度な円高の是正、A株価を中心にした資産価格の上昇による消費増加(プラスの資産効果)、B長期金利の低下による住宅建設、設備投資の刺激、C2014年以降の原油をはじめ国際天然資源価格の下落による日本の対外交易条件の改善、D2016年以降の世界景気の回復基調を受けた輸出の増加等である。

注意すべき点は、政策の波及経路は為替相場、株価、長期金利を通じたものであり、一部で語られたような「質的・量的金融緩和で期待インフレ率が上がり、実質金利が下がり、その結果、投資も消費も増える」という魔法のような直接的な効果は生じなかったことだ。

また、財政面からの景気の押し上げは2013年こそ見られたが、2013年1-3月期から17年4-6月期までの平均で見ると、公的資本形成(公共事業)の実質GDP寄与度はわずかか+0.1%、政府最終消費支出の寄与度は+0.2%にとどまっている。

代わって、2013年から15年までの3年間+0.1%にとどまっていた純輸出の同寄与度が2016年以降は+0.6%に高まった。日本の輸出は2000年代以降、円相場よりも海外景気動向を反映して増減する傾向が強く、この輸出増加基調は、海外の景気回復を反映した結果であり、当面、日本経済に順風となるだろう。

■止まらない労働分配率の低下

しかし安倍政権下での実績には大きな弱点もある。それは個人消費の相対的な不振だ。

2013年から17年4~6月期まで、実質GDP伸び率は年率平均+1.4%であり(図1)、これは1995年から2012年までの平均値+1.0%より0.4%高い。ところが、同じ期間の個人消費の伸び率は年率平均+0.8%とGDP伸び率を下回っている。


図1

景気の回復で労働市場が逼迫し、過去4半世紀で最大の人手不足にもかかわらず、賃金上昇率が上がらない。「賃金アップ→消費増→物価上昇」という経路が十分に機能しない問題として、さまざまな議論が行われてきた。

パート労働の時給などは人手不足を反映して上がってきている。しかし、大きな部分を占める正規雇用の賃金を引き上げる動きは労使双方ともに鈍い。

1990年代末の銀行不良債権危機と不況を契機に、労働組合はベースアップよりも雇用維持重視に舵を切り、賃金アップは棚上げになった。また企業経営者も「人件費の変動経費化」のために収益が伸びても、賞与など一時的な支給を増やすのみで、ベースアップには否定的になってしまった。

賃金上昇率の鈍さの背景にはこうした構造的な変化があると私は考えている。その結果、起こっていることは、国民所得に占める労働分配率の趨勢的な低下である。この問題は欧米でも見られ、その原因をめぐる内外のエコノミストの議論も盛んだ。次にこの点を考えてみよう。

■90年代からだんだん下がっていた

雇用者の受け取る報酬総額は「雇用者報酬」と呼ばれ、名目と実質値が内閣府のサイトで開示されている。図2は雇用者報酬を国民総所得(Gross National Income :GNI)で割った比率の推移を示したものだ(いずれも物価変動を調整した実質値)。


図2

これを見ると、労働分配率は上下動しながらも90年代から趨勢的に低下している。要するに、毎年生み出される付加価値の分配において、労働に分配される比率が低下しているのだ(ここでのGNIは減価償却費などを差し引く前のグロスである。国民所得の最終確定値は公表が遅く、原稿執筆時点では2015年度までのデータしか使えないので、四半期で開示されているGNIと雇用者報酬データを使用した)。

私が調べる限り、この労働の分配率の変化の要因は4つある。@賃金の変化、A労働生産性の変化、B景気動向、C円相場である。

賃金の変化が労働分配率に影響を与えることは説明するまでもないだろう。また労働生産性(一人当り1時間の労働で生み出される付加価値)が上昇する場合、実質賃金が変わらないと労働分配率は下がる。

ちなみに安倍政権下の労働生産性上昇率(2013-15年の年率平均、16年分は未公表)は1.2%であり、これは2000~12年とほぼ同じ水準だ。この点では「成長戦略」の成果はまだ確認できない。

景気動向との関係は、賃金の変化に粘着性があるために生じる。つまり、不況で企業収益が減少しても、賃金は即座に前年比何十%もカットすることは通常できない。そのため、不況期には企業利益が賃金よりも大きく減少し、赤字決算にもなる。逆に景気回復期でも、賃金の上昇は緩慢で遅行するため、企業利益は大きく増加する。そうした短期・中期的で循環的な変動を労働分配率が示すのは当然なことだ。

■過度な円安が家計を苦しめる

労働分配率に影響を与えていると考えられる第4の要因は円相場である。この点はあまり明示的に語られることが少ないようだ。

円安になると企業部門は外貨建ての輸出からの円貨の受取りが増える(増収)。90年代以前の日本の輸出企業は輸出数量の拡大志向が強く、円安時にはある程度外貨建て価格を下げることで、輸出数量を増やし、それに必要な雇用増や賃上げが起こった。

ところが2000年代以降は採算性改善志向が強まり、円安でも外貨建て価格は下げない企業が多くなった。その結果、円安でも輸出向けの生産は増えず、雇用も増えず、賃金への波及も乏しくなった。つまり円安による増収・増益は雇用者ではなく、株主への配当と企業内部にとどまるようになった。

一方、外貨建て輸入は円安で円貨の支払いが増える。しかしこの面で企業は最終消費者への価格転嫁がある程度可能である。そのため円安による輸入面のコスト増は企業部門と最終消費者である家計との間で案分される。以上の結果、円安は労働分配率を下げ、円高はその逆の効果を生むのだ。

実際、95年以降の労働分配率(雇用者報酬/GNI比率)の変化を説明対象として、@一人当り平均賃金である現金給与総額(厚生労働省)、A労働生産性(OECD)、B景気動向指数(内閣府)、C実質実効円相場指数(日銀)(以上全て前年同期比の変化)の4つの要因(説明変数)で回帰分析すると有意な(関係性が偶然ではない)結果が得られる(説明度を示す決定係数は0.53)。

この分析結果に基づくと、現金給与総額の年間1%ポイントの増加は0.31%ポイント労働分配率を上げる(現在の実質GDP規模をベースにすると実質実額で約1.7兆円)。景気動向指数の1%ポイントの上昇は0.05%ポイント労働分配率を下げ、実質実効円相場の1%ポイントの上昇(円高)は、労働分配率を0.019%ポイント上昇させ、最後の労働生産性1%ポイントの上昇は労働分配率を0.43%ポイント低下させる。

図2の黄色線は回帰分析で得られた推計値である。青色の実績値の変化(前年同期比)をおおむねなぞっているのがわかるだろう。

もちろん上記の効果は、他の条件が同じでその要因だけ変化した場合の影響を示しているのであり、勤労者家計が豊かになるためには労働生産性の上昇を伴った賃金アップが望ましい。

また現金給与総額(賃金)と労働生産性の変化の影響が一桁大きいように思うかもしれないが、こうした変数は年間平均では1-3%程度しか変動しない。一方、景気動向指数の変化はもう少し大きく、さらに円相場は1年間で10-20%程度動くことも珍しくないことに注意しておこう。

■行き過ぎた円安誘導は愚の骨頂

以上の分析を下地にもう少し細かく見ると、実質個人消費の伸びは2013-15年には平均年率0.4%の伸びにとどまったが、2016年以降は同1.4%まで回復している。

その要因として、皮肉にも物価上昇率がこの時期にゼロ前後まで下がった結果、実質賃金が前年比でプラスに転じ、かつ雇用の増加基調が継続したことで、実質雇用者報酬(報酬総額)が年率2.3%で増えたことが指摘できる。

この時期の物価上昇率の低下には、2015年を円安のピーク(1ドル120円台)に円相場がやや円高に戻ったことが寄与している。前掲の図1の労働分配率も、2015年を底に16年以降やや回復していることに注目していただきたい(赤い囲い部分)。

以上まとめると、政策的な含意としては、第1に2012年までのような過度な円高時ならばともかく、現在の環境では追加的な金融緩和で結果的であれ、これ以上円安に誘導することで物価を押し上げることはすべきではない。それをすれば労働分配率は低下し、個人消費の回復を損なう。

もっと具体的に言えば、2014年10月に追加金融緩和策で結果的に円相場を1ドル100円だから120円台まで押し上げてしまったことは、労働分配率を引き下げ、消費税率の引き上げで傷んだ消費に追い打ちをかけた失策だったと反省するしかない。

第2の課題は、賃金の底上げにより、労働分配率の低下に歯止めをかけることである。が、これが難問だ。

最低賃金の引き上げは安倍政権も進めているが、それでは最大のマスである中間層の賃金アップにはつながらない。政府が「もっと賃金アップを!」と経済団体幹部の肩を叩くだけでは不毛だ。

おそらく労働市場の流動化(解雇権規制のある程度の緩和)とセットになった持続的な賃金引き上げのための政府・経営・労働組合の包括的な取り決めが求められているのだろう。

労働分配率の趨勢的な低下は、日本だけでなく欧米諸国にも広く見られる一般的な傾向となっている。その要因には、製造業などの新興国への移転を含む経済のグローバル化、情報通信革命、ロボット化、AIなどの技術革新による労働の機械による代替が考えられている。

資本主義経済は技術革新と同時に、各種の社会保障制度など所得配分の仕組みを進化させることで経済成長を実現してきたことを考えれば、新しい所得分配の仕組みが求められているのだ。


 

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コメント
 
1. 2017年10月27日 10:22:16 : nJF6kGWndY : n7GottskVWw[4327]

あほらしい

元々、少子高齢化で実質消費は縮み続けるのだから

改革を放置して生産性が上昇しない現状では、

経済刺激策である緩和とバラマキを止めれば、

今度は、国内企業利益の減少と失業、賃下げで悪化する


何度も言うように、日本の産業や社会構造を根本的に変えない限り、

社会保障負担の増加と、受給者増による希薄化で、貧困化は止まらないということだ



2. 2017年10月27日 21:25:20 : KoH58Epg7c : yYIpdH3Am_4[502]
実体と 株価見事に 乖離させ

3. 阿快[192] iKKJ9Q 2017年10月28日 05:51:13 : LbmrX5oGzw : Mp5KstKayB4[8]
ばかばかしい。笑
これで教授がやれるのだから、日本の学生がみなバカになるわけだ。
もちろんアベノミクスなんか最初からデタラメに決まっている。
いまさらなにをいってるのか。
それに「円安」? そんなもの国民の貧困化と何の関係もない。
産業構造も関係ない。少子高齢化も関係ない。
少子高齢化で経済発展がマイナスになった国なんかひとつもない。
国民を豊かにするには国が緊縮政策をやめて投資を奨励すればすむだけの話。
つまり大企業が国内に投資をして国内の生産性を向上させればいいのだ。

それだけの話。ばかばかしくて屁がでる。なにが円安だ。


4. 2017年10月28日 21:07:52 : rwgORSmgTI : ySbarMWNCPU[140]
■行き過ぎた円安誘導は愚の骨頂

まさに我々の生活を圧迫しているのは円安である。


5. 2017年10月30日 15:38:49 : LY52bYZiZQ : i3tnm@WgHAM[-3858]
1027経済の深層
. デモクラシータイムス
2017/10/29 に公開
https://www.youtube.com/watch?v=IoAs_hGFVnY

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