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「大陸移動説」100 周年に思う
http://www.asyura2.com/17/jisin22/msg/274.html
投稿者 taked4700 日時 2017 年 11 月 02 日 05:41:47: 9XFNe/BiX575U dGFrZWQ0NzAw
 

もともとは日本地震学会のサイトに公開されていた記事です。311大地震というM9地震を予測できなかったその原因について分析した記事です。ところが、今年2017年の春あたりからアクセスできなくなりました。そのため、こちらへ投稿させていただき、一般のサーチエンジンで探せる状態にしたいと思います。


「大陸移動説」100 周年に思う
  佃 為成 
 大西洋を挟んだ南アメリカ,アフリカ両大陸の沿
岸地域の地層や,その皺を表す地形の模様は,ちょ
うど二つに切り裂かれた名刺がぴったり合うように
つながっている.1912 年,気象学者のアルフレート・
ヴェーゲナーは現在の大陸は超大陸から分裂して移
動しつつあるという説を発表した.現代では,大陸
の移動は宇宙技術を用いて精密に実測できるし,そ
の原因もプレートテクトニクス理論で裏打ちされて
いて,これを疑う人は誰もいない.しかし,当時の
学者の多くはその説に批判的ないし懐疑的であっ
た.
 この説の検証のため,文献調査や測地測量に従事
しながら,彼はその成果を「大陸と海洋の起源」と
題する本にまとめた.改定を重ねて1929 年に最終
版(第四版)が刊行された.その序文の冒頭に今日
でもそうではないかと思わせる文言がある.「地球
の昔の状態を明らかにするには,地球科学の全分野
の協力が必要である.そして,そのようなすべての
分野にわたる証拠を総合することによってはじめて
真理に達しうるのである.このことを,科学者たち
はまだ十分に理解していないようにみえる」(都城
秋穂・紫藤文子訳,岩波文庫1981)と.当時,狭
い分野の考え方に縛られて総合的な思考を欠いてい
た学者が多かった.
 現代においても,そのことの理解が十分ではない
のではないか.現代の地球科学の中で,大きな災害
をもたらす地震や火山噴火,気候変動などの予測は
最重要の課題の一つである.「地震予知」も夢のあ
る科学であり,防災対策への動機付けを与える原動
力である.目標がなければ何事も行えない.
 昨年3 月11 日の東北地方太平洋沖地震について
は,東北地方の地質学,地形学,測地学の成果をよ
くよく考察すれば,超巨大地震の存在は自然な帰結
である.すでに1996 年から,それを明確に述べた
研究者がいた(池田,1996,池田,2003).その後
も度々学会等で議論が行われた.2004 年のスマト
ラ沖地震発生のちょっと前には,「ハルマゲドン地
震」という言い方もされた.スマトラ沖地震以後は
世界的にも津波堆積物研究が進展した.東北の超巨
大地震の発生については長期的な予知がなされてい
たのである.
 一方,比較沈み込み学という枠組みで,海溝型の
地震のデータを整理し,超巨大地震の発生の条件を
考察した論文が1980 年に米国で発表されたが,そ
の説に従うと,どちらかというと東北地方沖には超
巨大地震は起きないということになる.後者は世界
中の地震活動帯を視野に入れているが,近代に発生
した地震を対象にしている.ところが,東北地方の
固有の性質や長い地質時代の考察は抜けているので
ある.しかし,多くの日本の地震学者がこちらの説
を採った.
 地震学とは何か? 地震現象の科学も,地球,い
や最近では金星や火星などの惑星の様々な科学の分
野を総合して考える学問である.プレートテクトニ
クスは地球の総合的な研究から生まれた.万年,数
十万年,数百万年間とこの百年,数十年間の地殻変
動について,とりあえずその枠組みで考えることは
許されるであろう.その枠組み中での総点検をする
ことすらなく,狭い「地震学」の成果のみに注目す
るというのは,大きな間違いであることに気づくべ
きである.
 ところで,「予知」とは,あらゆる「知」を絞っ
て今後起こることを明らかにすることである.「超
巨大地震とそれに続く大津波が発生する可能性があ
る」ということを研究者を含め,多くの人々が知っ
ていたら,津波から逃げる人はもっと多かったに違
いない.予知研究も進展したであろう.行動には予
知が必要で,物事は見ようと思わないと見えないの
である.震災や津波に対する人々の防災意識も予知
された危険を認識してはじめて芽生える.「いつど
んな地震が来ても大丈夫なように備えよ」と呼びか
けても人はけっして動かない.
 ヴェーゲナーが言ったことは地震予知の科学にお
いても同じで,これも様々な科学の分野が協力する
ことによって大きく前進するはずである.自分の研
究領域と異なる他領域の研究にも目を向けようでは
ないか.
 地震計を用いた計測と理論による研究は,伝統的
な地震学の手法であり,地震現象解明のために必要
で,予知研究にとっても重要な分野である.そして,
測地学や地殻変動研究分野も地震が発生する場の物
理的な状態を把握するための基礎的な研究である.
これらは素直に認めなければならない.しかし,そ
れだけでは地震予知研究が進展しないのも確かなこ
とである.長期的な予知には,変動地形学や構造地
質学などの研究が,むしろ基本的な情報を提供する.
さらに科学のあらゆる手段を駆使して,地下の動き
を探る研究が重要である.
池田安隆, 活断層研究と日本列島の現在のテクトニ
クス, 活断層研究, 15, 93‒99,1996.
池田安隆, 地学的歪速度と測地学的歪速度の矛盾,
月刊地球, 25, 125‒129, 2003.
(以上引用終わり)  

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コメント
 
1. 2017年11月02日 18:58:56 : UrAnSsR7Ic : P9@1KwdykWQ[1]
>万年,数十万年,数百万年間とこの百年,数十年間の地殻変動について,とりあえずその枠組みで考えることは許されるであろう.

「とりあえず…許されるであろう」という謙虚な姿勢が大切だと思います
その上で、伝統的な地震研究が部分部分しか見ていないことを批判することにも納得できます

大陸移動について一考察を述べるなら、火星と月にはプレートの動きはなく、それは星の熱が低いために流体運動が起きていないことが理由です
7億年前に存在した超大陸が分裂後に結合しパンゲアと成り、さらに分裂して現在の世界を作っていますが、パンゲアが分裂し始めた時代の気温は現在よりも10度は高かったとそうです
また、地球の自転速度は地球誕生時から徐々に下がり、遠心力低下の影響で数%とはいえ現在の重力定数0.981は最も重力の大きな時代になっています

即ち、億年単位で考えた時は地球の温度が下がることで流体運動が低下し、地殻を中心部に押し付ける重力が強くなったことでより地殻を動き辛くさせているので、今の数値を基に計算した結果がそのまま未来もイコールなのかと思います

科学の世界には一から積み上げていく基礎科学と、今、有ることを前提に逆算的に物事を考える人間原理による科学が有ります
例を挙げると、現在の技術をもってしても、アミノ酸は人工的に作れても生き物、即ち細胞膜を持ち自己増殖能力のある単細胞すら作ることができず、ましてやDNAに至っては手も付けられない状況です、これが40数億年の中で自然に誕生したする学説はは、今、人間が存在する以上はこうであったはずだとするのが人間原理による考え方です

日本から千数百キロ東方にタオ海台が発見されたのはまだ4年前ですから、人は陸地の一部分の痕跡をもってして未来を予測してきたことが判ります

今あることを前提とする学問を無意味と言うつもりは有りませんが、地球表面の70%を占める海の調査がようやく始まったばかりだと考えると、地球物理学の世界に将来は新学説が出てきても何の不思議もないと思っています

それと、イエローストーンの記事に触れるなら、ソロモン諸島近海のオントンジャワ海台の噴火物はイエローストーンのそれよりも4桁以上多いと言われているので、尚更に海は未知の領域だと思っていますし、海の下ゆえに観測も満足にできていないと思われます


2. 2017年11月03日 08:22:15 : rkJU4oOov6 : NsyCTgkVO_g[344]
>311大地震というM9地震を予測できなかったその原因について分析した記事で>す。

311を予知と言うお皿に乗せる儚さ。 

所詮これは予知出来る代物じゃ無かったって事が見えて来たんだよ。


3. taked4700[6587] dGFrZWQ0NzAw 2017年11月03日 10:46:49 : FnQv9XCXX6 : o_z1H7u1AC4[1]
>>02

>311を予知と言うお皿に乗せる儚さ。 
>所詮これは予知出来る代物じゃ無かったって事が見えて来たんだよ。

宣伝に乗せられているのではありませんか。

311大地震については、公的に発表されているいろいろな地震記録を調べるだけでかなりの数の前兆現象がでてきます。

つまり、311大地震は明確に予知できたのです。ある意味、福一事故でのスピーディの非公開と同じで、故意に予知しなかったという方が真実に近いと思います。


4. がらくた箱[32] gqqC54Ktgr2UoA 2017年11月03日 12:53:58 : FptfAPW5Xs : WN6DgzS5QjU[11]
大陸移動と見えているのは、地球膨張だよ。
火星も月も膨張している。
ウエゲナーの大陸移動説と地球膨張説は、論を戦わせたが、なぜ膨張するのかがわからなかったので、大陸移動説が勝った。(なぜプレートが沈むのかはいまも不明)
しかしいまでは、マントル内部で相転移が起きていることがわかってきた。SiO4からSiO2に相転移すると岩石の体積が増える。
地球膨張説は、プレートテクトニクス研究で証明されてしまった。

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