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NATOをこき下ろすトランプ、プーチン拡大に脅える欧州 各国の反EUリーダーが続々プーチン支持を表明(WEDGE)
http://www.asyura2.com/17/kokusai17/msg/500.html
投稿者 赤かぶ 日時 2017 年 1 月 24 日 11:49:15: igsppGRN/E9PQ kNSCqYLU
 

             ロシアとNATO「影響力の境界」に位置する国々
   


NATOをこき下ろすトランプ、プーチン拡大に脅える欧州 各国の反EUリーダーが続々プーチン支持を表明
http://wedge.ismedia.jp/articles/-/8707
2017年1月24日 木村正人 (ジャーナリスト) WEDGE Infinity


 非劇の歴史は繰り返されるのか。2016年6月の英国による欧州連合(EU)離脱決定に続いて、米大統領選で保護主義と孤立主義を強調した共和党候補のトランプが大方の予想を裏切って勝利した。

 トランプは当選後、軌道修正を図っているものの、選挙キャンペーンでは、歴史上最も成功を収めた軍事同盟の北大西洋条約機構(NATO)を「時代遅れ」「金食い虫」とこき下ろした。

 EUが崩壊し、大西洋をつなぐ米国と欧州の絆が綻べば、ロシアと国境を接するNATO加盟国のバルト三国で火が吹く恐れが強まる。ロシアのプーチン大統領が描く「影響力の境界」線上にある国では、すでに緊張感が高まっている。

■「パルチザンを組織せよ」配布されたパンフレット

 バルト三国の一つ、リトアニアは人口約286万人。国土面積6万5300平方キロメートルと北海道の8割ぐらいの広さだ。そのリトアニアとポーランド、バルト海に囲まれるロシアの飛び地カリーニングラードをご存じだろうか。ロシアの重要な不凍港の一つで、バルト艦隊の拠点である。

 11月下旬、ロシア軍は対艦ミサイルをカリーニングラードに配備した。10月には核弾頭を搭載できる戦域弾道ミサイル「イスカンデルM」(射程700キロメートル)を持ち込んだ。ロシア側は「軍事演習の一環」と説明するが、ミサイル防衛(MD)を強化するNATOに対抗する狙いが浮かび上がる。

 ロシアのプーチン大統領によるクリミア併合とウクライナ危機で、バルト三国は一気にきな臭くなった。リトアニアは15年、徴兵制を7年ぶりに復活させ、ロシア軍の侵攻に備えてパルチザンの結成方法を国民に伝授するパンフレットを配布した。パルチザンとは、自発的に戦う一般市民などにより構成される非正規軍のことを指す。

■大国に翻弄され続けてきたバルト三国

 パンフレットを開くと、ロシア軍とリトアニア軍の見分け方、ロシア製の装甲車、戦車、自動小銃、手榴弾、地雷などが写真付きで詳しく説明されている。避難方法や緊急事態下の規制だけでなく、化学兵器による健康被害を最小限に抑える緊急措置の記述もある。

 家族を安全な場所に避難させたらフェイスブックやツイッターを通じてパルチザンを組織するよう呼びかけている。万策尽きてもロシア軍には協力せず、徹底的にサボタージュせよと指示している。


 リトアニアにある世界遺産「十字架の丘」。ロシアに翻弄された同国の象徴となっている(写真・FRANCOIS LE DIASCORN/GETTYIMAGES)

 「リトアニアにはソ連支配に抵抗して10年間戦ったパルチザンの歴史がある。パルチザンが破壊されたあとはカトリック教会が抵抗運動を続けた」

 こう語るのは、リトアニアがソ連から独立したあと、初代外相を務めたサウダルガス欧州議会議員だ。パンフレットは、地方の森を隠れ家にソ連軍に抗戦し「森の兄弟」と呼ばれたパルチザンの歴史を思い起こさせる。

 ドイツとロシアに挟まれたバルト三国は歴史に翻弄され続けてきた。リトアニアは18世紀末ロシア領となったが、第一次世界大戦とロシア革命に乗じて、ドイツ占領下の1918年に独立を宣言した。しかし独ソ不可侵条約の秘密議定書により40年、再びソ連に併合され、この際、バルト三国の住民は大量にソ連のシベリアに強制移送されている。

 90年、リトアニア最高会議は独立を宣言。91年、最高議会に向かうソ連軍の戦車の前に市民が立ちはだかり、ソ連はリトアニア独立を認めた。市民14人が犠牲になり、約1000人が負傷したこの事件をきっかけにソ連は崩壊する。バルト三国は常に歴史の発火点となってきた。

 リトアニアのリンケビチュス外相は筆者にこう話す。

 「ロシアとの間で緊張が高まっており、非常に悪いムードだ。しかし未来は決して与えられるものではない。欧州の未来は私たちの取り組みにかかっている。EUと人々の間に大きな溝ができ、政治指導者は信頼を失った。ポピュリズムが欧州全体を覆っている。後手に回ってはダメだ。先手を打って信頼回復に努めなければならない」

 プーチンが一方的に緊張を高める理由の一つは、原油価格の急落で国内経済が悪くなり国民の目を外に向けさせる必要があるからだろう。

 オレカス国防相は「わが国も18年には国防支出をNATO目標であるGDP(国内総生産)の2%まで増やす。トランプ次期大統領にはこれまで通り欧州の安全保障に対する責任を果たしてもらいたい。プーチンがどんな手を打ってくるか分からないが、1センチたりともわが領土には入らせない。NATOや米国との協力を強化したい」と筆者に語気を強めた。

■飛び地に配置した75発の核兵器

 ソ連崩壊後、NATOは東方拡大を続け、民主化したロシアが加盟国になると信じ込んでいた。ロシアとの信頼構築のため、バルト三国や旧ソ連圏のポーランドにはNATOの緊急事態対処計画を策定せず、常駐部隊も置いてこなかった。

 ロンドンにある国際戦略研究所(IISS)が世界の軍事力を分析した「ミリタリー・バランス2016」によると、バルト三国ではラトビアが主力戦車3両を保有しているが、戦闘機は全体でもゼロ。

 欧州主要国は90年からの25年間に軍事力を大幅に減らしてきた。西ドイツ(現ドイツ)は215大隊から34大隊に、イタリアは135大隊から44大隊に、フランスは106大隊から43大隊に、英国は94大隊から50大隊に縮小している。

 トランプは選挙期間中、「NATOの欧州加盟国は米国に比べ応分の負担をしていない」と痛烈に批判したが、これは紛れもない事実なのだ。

 NATOの2%目標を達成しているのは加盟28カ国中、米国3・62%、ギリシャ2・46%、ポーランド2・18%、エストニア2・04%、英国2・07%の5カ国だけ。フランス1・8%、ドイツ1・18%、イタリア0・95%と非常にお寒い状況だ。

 これに対してプーチン率いるロシアは11年のGDP比3・05%から年々増やしている。15年には5%を国防支出に充て、急ピッチで軍や装備の最新鋭化に取り組んでいる。欧州問題に詳しい英大学キングス・カレッジ・ロンドンのマイヤー教授は筆者にこう打ち明ける。

 「少し誇張して言えば、ここ1〜2年はロシアの思い通りになる危険性がある。通常兵力の差はそれほど大きいということだ。欧州は財政が苦しく、国防支出をロシアのようには増やせない。英国のEU離脱決定で反グローバリズムという不幸せ感が広がり、欧州は弱体化している。簡単な時期ではない」

 バルト三国と同じようにドイツとロシアに挟まれているポーランドでは大多数がトランプ勝利に驚いた。ロシアに対する宥和政策をほのめかすトランプより、プーチンに非妥協的な民主党候補のクリントン前国務長官の方が安心できたからだ。

 ポーランド国際問題研究所(PISM)のアナリスト、ヤシナ氏は「トランプは当選後、ポーランドの大統領に電話で『ポーランドと米国の協力は前進していくので、どうか安心してほしい』と伝えた。これまでの合意に何の変更もないという話だった。トランプは、NATOの加盟国はもっと負担をと主張してきたが、ポーランドは十分な負担をしている」と話す。

 この電話でポーランドの恐怖心は少し和らいだ。しかし大国外交に振り回されてきたポーランドは米露だけでなく、仏露、独露の間で交わされる首脳同士の会話に常に聞き耳を立てる。ドイツのメルケル首相がモスクワに行ったり、プーチンがベルリンを訪れたりしている間は、ポーランド人は眠れないというジョークさえある。

 NATOは16年7月、ポーランドの首都ワルシャワで首脳会議を開き、バルト三国とポーランドに4000人の多国籍大隊を展開することを決め、NATO軍の常駐態勢を整えた。ロシアの西部軍管区6万5000人、南部軍管区7万5000人に対抗できる兵力ではないが、NATOの集団防衛を発動する「仕掛け線」としては十分と言えるかもしれない。

 後ろには1万3000人から4万人に増強したNATO即応部隊が控え、このうち5000人は48時間以内に展開可能だ。

 ヤシナ氏は「ロシアはカリーニングラードに核兵器75発を保有している。EUは地雷問題・対人地雷禁止条約を主導したため、国境沿いに地雷を埋めるわけにはいかない。歴史はポーランドがいかに侵略に弱いかを教えてくれる。米国とドイツのサポートなしにロシアを退けることはできない」と訴えた。

■ロシアが得意とする「紛争の凍結」

 欧州との緊張を高めるプーチンの狙いは何なのだろう。キーワードは「凍結された紛争」と「影響力の境界」だ。

 15年末、モルドバの首都キシナウのホテルで偶然会った元米兵にスカイプで連絡を取った。米民間セキュリティー会社ジャガー・イーグル・フォーメーション・デプロイメント・コンサルタンツを経営するマーク・ロペス氏だ。

 9年間、アフガニスタンのNATO空軍基地やアフガン治安部隊基地を拠点に450人のスペシャリストを使って、基地のパトロールや警護、爆発物探知を担当した。現在はウクライナ東部の紛争地でウクライナ陸軍の志願兵らに戦場での応急措置、爆発物探知、市街戦、突撃戦術の訓練を施している。

 ロペス氏は言う。「トランプは『米国をもう一度、偉大な国に』と訴えるが、米国はすでに偉大な国だ。トランプはもっと大きな絵を見るべきだ。NATOだけでなく、北朝鮮の核・ミサイル問題、海賊対策、テロ対策、災害対策など、世界の安全保障は米国だけでは成り立たなくなっている。孤立主義はできない時代だ。トランプは部下のいないビジネスマンに過ぎなかったが、これから現実に向き合わなければならない」。

 モルドバでは90年、ロシア系住民が「ドニエストル共和国」の分離独立を宣言。政府軍とロシア・ドニエストル軍の紛争が起き、停戦後、ドニエストル側はロシアに支配されている。

 紛争が凍結された形でロシアの管理が行われているため、「凍結された紛争」と呼ばれる。08年のジョージア(旧グルジア)紛争でもアブハジア自治共和国や南オセチアで同じ管理が行われている。

■バルト三国に住む100万人以上のロシア系住民

 親ロシア派武装勢力が独立を宣言したウクライナ東部はプーチンの手中に落ちたも同然だ。バルト三国には合計すると100万人以上のロシア系住民がおり、ラトビアとエストニアでは国籍や市民権をめぐりロシア系住民の不満がくすぶっている。

 「トランプと彼の安全保障チームがNATOの使命継続を表明しないなら、プーチンのバルト三国やウクライナ侵攻にゴーサインを出すことになりかねない。平均的なウクライナ人は米国や英国からの助けがやがて来るとは信じていない。自分たちの軍や軍需産業に頼るしかないと考えている。米国は対ロシア制裁を縮小するのではなく、ウクライナ政府への支援を新たに補充する必要がある」とロペス氏は指摘する。

 ロシアはバルト三国や北欧諸国への領空侵犯を繰り返し、中東のシリアにも軍事侵攻した。プーチンは明らかに「影響力の境界」を拡張しようとしている。


 プーチン大統領はロシアの「影響力の境界」を拡張しようとしている(写真・MIKHAIL SVETLOV/GETTYIMAGES)

■反EUの指導者たちが続々とプーチン支持を表明

 17年春に予定されているフランス大統領選で、反EU、移民排斥を唱える極右政党・国民戦線のマリーヌ・ルペン党首が勝利すれば、第二次世界大戦後、米国と欧州が積み上げてきた自由と民主主義の価値は完全に吹き飛んでしまうだろう。

 保護主義と孤立主義が世界を覆い始めるなか、独りほくそ笑んでいるのはプーチンだ。

 「英国の離脱が引き金になり、EUが崩壊して一つひとつの国民国家に逆戻りすることはプーチンの長期戦略と合致している。EU離脱に投票した英国人は結果的にプーチンを助けたことになる」

 こう解説するのは英シンクタンク、ヘンリー・ジャクソン・ソサイエティのロシア研究センター所長、フォックスオール氏だ。

 フォックスオール所長はオープンソースの情報からロシアのプロパガンダに利用されている人脈を分析した報告書「プーチンの有益な愚か者たち」をまとめている。報告書は、欧州に広がる反EUネットワークとロシアのつながりをあぶり出している。

 14年12月、国民戦線はモスクワにある第一チェコ・ロシア銀行から、940万(約11億2600万円)を借り入れた。ルペン党首はプーチンを敬服していることを隠さず、13年のロシア訪問ではロゴジン副首相とナルイシキン下院議長(現・対外情報局長官)と会談した。

 トランプ勝利を受け、ルペン党首は「巨大な動きが世界で進行中だ。政治とメディアのエリートは思い知らされるだろう」と雄叫びを上げた。

 英国のEU離脱を主導した英国独立党(UKIP)のファラージ暫定党首は、クリミア併合が強行された14年3月に、最も尊敬する世界の指導者としてプーチンの名前を挙げ、シリア内戦への対応を「素晴らしい」と持ち上げてみせた。

 ジェームズ前党首(16年9月に就任するも、20日もしないうちに辞任した)もプーチンのナショナリズムを讃えている。

 これらは氷山の一角に過ぎない。

 「愚か者たちのネットワーク」はシンクタンクや大学の討論会、ロシアのニュース専門局RTや情報通信・ラジオ放送局スプートニクへの出演などを通じて世界中に張り巡らされている。

 英紙ガーディアンによると、ロシアのサンクトペテルブルクにはインターネット上にロシアを利する情報を流す「トロール部隊」のビルがある。午前9時から12時間交代で年がら年中、プロパガンダを世界中に流している。月給は4万5000(約7万8500円)。これはロシアの平均月給(3万2000〜4万2000)に比べても割高だ。

 フォックスオール所長は言う。「プーチンには、欧州をバラバラにして石油・天然ガスなど資源をテコに一国一国に対して優位に立つ戦略がある。選挙期間中、ロシアへの宥和政策を打ち出したトランプはクレムリンから何らかの影響を受けているのかもしれない」。

 欧州はトランプ政権の外交戦略をびくびくしながら見守っている。



 

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コメント
 
1. 2017年1月24日 19:00:35 : 1hFwhl5XF6 : A44FqszPm3Y[157]
木村正人
在ロンドン国際ジャーナリスト。元産経新聞ロンドン支局長。米コロンビア大学東アジア研究所客員研究員、慶應義塾大学法科大学院非常勤講師などを歴任。

木村正人が、地中海で難民を拾い上げてEUへ送り込んでいるNGOや、1%が裕福になり99%が貧乏になった現実のEUに住んでいる人たちのことを書かずに、プーチンがどうたら、ポピュリズムがどうたら、NATO対ロシアがどうたらこうたら長々と書くのは、特別な理由があるからだろう。

妄想を膨らませて、戦争を煽る手口は、戦前よく使われた手法だ。


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