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再燃したキルクーク支配をめぐる紛争 岡崎研究所(WEDGE)
http://www.asyura2.com/17/warb21/msg/340.html
投稿者 赤かぶ 日時 2017 年 11 月 16 日 20:18:15: igsppGRN/E9PQ kNSCqYLU
 

再燃したキルクーク支配をめぐる紛争
http://wedge.ismedia.jp/articles/-/11047
2017年11月16日 岡崎研究所 WEDGE Infinity


 エコノミスト誌が「『シーア派アラブとクルドの間の新しいイラクでの戦争』イラクの指導者はクルドからキルクークとその油田を奪取するために行動している」との記事を10月16日付けで掲載、キルクークへのイラク軍侵攻とその背景を報じています。記事の概要は次の通りです。

        

 豊富な石油と多くの民族集団と宗教によりキルクークは常に争われてきた。2014年、ジハーディストが制圧したが、それはクルドにキルクークを奪取する機会を提供した。しかし「イスラム国」が敗北させられている今、キルクーク支配をめぐる紛争が再燃した。

 10月16日未明、イラク軍はキルクークに進撃、油田、市外の軍事基地、市の中心の行政用建物を接収した。石油生産は一時的に止まり、多くの文民がキルクークを脱出した。今までのところ、死傷者の数は少ない。ペシュメルガ(注:クルド民兵)戦闘員はほとんど抵抗せず撤退した。しかし、若干のクルドは上の指示でキルクーク防衛のために立ち上がった。

 いくつかの要因が緊張を高めている。

 第1は、バルザニ議長が強行した9月のクルド独立の住民投票である。イラクのアバディ首相は分離を阻止すると誓い、クルドの諸都市への国際航空便を止めた。

 アバディ首相は、住民投票は1991年の自治区設置以来、クルドが得た「すべて」を失わせると述べた。キルクーク油田の喪失は、財政的に逼迫しているクルド自治政府から歳入の多くを奪うことになる。

 イランは国境を閉鎖し、クルド地区の通商ルートを阻害している。先週はコレク・テレコム(バルザニの甥が経営する携帯電話会社)が襲撃されたが、イラクでのクルドのビジネスも攻撃されている。

 第2は、米・イラン間の緊張の高まりである。米国の外交官はアルビルとバグダッドを往復、アバディとバルザニにそれぞれの兵力を自制させるように求めている。しかし、トランプは10月13日、核合意を非難し、イランの革命防衛隊(IRGC)をテロ組織に指定すると脅し、そういう努力を掘り崩している。

 IRGCはトランプの大言壮語に力で対抗した。IRGCの対外工作の責任者ソレイマニ将軍はキルクーク侵攻の前にイラクに行き、イランと緊密な関係のある人民動員部隊と連邦警察が攻撃を主導した。シリアでも、イランの同盟者が前進している。10月14日、シリア軍はユーフラテス川のマヤディンをイスラム国から奪取した。

 これらの地域的戦闘の裏には、イスラム国が撤退した肥沃な三日月地帯の奪い合いがある。地域の民兵や地域勢力が既成事実を作ろうとしている。イスラム国の首都ラッカは米の支援するシリアの反政府勢力が取りそうであるが、シリア政府とイラン・シーア派の同盟者がシリアの国境を支配する競争に勝ちそうである。

 合意を求めている者もいる。アバディ首相はイラク政府とクルドの高官が関与する共同行政をキルクークで作ることを提案した。しかし、「イスラム国」との闘争での昔の同盟者がお互いに武器を向ける中、交渉の呼びかけは遅すぎるように見える。

出典:‘A new war in Iraq, now between Shia Arabs and Kurds’(Economist, October 16, 2017)
https://www.economist.com/news/middle-east-and-africa/21730328-iraqi-leaders-act-retake-city-and-its-oilfields-kurds-new-war

 この記事は、クルド自治区での独立をめぐる住民投票後の地域の情勢を良く描写しています。

 一言で言ってしまえば、キルクークにいたペシュメルガが、侵攻するイラク軍に抵抗をせず撤退したので、軍事衝突は激しくならず、まだ話し合いの余地が残った、ということでしょう。アバディ首相のキルクーク共同統治案を探求すること、クルドの自治権強化とイラクでの真の連邦主義について対話することが、唯一の平和的解決への道のように思われます。

 エコノミスト誌は、交渉の呼びかけは遅すぎたという懸念を表明しています。それは確かに正当な懸念です。クルド自治政府側も中央政府のアバディ首相も、政治家として大きな決断をして、懸念が当てはまらないことを示すことが求められます。そうしないと、「イスラム国」掃討後のイラクは、再び戦乱の地になってしまうでしょう。

 多くの周辺国や大国の助言を無視して、独立の住民投票を強行したバルザニには、今回のような事態の進展に大きな責任があります。国際航空機の乗り入れ禁止など諸制裁を呼び込んでしまったともいえます。キルクークを奪取され、何もできなかったことから、バルザニの指導力は大きく傷つきました。バルザニは、11月1日付での退任表明に追い込まれています。バルザニは住民投票の無効化をイラクの中央政府から求められ、10月15日には拒否したとされますが、クルド自治政府側としては、住民投票の法的効果はイラク中央政府との交渉の結果で決まるなどといった姿勢は取りうるのではないかと思われます。

 トランプが米・イラン関係をこの時期に悪化させたのはまずい結果をもたらしているとの記事の指摘はその通りです。米国の対イラン外交には問題が多く、ただでさえ不安定な中東をさらに不安定化しています。




 

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コメント
 
1. あやみ[346] gqCC4oLd 2017年11月17日 07:12:30 : l8wYuoexTI : RcXdBndNl_0[2]
岡崎研究所というのはアホの巣窟ですか?

バルザーニをおだて上げて住民投票を強行させたのはアメリカです。サダム時代の力を失ったイラク国防軍に助太刀したのはイランの支援する武装組織ハシディ・シャービです。そのハシディ・シャービに武器を供与しているのもアメリカです。イバーディ政権はアメリカの傀儡です。

撤退したペシュメルガの支配区域はそのままクルドテロ組織YPGに引き継がれます。ラッカに続いてほかのISIS支配区域も少しずつYPGに戦わずして明け渡されて行くでしょう。するとシリア・イラクの中央から北部にかけてクルディスタンが建国されます。しかし武力も外交も地下資源もアメリカに完全に私物化された属国としてです。


2. 2017年11月17日 19:13:40 : BPsZGEsRKE : HT11u5WdSg0[3]
アメリカネオコンの代弁者の岡崎研究所がこのようなことを書くということはアメリカの傀儡勢力が影響力を失い敗走中だということ。

もうラッカを含むシリア国内の大勢は決した。シリア政府軍側の勝利である。

アメリカは独裁者と決めつけ宣伝したイラクのフセイン、リビアのカダフィを殺すことには成功したが、ここへきてシリアのアサドには勝てなかった。それよりはるかに大きな影響力を持った国、イランにも勝てなかった。サウジアラビア、カタールもロシアの兵器を購入する準備をし始めた。すべてがアメリカのいいなりにはならないということだ。

中東地区の勢力は逆に回転し始めた。


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