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トルコがシリアへ侵攻し、クルドが切り捨てられる(ニューズウィーク)
http://www.asyura2.com/17/warb21/msg/581.html
投稿者 赤かぶ 日時 2018 年 1 月 25 日 12:04:20: igsppGRN/E9PQ kNSCqYLU
 

トルコがシリアへ侵攻し、クルドが切り捨てられる
http://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2018/01/post-9379.php
2018年1月24日(水)18時00分 青山弘之(東京外国語大学教授) ニューズウィーク



トルコ-シリア国境のトルコ軍 Umit Bektas-REUTERS


<シリア内戦の終結やイスラーム国根絶に一役買ってきたクルド人だが、今やすべての当事者から切り捨てられる存在となった>

クルド人はシリア内戦の当事者たちが折り合う結節点であり続けている──ロジャヴァ(西クルディスタン移行期民政局)が支配するアレッポ県北西部のアフリーン市一帯へのトルコ軍の侵攻は、このことを再認識させる。

■内戦の当事者たちを繋ぐ「バッファー」(緩衝材)だったクルド

ロジャヴァは、国際紛争としてのシリア内戦を終息に向かわせるカギとなったアクターだった。それは、この組織(あるいは機関)が、ロシア、米国、イラン、そしてバッシャール・アサド政権と微妙な距離を保ってきたことの結果でもあった。

ロジャヴァを主導するクルド民族主義組織の民主統一党(PYD)は、「アラブの春」がシリアに波及する以前から、アサド政権の退陣をめざす一方、弾圧から住民を守るとして、人民防衛部隊(YPG)や女性防衛部隊(YPJ)を養成してきた。だが、体制転換は政治的に行うと主張し、シリア内戦下でも政権と戦火を交えることはほとんどなかった。

PYDはその代わりに、イスラーム国やアル=カーイダ系組織のシャームの民のヌスラ戦線(現在の呼称はシャーム解放委員会)が主導する反体制派との戦いにYPGを投入し、「テロとの戦い」においてアサド政権と戦略的に共闘した。

こうしたPYDの姿勢は、アサド政権を後援するロシアとイランからの支援を促した。また、有志連合を率いてイスラーム国掃討作戦を推し進めていた米国も、YPGを「協力部隊」(partner forces)とみなした。2015年半ばに米国の肝煎りで結成されたシリア民主軍が、YPGを主体とし、イスラーム国の首都と目されたラッカ市解放戦の中軸を担ったことは周知の通りだ。

ロジャヴァは、内戦の当事者たちを繋ぐ「バッファー」(緩衝材)のような役割を担った。その結果、イスラーム国に対する包囲網が強化されるとともに、反体制派(そしてイスラーム国)に対するアサド政権の優位が確定し、ロシア主導のもとでシリア内戦は終わりへと向かった。

■イスラーム国が壊滅すると存在意義は失われていった

しかし、2017年末にシリアとイラクでイスラーム国が事実上壊滅すると、バッファーとしてのロジャヴァの存在意義は失われていった。事態に対処するべく、ロジャヴァは北シリア民主連邦を樹立し、自治体制を拡充しようとした。9月には連邦における最小の行政機関にあたるコニューンの首長選挙が、また12月には村、町、区、市、郡、地区といった行政区画における議会選挙が実施され、2018年1月までに、各議会の議長が選出されていった(拙稿「シリアで「国家内国家」の樹立を目指すクルド、見捨てようとするアメリカ」2017年8月19日)。

北シリア民主連邦は、ロジャヴァ支配地域を構成する三つの地域(ジャズィーラ、ユーフラテス、アフリーン)の議会と、連邦議会に相当する北シリア民主人民大会を選出することで正式に発足するはずだった。だが、イラク・クルディスタン地域での独立に向けた動きが内外の反発を受けて頓挫したように、ロジャヴァ支配地域で1月に予定されていた総選挙は無期延期となった。


■米国への依存を強めていった

その一方で、ロジャヴァは、ロシア、イラン、そしてトルコが、アスタナ会議を通じて内戦後のシリアでの勢力維持・強化を画策するなか、米国への依存を強めていった。米国にとっても、ロジャヴァとの連携は、シリア国内に建設した11の基地を維持し、影響力を行使するうえで不可欠だった。

だが、トルコがこれに強く反発した。PYDをクルディスタン労働者党(PKK)と同じテロ組織とみなすトルコは、兼ねてから米国とロジャヴァの関係を快く思っていなかった。シリア北東部と北西部を支配下に置くロジャヴァが国境地帯全域に勢力を伸張することを恐れていたトルコは、ユーフラテス川からアレッポ県北部のアアザーズ市一帯にいたる地域を「安全地帯」(güvenli bölge)に指定し、同地へのロジャヴァの勢力拡大を安全保障上の「レッド・ライン」と位置づけた。

ロジャヴァが2016年6月に、ユーフラテス川を渡河し「安全地帯」内のマンビジュ市を掌握すると、トルコはこれに対抗して、8月に「ユーフラテスの盾」作戦を開始、シリア内戦後初となる本格軍事介入に踏み切った。7ヶ月にわたる作戦で、トルコ軍は、ハワール・キッリス作戦司令室」や「ユーフラテスの盾作戦司令室」などと呼ばれた反体制派とともに、ユーフラテス川右岸のジャラーブルス市やバーブ市を制圧し、「安全地帯」を事実上占領した。

なお、トルコは、この作戦と並行してロシアやイランと結託、2016年12月にアレッポ市東部街区からヌスラ戦線をはじめとする反体制派(およびその家族ら)の退去を仲介することで、アスタナ会議の保証国としての地位を確保した。

■トルコの猛反発

米国に対するトルコの怒りが頂点に達したのは、ドナルド・トランプの大統領就任から1年が経とうとしていた今年1月半ばだった。きっかけとなったのは、イスラーム国の勢力回復を阻止するとの名目で、米国がシリア民主軍の戦闘員を主体とする「国境治安部隊」(border security force)の創設に向けて動き出したことだった。国境治安部隊は3万人の兵員を擁し、ロジャヴァの支配地域を囲い込むかたちで、トルコ、イラクとの国境地帯、そしてユーフラテス川流域に配備されるとされた。

米国の動きに対して、レジェップ・タイイップ・エルドアン大統領は「米国は国境地帯にテロ部隊を創設することを承認した。我々が行うべき任務は、この部隊を生き埋めにすることだ」と凄んだ。だが、こうした威嚇によって、米国のロジャヴァ支援策が変更されないことは、トルコも承知していた。真の狙いは別のところ、すなわち、アフリーン市一帯に対してトルコ軍が準備していた軍事作戦を米国に認めさせることにあった。

トルコは、アスタナ6会議(2017年9月)でイドリブ県の緊張緩和地帯への処遇をめぐってロシア、そしてイランと合意に達して以降(拙稿「今こそ、シリアの人々の惨状を黙殺することは人道に対する最大の冒涜である」2017年9月23日)、アフリーン市一帯のYPGの動きを監視するとして、イドリブ県北東部にあるシャーム解放委員会最大の軍事拠点であるタフタナーズ航空基地、アレッポ県西部の複数カ所に部隊を進駐させ、同地に侵攻する機会を窺っていた。

トルコの猛反発を受け、レックス・ティラーソン国務長官ら米高官は、国境治安部隊を創設している事実そのものを否定する発言を繰り返すようになった。こうした発言が「嘘」だということは、国境治安部隊の第1、2期教練プログラムの修了が発表されたことからも明らかだった。だが、トルコは、エイドリアン・ランキン=ギャロウェイ米国防総省報道官から「米国はアフリーンのクルド人部隊を支援しない」という言質を合わせて引き出すことに成功し、米国の「嘘」を見逃した。

■トルコはアサド政権とも「取引」した

トルコは、ロシア、そしてアサド政権とも「取引」した。これは、シリア軍がイドリブ県で進めていた「テロとの戦い」との兼ね合いで行われた。

2017年末にイスラーム国に対する勝利を宣言したアサド政権は、シャーム解放委員会が主導する反体制派の支配下にあるハマー県北東部、アレッポ県南西部、イドリブ県南東部での戦闘に注力、2018年1月になると、同地域におけるシャーム解放委員会の一大拠点であるアブー・ズフール航空基地(イドリブ県)に迫った。

シリア軍の攻勢に対して、反体制派は再び糾合した。中国の新疆ウイグル自治区出身者を中心に構成されるトルキスタン・イスラーム党は、戦車や重火器からなる大規模増援部隊をイドリブ県南東部に派遣し、1月11日には「アッラーには彼らを助ける力がある」作戦の開始を宣言、シャーム解放委員会を支援した。

同じ日、トルコが後援するシリア・ムスリム同胞団系のシャーム軍団や、バラク・オバマ前米政権の支援を受けていた「穏健な反体制派」(ないしは「自由シリア軍」)のナスル軍、自由イドリブ軍などが「暴君への抗戦」作戦を開始した。

シャーム軍団は、この戦闘でトルコ軍から供与された装甲車や重火器を初めて実戦に投入した。さらにシャーム解放委員会と密接な関係を築いてきた「穏健な反体制派」のヌールッディーン・ザンキー運動、アフラール軍、そして自由シリア軍を自称するアル=カーイダ系のシャーム自由人イスラーム運動もこれに加わった。

■トルコ軍と反体制派のこの軍事作戦「オリーブの枝」作戦

トルコ軍によるアフリーン市一帯への侵攻は、反体制派の糾合と徹底抗戦によってイドリブ県南東部でシリア軍が苦戦を強いられている最中に開始された。



侵攻作戦が本格化する直前の1月18日、トルコのフルシ・アカル参謀総長とハカン・フィダン国家諜報機構(MİT)長官がロシアの首都モスクワを突如訪問し、セルゲイ・ショイグ国防大臣らと会談した。建設的な雰囲気のなかで行われたとされる会談の具体的な内容は定かでない。だが、トルコのメディアによると、アフリーン市一帯でのトルコ軍の航空作戦の実施の是非、同地に「人間の盾」として進駐していたロシア軍部隊の処遇が話し合われたという。

アフリーン市一帯への越境砲撃を激化させていたトルコ軍は、この会談の2日後にあたる20日、航空部隊による越境爆撃を開始した。また、これと前後して、トルコ領内で教練を受けたとされる反体制派が、トルコのキリス県からアレッポ県北部のアアザーズ市に向けて入国した。シャーム軍団の幹部によると、その数は2万人に及んだ。

「オリーブの枝」作戦と名づけられたトルコ軍と反体制派のこの軍事作戦に、ロシア、イランは批判的な発言を繰り返したが、対抗措置をとることはなかった。トルコ軍戦闘機を撃破すると主張していたアサド政権も「野蛮な敵対行為」と言い放つだけだった。米国にいたっては、米軍中央司令部(CENTCOM)のジョゼフ・ヴォーテル司令官が「アフリーンに特別な関心はない」と言い捨てた。

しかし、ロシア、そしてアサド政権が何も得なかったわけではなかった。「オリーブの枝」作戦の開始と時を同じくして、シャーム解放委員会などの反体制派は、シリア軍に対する抗戦の手を突如弱め、1月21日、シリア軍はアブー・ズフール航空基地を奪還、軍総司令部の声明によると、イドリブ県南東部、アレッポ県南西部、ハマー県北東部の300の町村を合わせて解放したのだ。

■トルコ軍と反体制派のこの軍事作戦「オリーブの枝」作戦

トルコ軍によるアフリーン市一帯への侵攻は、反体制派の糾合と徹底抗戦によってイドリブ県南東部でシリア軍が苦戦を強いられている最中に開始された。

侵攻作戦が本格化する直前の1月18日、トルコのフルシ・アカル参謀総長とハカン・フィダン国家諜報機構長官がロシアの首都モスクワを突如訪問し、セルゲイ・ショイグ国防大臣らと会談した。建設的な雰囲気のなかで行われたとされる会談の具体的な内容は定かでない。だが、トルコのメディアによると、アフリーン市一帯でのトルコ軍の航空作戦の実施の是非、同地に「人間の盾」として進駐していたロシア軍部隊の処遇が話し合われたという。

アフリーン市一帯への越境砲撃を激化させていたトルコ軍は、この会談の2日後にあたる20日、航空部隊による越境爆撃を開始した。また、これと前後して、トルコ領内で教練を受けたとされる反体制派が、トルコのキリス県からアレッポ県北部のアアザーズ市に向けて入国した。シャーム軍団の幹部によると、その数は2万人に及んだ。

「オリーブの枝」作戦と名づけられたトルコ軍と反体制派のこの軍事作戦に、ロシア、イランは批判的な発言を繰り返したが、対抗措置をとることはなかった。トルコ軍戦闘機を撃破すると主張していたアサド政権も「野蛮な敵対行為」と言い放つだけだった。米国にいたっては、米軍中央司令部(CENTCOM)のジョゼフ・ヴォーテル司令官が「アフリーンに特別な関心はない」と言い捨てた。

しかし、ロシア、そしてアサド政権が何も得なかったわけではなかった。「オリーブの枝」作戦の開始と時を同じくして、シャーム解放委員会などの反体制派は、シリア軍に対する抗戦の手を突如弱め、1月21日、シリア軍はアブー・ズフール航空基地を奪還、軍総司令部の声明によると、イドリブ県南東部、アレッポ県南西部、ハマー県北東部の300の町村を合わせて解放したのだ。

■バッファーから切り捨てられる存在へ

「オリーブの枝」作戦によって、シリア北西部の地図がどう塗り替えられるのかは、現時点では断言できない。トルコ政府および軍は、ロジャヴァを「テロリスト」とみなし、アフリーン市だけでなく、マンビジュ市、シリア北東部の国境地帯、さらにはイラク国境にいたる地域全体でロジャヴァを殲滅すると意気込んでいる。しかし、米国の後押しを受ける彼らを根絶することは、現実味を欠いている。

アフリーン市一帯のロジャヴァ支配地域がトルコの支援を受ける反体制派の手に陥ちることも、ロシアやアサド政権にとって好ましくない。なぜなら、それによってイドリブ県とアレッポ県北部の反体制派支配地域が物理的に繋がれば、アレッポ市が再び反体制派による攻撃の脅威に曝されるからだ。

にもかかわらず、ロジャヴァに対するトルコ軍の攻勢は、米国、ロシア、アサド政権にとって共通の利益でもある。米国は、トルコがアフリーン市攻略に専念する限り、ユーフラテス川左岸のロジャヴァ支配地域で足場固めを続けることができる。ロシアにとっては、1月29〜30日にソチで開催が予定されているシリア国民対話大会への参加に消極的な反体制派を説得するよう、トルコに強く求めることができる。アサド政権にとって、国際法に違反し、民間人に対しても容赦ない攻撃を加えるトルコ軍の非道は、イドリブ県、ダマスカス郊外県東グータ地方、そしてダルアー県の反体制派支配地域の奪還に向けた軍事作戦に伴うバッシングをかわすための格好の隠れ蓑になる。

対立し合う当事者たちを繋ぐバッファーとして、シリア内戦の終結やイスラーム国根絶に一役買ってきたクルド人だが、今やすべての当事者から切り捨てられる存在へと身を落とし、各々の利益を折り合わせる結節点となってしまっている。

青山弘之(東京外国語大学教授)



 

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コメント
 
1. 2018年1月25日 19:00:56 : uJRHiUIqDQ : rzZhDfLw80Q[364]
トルコ軍 茶番のハブに メスを入れ

2. 2018年1月26日 00:22:45 : FPbr6d8OlU : JtmjxAnhEWA[25]

クルドが切り捨てられる、そのような言説は何を意味するのだろうか?

 クルド勢力は自分らの勢力内にUS軍の駐留を認めている、一方でシリア政府はUS軍のシリア国内での駐留を主権の侵害であると考えている。

 クルド人はシリア内で自治的に暮らしているが、そのクルド人をシリア政府は切り捨てるだろうか?

 シリア政府はしない。

 US軍の撤退はクルドを切り捨てることにはならない。クルドがシリア内で暮らす条件が整うだけであろう。

 クルドが切り捨てられるという表現にはクルドはシリアから独立すべきとの含意があるとするならば、USは決して手間暇をかけたクルドを切り捨てようとはしないが故に、意味不明となる。

 USが決して切り捨てない、そのようなクルドは、孤立無援で支援が必要だとのプロパガンダと見做せば、そような表現の意味不明瞭さは納得可能かもしれない。

 


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