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インフレ率と失業率が同時に低下...日本経済、どう読みゃいいのか 「デフレ脱却確率」を示す二つの結果(現代ビジネス)
http://www.asyura2.com/18/hasan128/msg/149.html
投稿者 赤かぶ 日時 2018 年 8 月 09 日 17:54:45: igsppGRN/E9PQ kNSCqYLU
 


インフレ率と失業率が同時に低下...日本経済、どう読みゃいいのか 「デフレ脱却確率」を示す二つの結果
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/56925
2018.08.09 安達 誠司 エコノミスト 現代ビジネス

インフレ率と完全失業率の動き

7月末に決定された日銀の金融政策の「変更」については前回の当コラムで言及したところであるが、その後、日銀内部での日銀プロパーとリフレ派委員との間の「暗闘」をうかがわせるような記事が出たこともあり、リフレ政策の後退、すなわち再デフレリスクの懸念を指摘する声も出てきているようだ。

http://gendai.ismedia.jp/articles/-/56796

このような批判の背景には、日本のインフレ率が一向に上昇してこないばかりか、逆に低下しつつあることが指摘できる。

6月の全国消費者物価指数(CPI)におけるコア・コア指数(変動の激しい生鮮食品・エネルギーを除く総合指数)は、4月以降、3ヵ月連続の低下で前年比+0.2%となった。

日銀が独自に発表する「消費者物価の基調的な変動(日銀が色々な統計的な処理を施して物価の「正しい」トレンドを示したもの)」をみてもほぼ全てのインフレ指標が低下基調に転じている。



今回の政策変更の過程で、日銀内部でどのような議論があったのかはわからない。だが、前回の当コラムで言及したように、変更自体はほとんど「ゼロ回答」に近かったと思われることから、決定会合前後数日に発生した多少の混乱を除けば、ここまでのところ、マーケットの流れを変えるには至っていない。

だが、日銀の政策目標であるインフレ率が低下基調にある中、これまでのリフレ政策の後退を印象づけるような政策変更をこのタイミングで行うことは、それが仮に市場参加者の「無知」による「ノイズ」だとしても好ましいことではなかったのではなかろうか。

その一方で、雇用環境の改善はとどまるところを知らず、いまだに継続中である。特に、今年に入ってから、「非労働力人口(職探しをしていない無職者)」が大きく減少している点は特筆に値する。

日本の非労働力人口は2012年12月時点では4561万人だったが、直近時点(2018年6月)では4300万人となっている(図表1)。



もちろん、非労働力人口の中には専業主婦や学生、高齢者なども含まれており、そのすべてが「Discouraged Worker(就業可能であるにもかかわらず職探しを放棄してしまった人)」ではないが、現政権発足から約260万人の人々が就職、もしくは求職活動を始めたということは非常に喜ばしいことである。

通常、非労働力人口の減少は求職者の増加を意味することが多く、求職者がいきなり就職することは難しいことから、失業率の上昇を伴うことが多い。だが、今回の場合、失業率も低下を続け、直近時点(6月)では2.4%まで低下している。完全失業率が2%前半で推移するのは1993年初め以来である。

このように、現在の日本では、インフレ率と完全失業率の動きは全く異なる状況が続いている。

デフレは既に終わっているのか?

ところで、インフレ率と失業率の関係は「フィリップス曲線」で考えるのがマクロ経済分析では一般的である。これは、縦軸に失業率、横軸にインフレ率をとって両者の関係を描いたものであるが、デフレの局面では、失業率が大きく低下する中、インフレ率はほとんど上昇しない。

ところが、インフレ局面になると、失業率のわずかな低下でインフレ率は加速度的に上昇するようになる。簡単にいえば、このデフレ局面とインフレ局面の境目に位置する失業率が「自然失業率」、もしくは「NAIRU(インフレを加速しない最低水準の失業率)」といわれるものになる。

このように、失業率とインフレ率の関係はデフレ局面とインフレ局面とで大きく異なるはずである。

なお、最近のマクロ経済学の考え方にのっとれば、フィリップス曲線は、失業率と「GDPギャップ(経済全体でみた需要と供給のバランスを示したもの)」の関係で考察されることが圧倒的に多い。そして、この場合、GDPギャップと失業率の関係を別に考え、2つの考え方を合わせることで、元のフィリップス曲線の考え方になる。この場合のGDPギャップと失業率の関係は「オーカンの法則」といわれる。

この「オーカンの法則」は、もっと正確にいえば、「『失業率ギャップ(実際の失業率と自然失業率の差)』とGDPギャップの間に一定の関係がある」というものなので、「オーカンの法則」に基づく定量分析では同時に自然失業率を推定することが可能となるはずである(ただし、方法はいろいろある)。

そこで、ここでは、1990年以降のデータを用いて、「オーカンの法則」に基づいて、失業率がデフレとインフレ(考察期間のインフレ率は低いので「非デフレ」と言ったほうがよいかもしれない)の2つの「レジーム」を行き来するというモデルを推定する。GDPギャップの数字は日銀短観の「製商品・サービスの需給判断DI」を代理変数として用いる。

そして、ここでは、失業率として以下の2種類の数字を用いる。

「第一の失業率」は総務省が発表している通常の「完全失業率(完全失業者÷労働力人口×100%)」である。

「第二の失業率」は、労働参加率をデフレ前の平均値(63.3%)に固定することによって、非労働力人口のうち、「Discouraged Worker」を完全失業者に加算することによって調整を施した失業率である(図表2)。ちなみに直近時点(2018年6月)の失業率はそれぞれ、2.4%、5.7%である。



以上のデータを用いて「オーカンの法則」を推定した結果、算出された「レジーム推移確率」だが(図表3)、まず、「第一の失業率」を用いた場合、2016年10-12月期以降、インフレ局面に位置している確率はほぼ100%となった。

ちなみに、同時に推定した自然失業率は2.15%となった。実際の完全失業率の数字でもって現在の日本経済の状況を判断する場合には「デフレは既に終わっている」確率が高いという結論になるのはそれなりにもっともなことである。



一方、「第二の失業率」を用いた場合、逆に2000年以降、ほぼ一環してデフレ局面に位置している確率が約100%となった。また、自然失業率の推定値は1.89%となった。

すなわち、非労働力人口を調整した失業率の数字で現在の日本経済の状況を判断する場合には「依然として日本経済はデフレから脱していない」という結論になる。

また、自然失業率の推定値と第二の失業率のギャップを考えると、インフレ率が上昇する局面にはなお時間を要するという結論になる。

ただし、この「第二の失業率」は労働参加率をデフレ前の平均値に固定しているため、高齢化などの影響を考慮して労働参加率をもっと低めに設定すれば、失業率の値は低下する。そして、その低下した失業率の数字を用いると、「デフレ脱却確率」はもっと高くなってもおかしくはない(多少労働参加率の設定を低めにしても50%を超えることはないと考える)。

雇用関連の数字は割り引いて考えるべき

2つの失業率で両極端な結果が出たため、「一体、どちらの数字で日本経済の現状をみればいいのか」という問題に答えるのはなかなか難しい。

また、「第二の失業率」は極端な前提条件を置いているのであれば、結論は第一の失業率と第二の失業率の中間になるのかもしれない。

いずれにせよ、「自然失業率」という概念が実証的にも正しいという前提に立つのであれば、公表されている失業率(ここでは「第一の失業率」)の数字が日本経済の現状をあらわしているのであれば、今頃、インフレ率は既にそこそこ上昇しており、まもなく加速度的に上昇する兆候をみせていてもおかしくないはずであり、これは明らかにインフレ率の現状と矛盾する。

したがって、現実の失業率などの雇用関連指標の数字は割り引いて考えるべきであると筆者は考える。

新卒を中心とした採用活動も、「日本企業全体の人手不足」というよりも日本企業特有の「横並び意識」が強く働いているように思えて仕方がない。その影響は、「働き方改革」による中堅社員の残業代抑制やサービス業を中心に人が集まりにくい中小企業の「人手不足」に出てきているようにみえる。



 

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コメント
 
1. 2018年8月09日 20:20:44 : OO6Zlan35k : ScYwLWGZkzE[1189]

>依然として日本経済はデフレから脱していない

これはフィリップス曲線の変極点によってデフレを定義するという、特殊な定義だから、あまり有用性はないが

言いたいことはわかる

つまり単純な完全失業率と、過去のフィリップス曲線を前提にしていると間違うということであり

現実のカーブのシフトから言っても妥当な推論だ


現在、長生きリスクにより、高齢労働者と女性労働者の、労働市場の参入や、低賃金の地方から都市への移動も続いている


また雇用逼迫により、不本意非正規の正規への転換も進み

既に、市場では賃金上昇と正社員増に転じているので、現状の景気が続くのであれば、


非労働力を調整した(第2の)失業率は、アベノミクス以降、急速に低下しているので

いずれ実際の失業率に、収束することになるだろう

その結果、さらに賃金や労働条件の改善が続く


ただし、

一方で、生産性の低い(主に中小)企業の廃業や倒産も増えてくるし


インフレと少子高齢化予想による日本的な消費&投資抑制

大企業の海外への投資拡大なども起こるし

IT化とAI拡大による省力化もさらに加速してくる

また債務過剰から、米中景気の腰折れが起これば、今回も、それほど賃金上昇は起こらず

コアインフレ率2%に至らない可能性も、そう無視はできないい

統合政府は。常に、複数の連続的&非連続的シナリオと、それに基づいた金融経済の政策パッケージをもって、臨機応変に対応する必要があるし

個人も同様だが

現実には簡単ではないだろう


2. 2018年8月09日 22:19:14 : OO6Zlan35k : ScYwLWGZkzE[1199]

>>01 IT化とAI拡大による省力化もさらに加速してくる

と言うか、既に加速しつつあるが、それが労働需給に、どう影響を及ぼすか

そして国内産業の生産性が十分、競争的であるかが、注目だ

ビジネス
2018年8月9日 / 18:29 / 2時間前更新
アングル:逼迫する雇用需給、賃金より「働き方」 企業に変革も
2 分で読む


[東京 9日 ロイター] - 都内の外食産業に勤務している原田美咲さん(24)はアパレルメーカーへの転職を考えている。動機は、給与面の待遇だけではない。「お金か、フレックスタイムか、と聞かれたら、フレックスタイム」と話す彼女が求めるのは、生活の質の改善だ。

労働者の求めるものが変わりつつある中、深刻な人手不足も相まって、採用する側の企業も変革を迫られている。

厚生労働省によると、今年6月の有効求人倍率(季節調整値)は1.62倍と、44年4カ月ぶりに1.6倍台となった前月をさらに上回った。

総務省が集計している労働力調査では、同月の完全失業率は2.4%と4カ月ぶりに悪化したものの、その水準は依然として低く、企業の人手不足感は色濃い。

こうした中、柔軟な勤務形態や企業内の託児所、それに家賃補助などの福利厚生は、働き手にとって、賃金とともに重要な条件とみなされている。欧米諸国では一般的な「特典」も、日本では広がり始めたばかり。日本は最近まで、職の安定や緩やかな昇給と引き換えに、雇用主に忠誠を誓う文化が根強く残っていた。
企業にも変化が訪れ始めた。トヨタ自動車は4月、愛知県豊田市の本社工場近くに事業所内託児所を開業。
人材獲得の競合を避けるため、首都圏からあえて離れた場所にオフィスを開設した例もある。ジェイテクトIT開発センター秋田の今井深見代表取締役は、秋田県に拠点を設けた理由について「ソフトウェア開発人材を採用する上で、同業他社が少なく有利」と説明する。

一方、同じく自動車部品のサプライヤーであるデンソーは逆の手法を取る。同社は今年4月、東京都港区に自動運転などの研究開発を行うための拠点を設けた。本社のある愛知県よりも、東京の方が専門性の高い技術者が集まりやすいと判断した。

<適応を迫られる企業>

国立社会保障・人口問題研究所は、2015年に1億2709万人だった日本の人口が50年後の2065年に8808万人に減少すると推計。このうち生産年齢人口は4529万人と、3000万人余りの大幅減になると予想されている。

一部の企業では、すでに人手不足の影響が出始めた。半導体を扱うシリコンテクノロジーは、十分な労働力を確保できず、長野県に構える工場の稼働率を半分に抑えている。東洋紡は、フラットパネルディスプレイに使用するフィルムを増産する必要があるとしているが、生産ラインを十分確保できていない。
企業側にとっては、従業員の退職を食い止めることも喫緊の課題だ。航空機メーカー向けに機体の組み立てなどを行う大起産業は、ベテランの職人が後輩を個別に指導する「メンター制度」を導入し、離職者をゼロにした。

求人メディアの運営等を行うインターワークスの笹生剛志メディア&ソリューション事業部長は「給与のみでは人材獲得が難しい状況になってきた」と分析する。製造業に興味のある多くの求職者の間では、給与だけではなく、仕事環境も重視する傾向が強まっているとの見方を示す。

外国人労働者の存在に加え、ロボットや人工知能(AI)などの先端技術活用も、人手不足への対応策となりそうだ。

マツダのサプライヤーなどが参加するロボット技術の研究会「ひろしま生産技術の会」で会長を務める鵜野政人氏は「24時間・365日の無人稼動」を目指すにあたり、ロボットやAIの発展が不可欠と説く。その上で「生産性向上と人手不足への対応の両方の課題解決につながると考えている」と強調した。

スタンレー・ホワイト、田実直美 翻訳・編集:マクロ政策取材チーム



3. 2018年8月10日 06:26:37 : At4eMbb4pA : _Q7p6c9X3gE[3]
>インフレ率と失業率が同時に低下

乏しきを憂えず、等しからざるを憂う。
だから企業は労働者を余分に抱え、労働者は低賃金に甘んじる。
これを低生産性と言う莫れ。


4. 2018年8月10日 19:00:08 : vMo3WR47xU : eGWDBKAoKvI[91]
辻褄が 合わずに悩む 専門家

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