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日銀の政策修正で強まる「正常化論」の落とし穴(ダイヤモンド・オンライン) 
http://www.asyura2.com/18/hasan128/msg/259.html
投稿者 赤かぶ 日時 2018 年 8 月 22 日 15:05:55: igsppGRN/E9PQ kNSCqYLU
 

日銀の政策修正で強まる「正常化論」の落とし穴
https://diamond.jp/articles/-/177939
2018.8.22 井上哲也:野村総合研究所金融ITイノベーション研究部長 ダイヤモンド・オンライン




 日本銀行は7月下旬の金融政策決定会合(MPM)で、「量的質的金融緩和」(異次元緩和)策のサステナビリティー(持続力)を強化するための追加措置を導入した。

 声明文の冒頭で、来年10月に予定される消費税率の引き上げの影響に対する配慮も含めて、金融緩和の継続を約束する「フォワードガイダンス」が新たに導入されたこともあり、国内外の金融市場は総じて金融緩和の長期化と受け止め、長期金利は低下、為替市場も円安が進んだ。

 だがここに来て、状況が少し変わってきた。

海外を中心に「正常化」論
世界経済の堅調が追い風


 海外市場を中心に、日銀の政策修正が実は金融政策の「正常化」の第一歩だったのではないかとの見方が示されるようになった。

 背景の1つは、世界経済の先行きに対する慎重論が若干、後退したことだろう。

 米国経済は景気過熱感がうかがわれるほど堅調で、中国も7月以降の景気刺激策の効果が徐々に顕在化することが期待されている。米中にとってリスク要因である貿易戦争も、双方の言葉の応酬はともかく、追加的な措置の発動にはお互い慎重さが目立つ。

 第1四半期に大きく減速した欧州経済にも安定化の兆しが見られる。市場から見ても、日銀が異次元緩和を「正常化」するのに良い環境であるということだろう。

「フォワードガイダンス」についても、時間が経過して、理解が深まった面もあると思われる。

 つまり、「フォワードガイダンス」は金融緩和を「当面の間」、続けることを約束するものだが、それには当然に条件が付されており、欧州中央銀行の先例が示すように、条件が満たされれば金融政策は変更される。

 そう考えると、「フォワードガイダンス」が新たに導入されたことは、実は異次元緩和策の「終わりの始まり」を意味すると理解することもできる。

 こうした見方が出てきたのは、「量的質的金融緩和」の継続が次第に難しくなっているとの認識が広がっているという面もあると思われる。

 今回、日銀が「強力な金融緩和継続のための枠組み強化」と銘打って導入したいくつかの措置の内容を見ても、長期金利(10年物国債利回り)の変動幅拡大といっても、上下に10bpの拡大に止まった。

 異次元緩和による副作用を是正するとして、ETFの買い入れについてTOPIXに連動する買い入れ額を増やす措置でも、日銀が企業の主要株主になることで、コーポレートガバナンスが機能しにくくなるという懸念は払拭されないままだし、マイナス金利の見直しも見送られた。

 こうしたことを踏まえて、市場が異次元緩和策の持続力強化には限界があると受け止めたとしても不思議ではない。

物価目標未達での撤退は
さまざまなリスク


 だが一方で、海外市場を中心に目立ち始めた「金融正常化論」にもいくつかの問題がある。

 言うまでもなく、日本では実際のインフレ率が、「2%物価目標」からほど遠い状況だ。消費者物価指数(CPI)の総合インフレ率こそ、原油や生鮮食料品の価格上昇を映じて相応のプラス水準を示す局面も見られる。

 だが、日銀自身が物価動向を判断する基本にしている基調的インフレ率の指標(原油や生鮮食品を除いたCPI)は依然としてゼロ近傍で推移している。

 デフレ回帰への懸念こそ払拭されたが、インフレ期待が高まるモメンタムはうかがわれない。

 従って、こうした状況で金融政策を見直すとすれば、米欧の中央銀行がインフレ目標を達成する見通しを踏まえて金融緩和の縮小に踏み出したような、本来の意味での金融政策の正常化とは全く異なる意味合いを持つことになる。

 海外の「正常化」論には、国内の有識者の議論をそのまま引用するなど、国内での「正常化」論による影響も少なくないように感じられる。

 だが国内での「正常化」論は、「量的質的金融緩和」の導入当時から一貫して主張されているもので、副作用以前の問題として、政策効果自体に疑問を示してきた。その主張は今回の日銀の追加措置を機に大きく変化したようにはみえない。

 結局、適否はともかく、海外市場がこうした文脈で日銀の金融政策の「正常化」を意識してしまうと、インフレ目標を達成しない状況で、「量的質的金融緩和」から撤退すべきという結論になってしまう。

 しかしそうなった場合には、現実問題としていくつものリスクや課題が出てくる。

金融市場が不安定化
今後の金融政策に制約


 まず懸念されるのは金融市場の反応である。

 米欧に続いて日本でも「正常化」で動き出したということで、国債市場や為替市場は、さまざまな思惑から不安定さが増すだろう。

 投資家にとって収益を得るチャンスでもあるからだ。やや誇張して言えば、どのような形であれ資産価格のボラティリティーが上昇することを望むプレーヤーは存在する。「量的質的金融緩和」からの撤退は、そうしたプレーヤーに格好の契機を与えるリスクがある。

 そして、それは足元で実現している景気の安定にとって脅威となり得る。

 海外市場を含めて金融正常化を見込む向きが増えたといっても、そのことが日本の経済や日銀にとって望ましいとは限らないのだ。

 中長期的な課題もある。金融政策の「正常化」を求める有識者の主張に依拠するまでもなく、確かに「量的質的金融緩和」はインフレ目標の達成に対しては十分な効果は出せなかった。しかしこの間に、景気は安定度を増していることも否定できない。

 これには海外景気が良かったことや財政拡張政策の効果も小さくないが、異次元緩和を続けたことで政策金利を実質マイナスに維持できていることが、GDPギャップがプラスで推移する状況を下支えしていることも事実だ。

 それにもかかわらず「量的質的金融緩和」から撤退することは、経済に対するこうしたプラス面もあったにもかかわらず、結局は、異次元緩和策に対してネガティブなイメージを付与する恐れがあるのではないか。

 その場合、次の景気後退を含む将来の局面で、「量的質的金融緩和」と同様の非伝統的な金融政策の手段を講ずることに対して、必要以上の批判や抵抗に直面することにもなりかねない。

 低成長、低インフレの経済の下では、金利操作で対応できる余地が少なく、活用し得る政策手段に制約が増している日銀にとって、これは無視し得ない問題となる。

次の見直しの焦点は
「インフレ目標」をどうするか


 日銀による今回の追加措置は、「量的質的金融緩和」の延命策には限界があることを図らずも明らかにしたとも言える。

 この点では国内外の「正常化」論に傾聴すべき点があるが、だからと言って「量的質的金融緩和」から撤退することには、既に述べたようにかなりのリスクがある。

 そう考えると、日銀が次に金融政策の見直しを行う際には、それはおそらくは再度の延命策でも「量的質的金融緩和」からの撤退でもなく、「2%物価目標」自体の見直しになると思われる。

 景気の安定というメリットを評価するのであれば、インフレ目標と実際の物価の動きの推移を見ながら、インフレ目標の位置付けや金融緩和と目標のバランスを現実的なものにした上で、「量的質的金融緩和」で採用した政策手段を活用しながら、金利の誘導目標などの個々の政策変数を目標に即して調整するといった選択肢も考えられる。

 いずれにせよ、次の見直しは「微調整」「ファインチューニング」といったものではなく、より本質的な政策修正にならざるを得ないだろう。海外市場での見方の変化がこうした兆候を嗅ぎ取っているのであれば、それはまた傾聴すべき面があることになる。


 

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コメント
1. 2018年8月22日 19:08:35 : OO6Zlan35k : ScYwLWGZkzE[1282] 報告
東京外為市場ニュース2018年8月22日 / 17:53 / 19分前更新
地銀の収益悪化、日銀のせいにしても仕方ない=金融庁長官
1 分で読む

[東京 22日 ロイター] - 金融庁の遠藤俊英長官は22日、ロイターのインタビューに応じ、地方銀行の収益悪化について「日銀が出口を求めて金利を正常化すれば、全てうまくいくとは思わない」と述べた。日銀の政策変更を待って経営判断を遅らせるのは望ましくなく、地銀は自ら生き残る道を摸索すべきだとの考えを示した。

遠藤長官は、収益が悪化した地銀について、今よりもサービスを向上させることができると判断するならパートナーを見つけ、合併や提携を検討するのも1つの方法だと述べた。

一方で「持ち株会社だけ作って、傘下の銀行は相互不可侵で何のためにやっているのか疑問に思うような銀行もある」とし、統合効果が充分に発揮されていないケースもあると指摘した。

顧客本位の業務運営の確立に向け、金融庁は金融機関が順守すべき原則を作り、金融機関に取り組み方針の策定・公表を求めてきた。遠藤長官は、貯蓄から資産形成という流れがマクロ統計で確認できない現状を踏まえ、今事務年度、これまでの施策が金融機関の顧客にどの程度浸透しているかを検証する方針を示した。

*この記事の詳細は、この後、インタビュー記事として配信します。 (和田崇彦 編集:田巻一彦)


 

2018年8月22日 / 15:33 / 3時間前更新
ドル110円半ば、トランプ陣営元幹部が有罪 市場困惑
2 分で読む

[東京 22日 ロイター] - 午後3時のドル/円は、前日ニューヨーク市場の午後5時時点から小幅高の110円半ば。日中はトランプ大統領周辺に関するニュースでドルが上下した。

NY市場終盤から売りが強まったドルは、午前の取引で一時110.03円まで下落した。バージニア州連邦地裁陪審が21日、トランプ陣営の元選対本部長、ポール・マナフォート被告に有罪評決を下した。

ロシア疑惑の捜査で起訴された被告に対する有罪評決は初めて。市場では米株先物が下げ幅を拡大した一方、米10年債利回りが2.81%台へ低下した。

また、トランプ大統領の元個人弁護士、マイケル・コーエン被告は21日、ニューヨーク連邦地裁で、16年の大統領選挙中にトランプ氏との不倫関係を主張した2人の女性に、トランプ氏の指示で口止め料を支払ったと証言した。

しかし昼過ぎに米金利が下げ止まり、米株先物も下げ幅を縮小すると、ドルはじりじりと反発。NY終盤の水準へ値を戻した。

市場では「ややリスクオフ的な反応となったが、この問題が今後、大統領自身や周辺にどう影響を与えるのかを警戒する必要がある。まずは推移を見守りたい」(外銀)との声が出ていた。

<トルコリラ安定、ユーロ高の一助 ブラジルは波乱>

きょうのトルコリラTRYJPY=Rは18円前半。昨日は目立った手がかりがなく、10日につけた最安値15円から切り返した水準でもみあいが続いた。

対ドルTRYTOM=D3も6.0リラ付近で小動き。週明け後、大きな動きはない。今週トルコは24日までイスラム教の祝日、犠牲祭で休場。

リラが安定してきたことも手がかりとなり、ユーロは前日海外で1.1601ドルまでさらに反発した。トルコへの懸念が急速に高まり、リラが1日で20%超下落した今月10日の水準を回復し、上抜けた。

ユーロはスペインなどがトルコ向け債権を多く保有していることが、最近の売り手掛かりの一つになっていた。

前日に話題を集めた新興国はブラジル。レアルBRBYが2%超下落し、16年3月以来2年半ぶりに4レアル台をつけた。10月の大統領選に関する世論調査で、右派候補ボルソナロ下院議員の支持率が20%と、服役中のルラ元大統領を除くとトップとなった。

ボルソナロ氏は過激な発言で「ブラジルのトランプ」とも呼ばれる。一方、改革派とされ市場で人気の高いアルキミン前サンパウロ州知事の支持率は7%で伸び悩んでいるが「8月末からテレビで政見放送が始まれば、支持率が上向く可能性は否定できない」(SMBC日興証券)という。

レアル/円BRLJPY=Rは27円前半。6月安値を下抜け、過去最安値を更新した。

ドル/円JPY=  ユーロ/ドルEUR=  ユーロ/円EURJPY=

午後3時現在 110.40/42 1.1573/77 127.78/82

午前9時現在 110.10/12 1.1574/78 127.46/50

NY午後5時 110.29/32 1.1569/73 127.62/66


 


バークレイズ再雇用勝ち取ったトレーダー、不当解雇と闘う新戦略示す
Jonathan Browning、Kaye Wiggins
2018年8月22日 15:40 JST
デービッド・フォザリンネーム氏は、自分を解雇した英銀バークレイズに恨みを抱いてはいないと言う。

  同行は米ニューヨーク州金融サービス局(DFS)の要求に従ってフォザリンネーム氏を解雇したが、不当解雇の訴えを起こした同氏は再雇用を勝ち取った。

  新たな雇用契約での年俸は15万ポンド(約2140万円)と解雇前の報酬に比ぶべくもないが、実は悪い条件ではない。

  内部告発や差別が理由との主張が認められない限り、不当解雇訴訟で勝ち取れる賠償額は、8万3000ポンドが上限と定められている。フォザリンネーム氏が1年だけバークレイズで働いたとしてもこれより大きな額を得られる計算だ。

  これは不当解雇を訴えて闘うバンカーらに新たな道を示したことになる。ロンドンの法律事務所CM・マーレイの雇用専門弁護士、サマンサ・マングワナ氏は、「滅多に認められないし原告が求めることも滅多にないが、不当解雇に対するこの賠償方法は常に存在する。報酬額が不当解雇の賠償金上限よりはるかに高い金融業界では、検討に値する手段だ」と話した。

原題:Ex-Barclays Trader’s Win Opens Path for Fired London Bankers (1)(抜粋)

2. 2018年8月22日 19:10:08 : OO6Zlan35k : ScYwLWGZkzE[1283] 報告
もはやクオンツも安全ではない−リスクパリティーにも動揺が波及
Dani Burger
2018年8月22日 13:30 JST
• リスクパリティーのRVは先週約2年ぶりの高水準に達した
• リスクパリティーの年初来の運用成績はCTAに次いで2番目に悪い
ウォール街で最も人気の高いクオンツトレードの一つ、「リスクパリティー戦略」は、嵐の中でも安全な港という売り込みにもかかわらず、世界的な市場ボラティリティー(変動率)の高まりで打撃を受けつつある。
  価格変動の影響に着目し、ボラティリティーに応じてエクスポージャー(リスク資産)の配分を調整するリスクパリティー戦略は、ヘッジファンド運営会社ブリッジウォーター・アソシエーツの創業者であるレイ・ダリオ氏が世に広めた。だが、最近の商品相場急落や新興国市場の混乱、国債市場の変化に伴い、リスクパリティー戦略を採用するファンドにも動揺が波及している。
  リスクパリティー戦略の期間2カ月の実現ボラティリティー(RV)は先週、過去2年余り見られなかった高水準に達した。年初から8月10日までの運用成績は、JPモルガン・チェースが追跡調査するポートフォリオの中で2番目に悪い。同行によれば、年初来のリターンはマイナス1.2%と低迷し、ロングショート株式ファンドのプラス2.1%、マクロファンドのプラス1.7%、バランスト・ミューチュアルファンドのプラス2.9%を下回っている。
  トレンドを読んでさまざまな資産クラスに投資を行うコモディティー・トレーディング・アドバイザー(CTA)のリターンがマイナス4.8%で最も悪かった。
  
  リスクパリティー戦略は、逆方向に動く傾向にある資産を保有することで損失の軽減を目指し、リスクを均等化するために複数の資産クラスに投資配分を行う。しかし、貿易摩擦や新興国市場資産の極端な価格変動の影響で、今年これまでは安全な逃避先を見いだすのが難しい状況となっている。
  セイリアント・パートナーズのクオンツ戦略担当マネジングディレクター、ロベルト・クローチェ氏は「リスクパリティーは真ん中にいることを狙い、投資配分の分散を目指す。運用成績トップには決してならないが、最下位にもならないだろう」と指摘した。


原題:No Quant Is Safe as Global Stress Hits Risk-Parity Investing(抜粋)


 


中国の仮想通貨関連企業、技術的な優位性消滅の恐れ−バーンスタイン
Blake Schmidt
2018年8月22日 15:31 JST
IPOを計画するビットメイン、競争激化に直面
在庫の評価損計上を迫られる可能性があるーアナリスト
サンフォード・C・バーンスタインによると、仮想通貨のマイニング(採掘)向け半導体を設計する中国のビットメイン・テクノロジーは、技術的な優位性を失っている可能性がある。

  マーク・リ氏率いるバーンスタインのアナリストらは22日のリポートで、競合メーカーが追い上げる中、北京を本拠とするビットメインは在庫の評価損計上を迫られる可能性があると指摘。同社が設計した半導体を製造する台湾積体電路製造( TSMC)はビットメインに対して全額前払いを求めるとともに、仮想通貨関連需要だけを目的とする能力増強を控えるべきだと述べた。ウー・ジハン氏(32)が共同で創業したビットメインは、大規模な新規株式公開(IPO)を計画している。

  同アナリストらはリポートに、「ビットメインの半導体の競争力に疑問が生じている」と記した。ビットメインとTSMCにコメントを求めたが、今のところ返答は得られていない。

原題:World’s Top Crypto Miner May Be Losing Its Edge, Bernstein Says(抜粋)

最新の情報は、ブルームバーグ端末にて提供中 LEARN MORE
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GPIF、海外でも存在感ーアップル株保有ゴールドマンしのぐ (訂正)

米国とメキシコ、NAFTA合意に近づくも障害残るー関係者
Josh Wingrove、Eric Martin、Jennifer Jacobs、Margaret Talev
2018年8月22日 14:08 JST
米国とメキシコは新たな北米自由貿易協定(NAFTA)でコンセンサスに近づいたが、主要な障害が依然残っていると、協議の双方に詳しい関係者数人が述べた。

  5週間にわたる米・メキシコ間の交渉で自動車を巡る規則などの問題について前進があったが、NAFTA修正で広範な合意はまだだと、トランプ政権の当局者2人が21日夜に語った。

  これに先立ちポリティコは、トランプ大統領が23日にメキシコとの合意を発表すると、匿名の関係者からの情報として報じていた。

  米国とメキシコの交渉はNAFTA修正でカナダを含めた最終合意への重要な前提と見なされており、2国間の合意が発表されれば、1年前に始まった交渉で最大の突破口になる。ただ、NAFTA加盟3カ国に関わる幾つかの米国の要求は未解決で、合意を妨げる可能性もある。

原題:U.S., Mexico Said to Near Nafta Framework, But Obstacles Remain(抜粋)

 

BREXITの現状〜分断深まる〜(唐鎌大輔)

政権崩壊&ノーディールならば離脱後の安値を臨む展開も
 今、ヨーロッパで最も話題となっているのが、BREXITです。
 イギリスが何の合意もなくEUから離脱してしまう可能性は絶対ない、それだけはやってはいけない、と言われていたのですが、その可能性がなくはないという状況が起きています。それは市場の観測として出てきているだけでなく、要人発言としても出てきているのです。
 8月3日、イングランド銀行のカーニー総裁が、合意なしの離脱に追い込まれてしまう可能性は、不愉快なほど高いと発言しました。
 またその3日後に、フォックス国際貿易大臣が、その可能性は60%位だと言っています。可能性はかなり高いわけで、これはとても大変なことです。
 来年の3月29日が最終日で出ていくと言われている日ですが、その翌営業日から、もうイギリスとヨーロッパは普通の関係になり、EUと日本、EUとインドネシア、EUとアメリカのような関係に、EUとイギリスはなるということです。
 今まで同じ関税、同じ規制の中でやってきたのに、いきなりそこから離れるというわけです。これは現実的にはビジネスの世界ではありえないことです。それをやってしまうと在英企業は相当困ると言われていて、崖から落とされるようなことという意味で、英語で崖っぷちを表わす、クリフエッジリスクと言われていました。クリフエッジはないと言われていたわけですが、ここに来てかなりの可能性で起こり得ると言われ始めたのです。
 こうなってくると、今日の時点でもすでに急落していますが、ポンドの暴落が予想され、BREXIT後につけた安値を更新するのではないかと言われています。
 そうした中、イギリスの中央銀行、イングランド銀行は何をやっているのかと言うと、まず去年の11月に約10年ぶりの利上げを行いました。0.25%から0.5%に金利を引き上げました。そして8月2日には2回目の利上げを行って、金利は0.75%になりました。0.5が0.75になったその日に、ポンドは暴落しています。そんなことをやっている場合ではないというのが、今のマーケット参加者の受け止めだったのです。
 正確には、今利上げをし、これからも何回か利上げをするかもしれないものの、今のBREXIT交渉の状況を踏まえると、これは続かなさそうだということからポンドが手放されているわけです。
 買えない通貨としてのポンドというものが、今メキメキと頭角を現してきている状況です。せっかく去年の9月に利上げをするかもしれないと言って、11月に利上げをし、ポンドは非常に調子が良かったのですが、今年に入って交渉が全然進んでいないということがわかると、また一気に折り返して下落に転じているというのが実態です。
 ポンドが安くなると、輸入物価経由で物価が上昇してくるので、ポンドの下落にやや遅れてCPIが上がることになります。中央銀行はそれを受けて利上げをしたわけです。利上げをしてポンド安を止めれば、グラフでわかるようにポンドが上昇し、それにより物価も落ち着いてくるということになります。

 しかし、また現在ポンドは下落方向に戻り始めているので、そうするとまた物価が、前年比3%、4%と上昇していくことになります。しかし、それほど給料も上がっていないので、実質的に所得がどんどん減っていて、不況下の物価高、いわゆるスタグフレーションの世界が、イギリスでは待っているのではないかと言われているわけです。
 流れを整理してみると、相当専門的に見ている人たちからしても、全てを追うのは大変と言うほど、ややこしい状況になっています。
 7月19日、欧州委員会はクリフエッジに備えるべきとの文書を公表しました。深刻にまずいという状況が明らかにされたのです。
ハードBREXITとソフトBREXITのハザマ
 イギリスでは今、世論調査で、野党労働党の支持率が保守党よりも高くなっているという結果もあります。再選挙をしたら今の保守党が政権を追われる可能性があるので、さすがに解散総選挙でやり直すと言う状況は回避したいだろうと思われます。
 ただ、少なくとも今の保守党は、強硬にEUを出て行くべきだというハードBREXIT派と、穏健に今までの規制を残したまま緩やかに行こうというソフトBREXIT派が、ほぼ半分半分に分かれています。
 両方の意見を汲み取って交渉方針をまとめて、欧州委員会に持っていったところ、そのようないいとこ取りは受け入れられるわけはない、クリフエッジに備えろと言われたというのが実態です。欧州委員会の言うことはもっともですが、欧州委員会が頑ななので難しい状況になっていると言っているのが今のイギリスなのです。
 交渉は10月18日がデッドラインだと言われています。ここまでに合意をまとめないと、その後各国で批准をするのに半年かかると言われているので、この日のEU首脳会議までにまとまれば間に合うのですが、メイ首相はそれには間に合わない、11月になるかもしれないと言い始めています。
 11月にはEU首脳会議は予定されていませんが緊急で会議を開き、12月の会議で最終的に承認して、急いで出ていくという、できそうにもない話になっています。
 用意されているシナリオは3つあり、1番良いのはEUとの交渉が円滑に妥結することで、シンプルに悪いのは交渉が決裂することです。
 早く決裂してくれれば、準備をすることもできるのですが、最悪なのはギリギリまでEUと交渉し妥結した後、議会に持って帰ったらそれを議会が否定するというケースです。イギリスの政権の中でも今、足並みが揃っていないので、こういうことも起こり得ると言われています。非常に時間がない中、ギリギリになってまとまらず、バタバタと出ていくという可能性も、残念ながらあると言えるでしょう。
 とにかくどの論点を注目すればいいのかというくらい、混乱した状況になっています。
 こうした状況に対し、株式市場は正直で、主要国の株価指数の推移と比べて、イギリスだけは嫌だという状況が鮮明に表れています。為替市場は金利が高くなると喜んで通貨が買われるものですが、BREXITが決まった2016年6月直後から、他の株価が上げている中、イギリスだけが下げているのです。株価は景気の先行指標なので、この先伸びると思われていないのです。ここがイギリスの今の限界を示していると言えます。
 現時点で合意なく離脱すると言う可能性は非常に低いと思われますが、交渉の進展を待つしかないと言う状況です。
 ポンドが安くなっていることを受けてイングランド銀行は利上げで対応しているわけですが、そもそもなぜポンドが安くなったと言うと、BREXITという政治不安が背景にあるわけです。こうした政治不安を受けた通貨安を、利上げでカバーするということには限界があるのです。いかにがんばって金利を上げて、ポンドを買って欲しいと言っても、これまで説明したような交渉の状況だと、買えるはずがないのです。株式市場の動きはまさにその証左で、利上げは無駄な抵抗に終わる可能性があると言えます。
【講師紹介】
ビジネス・ブレークスルー大学
株式・資産形成実践講座/「金融リアルタイムライブ」講師
みずほ銀行 国際為替部 為替営業第一チーム
チーフマーケット・エコノミスト
唐鎌 大輔
8月9日撮影のコンテンツを一部抜粋してご紹介しております。
▼詳しくはこちら


▼その他の記事を読む:
【前回の記事】日銀金融政策決定会合の影響を分析(田口 美一)

 
ビジネス2018年8月22日 / 08:02 / 3時間前更新
英国、外為市場の規模拡大 EU離脱決定後もトップ維持
2 分で読む

[ロンドン 21日 ロイター] - 英国は、欧州連合(EU)離脱を決めた2016年以降、2年間で外国為替取引の最大市場として規模をさらに拡大した。19年にEUを離脱した後も世界最大の金融センターの地位を維持することを示唆する。

EU離脱は英国にとって、金融センターとしての地位に支障をきたすとみられていた。多くの雇用や企業が海外に流出している。ただロイターの分析によると、離脱まで8カ月となった今、英国は外為市場の支配力を強めているもようだ。

外為取引は世界で最も市場規模が大きく、密接に結びついている。世界規模の航空会社や資産運用会社などが日々、何兆ドル規模もの取引に利用し、ロンドンの金融サービス業の中で主要な部門だ。

ロイターは外為取引で上位5つの市場における中央銀行の調査を分析。英国は、EU離脱を問う国民投票が行われた16年4月から18年4月までの2年間で外為取引高が23%増加し、過去最高水準となる1日平均2兆7000億ドルを記録。世界トップの地位を維持した。2位の米国における伸びのペースはその半分以下で、11%増の9940億ドル。大半がニューヨークでの取引だ。

世界的に見て5分の2の取引が英国で行われており、そのほとんどがロンドンに集中している。1日当たりの取引高は英国の年間国内総生産とほぼ一致する。

次に大きな市場がシンガポールで、同期間に5%減の5230億ドルとなった。続いて香港が10%増の4820億ドル、日本が2%増の4150億ドルだった。

カス・ビジネス・スクールの教授を務める元外為トレーダー、キース・ピルビーム氏によると、外為取引は利幅が比較的少ないものの、その他の事業が付随する傾向が強い。銀行は外為と組み合わせて金利商品や株式・債券発行、合併・買収(M&A)支援などのサービスを提供することができるという。

銀行員やトレーダーらは取引が総じて増えている理由として、英国のEU離脱を含む世界各地で見られる政治的な先行き不透明感を挙げる。トランプ米大統領の政策のほか、米国や中国、EUなどの貿易摩擦も指摘した。こうした中、ロンドンの時間帯は、米国とアジアの間にあり、それが有利に働いているという。

取引高の増加は、大手金融機関にとって追い風となる。投資家らは価格を大きく左右せずに大型取引をできる規模の市場で売買したいからだ。みずほ銀行(ロンドン)のヘッジファンドセールス責任者ニール・ジョーンズ氏は「米国であれ欧州であれ、市場を動かすような大きなニュースはロンドンの取引時間中に出てくるため、地理が有利に働いている」と語る。「英国のEU離脱を巡る先行き不透明感はあるものの、ロンドンの時間帯と言語、最大規模の市場を有する強みなどがマイナス要素を上回る」と付け加えた。

英国が外為市場の支配力を強めていても、EU離脱による打撃がないと断言することはできないと専門家らは言う。ただ銀行にとって、ロンドンの金融センターで大規模な国際的事業を維持する魅力があることを強調する分析内容だと述べた。

3. 2018年8月22日 21:08:51 : ZwvGzUDmxc : fXqah0SlEC8[10] 報告
堅調も 弱い地盤の 上に立ち

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