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「AIで人間の仕事がなくなる?」の経済学的解明(日経ビジネスオンライン)
http://www.asyura2.com/18/hasan129/msg/355.html
投稿者 赤かぶ 日時 2018 年 11 月 08 日 21:29:05: igsppGRN/E9PQ kNSCqYLU
 

「AIで人間の仕事がなくなる?」の経済学的解明
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20181108-41586966-business-bus_all
日経ビジネスオンライン 11/8(木) 11:33配信


AI(人工知能)は、あなたの仕事を奪うのか(写真=PIXTA)


 AI(人工知能)が仕事を奪う、世の中は大変なことになる――。AI技術の急速な発展が報じられる中で、世間では「ふわっとした」議論が繰り返され、「機械との競争」への漠然とした不安ばかりが煽られている。だが、本当にそうなのか。本コラムでは、世界最先端の経済学研究を手がかりに、名門・米エール大学経済学部で教鞭を執る伊神満准教授が「都市伝説」を理性的に検証する。

●まずはじめに:連載コラム(全4回)の趣旨

 人工知能(AI)については色々な人が色々なことを言っている。だが、よく分からない未来を語るにつけて、楽観論も悲観論も、ただ各人が「個人的に言いたいこと」を言っているだけのように見える。

 となると、「AI技術は是か非か」「AI失業は起こるのか」「もはや人類の滅亡は時間の問題か」についての「結論」自体には、ほとんど何の意味もない。これだけ沢山の予想があれば、そのどれかは当たるだろうし、大半は外れるに決まっているからだ。

 そんなことよりも、冷静な人たちが交わしている「それなりの確かさをもって言えそうなこと」に耳を傾け、吟味しよう。そしてあなた自身の身の振りかたについては、あくまで自分の頭で考えよう。でなければ、あなたという人間の「知能」と人生に、いったい何の意味があるだろうか。

 このコラムは、経済学者である筆者が、9月中旬にカナダのトロント市で開催された第2回全米経済研究所(NBER)「人工知能の経済学」学会で行った研究発表と、そこで見聞きした世界を代表する経済学者たちによる最新の研究について、一般向けにまとめたものである。

注1 第2回NBER「人工知能の経済学」学会のプログラム(論文・スライド・動画あり)は、こちら(https://www.economicsofai.com/nber-conference-2018/)。

●「あなたの仕事が危ない」?

 まずは、AIが「人間の経済活動にもたらす」影響を考えてみよう。連載コラムの前半にあたる第1回と第2回では、AIの「外側」の経済学の話をする。

 AIやロボットは、これまで人力を必要としていた生産活動の「自動化」ととらえるのが一般的だ。そこで、AIの「外側」の経済学では、自動化技術の中身はさておき、それがもたらす経済活動へのインパクトを考察する(連載後半にあたる第3回と第4回では、AIの「内側」の経済学に触れる。この分類は、論点を整理するために筆者が独自に使っているものだ)。

 今日紹介するのは、誰もが気になる「自分の仕事はなくなってしまうのか」という問いについての、興味深い実証プロジェクトだ。

●仕事を1つひとつのタスクに分解してみよう

 ミクロ実証的な1つのアプローチとしては、個々の職業を、その構成要素である各種「作業」レベルに分解して考えてみることができる。たとえば、大学教授という「職業」の人は、大きく分けて、

(A)研究
(B)教育
(C)雑用

 という3種類の活動に時間を使う。そこでたとえば(B)の教育活動を、さらに

(B1)授業内容の立案と作成
(B2)授業そのものの実施
(B3)宿題やテストによる学生の評価
(B4)大学院生の研究へのアドバイス

 ……のように分解し、さらに細かく具体的な「作業」をリストアップすることができる。そして、各「作業」(タスク)について、今後10年間でどのくらい自動化できそうか、その筋の専門家に点数をつけてもらおう。こういう点数を並べれば、「大学教授という職業が何パーセント自動化できそうか」を測る目安くらいにはなりそうだ。

 感覚をつかんでもらうために、もう1つの例として「米国で大手監査法人に勤める会計士(専門分野は税務)」についても、業務内容をざっくりタスク分けしてみよう。

(W)税務申告書の作成
(X)税務申告書の確認
(Y)チームのマネジメント
(Z)クライアントの獲得および関係構築

たとえば末端の仕事である(W)を詳しく見ていくと、

(W1)試算表の勘定科目(の管理コード)を整理して、ソフトに入力
(W2)税務上と会計上では費用・収益の認識が異なるので、違いを計算してソフトに入力
(W3)税控除や繰越欠損金が利用できるか否かを判断する

 といったタスクによって構成されている。もともとこの分野はコンピューターによる処理との相性が良い。だから(W1)や(W2)などはソフトの活用を前提としたタスク設計になっている。とはいえ、たとえば「交際費はその内容によって控除の可否が変化する」といった例外処理も多いため、完全自動化は難しいのだという。

注2 アメリカにおける税務専門の会計士のタスクについては、上武愛季子氏にご教示頂いた。この場を借りて感謝したい。

 この記事の読者も、ためしに自分の仕事のタスク構成を洗い出してみたらどうだろう。AIによる自動化が云々という話以外にも、何か新しい発見があるかもしれない。

 こうした「自動化のしやすさ」を、世の中の多くの職業について数値化したのが、「機械学習と職業の変化」という論文である(原題は「Machine Learning and Occupational Change」)。といっても、今まさに進行中の研究だから、完成版が読めるのはまだ先になりそうだ。

 この研究を発表したのは、米マサチューセッツ工科大学(МIT)のエリック・ブリニョルフソン教授だ。IT(情報技術)業界研究のベテランで、最近では『プラットフォームの経済学』(日経BP社)なども邦訳されている。彼自身も発表中に認めているように、数値結果そのものは、分析プロセスを少し変更しただけでも、ガラッと変わる。

注3 20分間の研究発表(および討論者による10分間のコメント)の動画は、こちら(https://youtu.be/FdbFGv48OXw)。リスニングが苦手な人は字幕を表示させるとよい。また、英語自体が苦手な人は、不正確ながらも字幕を自動和訳して表示することが可能だ。

 たとえば、大学教授の仕事(B)教育について、具体的なタスクをいかに定義するのか、どこまで適切に細分化できるのか、本当にうまく自動化できるのか、大学教授であるはずの筆者にもよく分からない。

 また、(B)教育を自動化した結果、大学教授というポストそのものが消滅してしまうのであれば、筆者は専業コラムニストに転職せざるを得ない。しかし逆に、これまで(B)に割いていた時間と体力を(A)研究に注げるようになるのであれば、願ったり叶ったりだ。

 だから、たとえ「学者が科学的にたどりついた発見や数字」であっても、結論そのものには飛びつかない方がいい。当然、(自称)コンサルタントや(自称)天才プログラマーが適当にぶち上げている「未来予想」については、言うまでもない。

●自動化しやすいタスクの8条件

 ……というわけで、ブリニョルフソン教授らによる論文自体は未完成なのだが、理論的考察の大枠については、『サイエンス』誌上で「機械学習で何ができるのか? 労働需要への影響について」という短い記事を読むことができる。

注4 原題「What can machine learning do!? Workforce implications: Profound change is coming, but roles for humans remain」 Science (22 Dec 2017)、 Vol. 358, Issue 6370, pp. 1530-1534. (http://science.sciencemag.org/content/358/6370/1530

 その要点をまとめると、タスクを自動化するためには、8つの条件が必要だという(表1)。ちなみにこれは、スタンダードな「教師あり機械学習」、つまり回帰分析のようなデータ処理を主眼としたリストである。

表1:「自動化しやすいタスク」の8条件

1.「インプット」と「アウトプット」が、どちらも明確になっている。
2.インプットとアウトプットを正しく対応させたデジタルデータが、大量に存在する。
3.明確なゴールがあり、その達成度について明確なフィードバックがある。
4.長々とした論理展開や、いろいろな背景知識・一般常識にもとづく思考が、必要ない。
5.下した判断について、その理由や過程を詳しく説明する必要がない。
6.多少の誤差・間違いが許され、「正解」を理論的に証明する必要もない。
7.現象自体や「インプットとアウトプットの対応関係」が、時間の経過によってあまり変化しない。
8.物理的な作業における器用さや特殊技能が、必要ない。



 このように機械学習の射程範囲をハッキリさせていくと、何でもかんでもうまく自動化できるとは限らないことが、浮き彫りになる。もちろん、機械が苦手とする「論理」や「証明」や「特殊技能」を、それではフツーの人間がどれくらい身につけているかというと、それは別問題だが……。

●自動化の普及を左右する6つの「経済学的ファクター」

 また、仮にあるタスクの「機械化が可能」になったとしても、それが現実世界で普及したり、人力による労働力への需要・賃金にインパクトを及ぼす過程は、実はけっこう複雑である。同『サイエンス』記事が指摘するとおり、技術的な問題の他に「経済学的なファクター」にも影響されるはずだ(表2)。

表2:関連する6つの経済学的なファクター

1.タスクの自動化のしやすさ(技術的な代替可能性)。
2.そのタスクの成果物への需要が、最終価格にどのくらい左右されるか(価格弾力性)。
3.複数タスク間の補完性。
4.そのタスクの成果物への需要が、消費者の所得にどのくらい左右されるか(所得弾力性)。
5.人間の働く意欲が、どのくらい賃金に左右されるか(労働供給の弾力性)。
6.ビジネス全体の構造が、どう変化するか(生産関数の変化)。

 網羅的に列挙しようとするあまり、この表はやや抽象的にすぎる感もあるが、「総論」的な記事なので仕方あるまい。これらの経済学的コンセプトの詳細については、入門レベルの教科書に譲る。オススメは、神取道宏著『ミクロ経済学の力』(日本評論社、2014年)だ。

●結論は全部スルーし、根拠とロジック「だけ」を吟味

 さて、タスク分けの最新研究に話を戻すと、正直、経済学者の仕事としてはかなりベタな分析だし、「職業」や「作業」をどう整理するかによって「自動化のしやすさ」の数値は大きく変わってくる。また、そもそも「今後10年間における、個別タスクの自動化のしやすさ」についての技術的見解も、専門家の間ではかなり議論が分かれるだろう。

 だから筆者から読者へのアドバイスとしては、「あなたの仕事が危ない!」風の議論や数字を見るときには、とにかく結論そのものはスルー(無視)しよう。こういう話題についての「結論」は、当たるか外れるか分からない株価の予想みたいなもので、つまらない。

 そうではなくて、「何をどうやったら、そういう数字とメッセージが出てくるのか」という、前提条件や考え方のプロセスに(のみ)注目するのが、正しい大人の読み方だ。

 ベタなミクロ実証研究から言えることは、このあたりが限界だ。次回は、思いっきりマクロな視点から俯瞰してみよう。

伊神 満


 

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コメント
1. 2018年11月08日 22:15:47 : wTqrxDwRMY : vEeN2335v8Q[1536] 報告

 マツダでも スーパーコンピューターが エンジンや車体の シミュレーションするので

 実物モデルを作るのは 5分の1 になっている

 ===

 製薬会社でも AIが 化学物質を突き合わせるので 実験を省略できる

 ===

 最終的には 人間は 「いらない」
 
   

2. 2018年11月08日 22:53:53 : mo8ihDbr66 : zbaCxt5f8g4[2] 報告
後は経営や政治をAI化するだけだな。
中国あたりが率先してやりそうw
3. 2018年11月09日 05:46:57 : vbcP21OEbI : BPR6lXoNdcg[107] 報告
無くならないよ。

もう少し言うと、新しい仕事が増えて分配の仕組み
が変わるだけ。

仕事が無くなると洗脳したい人たちは、AIを理由に
給料を削りたいだけだよ。

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