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ルノー日産連合の暗い未来、起こりうる「3つのシナリオ」(ダイヤモンド・オンライン)
http://www.asyura2.com/18/hasan130/msg/223.html
投稿者 赤かぶ 日時 2018 年 12 月 21 日 19:01:15: igsppGRN/E9PQ kNSCqYLU
 

ルノー日産連合の暗い未来、起こりうる「3つのシナリオ」
https://diamond.jp/articles/-/189211
2018.12.21 中西孝樹:株式会社ナカニシ自動車産業リサーチ 代表アナリスト ダイヤモンド・オンライン


ゴーンショックから1ヵ月が経過した。比較的静かに状況を見極めてきたルノーだが、臨時株主総会の開催を要求するなど、ついに動きが出始めた。アライアンスを持続させながら、その主導権を巡る争いが、本格化を迎えてきている。(ナカニシ自動車リサーチ代表アナリスト 中西孝樹)

歴史を振り返れば
ゴーンの功績自体は否定しがたい



ゴーン逮捕から1ヵ月、静観していたルノーが動き出した。ルノーと日産が今後、主導権争いなどに没頭すれば、日産の業績への影響は避けられない  Photo:AFP/AFLO

 19年に渡るルノー・日産のアライアンスは、やすやすと解体できるものではない。このアライアンスを否定してみたところで、両社に明るい未来が訪れるわけではないのだ。本稿では、ルノー・日産のアライアンスの今後を先読みしてみよう。

 以前寄稿した記事(「ゴーンの功罪、ルノー日産連合が『独裁維持装置』に変容した理由」)では、歴史的なアプローチを通し、ルノーと日産が対等から対立の構図へ向かった背景を分析し、ゴーン容疑の遠因を分析し真実に近づくことを試みた。ゴーン氏と乗っ取りを図ろうとしたフランス側が「悪」であり、会社を守ろうとする日産自動車が「善」であるかのような、善悪の対立軸に異論を呈するためだ。

 詳しくは前回記事を参照していただきたいが、19年に及ぶルノーと日産のアライアンス(提携)には、3つのフェーズがある。第1段階は1999年から2004年の「対等の精神」の5年間、第2段階は2005年から2013年の「シナジーと不満」の8年間、第3段階は、2014年から現在に至る「対立と分断リスク」であった。その中で、日産は明らかにルノーによって再生を享受でき、ゴーン前会長によって対等な精神に立つアライアンスで飛躍を獲得した歴史的な背景を示した。ゴーン氏による日産再生の功績は否定しがたいのである。

 最初の「対等の精神」のステージで、資本関係は親子という資本の論理に対し、あくまでもアライアンスの精神は対等とするゴーン氏が定めた関係が、「シナジーと不満」のステージでルノーと日産の関係の対立を生み出し、国家資本主義的な色彩を強めたフランスの産業政策の中で第2段階である「対立と分断リスク」のステージに向かった背景を解説した。

 こうして歴史的な事実を丹念に検証してみると、ルノーと日産の資本のねじれや不公平な資本関係の中で日産が不当に扱われ、ゴーン氏の常軌を逸した独善的な経営に愚弄されたという、日産を擁護するメディアの論調は、歴史的な背景を理解していない、偏った見方であることがわかる。

ゴーン逮捕後1ヵ月で
表面化してきた主導権争い


 12月17日の取締役会において、日産は2つの方向性を示した。
 
 第1に、ガバナンス改善特別委員会を設置すること。独立社外取締役の豊田氏、井原氏、ドゥザン氏3名に加え、独立第三者委員4名の計7名構成とし、ゴーン氏が行った不正の根本要因を解明したうえで、ガバナンスの改善策を提言する。第2に、ゴーン氏の後任となる会長の選任は同委員会の助言を待ち、結果を急がないということだ。ルノーが臨時株主総会の開催を要求する書簡を日産取締役会に送付しているなかで、独立第三者委員での協議結果を優先するという取締役会の判断であった。これは、日産による時間稼ぎにも映る。

 ルノーは日産の9名の取締役会において、独立外部役員を含め3名の指名権を持つと考えられる。これまでは、ゴーン前会長、ベルナール・レイ取締役、ジャン・バプティステ・ヂュザン社外取締役の合計3名であった。ゴーン氏が逮捕された現在では、レイ氏とヂュザン氏の2名しかいない。臨時株主総会を急ぐのは、ゴーン氏を正式に解任し、彼に変わるルノー側の取締役を任命し、日産の取締役会の正常化を急ぎたいという意向であるだろう。それに対し、西川社長は問題の根本原因を究明するガバナンス改善特別委員会の結果を優先すべきと、明らかな対立姿勢を示した。

 ゴーン氏逮捕の結果、取締役会会長と経営最高責任者(CEO)の両方を同時に失ったルノーの経営体制への打撃は計り知れない。その立て直しを図るため、ティエリー・ボロレ最高執行責任者(COO)をCEO代行に任命し、さらに、会長職としてジャン・ドミニック・セナール(現、ミシュランCEO)の抜擢が検討されている。その場合、セナール氏が日産の取締役に就任し、日産の混乱からの再生に関わることは妥当な展開に見える。

 ゴーン前会長とグレッグ・ケリー前代表取締役は役職を解任されたが、株主総会で解任されるまでは引き続き、取締役ではある。つまり、今のところ、9名で構成される現在の取締役会は、実質的に7名で運営されているということだ。日産側に立つのは、西川CEO、坂本取締役、豊田社外取締役、井原社外取締役の4名と考えられる。ルノー側は、ベルナール・レイ取締役、ジャン・バプティステ・デュザン社外取締役の2名に過ぎない。現在の取締役会は、日産側が主導権を持っている。

 ルノーは日産に43%を出資している。「ゴーン氏に代わるルノー側の取締役を任命したい」というのは、筆頭株主としての正当な要求だと考えるべきだろう。

修正アライアンス基本契約は
本当にルノーを封じ込んでいるのか


 RAMA(修正アライアンス基本契約)の第3度修正契約の要旨に基づけば、「日産の取締役会が日産の年次総会に提出する、日産の取締役会の任命、解任及び報酬の支払いに関する決議に賛成票を投じ、日産の年次総会に日産の取締役会が承認していない決議を提出せず、そのような決議に賛成票を投じないというルノーの役割に関するものである。これらの決議については、ルノーは日産の取締役会の勧告に従って投票する。そうしない場合、日産はルノー株式を事前の同意を得ずに取得することができる」とされている。

 これを平たく解説すれば、「ルノーが日産の独立性や利益に対して脅威を与えるような行動をした場合、日産はルノーの株式を買い増す権利を持つ」ということだ。ちなみに、日本の会社法の規定で、日産がルノー株を25%まで買い増せば、ルノーの日産に対する議決権は消滅し、実質的な支配力を失う。

 このRAMAは、2015年に3度目の修正が入った。フランス政府がフロランジュ法を制定し、ルノーと日産の統合に向けた圧力を増したときに、ゴーン氏自身が主導し、日産の経営の独立性を守る目的でフランス政府と渡り合い、勝ち取った修正内容である。日産取締役会に対するルノーの影響が、本当にこのRAMAの抜粋の表現通りに支配されているのであれば、ルノーは日産の議決権の43%を握っているが、実態として日産の取締役会の任命、解任権を持っていないことに等しい。同時に、日産の取締役会はルノー・日産のアライアンスの未来を左右する力を有していると言って過言ではない。

 多くのメディアが報じてきた通り、フランス政府がルノーを通じて日産の独立性へ介入してくるようなことがあれば、日産はこのRAMAに記された権利を行使するであろう。一方、ルノーは、日産の取締役会決議で合意がなければ、日産株を買い増すことができない。

 この状況下でルノーが日産支配に勝機を見出すためには、43%の議決権を用いて、日産取締役会メンバーをルノーに有利な構造へ変えていかなければならない。その重要な役割は、今後ルノーから推挙されるであろう、ゴーンに代わる新取締役が演じるのだ。

ルノー日産アライアンスを
巡る3つのシナリオ


 ルノーとの資本関係の見直しには、大きく3つのシナリオがある。

(1)フランス政府やルノーによる、日産の独立に対する介入を理由に、ルノー株式を25%以上へ買い増しを実施し、ルノーの議決権をなくしたうえで、資本関係・アライアンスの見直しを要求するケース。この場合、アライアンスは機能不全に陥り、結果的に解消のリスクがあるだろう。

(2)アライアンスの安定化に重点を置き、現状の株式出資構造を変えずに信頼関係の再構築を目指す。ただし、これには難問が立ちはだかるだろう。なぜなら、ルノーは日産の経営を長期的に再支配へ持ち込みたいという野望を捨て切れないだろうから、日産は、現状のRAMA以上に日産の独立性を担保できる合意を求めるはずだからだ。

(3)信頼関係の回復に重点を置き、25%未満の対等な株式持合いに資本構造を「リバランス」させ、対等な資本と精神でのアライアンスを継続することだ。

 両社の経営体制が固まっていない現状では、いずれの選択肢が実現するのか展開を予測することは困難である。

(1)のシナリオでは、日産は多額の投資資金を必要とし、かつアライアンスが機能不全に陥り本業への悪影響が懸念される。ある意味、企業価値の観点から最悪の展開である。長期的に無益な法廷闘争に追い込まれる可能性もある。

(2)のシナリオでは、両社は不信感を伴ったまま、非常に不安定な経営状況が長期化することになる。権力抗争の中で、本業活動への悪影響も懸念される。また、アクティビスト・ファンドが株主に登場するなど、投機的な圧力に株価が翻弄される可能性もある。

(3)のシナリオは最も現実的なソリューションに見えるが、「ハゲタカ」の著者である真山仁氏は、このような楽観シナリオは「甘い」と吐き捨てる。しかし、現実の世は、「小説」のように面白ければ、それでよしとはいかないのである。 

 アライアンスは双方がメリットを感じ、求め合う関係でなければ成立できない。精神として対等であった従来のアライアンスの関係を、資本の論理として対等にリバランスすることは、ルノー・日産双方にとってメリットのある形であることは明白だ。

 メンツやプライドを押し殺し、実を取れる次元の高い精神は、ルノーやフランス政府には可能ではないかと感じる。事実、過去19年に渡り、日本の文化や日産のアイデンティティをルノーやフランス政府が尊重してきたことは、疑いのない事実である。

アライアンスが混迷すれば
日産の業績への大打撃も必至


 ゴーン氏の電撃的な逮捕によって、日産自動車の経営体制、アライアンス、事業の見通しは混沌としている。法人としての日産の訴追リスクも無視できない。経営責任が追及されれば、経営の不安定化も懸念される。さらに、ルノーとの信頼関係にひびが入れば、アライアンスが機能不全に陥る心配もある。今のところは、ルノー、日産ともにアライアンス体制を継続する方針を表明しているが、19年に渡るアライアンスは、重大な局面を迎えていると言わざるを得ない。

 日産は、(1)ルノー・日産の共通プラットフォーム(CMF)の生産比率を25%から75%へ引き上げる、(2)グローバル・コア・モデルの構成比を増やすことで、開発の効率性を引き上げる(3)、電気自動車、e-Powerハイブリッド、自動運転技術の3つの先進技術を中核に置く、2022年への中期経営計画の根幹をなす商品計画――を中期経営計画で表明している。

 その計画は全て、ルノーとのアライアンスという「柱」が持続しなければ画餅に帰す。今回の事件は、日産のブランド価値の毀損や、事業への直接的な影響も懸念されるのだ。日産の経営責任を問われることは不可避に映り、経営の不安定化の恐れもある。そこにアライアンスの機能不全が襲えば、企業業績は大きく揺さぶられる。

 法廷闘争に持ち込まれたVWとスズキの紛争から学んだことは、企業アライアンスは信頼関係を損なうと簡単には元には戻れないということだ。「片思いのアライアンス」からは、意味のある成果を生み出すことは容易ではないことは歴史が示している。このような無利益な闘争を何年にもわたって続けても、結果はライバル企業を利するだけなのである。

 ルノーと日産の両社がメンツを捨てて実を取る路線に舵を切れなかった場合、ゴーン氏逮捕は日産の衰退につながる大事件としても歴史に残ることになるだろう。












 

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コメント
1. 2018年12月21日 19:51:31 : g0IDi09OCk : UQbDNUnByFU[115] 報告
ゴーン去り 箍の緩みは 避けきれず

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