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日本の比ではない中国の少子高齢化問題の深刻度 間近に迫る人口マイナス成長期、新たな人権問題発生の懸念も 
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投稿者 うまき 日時 2019 年 2 月 07 日 11:49:38: ufjzQf6660gRM gqSC3IKr
 


日本の比ではない中国の少子高齢化問題の深刻度
間近に迫る人口マイナス成長期、新たな人権問題発生の懸念も
2019.2.7(木) 福島 香織
中国・上海の路上で早朝太極拳をする高齢者たち
(福島 香織:ジャーナリスト)

 2月5日は中国の春節(旧正月)だった。この春節をはさんだ40日の間に起きる大移動は延べ30億人、うち旅行に出かける人は4億人、海外旅行に出る中国人は700万人。この時期の中国人1人あたりの移動距離は410キロ。中国人全員の総移動距離は土星にまで行けるほどらしい。

 日本に旅行したいという中国人は多く、中国の大手旅行サイト「携程(シートリップ)」のアンケートでも日本はタイに次ぐ2位の人気である。日本で春節を迎える中国人のために、東京タワーは春節を祝う喜紅に染まり、日本の安倍晋三首相も中国語を交えた春節挨拶のビデオメッセージを訪日中の中国旅行者向けに発表した。これは日本に限ったことではなく、世界各国、どこでもかしこでも中国人向け春節イベントが行われている。大晦日にあたる除夕(2月4日)には、中国版紅白歌合戦的な恒例テレビ番組「春節聯歓晩会」がネット上で同時配信される。世界中どこでも中国人は春節を過ごせるというわけだ。

 それだけ中国人が世界中にあふれているということで、中国人口がいかに多いか、そして、経済的に豊かになってくると(たとえ豊かになっていなくても)彼らはまず海外に出ようとする「拡張」的気質が根っこにあるのだな、というのを実感させられるのが、やはりこの時期である。

労働人口が初めて減少
 だが、「人口が多い」というイメージがずっと根付いている中国で、今年に入ってから人口減少が深刻な問題として強く認識され始めた。

 1月21日、国家統計局から2018年の人口動態統計が発表された。それによると、2018年末の総人口は13.95億人。2018年の出生人口は1523万人で2017年の1723万人より約200万人減少。2016年が1786万人だったので、2年連続減少ということになる。

 自然出生率は10.8%、死亡数は993万人で7.13%、530万人の人口増で人口増加率は3.81%。出生率と人口増加率は建国1949年以来最低だと中国メディアは報じている。

 2015年に一人っ子政策から二人っ子政策に人口抑制政策を転換させたとき、当局はベビーラッシュが起きると期待して年間2082万人の出生数予測を発表していたが、それよりも500万人以上も少なかった。当局はこれまで2020年の人口予測を14.2億人と試算していたが、これよりも少なくなる可能性が濃厚だ。

 労働人口(16歳から59歳)は8億9729万人で総人口の64.3%。2017年末より470万人減であり、労働人口が初めて減少に転じた。

 また、60歳以上の人口は2億4949万人で17.9%、前年末より859万人増、65歳以上の人口は1億6658万人で11.9%、827万人増。高齢者の比重はそれぞれ60歳以上0.6%、65歳以上0.5%増で高齢化が一層進んだといえる。ちなみに就業人口は7億7586万人。前年比100万人近くの減少である。

 国家統計局局長記者会見では「労働人口が9億人もいて就業人口が7億人以上いて、高等教育を受けている人間が1.7億人もいて、毎年大卒が800万人もいるのだから、人口ボーナスは存在する!」と強調していたが、人口ピラミッドがいびつな形になっていることは一目瞭然だ(ちなみに就業人口7.7億人のうち、「農民工」と呼ばれる農村戸籍の出稼ぎ者が2.88億人を占め、農民工のうち1億人が都市定住型農民工で都市の低層の仕事に就いて、都市生活者のためのサービスやインフラを支えている)。

高齢女性が増え、出産可能な女性は減少
 さらにいびつなのは、性別のバランスだ。男性が7億1351万人、女性が6億8187万人で男性が3164万人多い。

 このバランス比が一番悪かったのは2006年でその差4008万人であったから、多少は是正されたとはいえ、男女出生比率は2017年で依然111.9(女児を100とした男児の出生数)で、国際平均水準104〜107を大幅に上回ることを考えれば、まだまだ深刻な問題だ。

 しかも、女性の寿命が比較的長いのに、今後結婚適齢期、出産適齢期に入る「00后」と呼ばれる2000〜2010年代生まれの世代(1.46億人)の男女出生比が118.9、今年10歳を迎える2009年の男女出生比率は121.6。農村になるほど、この男女差は大きく、男女出生比率150を超える地域もざらにある、と指摘されている。

 つまり、全体でいえば高齢女性が増え、出産可能な女性は今後減り続ける。今後の若者の結婚問題、出産問題をめぐる環境がどれほど深刻かもわかるだろう。

 一人っ子政策を撤廃しても人口増に転じないのは、教育費に金がかかるなど若い夫婦の経済状況がネックになっている面も大きいが、なにより大きいのは、結婚できない男性が増え、出産可能な女性の数が急激に減り、しかも彼らのマッチングがなかなかうまくいっていないことだ。都市の方が女性は多いが、都市生まれ・都市育ちの女性は農村男性と結婚したがらない。自然、農村で一生結婚しない男性が増えていく。農村人口が近いうちに急減期も入る可能性があり、そうなると農業崩壊による食糧自給減や低賃金で都市インフラを支える低層の労働者不足といった経済の問題も顕在化してくるとみられている。

 ちなみに結婚適齢期にあって結婚していない人口は2015年の統計で2億人。1990年で独身率6%であったが2013年にはそれが14.6%に上昇、今はさらに上昇していると見られている。

人口のマイナス成長はいつ始まるのか
 中国は建国以来、ずっと人口膨張の方をおそれていた。人口が増えれば、誰がその膨大な中国人を養っていくのか、と。

 2006年、一部の人口学者たちが少子高齢化に警鐘を鳴らし始めたときですら、党中央政治局では「今後十数年、人口増加の趨勢が依然強く続き、毎年800万〜1000万人ペースで人口が増えていくであろう」と強い警告が出されていた。党中央が人口増加をおそれ一人っ子政策に固執したのは、人口抑制政策を実行するために設けられた計画出産委員会に属する多数の公務員・官僚たちが、自分たちの利権を守るために、人口学者たちの忠告を無視していたから、という指摘もある。当時、「超生」(一人っ子政策に違反して多く子供を産むこと)の罰金の多くが使途不明になっており、地元役人や官僚たちのポケットに入っていたと見られている。

 2015年に一人っ子政策を撤廃したのは、失政の多いといわれる習近平政権による数少ない英断だと言われているが、それはすでに遅すぎたということかもしれない。

 国家統計局の公式発表前に、社会科学院人口研究所が「人口・労働緑皮書」というリポートを発表しているのだが、それによれば現行の出生率、1人の女性が生む子供の平均数が1.6というレベルのままであれば、人口のマイナス成長は2027年に始まるという。しかも現行の出生率1.6を維持するのは実はすでに困難で、出生率は今後1.2あたりにまで下がるという予測がある。また、著名な人口学者、黄文政は「もし、ここ数年の人口動態データが正確であるならば、2023年、あるいは2024年頃にも人口マイナス成長期に突入する」と21世紀経済報道紙のインタビューに答えている。

 ちなみに、ウイスコンシン大学マジソン校の易富賢教授によると、中国政府が公表している出生率1.6人という数字自体がすでに間違っているという。易教授は、正確な計算をすると2010〜2018年の平均出生率は1.18人であり、政府は一人っ子政策の弊害を隠蔽するためにデータを隠蔽している、と指摘している。

 いずれにしろ、2016年に出ている国務院報告では、人口マイナス成長期への転換は2030年と予測され、ピークは14.5億人ということだが、それよりはるかに前倒しになったということになる。2017年に出された国連の世界人口展望では9の違う推計値が紹介されており、中国の人口ピークは最も早い予測では2021年、最も遅い予測では2044年、その他7の推計値が2032年である。国家統計局の強がり発言とは裏腹に、党内での人口問題に対する危機感は相当深刻だと推察される。

対応を迫られる切実な「養老」問題
 人口減少に伴う労働力減少への対策については、当面は日本のように定年年齢を65歳にまで伸ばしたり(中国の定年は55〜60歳)、高齢者の労働力活用や、AI活用によってカバーできるのだ、という声が聞かれる。だが、根本的な問題は、今後の高齢社会を支えられるほど経済が成熟していない、という点にある。

 中国の経済成長率が6.6%という数字が幻想であることはすでに内外に知れわたっており、実際はそれより5%以上差し引くのが妥当だとみられている。しかも、1人あたりGDPはまだ1万ドル(日本は3.8万ドル)。2020年にようやく小康社会(そこそこゆとりある社会)が実現するとみられていたが、その前に、労働量減速期、少子高齢化社会に入ってしまったので、切実な「養老」問題が突出してくることは疑いない。すでに、老人虐待、老人遺棄の事件が少なからず報じられ、高齢化社会の問題として対応が迫られている。

 例えば80歳になる病身の父親の介護を放棄し昨年5月に実家で孤独死させたとして、その息子および娘5人に対して四川省の平武県人民法院は昨年秋、1年6カ月から2年の懲役刑の判決を出した。子供全員が出稼ぎに出ており、父親に対してたまに見舞いにいくくらいであった。村民委員会が子供たちに連絡しても彼らはお互いに責任を擦り付けているだけで、態度は劣悪だったとして、厳しい判決が出された。

 中国では毎年50万人以上の高齢者が失踪していることが2016年に民政部中民社会研究所のリポートで指摘されているが、多くが家に戻ることがない。失踪の理由は認知症などによる徘徊などだが、これに家族が本気で探さないケース、わざとどこかに打ち捨てて、失踪とするケースもある。地方政府運営の養老院の前に、老親を置いていくケースなども報告されているし、養老院に入った後、家族が費用を払わず、養老院サイドが食事や医療などのケアを放棄して死亡させた場合、責任の所在がどこにあるかが争われる裁判もあった。若い家族が全員出稼ぎに出て、老人ばかりが取り残されている老人村の存在も目立ち始めている。

 中国の法律では親の子供の扶養義務と同様に、子供の親に対する扶養義務が生じるので、介護放棄などは刑事罰の対象となるのだが、実際のところ農村の出稼ぎ者がたとえ4〜5人集まっても、老親を介護する余裕があるかどうかというのは難しい。ましてや一人っ子世代になると、この介護の重荷は1人の子供に2人分かかってくる。

 しかも、農村部ではほとんど社会保障制度の支援がない状況だ。2013年に老年人権益保障法が施行され、家族が高齢者の面倒をみることを義務とすると同時に、高齢者介護のために休暇をとることを合法的な権利と認めるようになった。だが、実はこれは高齢者問題を本質的に解決する方法ではない。政府は、子供が親の面倒を見ないのは中国の伝統に反するという価値観をもとに、高齢者扶養の問題のほとんどすべてを家族に負わせる一方で、長年かけて中国の最大のセーフティネットである大家族制を破壊した。そうであるならば、ここに生じる矛盾のつけを払うのは本来、政府、共産党政権であろう。だが、地方政府の隠れ債務はすでに40兆元を超えるとも言われ、沈没寸前。今後予想される労働人口減による経済低迷、社会不安の中で、高齢者への社会保障整備が充実されていくという期待も少ない。

 そこで私がひそかに懸念するのが、新たな人権問題の発生である。一部都市では2人以上の子供を産んだ夫婦に対して奨励金を出す人口増加政策をすでに実施しているが、これがやがて、子供を産まない女性や1人しか産まない女性に対する罰金に代わっていくのではないだろうか、とか。あるいは老人の迫害が容認されるような時代になっていくのではないだろうか、とか。すでに民族弾圧、宗教弾圧、言論弾圧など党主導の組織的な深刻な人権問題が起きているのだが、そこに老人や女性の尊厳をさらに無視するような政策的管理を加えることに、いざとなれば何の躊躇もないかもしれない。そんなふうに考えると、日本の少子高齢化問題の方がまだ明るい解決法が探れる気がする。
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/55421  

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コメント
1. 2019年2月07日 17:25:54 : hE3PRSoheQ : ovZkxQYei0s[315] 報告

 なる様になる ほっときましょう 中国のことは

 其れより 日本を BIにして 基礎から 社会を再構築しましょうよ〜〜〜
 

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