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欧米はなぜ『中国製造2025』を恐れるのか(マスコミに載らない海外記事)
http://www.asyura2.com/18/kokusai23/msg/747.html
投稿者 赤かぶ 日時 2018 年 8 月 29 日 21:52:45: igsppGRN/E9PQ kNSCqYLU
 

欧米はなぜ『中国製造2025』を恐れるのか
http://eigokiji.cocolog-nifty.com/blog/2018/08/2025-dd90.html
2018年8月29日 マスコミに載らない海外記事


2018年8月3日
F. William Engdahl

 トランプ政権は、“メイド・イン・チャイナ2025”あるいはより簡単に『中国製造2025』という中国産業転換戦略を、中華人民共和国に対する現在の貿易戦争攻勢の明確な標的にした。ドイツを含め欧米の主要工業諸国は、もっともながら驚いた。彼らは十年遅れなだけで、いまだに愚かにも、新経済シルク・ロード、つまり一帯一路構想を含む主要な開発で、中国への協力を拒否している。中国が一体何をしているかをここで手短にお示ししたい。今後の記事で、中国産業戦略のいくつかの基本的欠点を論じる予定だ。ここでは、『中国製造2025』が欧米産業支配に一体何を伝えたかを理解することが重要だ。

 政権を握ると、習近平中国主席は、中国から始まり、アジアやユーラシアを横切り、中東や欧州連合に至る、新しいインフラ・プロジェクトの包括的ネットワーク、現在の一帯一路構想提案へと動いた。2013年、カザフスタンでの会合で、習主席は一帯一路構想を提案した。更に、2015年、その職について二年後、習近平は、包括的国家産業政策『中国製造2025』を承認した。「中国 2025年」は、ロバート・ゼーリックの下で、世界銀行とアメリカと共に作成された以前の文書を置き換えるものだ。

 2008年以来、無数の訪中と中国での議論を経る中で直接見聞きしたことから私が高く評価するようになった一つの特徴は、並外れた決意、国家戦略合意がまとまった時に、中国各機関と国民がそれを実現するための、実に断固とした決意だ。世界で最も貧しい農民経済の一つから世界最大の工業生産国に、急いでなろうとする際、には間違いもあった。品質管理は往々にして、二の次だった。とは言え、1979年のケによる“中国独自の社会主義”政策変換以来、一歩ずつ中国は文字通り世界の工場として登場した。今に至るまで、VWやGMのビュイック、iPhonesやMacBooksなどの欧米多国籍企業や、他の無数の製品を、製造認可を得て、欧米多国籍企業のために製造している。

“中国製造業の活性化”

 今、中国は、それを変えつつある。1952年以降、日本がしたように、更に後に韓国が日本の例に習ったように、またより関連性がある1871年後のドイツのように、中国は彼らが“中国製造業の活性化”と呼ぶものを推進している。これは言い換えれば、Appleなどの巨大外国企業のための部品組み立て工場であり続けるのではなく、中国は自国製AppleやBMWやG5を開発するつもりなのだ。彼らは、彼ら自身の世界トップレベル産業開発の新たな段階を開始したのだ。今や、「中国 2025年」に書いてある通り、中国の産業も、それを支援する政府機関も、“中国製から、中国創造へ、中国の速度から、中国の品質へ、中国製品から、中国ブランドへの転換中”なのだ。「中国 2025年」の広範な概念は、一部の人々が第4次産業革命と呼んでいるドイツの“Industry 4.0”戦略を手本にしている。それは人工知能、インターネット・オブ・シングスIOT、機械学習、クラウド・システム、サイバー・セキュリティー、適応ロボットなどの先進的な主要技術を活用して、組織のビジネスプロセスに根本的な変革を引き起こすことを狙っている。中国は、現在、そのような概念を、中国の将来の経済的発展における国家の戦略的優先事項にしているのだ。これは些細なことではない。トランプの顧問連中が、貿易戦争行為で、依然、アメリカ製チップや、他の機微な技術に依存している、中国の巨大通信企業、ファーウェイ華為や、ZTEテレコミュニケーションズなどの、主要な脆弱性や、欧米技術へのリンクをまさに標的にしている理由はそこにある。

‘脱工業化’ アメリカ

 1970年代の初めから アメリカの主要多国籍企業には、低賃金労働、低コストを求めて、製造を海外に移転するという意図的戦略があった。アメリカ・シンクタンクや雑誌は、欧米が“脱工業化時代”に入ったという馬鹿げた考えを称賛し、鉄鋼や自動車などの“汚れる”製造業雇用の代わりに、将来、サービス経済という涅槃を約束した。現実には、アメリカ製造基盤の海外移転だった。

 特に1990年代、WTO加盟交渉で、欧米産業“クラブ”に参加するための中国の交渉から始まって、アメリカ大企業や銀行家たちが、世界で最も人口が多く低賃金の国の一つ中国に殺到した。30年以上、GEからナイキからAppleに至るまでのアメリカ企業が、この中国生産に基づいて膨大な利益を積み上げた事実を、今ワシントンは都合よく無視している。

 中国はこの外国による投資を、世界最大の巨大産業国を構築するのに利用した。とはいえ彼が言う通り、もし中国が、欧米や日本の多国籍企業のための単なるネジ回し組み立てではなく、“世界的競合国”になるつもりであれば、急務は本格的転換だ。『中国製造2025』の公式前書きにある通り“中国製造業は新たな課題に直面している。資源や環境の制限が増し、労賃と製造材料経費は上昇し、投資と輸出の成長は鈍化しつつあり、拡大が駆動力である資源と集中的発展というモデルは継続不可能だ。

 我々は即座に開発構造を調整し、開発品質を向上させなければならない。製造業は新たな中国経済を駆動するエンジンなのだ。”

 政策文書が正しく指摘している通り“18世紀中期の産業文明開始以来、世界列強の盛衰で、再三証明されているように、強力な製造業無しに、国家繁栄はあり得ない。”彼らが導き出した結論は“国際的に競争力のある製造業の構築が、中国が、その力を強化し、国家の安全を守り、世界大国となるための唯一の方法だ。”

 中国国務院の政策計画は、3D印刷、クラウド・コンピューティング、ビッグデータ、バイオエンジニアリングや、新素材、サイバーと実際のシステムに基づく工場のような知的製造を含む発展で、欧米巨大企業が製造を革命的に変化させた2008年金融危機後のグローバル製造の大規模転換を正しく指摘している。これこそが「中国 2025年」の狙いであり、公式政策文書が述べている通り“新たな競争環境の中で、製造で優位な立場を確保する”ことなのだ。

 中国の現在の製造能力について彼らは率直だ。“中国製造業は巨大だが、まだ強くはない。独自のイノベーション能力は薄弱で、主要技術や先進的機器についての外部依存度は高い。企業率いる製造イノベーション・システムは、まだ完成していない。製品品質は高くなく、世界で有名な中国ブランドはわずかだ。資源とエネルギー効率は低いままで、環境汚染は深刻だ。産業構造も、産業サービスも未熟のままだ。”

 北京は現在の課題をこう記述している。彼らは準植民地的な外国企業のための組み立て工業基地のままでいるつもりはない。彼らは今世界に通用する工業的競争相手として競合するための自国版、中国製を作ろうとしている。これが欧米中で警報を鳴らしているのだ。

三つのステップ

 三つの明確な段階を詳細に書いている。2025年まで、2035年まで、そして2049年の中華人民共和国中国建国百周年。「中国2025年」着手から十年後の2025年までに、中国は“主要製造大国”となる計画をしている。この計画のために、中国は、製造能力を強化し、製造のデジタル化を高め、中核技術を修得し、中国が既に世界的リーダーである高速鉄道や他の分野で、製造品質も高めながら競争力の高いものになるのだ。エネルギー利用や、汚染物質レベルも先進工業国の水準に達する。

 2035年までの、ステップ2では、中国製造業は“世界の工業大国諸国の中で中級レベル”に達し、イノベーション能力も大いに強化し、“全体的な競争力を大いに強化して”重要なブレークスルーをなし遂げる。

 更に、ステップ3で、建国百周年の2049年までに、中国は“世界の製造大国中のリーダーになる。中国は、イノベーションを主導する能力を有し、主要製造分野で競争上の優位性を持ち、先進的技術や産業システムを開発する。”

 しかも彼らは本気だ。38ページの青写真は、この国家的優先事項を実現するために専念する支援機関や資金調達組織の複合体を説明している。四十年以上、中国のエリートたちは、アメリカやヨーロッパ最高のエンジニアリングや科学の大学に息子や娘を留学させてきた。今科学やITやエンジニアリングで博士号を取得した卒業生が、現在アメリカやEUで見られる何よりも遥かに大きな大規模産業転換が約束されている中国に帰国しつつある。

 国は、中国 2025年を実現させるための支援体制を構築中だ。それには、研究支援中国科学技術計画による、優先度の高い研究の支援も含まれている。政府、製造、教育、研究と経営の間での“イノベーション連合”構築。更に“次世代IT、知的製造、3D製造、新素材や生物学的医薬品”などの主要分野で、基本的研究と訓練のための産業技術研究基地を作り出しつつある。

 2020年までに、15のそのような産業技術研究基地ができ、2025年までには、国中に40のそうしたセンターができる。これらのセンターは、産業転換の主要部品“高性能の、デジタル制御の工作機械、奥行き認知や、自動意志決定やオートメーション機能のある産業ロボットや3D製造装置”などを開発する予定だ

 国家計画にある通り“2025年までに、主要な製造分野は、完全にデジタル化されよう。実証試験プロジェクトの運用コストは50%減少する。生産サイクルは50%減少し 欠陥製品の率は50%減少する。”しかも転換丸ごと、中国の野心的な新シルク・ロード、一帯一路構想の発展とつながっている。

要するに、中国は、北アメリカやヨーロッパに再輸出する欧米企業のための組み立てから、“中国製”自国製品を輸出するよう転換しようと本気なのだ。

 ワシントンの基本的地政学は、20年前、アメリカが唯一の超大国として揺るぎなかった頃、故ズビグニュー・ブレジンスキーがはっきり認めていた通り、ユーラシアの経済的挑戦の勃興を阻止することだ。彼はこう書いていた。“ユーラシアを支配し、アメリカにも挑戦するようなユーラシアの挑戦者を決して出現させないことが肝要だ。”

 1997年に、ブレジンスキーは著書『ブレジンスキーの世界はこう動く(原題Grand Chess Board)』でこう書いた。“ユーラシアを支配する大国は、世界の三つの最も進んだ、経済的に生産的な地域の二つを支配することになる… ユーラシアの支配は、ほぼ自動的に、アフリカの服従を意味し、西半球とオセアニア(オーストラリア)を地政学的に、世界の中心大陸に対する周辺にするだろう。世界の人々の約75パーセントがユーラシアで暮らしており、事業であれ、その地下であれ、世界の物理的な富の大半もそこにある。ユーラシアは世界で既知のエネルギー資源の約四分の三を占めている。”

 現在のワシントン戦略は、皮肉にも、過去十年間の不手際なアメリカ地政学の結果である中国とロシアとイラン間の協力強化と、特に中国製造業の偉大な産業“活性化”の両方を標的にすることだ。問題は『中国製造2025』が、将来の生存のための中国戦略のまさに基盤であることだ。北京は、これを選択肢ではなく、計画として考えているのだ。

 F. William Engdahlは戦略リスク・コンサルタント、講師で、プリンストン大学の政治学位を持っており、石油と地政学に関するベストセラー本の著書。本記事はオンライン誌“New Eastern Outlook”独占。

記事原文のurl:https://journal-neo.org/2018/08/03/why-west-fears-made-in-china-2025/

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コメント
1. 2018年8月30日 12:29:35 : maIBzYjaKk : WKNj51ZrpMo[35] 報告
今回の記事、秀逸ですね

書き手の F. William Engdahl を検索するとyoutubeあり
https://www.youtube.com/watch?v=M9mlokx6x18
で、英語は少ししか聞き取れない私なので、「もっと見る」のなかの関連記事からgoogle訳で理解した範囲

1. Why West Fears ‘Made in China: 2025’
これは今回の元記事

2. West Fumes as US Meddling in Cambodian Elections is Foiled
https://journal-neo.org/2018/07/31/we...
中国とカンボジアの関係をさくために米国が選挙策略

3. Soros-funded HRW Defends Terrorists, Accomplices in Thailand
(Sorosが資金を提供しているHRWは、タイでテロリスト(とその)功績を守る)
https://journal-neo.org/2018/08/04/so...
私は、本文の内容は十分理解できずですが
ソロスの名前がありますね HRWに資金援助 ソロスをどう見るかだが後で検索と
でHRWとは
HRW,ヒューマン・ライツ・ウォッチは、非営利の国際人権組織
https://www.hrw.org/ja/hiyumanraituuotutitoha
とりあえず今の印象
まともな組織にまぎれこみ世論を騙す資本家はやっかいだ
資本家(原発ムラ)が、手塚治虫氏の意志とは別に、「鉄腕アトム」を原発推進に利用した事を思い出す

ところで、記事元サイトNEO(New Eastern Outlook)は西側ににらまれていて、サイト攻撃にもあっているようです google検索も意図的にあまり情報がリンクしない印象 その事で、むしろ、サイトの信用性が増しますね
https://journal-neo.org/ .
https://www.facebook.com/New-Eastern-...
https://twitter.com/JournalNEO

わかったこと
中国の力を落とすために周辺国に米国は策を弄している
また「一帯一路」で日本語検索してもたいした分析記事はなく、日本もダメ感あり
にしても、「マスコミに載らない海外記事」のサイト主さん すごい(翻訳)

ついで、調べ物中に お! とした記事

ロスチャイルドが支配する中央銀行でない国は、世界で9ヶ国だけ
ロシア 中国 アイスランド キューバ シリア イラン ベネズエラ 北朝鮮 ハンガリー
戦争をしたがるのはいつもこの諸国となのはおかしくはないか?
https://ameblo.jp/junzom/entry-12400979020.html

念の為、私は陰謀論にはまっているわけではありません

続き
非常に収益が大きい非営利団体ヒューマンライツウォッチ・持てるものが支援する「人権運動」
https://blog.goo.ne.jp/afternoon-tea-club-2/e/0b988349c93873ccff38f0f51115b29f

戦争屋に貢献するヒューマン・ライツ・ウォッチ
http://www.asyura2.com/13/warb11/msg/738.html

2. 2018年8月30日 14:22:02 : OO6Zlan35k : ScYwLWGZkzE[1351] 報告
対中強硬姿勢をますます強化させる米国防当局
2018年版「中国軍事レポート」で示された国防戦略の大転換
2018.8.30(木) 北村 淳
米国防総省のサイトに弱点138か所、バグ発見の報奨制度で判明
米首都ワシントンD.C.にある国防総省のビル(資料写真)。(c)AFP/STAFF〔AFPBB News〕

 アメリカ国防総省が毎年8月中旬に公表する『中国軍事レポート』が、今年(2018年)も8月16日に公表された。

 このレポートには、中国の安全保障・軍事戦略の概要や中国軍事力の現況(2018年版の場合は2017年末までの状況)、それにアメリカ国防当局の対中姿勢などが簡潔に記述されることになっている。また、毎年公表される定型的な報告内容以外にも、アメリカ国防当局が特に触れておきたい事項に関して特別の章を設けたり、囲み記事を挿入することにより、中国軍事力の脅威に対する警鐘を鳴らしている。

不思議な日本メディアの無反応
 今年のレポート(以下、『中国軍事レポート:2018』)では、中国人民解放軍の戦力、とりわけ海洋戦力や宇宙・サイバー戦力が着実に強化されつつある状況に加えて、特別の章を5つ付加して様々な角度から中国軍事力の強化状況に関して警戒を喚起している(本レポートで指摘されている中国の軍事的脅威のうち日本に直接関係するものに関しては、追って本コラムで取り上げたい)。

 これに対して中国政府は、「ペンタゴンのレポートは無闇に中国脅威論をまき散らすもので、断じて容認できない」と強く反発している。中国当局による反発は、いわば毎年の恒例行事のようなものであるが、不思議なのは日本のメディアである。なぜならば、今年のレポートには、日本のメディアが飛びつくことが常となっている「アメリカ当局の尖閣問題に対する基本姿勢」が明示されているにもかかわらず、それを取り上げていないからである。

『中国軍事レポート:2018』における、中国による周辺諸国との領域紛争に関する部分では、当然ながら尖閣諸島を巡る領域紛争が記述され、アメリカの次のような立場が明記されている。

「アメリカ合衆国は尖閣諸島の統治権に関しての立場を表明することはしないが、尖閣諸島は日本の施政下にあり、それゆえ尖閣諸島は日米安保条約第5条が適用される、と認識している。さらに、アメリカ合衆国は、尖閣諸島に対する日本の施政権を弱体化させるための一方的行動は、いかなるものであろうとも反対する」

 これは、従来からアメリカ政府高官たちが繰り返し述べてきた尖閣諸島に対するアメリカの立場である。「第三国間の領域紛争には直接関与しない」というのはアメリカ合衆国が伝統的に遵守している基本的外交原則の1つであり、尖閣諸島問題が日本と中国の間の領域紛争であるがゆえに明確な態度を表明しないというわけではない。

『中国軍事レポート:2018』では南シナ海の領域紛争についても、東シナ海での領域紛争よりも分量を割いて記述しており、伝統的外交原則に遵(したが)う姿勢も次のように表明している。

「アメリカ合衆国は南シナ海の陸地(注:島、環礁、暗礁、人工島などを含む広義の陸地)を巡る統治権に関しての立場を表明することはしないが、中国の埋め立て作業は他の紛争当事国の行動に比べて常軌を逸していると認識している。アメリカ合衆国は、それら紛争中の陸地におけるさらなる軍事化に反対するとともに、すべての紛争当事国が一方的かつ強圧的な変化を避けるよう要望する」

『中国軍事レポート』は米政府の公式見解
 ちなみに、『中国軍事レポート』の正式名称は、『連邦議会に対する年次報告書:中華人民共和国に関する軍事・安全保障の発展』という。国防総省が毎年作成し、連邦議会に提出することが法律で義務づけられている中国軍事力に関する調査分析報告のうち、公開が認められた情報をレポートの形にして公刊したものである。

 したがって『中国軍事レポート』の重みは、日本の防衛省が毎年公刊している『中国安全保障レポート』とは全く異なっている。

 なぜならば、日本の『中国安全保障レポート』の冒頭には、「本書は、防衛研究所の研究者が内外の公刊資料に依拠して独自の立場から分析・ 記述したものであり、日本政府あるいは防衛省の公式見解を示すものではない」と明言されている。つまり、日本国防当局が公刊しているものの、その内容は研究者たちの個人的見解という位置づけなのだ。

(もっとも、アメリカ国防当局が9万5000ドルの税金をつぎ込んで「国防総省の見解とは関係がない個人的見解」を記述したレポートを作成することなど、アメリカの納税者は許さないであろう。『中国軍事レポート』では、毎回冒頭にレポート作成に要した直接経費が明示されている。2018年版は9万5000ドルであった)

 いずれにしても、本レポートに記載されてある内容は全てアメリカ国防当局の公式見解であり、連邦議会や政府機関そしてアメリカ国民にとっても中国軍事力に関する共通認識ということになるのである。

国防戦略の基本方針を大転換したアメリカ
 ここで注意すべきなのは、そもそも『中国軍事レポート』は、著しく強化されつつある中国の軍事力に関する報告書であるため、中国人民解放軍の戦力強化に対して警鐘を鳴らす役割を生来的に持っているということだ。したがって、中国当局が非難するように、中国脅威論を唱道する形になってしまうことは避けられない。

 とはいうものの、本年度のレポートを手にすれば、トランプ政権による対中軍事姿勢の大転換が反映して対中軍事警鐘のレベルが一段と上がっていることは明らかだ。

 トランプ政権はアメリカ国防戦略の基本方針を「世界的なテロ勢力との戦い」から「大国間の角逐に打ち勝つ」すなわち「中国とロシアに対する軍事的優勢を手にする」ことへと大転換した。

 今回のレポートで定型的内容に付加された5つの「Special Topic」(「中国の国際的影響力の拡大」「中国の北朝鮮に対する取り組み」「中国人民解放軍の統合軍への進捗状況」「周辺海域を越えての爆撃機運用状況」「習近平の國家創新驅動發展戰略」)からは、中国に対する軍事的姿勢の変化が強く読み取れる。そして、毎回レポートに記載される「当該年度に予定されている米国と中国の軍事的直接対話」の回数がトランプ政権下で大きく減少している(下の表を参照)という事実は、アメリカ国防当局が中国に対する「関与政策」から脱却しつつあることを誰の目にも見える形で示している。

米国と中国の「軍事的直接対話」の回数の推移
「雪解けムード」でも防備は欠かせない
 トランプ政権による対中経済強硬姿勢によって引き起こされた“米中経済戦争”に直面している中国は、少しでも厄介な揉め事を当面の間は棚上げにしておくために、日本に対する軍事的強硬姿勢を表面的には後退させて、外交的“雪解け”ムードを浸透させようとしている。

 だが、中国にとって日本との“雪解け”などは、もちろんトランプ政権が吹きかけている嵐が過ぎ去るまでの一時的なものに過ぎない。その間も対米・対日軍事能力の構築は着々と進めておけば良いのである。

 日本にとっては幸いなことに、米中間の経済的軋轢が強まれば強まるほど、アメリカ国防当局は軍事力の強化、とりわけ中国との対決に欠かせない海洋戦力の強化に邁進することが容易になっている。日本としても、中国が虎視眈々と狙っている東シナ海における軍事的優勢の掌握を阻むために南西諸島へ強力なミサイルバリアを構築する(本コラム2018年7月26日、2018年4月12日、2016年12月29日、2015年7月16日、2014年5月8日、拙著『トランプと自衛隊の対中軍事戦略』講談社α新書、など参照)などの具体策を実施し、中国の軍事的脅威への防備を推し進めなければならない。

 もちろん外交的“雪解け”を促進して日中間に友好関係を構築する努力を欠かしてはならない。しかし、外交的友好関係を維持する努力と、軍事的防備を固める努力は代替関係にはない。そうである以上、常に平行して推し進めねばならない。

3. 2018年8月31日 08:56:18 : OO6Zlan35k : ScYwLWGZkzE[1388] 報告
ついに頓挫か、中国人100万人マレーシア移住計画
一帯一路で天に唾した中国、海外に初の“鬼城”を輸出する羽目に
2018.8.31(金) 末永 恵
マレーシア・イスカンダル計画の最大プロジェクト、中国主導の「フォレスト・シティ(中国名:森林都市)。中国・華人100万人をマレーシアに移民させる一帯一路計画の模範プロジェクトだ。
 日本人の「海外不動産投資ブーム」を牽引したのが東南アジアのマレーシアだ。

 東日本大震災以降、マレーシア政府は早々に、マレーシアでのロングステイ、セカンドホーム「MM2H」やコンドミニアム(マンション)購入投資の多様な商品を並べ、ジャパンマネーの取り込みを行った。

 特に 、マレーシアでは不動産取得において、最低購入価格制限以外に外資規制がほとんどなく、シンガポールなど他の東南アジア諸国と比較し、外国人に開放されていて、その結果、MM2Hのビザで永住する日本人も多い。

 とりわけ人気だったのが、第2の都市、マレー半島最南端のジョホールバル(ジョホール州首都、最大都市)だった。

 温暖な気候に整ったインフラ、英語圏で安価な物価、さらには親日国というのが売りで、投資や資産逃避に加え、子供の留学の教育移住先としても日本人の受け皿になった。

 中でもジョホールバルは、シンガポールに隣接し、香港と隣り合わせの深圳を髣髴させる好立地。

 この地に、マレーシアとシンガポールが共同出資する人口300万人を目指す巨大都市開発構想「イスカンダル経済特区」に伴うコンドミニアムなどの不動産開発ラッシュが起き、日本人の爆買いが注目された。

 マレーシアの場合、「プレビルド」という、数年後に完成予定の物件を更地の状態のときに予約購入する不動産購入方式が主流。

 しかし、供給過剰で大量に建設された結果、完成したものの住むこともままならない状態に陥っている。商業施設も住民が少なく、続々と撤退した。

 「売れない、貸せない」状況が発生し、空き家だらけで、未来開発都市・ジョホールバルは「廃虚化したマンション都市」との汚名が着せられる不測の事態となった。

 そんな辛酸を嘗めた日本人バイヤーが淘汰される一方で、地元不動産を爆買いし始めたのが、急速な経済成長で中間富裕層拡大の中国からの華人だった。

 彼らの不動産購入・投資先は、イスカンダル計画の目玉で70万人の居住区構想である最大プロジェクト「フォレスト・シティ」(中国名:森林都市)。

 しかし、彼らの目的は日本人と違った。

 彼らは、不動産取得を通じ、「マレーシアの長期ビザ、ひいては永住権、市民権を獲得するのが目的だったからだ」(マレーシア政府関係者)。

 中国の不動産が高騰する一方で同物件価格は北京の4分の1ほどの値段だ。さらに子供の英語教育の機会を模索するだけでなく、両親なども呼び寄せて、第三国の永住権を家族全員が取得可能な道しるべを作る狙いがある。

 要するに、不動産購入は中国人にとって「海外逃避のための手段」に過ぎないのである。

 最長10年(更新可能)のビザ取得が可能なマレーシアのセカンドホームプログラム(MM2H)利用でも、2002年の開始後、中国人が最も多くなっている事情がこうした背景にある。

シンガポールに隣接するフォレスト・シティ
 例えば、フォレスト・シティに関しても購買者の8割から9割が中国からの華人だ。

 結果、将来的にはフォレスト・シティは「華人によって文字通り、空室だらけで人が住まない“森林”になるだろう」(シンガポールの不動産関係者)と揶揄され始めていた。

 そんな中、マレーシア国内での“華人共和国”建設の動きに当初から反対を表明したのがマハティール元首相(当時)だった。

 「マレーシアの広大な土地が外国に占拠されてしまう。外国による領土化だ。マレーシアは大国の植民地ではない」

 そう言って、5月の総選挙で野党を率い、選挙公約に「フォレスト・シティなどの中国資本による巨大開発事業の(凍結を含む)見直し」をかかげた。

 中国政府と蜜月だったナジブ前政権の腐敗、癒着の象徴として同事業を挙げ、国民の賛同を得て61年ぶり初の政権交代を果たした。

 6月に首相再登板後、初の外遊先の日本で20年ぶりとなった日本記者クラブでの会見でも、次のようにフォレスト・シティに関する筆者の質問に厳しい姿勢で臨むことを表明していた。

 「米国でもメキシコからの移民を排除しようとしている。外国人居住地を認める国はない。入国を拒否する権利がある。このまま、計画が進めば、政府として対抗策を講じる」

 その選挙公約に沿って今月27日、マハティール首相は「フォレスト・シティの外国人不動産販売を中止し、ビザも市民権も与えない」と都市計画のイベントで発言。

 欧米批判で知られるマハティール首相の”差別的発言”と言葉尻だけをとらえてロイター通信など海外メディアが伝えたが、28日、首相府は我々メディアに声明を送付。

 「外国人の不動産取得はマレーシアの規定や法の下、認められるが、不動産取得は市民権(あるいは永住権)を同時に授与されるものではない」と発表。

 マハティール首相の懸念は、不動産取得そのものではなく、森林都市計画という名の下の中国によるマレーシアの領土化、中国人“大量移民”の居住区設置計画なのだと、マハティール首相の“独特の”レトリックを噛み砕いて補足説明した。

 その上で、ナジブ政権時代、中国側との“密約”で、中国人の不動産売買でビザや市民権が贈与されるといった影の条件を否定した。

 同時に、フォレスト・シティに関しては、特別委員会を設置し、関係省庁や中国などの不動産開発業者などから聴取を行い、不動産の取得条件など合意内容の再審査や見直しを実施することも明らかにした。

 フォレスト・シティ計画は、ジョホール州南部の海域(ジョホールバルとシンガポールを結ぶセカンドリンク付近)を埋め立て、4つの人工島を建設する世界最大級の大規模総合開発だ。

 2016年3月に起工式を行い、完成は2035年を目指す。総事業費約1000億ドル(約11兆1300億円)を投じ、東京ドームが300個入るという、約14平方キロメートルの全敷地に、住宅、別荘、ホテルなどの商業施設、学校、病院などを建設予定だ。

 同プロジェクトは、中国第3位の大手不動産開発会社で香港株式上場企業の「碧桂園」(カントリー・ガーデン・ホールディングス)とジョホール州政府子会社クンプラン・プラサラナ・ラクヤット・ジョホールによる合弁会社が手がける。

 同州企業はジョホール州スルタン(州王)が最大株主で、実質、中国とジョホール州王室とのジョイントベンチャーだ。

 同州は、シンガポールを領土としてかつて保有し、国内の州の中でも莫大な資産、資本を抱え、州政府の中で唯一、州軍も所有する”独立色”の強い州でも知られる。

 さらに、同州の権益はスルタンが所有し、大型投資などの案件許諾も独占して握っている。

 王室の権限を縮小したいマハティール首相と王室統治の「ジョホール州・ファースト」を提唱する同州スルタンとは、長年の因縁の間柄。

 同プロジェクト中止を目指すマハティール首相の狙いは、憲法上、国の統治者となっているこうした王室絶対主義の修正への民主化加速への狙いも影にはある。

 一方、中止した東海岸鉄道プロジェクトとともに、フォレスト・シティ計画は、習近平政権が進める「一帯一路」に関連する中国の大手企業による開発だ。

 2016年3月の同計画起工式後の同年末発行の「瞭望週刊」(新華社発行)では、中国政府の幹部が同計画は一帯一路戦略の「模範的プロジェクト」と絶賛。碧桂園集団の朱剣敏副総裁も「一帯一路戦略上の計画」と公言した。

 碧桂園は、年商1500億元(約2兆5500億円)、社員約10万人の中国を代表する企業で、中国政府のバックアップのもと、森林都市計画が進められており、中国からの大量移民による「植民地100万都市構想」で中国人を100万人、マレーシアに定住させる思惑が根底にあるといわれている。

 しかし、この1000億ドル計画も、中国政府が昨年、不動産投資目的の海外への外貨送金を禁止したため頓挫するのでは、とささやかれ始めている。

 中国人のフォレスト不動産購入者は、手付金は支払ったものの、購入資金の送金がその後できなくなり、しかも、購入を断念するとペナルティーとして、「購入価格の30%」を開発業者の碧桂園に支払うことが義務付けられており、契約解除で支払済みの預託金の返済を求めることすら、困難になっているという。

 そのような状況下で、一部完成しているフォレストの高級マンションは、買い手があっても誰も住まず、よって商業施設もオープンしない悪循環に苛まれているという。

 中国国内には、完成しても人が住めない「鬼城(ゴーストタウン)」が散在して社会問題に発展している。

 このままいけば、森林都市計画は、海外での中国「鬼城」が“輸出”された初のケースになる可能性も出てきている。

 一方、中国の華人にとっては、独裁国家の中国ではあり得ない民主選挙で選ばれた政権交代で、政策が180度転換し、中国による投資がマレーシアでは歓迎されない予想外の結果に戸惑っている。

 皮肉にも、自らの行いが中国への反発を呼び、マレーシアでの政権交代を実現させたと痛感しているだろう。

 シニカルなレトリックを好むマハティール首相は「フォレストシティは、本当の意味で森になるだろう。なぜなら、そこの住民はサルとヒヒ(汚い醜い人)で十分だからだ」と述べた。

 中国の植民地計画は醜い、そう一刀両断する小国の老練宰相が大国を戒めるときが再び、来るだろう。

(取材・文 末永 恵)

4. 2018年8月31日 21:02:08 : OO6Zlan35k : ScYwLWGZkzE[1398] 報告
2018年8月31日 週刊ダイヤモンド編集部
中国企業がEVの先頭ランナー、2年遅れでVWが追い、日本勢はその後
CATL日本法人 多田直純社長インタビュー
中国が製造強国世界一の地位を確固たるものにする中で、日本の製造業が進む道はどこにあるのか――。『週刊ダイヤモンド9月1号』の第1特集は、「自動車・電機・IT 40年で完成した日中逆転の全経緯」です。特集では、飛ぶ鳥を落とす勢いで躍進している中国の車載電池メーカー、寧徳時代新能源科技(CATL)を紹介。創業7年目にして、日本のパナソニックを抜き去り世界首位に躍り出た注目の企業です。今回、そんなCATLの日本法人、コンテンポラリー・アンプレックス・テクノロジーズ・ジャパン(CATJ)の多田直純社長のインタビューを特別に掲載します。急成長の理由や日系自動車メーカーとの協業方針について聞きました。(聞き手/「週刊ダイヤモンド」副編集長 浅島亮子)


CATLの多田直純社長 Photo:DW
──2017年に、電気自動車(EV)の基幹デバイスである「車載用リチウムイオン電池」の出荷量で、CATLはパナソニックを抜き世界首位に立ちました。急成長の要因はどこにあるのでしょうか。

 まだ若い会社ではありますが、着実にグローバルな自動車メーカーさんとの取引を拡大できたことにあります。私自身、電池の納入実績が100社以上あることを聞かされて驚いたのですが。

 2012年から独自動車メーカーBMWとハイブリッド向け電池から協業しています。BMWやフォルクスワーゲン(VW)と受注契約を結べたので、中国に続き、ドイツにも生産拠点を設けることになりました。これで、LG化学やサムスンSDIなどの韓国電池メーカーとも肩を並べることができます。

──5月末に、横浜市に日本国内初の営業拠点を設けました。日本進出の狙いはどこにありますか。

 お客さんと一緒にグローバルな会社になりたい。これは、創始者であるロビン(ロビン・ゼン会長)の気持ちでもあるのです。

 もともと、CATLは日本のTDKが買収した香港系電池メーカーの車載部門が独立してできた会社で、ロビンを含め経営幹部は日本のことをよく知っています。中国の自動車メーカーとだけ向き合っていてもダメで、グローバルでやって行きたいという思いが強いのです。

 世界の約4割の車を日本が作っているので、日本の自動車メーカーとの関係強化は欠かせません。中国市場でも、日本のバッジを付けた車は“日本の車”としてのクオリティーがシビアに求められます。CATLはその評価に耐えうる仕事をしないといけません。

 お客様である日本の自動車メーカーの要望がわかり、日本の仕事のやり方をわかる人がプロジェクトを引っ張って行かなければならない。それが日本法人設立の理由です。そして、私自身が独大手自動車部品メーカーのボッシュから転職し、昨年8月に入社しました。

飛ぶ鳥を落とす勢いのCATL製電池
CATLの電池
──多田さんがヘッドハントされた理由はどのあたりにあると思いますか。

 どうでしょう(笑)。ボッシュでは日本の自動車メーカーの担当をしていましたので、それぞれのメーカーのカルチャーや特性をよく知っているということかなと推察します。ボッシュでは、「グローバル キーアカウント マネジャー」として、日本の自動車メーカーとの取引の損益管理を全て仕切っていました。

 担当は、トランスミッションやエンジンシステムなど車の心臓部です。日本のお客様の欲しいもの、要求は非常に厳しいです。その要求を受け取って、自分なりの戦略を立てて、いかにボッシュの方針と整合性を取るか。そうしたサクセスストーリーをいつも探していましたね。

 中国福建省にあるCATL本社へ入社面接に行った時のことをよく覚えています。1日半ぐらい滞在し、CATLからは、6人のダイレクターが出席していました。

 その場は面接と言うよりも、なかば戦略会議のようになってしまいました。ボッシュ時代の経験ではどう考えるのか、より具体的な方策について意見を求められました。僕にとっては、とても楽しい面接でしたね。

──100社以上の納入実績があります。世界中の自動車メーカーと付き合いがある立場からみると、日本の自動車メーカーはどう見えているのですか。

 正直に申し上げれば、日本の会社はEVでは遅れていると思います。中国の自動車メーカー向けの電池はほぼ完成に近いところまで持っていけます。VWは中国から2年遅れくらいでついて来ている状況。日本の自動車メーカーは、それよりまだ遅れている印象です。

 そして、現時点でもEV担当をされている自動車メーカー幹部でも、EV市場が急成長する将来シナリオに懐疑的な方がいらっしゃるように思います。

 中国の自動車メーカーがどんどん成長して、ヨーロッパ系が追いついて、彼らが市場を席巻しかねない。日本の自動車メーカーさんは今、頑張らないと将来が危なくなる状態です。

──日本の自動車メーカーからは、(他の自動車メーカーと開発した)既存の電池で、一番安くて良いものを調達したい」と言われていると聞きました。EVの基幹デバイスであるにもかかわらず、競合の設計した電池をください、と言ってきているのですか。

 それは、ちょっと答えられません(笑)。日本の自動車メーカーさんが求めるレベルの電池を提供できるよう、努力を続けるのみです。

──現在、2020年に50GWhを生産するという目標ですね。

 でも、じきに上振れすると思います。2027年のタイミングで、自動車メーカーのお客様1社だけで40〜50GWhの生産規模になる予定です。そのお客様が4、5社あるイメージです。単純計算で、少なくとも200GWhは必要なのではないでしょうか。

 実は、将来的には、中国、ドイツに続き、北米でも生産拠点をもちたいと考えています。


 


 

2018.8.31(第359号)

1. 大理での出会い(論長論短 No.327)

2. ソフトブレーングループからのお知らせ(セミナー&最新情報)

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


1. 論長論短 No.327

この秋から、米国の大学に在学中の長女が、14人のアメリカ人同級生とともに
上海の復旦大学に留学しました。今日の宋メールは彼女に書いてもらいました。
(宋文洲)

大理での出会い

宋 紅叶

一週間ほど前から大学の交換留学で上海に来ていた私は、プログラムの一貫として
中国雲南省の大理に訪れました。引率する教授が選んだ宿はリンデン・センター
と言って、古くからの大理伝統の建築物をそのまま利用した素敵なホテルです。

到着した夜、教授が私たちをホテルのロビーに集めると背の高い優しそうな
白人の男性がやってきました。旅行客かと思いきやなんと彼がこのホテルの
オーナーだというのです。

彼はブライアン・リンデンと言ってシカゴの貧しい家庭で育ちました。
18歳の時から掃除の仕事を始め、その稼ぎで夜間大学に通っていました。
ある時、彼は貯めたお金で中国へ旅行に行きました。それが彼と中国との
縁の始まりでした。

旅行を通じて中国に興味を持った彼は試しに中国政府の全額奨学金を申請してみると、
なんと成功しました。1985年にブライアンは晴れて中国政府の招待で
中国の大学で勉強を始めました。当時としてはとても珍しいことでした。

留学中の彼は米国CBSの報道カメラマンとしてアルバイトを数年間やりました。
その経験から中国の魅力、歴史の深さを感じたと同時に、世界の中国への
理解の浅さにも気づいたそうです。

中国の大学を終えた後、ブライアンはスタンフォード大学の全額奨学金をも
獲得し経済学部を卒業しました。そのキャリアがあればアメリカでそれなりの
収入を得て不自由のない暮らしもできましたが、彼はチャンスをくれた中国に
恩返しをしたい一心で中国に戻ったそうです。

その後、中国の文化遺産を守る手伝いがしたいと、大理の国家文化遺産財に
認められている土地に外国人として史上初めてホテルを建てることに
成功しました。その他にも、彼は中国全土で中国政府と協力しながら
いくつかの施設をデザインしています。

全ての施設は地元の人をスタッフとして雇い、レストランで使用されている食材などは
全て地元のものを使用しているそうです。なぜなら、彼は国家文化遺産として
認定されている土地の特色を守り続けながら、旅行者にもその美しさを
味わってもらえ、地域も活性化させられるようなコミュニティーを作ることに
人生を賭けているからです。

ブライアンの人生に私が深く惹かれたのは、彼の目には私が見たことのない中国が
見えていたからです。日本で生まれ育ち、高校からアメリカで教育を受けている私は、
中国人ながらも中国についてしっかりと学んだことは無く、世界が持っている
中国へのステレオタイプというフィルターを通して中国を見ていました。

しかしながら、ブライアンの経験、そして中国への思いを聞いて、
恥ずかしながらも自分よりもブライアンの方がよほど真の中国人だと認識しました。
また、私の父も中国政府の奨学金で日本に留学したということもあり、
ブライアンと父の人生に共通点をたくさん見つけました。

父がよく「中国政府からの恩は返しきれない」と私に話してくれましたが、
アメリカ人であるブライアンの口から同じ言葉が出た時、私は何かに気付かされた
気がしました。私が中国に対して持っていたネガティブな視点はただの偏見でしかなく、
私自身で中国についてきちんと学ぶ必要があると気付かされたからです。

私は今大学で経済を専攻しています。私からすると、経済の授業には他の科目では
無かった面白さ、そしてやりがいがあり、将来はビジネスの世界で何かをしたいと
考えています。アメリカの大学の授業では中国の経済についてよく話しますが、
中国社会の変化とグローバル化について触れることはありません。

変貌を遂げる中国社会についてブライアンは、
「今の中国にはビジネスチャンスを生かし大金を稼ぐビジネスは沢山あるが、
I want to be a dreamer, not only a businessman」と言っていました。

私はその通りだと思います。
私が将来どこに住み、どんな仕事をするかはわかりませんが、
ブライアンのように、損得よりも夢を持って生きたいと思います。


今回の論長論短へのご意見はこちらへ↓
http://r31.smp.ne.jp/u/No/5508817/BFwU42j9eqAD_42725/180831001.html

 


 
http://www.asyura2.com/18/kokusai23/msg/747.html?c3#c3
ついに頓挫か、中国人100万人マレーシア移住計画

一帯一路で天に唾した中国、海外に初の“鬼城”を輸出する羽目に
2018.8.31(金) 末永 恵
マレーシア・イスカンダル計画の最大プロジェクト、中国主導の「フォレスト・シティ(中国名:森林都市)。中国・華人100万人をマレーシアに移民させる一帯一路計画の模範プロジェクトだ。
 日本人の「海外不動産投資ブーム」を牽引したのが東南アジアのマレーシアだ。

 東日本大震災以降、マレーシア政府は早々に、マレーシアでのロングステイ、セカンドホーム「MM2H」やコンドミニアム(マンション)購入投資の多様な商品を並べ、ジャパンマネーの取り込みを行った。

 特に 、マレーシアでは不動産取得において、最低購入価格制限以外に外資規制がほとんどなく、シンガポールなど他の東南アジア諸国と比較し、外国人に開放されていて、その結果、MM2Hのビザで永住する日本人も多い。

 とりわけ人気だったのが、第2の都市、マレー半島最南端のジョホールバル(ジョホール州首都、最大都市)だった。

 温暖な気候に整ったインフラ、英語圏で安価な物価、さらには親日国というのが売りで、投資や資産逃避に加え、子供の留学の教育移住先としても日本人の受け皿になった。

 中でもジョホールバルは、シンガポールに隣接し、香港と隣り合わせの深?を髣髴させる好立地。

 この地に、マレーシアとシンガポールが共同出資する人口300万人を目指す巨大都市開発構想「イスカンダル経済特区」に伴うコンドミニアムなどの不動産開発ラッシュが起き、日本人の爆買いが注目された。

 マレーシアの場合、「プレビルド」という、数年後に完成予定の物件を更地の状態のときに予約購入する不動産購入方式が主流。

 しかし、供給過剰で大量に建設された結果、完成したものの住むこともままならない状態に陥っている。商業施設も住民が少なく、続々と撤退した。

 「売れない、貸せない」状況が発生し、空き家だらけで、未来開発都市・ジョホールバルは「廃虚化したマンション都市」との汚名が着せられる不測の事態となった。

 そんな辛酸を嘗めた日本人バイヤーが淘汰される一方で、地元不動産を爆買いし始めたのが、急速な経済成長で中間富裕層拡大の中国からの華人だった。

 彼らの不動産購入・投資先は、イスカンダル計画の目玉で70万人の居住区構想である最大プロジェクト「フォレスト・シティ」(中国名:森林都市)。

 しかし、彼らの目的は日本人と違った。

 彼らは、不動産取得を通じ、「マレーシアの長期ビザ、ひいては永住権、市民権を獲得するのが目的だったからだ」(マレーシア政府関係者)。

 中国の不動産が高騰する一方で同物件価格は北京の4分の1ほどの値段だ。さらに子供の英語教育の機会を模索するだけでなく、両親なども呼び寄せて、第三国の永住権を家族全員が取得可能な道しるべを作る狙いがある。

 要するに、不動産購入は中国人にとって「海外逃避のための手段」に過ぎないのである。

 最長10年(更新可能)のビザ取得が可能なマレーシアのセカンドホームプログラム(MM2H)利用でも、2002年の開始後、中国人が最も多くなっている事情がこうした背景にある。

シンガポールに隣接するフォレスト・シティ
 例えば、フォレスト・シティに関しても購買者の8割から9割が中国からの華人だ。

 結果、将来的にはフォレスト・シティは「華人によって文字通り、空室だらけで人が住まない“森林”になるだろう」(シンガポールの不動産関係者)と揶揄され始めていた。

 そんな中、マレーシア国内での“華人共和国”建設の動きに当初から反対を表明したのがマハティール元首相(当時)だった。

 「マレーシアの広大な土地が外国に占拠されてしまう。外国による領土化だ。マレーシアは大国の植民地ではない」

 そう言って、5月の総選挙で野党を率い、選挙公約に「フォレスト・シティなどの中国資本による巨大開発事業の(凍結を含む)見直し」をかかげた。

 中国政府と蜜月だったナジブ前政権の腐敗、癒着の象徴として同事業を挙げ、国民の賛同を得て61年ぶり初の政権交代を果たした。

 6月に首相再登板後、初の外遊先の日本で20年ぶりとなった日本記者クラブでの会見でも、次のようにフォレスト・シティに関する筆者の質問に厳しい姿勢で臨むことを表明していた。

 「米国でもメキシコからの移民を排除しようとしている。外国人居住地を認める国はない。入国を拒否する権利がある。このまま、計画が進めば、政府として対抗策を講じる」

 その選挙公約に沿って今月27日、マハティール首相は「フォレスト・シティの外国人不動産販売を中止し、ビザも市民権も与えない」と都市計画のイベントで発言。

 欧米批判で知られるマハティール首相の”差別的発言”と言葉尻だけをとらえてロイター通信など海外メディアが伝えたが、28日、首相府は我々メディアに声明を送付。

 「外国人の不動産取得はマレーシアの規定や法の下、認められるが、不動産取得は市民権(あるいは永住権)を同時に授与されるものではない」と発表。

 マハティール首相の懸念は、不動産取得そのものではなく、森林都市計画という名の下の中国によるマレーシアの領土化、中国人“大量移民”の居住区設置計画なのだと、マハティール首相の“独特の”レトリックを噛み砕いて補足説明した。

 その上で、ナジブ政権時代、中国側との“密約”で、中国人の不動産売買でビザや市民権が贈与されるといった影の条件を否定した。

 同時に、フォレスト・シティに関しては、特別委員会を設置し、関係省庁や中国などの不動産開発業者などから聴取を行い、不動産の取得条件など合意内容の再審査や見直しを実施することも明らかにした。

 フォレスト・シティ計画は、ジョホール州南部の海域(ジョホールバルとシンガポールを結ぶセカンドリンク付近)を埋め立て、4つの人工島を建設する世界最大級の大規模総合開発だ。

 2016年3月に起工式を行い、完成は2035年を目指す。総事業費約1000億ドル(約11兆1300億円)を投じ、東京ドームが300個入るという、約14平方キロメートルの全敷地に、住宅、別荘、ホテルなどの商業施設、学校、病院などを建設予定だ。

 同プロジェクトは、中国第3位の大手不動産開発会社で香港株式上場企業の「碧桂園」(カントリー・ガーデン・ホールディングス)とジョホール州政府子会社クンプラン・プラサラナ・ラクヤット・ジョホールによる合弁会社が手がける。

 同州企業はジョホール州スルタン(州王)が最大株主で、実質、中国とジョホール州王室とのジョイントベンチャーだ。

 同州は、シンガポールを領土としてかつて保有し、国内の州の中でも莫大な資産、資本を抱え、州政府の中で唯一、州軍も所有する”独立色”の強い州でも知られる。

 さらに、同州の権益はスルタンが所有し、大型投資などの案件許諾も独占して握っている。

 王室の権限を縮小したいマハティール首相と王室統治の「ジョホール州・ファースト」を提唱する同州スルタンとは、長年の因縁の間柄。

 同プロジェクト中止を目指すマハティール首相の狙いは、憲法上、国の統治者となっているこうした王室絶対主義の修正への民主化加速への狙いも影にはある。

 一方、中止した東海岸鉄道プロジェクトとともに、フォレスト・シティ計画は、習近平政権が進める「一帯一路」に関連する中国の大手企業による開発だ。

 2016年3月の同計画起工式後の同年末発行の「瞭望週刊」(新華社発行)では、中国政府の幹部が同計画は一帯一路戦略の「模範的プロジェクト」と絶賛。碧桂園集団の朱剣敏副総裁も「一帯一路戦略上の計画」と公言した。

 碧桂園は、年商1500億元(約2兆5500億円)、社員約10万人の中国を代表する企業で、中国政府のバックアップのもと、森林都市計画が進められており、中国からの大量移民による「植民地100万都市構想」で中国人を100万人、マレーシアに定住させる思惑が根底にあるといわれている。

 しかし、この1000億ドル計画も、中国政府が昨年、不動産投資目的の海外への外貨送金を禁止したため頓挫するのでは、とささやかれ始めている。

 中国人のフォレスト不動産購入者は、手付金は支払ったものの、購入資金の送金がその後できなくなり、しかも、購入を断念するとペナルティーとして、「購入価格の30%」を開発業者の碧桂園に支払うことが義務付けられており、契約解除で支払済みの預託金の返済を求めることすら、困難になっているという。

 そのような状況下で、一部完成しているフォレストの高級マンションは、買い手があっても誰も住まず、よって商業施設もオープンしない悪循環に苛まれているという。

 中国国内には、完成しても人が住めない「鬼城(ゴーストタウン)」が散在して社会問題に発展している。

 このままいけば、森林都市計画は、海外での中国「鬼城」が“輸出”された初のケースになる可能性も出てきている。

 一方、中国の華人にとっては、独裁国家の中国ではあり得ない民主選挙で選ばれた政権交代で、政策が180度転換し、中国による投資がマレーシアでは歓迎されない予想外の結果に戸惑っている。

 皮肉にも、自らの行いが中国への反発を呼び、マレーシアでの政権交代を実現させたと痛感しているだろう。

 シニカルなレトリックを好むマハティール首相は「フォレストシティは、本当の意味で森になるだろう。なぜなら、そこの住民はサルとヒヒ(汚い醜い人)で十分だからだ」と述べた。

 中国の植民地計画は醜い、そう一刀両断する小国の老練宰相が大国を戒めるときが再び、来るだろう。

(取材・文 末永 恵)

 


5. 2018年8月31日 22:03:23 : B5jUAVwOgo : @q0pLXaGlcw[38] 報告
JBPRESSから転載している奴は何なんだ?!
6. 2018年9月04日 22:50:10 : lFvVGXe8kM : lAXQcQrOWPk[2] 報告
>>5
正体はこちら。同一人物です。
http://www.asyura2.com/14/kokusai9/msg/747.html#c8

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