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パリのデモ最前線で見たマクロン政権の正念場 ニュースを斬る 怒号と催涙弾の応酬は、フランスに何をもたらすのか  
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投稿者 うまき 日時 2018 年 12 月 11 日 00:39:37: ufjzQf6660gRM gqSC3IKr
 

パリのデモ最前線で見たマクロン政権の正念場
ニュースを斬る
怒号と催涙弾の応酬は、フランスに何をもたらすのか

2018年12月11日(火)
大西 孝弘

 12月8日、フランス・パリは朝から不穏な空気に包まれていた。パリ在住者によると、いつもより人通りが少なく、街に不気味な静寂が流れていたという。マクロン仏大統領を批判するデモがあるとの情報から、市民たちが不要な外出を控えたためだろう。

 パリ北駅からシャンゼリゼ通りにタクシーで向かうと、確かにいつもより道路が空いている。だが、治安部隊の検問があり、中心部まで近づけない。地下鉄の駅も封鎖されている。シャンゼリゼ通りを迂回するように周辺を歩いていると、所々でデモ隊と治安部隊が衝突していた。

 今回のフランスのデモの特徴は、核になるリーダーや団体がいないことだ。SNS(交流サイト)などで相互にデモを呼びかけ、参加者が膨らんでいる。参加者はスマートフォンを通じて様々なデモの状況をチェック。警備を避けながらデモの場所を次々と変え、治安部隊といたちごっこを繰り返していた。


治安部隊と放水車の前で抗議する人々
 しばらくすると、大規模なデモ隊が大手百貨店、ギャラリー・ラファイエットの周辺に集まり始めた。「マクロン、辞めろ」と口々に叫びながら行進していく。断続的にフランス国歌の合唱が起きる。後方には鼓笛隊のような一団がおり、リズミカルな音楽を奏でながら、デモ隊の戦意をあおる。一方で治安部隊は車両を用いてシャンゼリゼ通りに向かう道を封鎖し、デモ隊とにらみ合う。

 それは狼煙(のろし)のようだった。デモ隊が発煙筒を燃やして拳を振り上げると、多くの人が集まってくる。その中の数人が抗議の横断幕を掲げながら前に進み、放水車の前に座って両手を挙げる。デモ隊の興奮が高まっていく。

 すると、様子を見ていた治安部隊が動き出した。隊員の1人が拡声器で警告を発すると、数秒の静寂の後に、治安部隊が大きな音でサイレンを鳴らしながら前進を始めた。座り込むデモ隊をひいてしまう寸前で横から警察が介入し、デモ隊を力ずくで引きはがす。両陣営の間にスペースができると、放水車と車両、歩行部隊が隊列を組みながら突き進み、放水が始まった。

 強烈な放水に身体ごと後ろに吹き飛ばされる人もいれば、あらかじめ用意した緑色のバリケードで放水を防ぐ人も。デモ隊からは発煙筒が、警察からは催涙弾が投げ込まれ、辺り一面は煙に包まれ混乱状態に陥った。

 記者は放水車の動きに合わせて、ほぼ真横からその様子を撮影していたが、放水車が突然、真横にも放水を始め、催涙弾を投げ込んできた。ずぶぬれになった上に、催涙ガスを吸ったため咳が止まらず、目に痛みが走り涙が流れる。薄眼を開け、上着の袖で口を覆いながら、横の路地を走ってその場から退散した。


治安部隊は放水と催涙弾でデモ隊に迫った
「生活が苦しい」と訴えるフランス国民
 フランスで11月17日から始まったデモは毎週土曜日に開催され、今回で4週連続となった。きっかけはマクロン大統領による燃料税の引き上げである。

 マクロン氏が大統領に就任した16年以降、原油価格の上昇でガソリンや軽油の価格も上昇しており、地方の住民など日常的にクルマで移動する人々の生活を圧迫した。それに温暖化対策のための燃料税の引き上げが追い打ちをかけ、人々の怒りに火をつけた格好だ。

 19年1月に予定していた増税に反対するフランス国民が、全国各地でデモを始めた。多くの参加者はシンボルとして蛍光の黄色いベストを着用している。12月1日の仏各地のデモでは1人が死亡し、パリでは130人以上が重軽傷を負った。

 回を重ねるにつれて、治安部隊の動員数を増やしているが、デモの勢いは衰えず、過激化している。そのためマクロン政権は5日、19年中の燃料税の引き上げ凍結を発表し、デモの収束を図った。


治安部隊の車両とエッフェル塔を背景に、フランス国旗を手に持つデモ参加者。報道陣のカメラを意識しているようだ
 それでもフランス国民の反対の声は収まらなかった。当初は燃料税の引き上げへの反対だったが、マクロン氏の政策全体に対する抗議活動の意味合いが強くなった。マクロン大統領が実施してきた、公務員削減や労働法の改正、社会保障費用の負担増などの政策に反対し、国民の不満が一気に吹き出した形だ。

 パリの郊外からデモに参加したというヴァージルさん(25歳)は、「仕事がない。燃料税だけじゃなくて、生活に必要な費用が高騰している。生活が苦しい」と訴えた。


マクロンの政策すべてに反対するヴァージルさん
 個人ごとの事情はあるだろうが、全体として見れば、確かにフランスの失業率は9%台と日米だけでなく、EUの平均値より高い。

 支持率も低下する一方だ。16年の大統領に就任時には60%以上あったマクロン氏の支持率は下がり続け、足元では20%台で低迷している。

 デモ参加者は老若男女がいるが、特に若者が多い。回を重ねるごとに過激になるため、8日にはマクロン政権は約9万人の治安部隊を送り込み、仏全土で約1700人が拘束された。負傷者も多数出たようだ。

 こうしたデモは経済にも打撃を与えている。まず観光客が減っている。8日は観光名所のエッフェル塔やルーヴル美術館が営業を中止した。クリスマス商戦に合わせて華やかに飾られた店の入り口が、ベニヤ板や段ボールで覆われていた。

 フランス料理店の従業員は、客がまばらな店内を見ながらこう言った。「毎年、この時期の土曜はランチタイムからほぼ満席になるが、ご覧の通り。デモは大きな問題だ」

 日本企業も無関係ではない。ギャラリー・ラファイエット近くのユニクロは休業し、コンコルド広場に近い虎屋は、段ボールで店を覆って休業していた。売り上げへの影響は不可避だろう。

パリでは局地的に破壊や略奪があった
 8日夜。パリの所々で店舗の襲撃があったとの情報が入る。一報があったレピュブリック広場に行くと若者たちが集結していた。そこにはもう黄色いベストを着た人は確認できない。

 9時半過ぎ、治安部隊の車両が広場を囲んで動き出す。広場の中央に催涙弾を大量に打ち込むと治安部隊の突入が始まった。数人を押さえつけたものの、それ以外の若者たちが四方八方に散り散りになる。

 そこから、記者がいる小高い階段に、細身の1人の男が治安部隊から逃走するために登ってくる。その後ろには、銃器を持った二人の治安部隊の姿が。

 男は階段を登りきったところで、治安部隊の1人に追いつかれた。揉みあいながら倒れると、屈強な隊員に押さえ込まれ、男はうめき声を数回あげた。数人の隊員に取り囲まれると、ようやく抵抗を諦めた。落ち着き始めたところで、治安部隊の車両に連行された。


12月8日夜、パリのレピュブリック広場で男が治安部隊の隊員に拘束される瞬間
 夜が明けた9日、暴徒に襲撃を受けた店舗などの様子が明らかになる。中心部にあるスターバックスは、店のガラスがほぼすべて割られ、店内も破壊され尽くしていた。近所の住民なのか、店をのぞきながら肩を抱き合う老夫婦もいた。

 パリ市内のいくつかの店でこうした破壊行為や収奪があったもようだ。もはやこれはデモでもなんでもなく、暴力による犯罪行為だ。店は保険に入っているのかもしれないが、デモのたびにこうした破壊行為を警戒するとなれば、通常の営業ができなくなる。


パリ中心地にあるスターバックスはほぼすべてのガラスが割られ、店内の設備も壊されていた。隣のカフェがほとんど破壊されていないのと対照的だった
 ただ、街を歩いていて特徴的なのは、激しい衝突がある通りから少し離れた場所は平穏なこと。レストランなどが通常営業しており、食事や買い物などの市民生活が営まれていたことだ。

 8日夜にパリ市内を歩くと、飲食店は多くの人でにぎわっていた。パリ市内でお好み焼き店を経営する田淵寛子さんは、「デモが始まってから、土曜日は少しお客さんが少なかった。今日のランチはいつもの3分の1程度しかお客さんが入らなかったけど、夜はいつも通り満席になり安心した」と語る。

 デモから一夜明けた9日は、どの店も客足を取り戻していた。特に中心地にある店舗は、前日の休業を取り戻すかのように多くの客が集まっているようだった。

世界の温暖化対策を牽引してきたフランス
 そもそもなぜ、マクロン大統領は燃料税の引き上げにこだわったのか。背景には、フランスが国際社会を牽引する地球温暖化対策がある。

 様々なニュースの間ですっかりかすんでいる感があるが、12月2日から14日まで国連の気候変動枠組み条約第24回締約国会議(COP24)がポーランドで開催されている。このCOPの動向を、欧州メディアは積極的に取り上げている。欧州各地で温暖化の影響が出ているからだ。今年夏は欧州各地が記録的な暑さとなり、北欧やギリシャで森林火災が発生。多くの死者が出た。

 様々なデータや警告がある。国連の気候変動に関する政府間パネルは10月に特別報告書を公表。産業革命前と比べ、世界の平均気温の上昇を1.5度以下に抑えるためには、50年までに二酸化炭素排出量を実質的にゼロにしなければならないと明言した。

 世界気象機関は11月、大気中の二酸化炭素の世界平均濃度が17年に過去最高を更新したと発表。濃度の上昇にブレーキが効かず、温暖化がさらに進む可能性があると警鐘を鳴らした。

 20年以降の温暖化対策の国際枠組みは、15年にパリで採択されたため、パリ協定と呼ばれる。COP24ではその細則を詰める予定である。

 だが、米国のトランプ大統領がパリ協定からの離脱を表明し、その実効性が疑問視されている。マクロン大統領はそのトランプ大統領の説得役を買って出ているのだ。「私は絶対に諦めない。それが自分の使命だと思う」とまで話している。

 皮肉なことにそのマクロン大統領のお膝元であるパリで、温暖化対策のための燃料税に反対するデモが広がり、パリ協定の存在が揺らいでしまっている。


デモ隊から「マクロン辞めろ」の合唱が起きていた
 マクロン大統領は温暖化対策だけでなく、様々な改革を進めてきた。特に力を入れてきたのが、フランスの構造改革だ。フランスは他の先進諸国に比べて公務員の比率が高く労働組合が強い。そのため雇用の流動性に乏しく、低成長の状況が続いている。

 こうしたフランスの積年の課題にメスを入れたのがマクロン大統領だった。公務員を削減し、労働者を解雇しやすくする法改正を実施する一方、法人税を減税し、社会保障費の負担を高めた。

 経済成長などの成果が出ていたら、改革に対する不満はさほど顕在化しなかったかもしれない。しかし、成果が出るまでの時間がかかっている間に、低所得者などの不満のマグマがたまり、これが今回の燃料税の引き上げで、爆発した。

 支持率は低迷するものの、フランスの構造問題への課題認識を共有するフランス人は多い。だからこそ、改革を標榜するマクロン大統領を選んだ。

 構造改革を断行して経済を活性化すると同時に、国民の不満を和らげる――。こうした難題を解決できる指導者や政策は見当たらない。デモが勢いづき、マクロン大統領が窮地に追い込まれるほど、フランスが抱える構造問題の根深さが浮き彫りになっている。


このコラムについて
ニュースを斬る
日々、生み出される膨大なニュース。その本質と意味するところは何か。そこから何を学び取るべきなのか――。本コラムでは、日経ビジネス編集部が選んだ注目のニュースを、その道のプロフェッショナルである執筆陣が独自の視点で鋭く解説。ニュースの裏側に潜む意外な事実、一歩踏み込んだ読み筋を引き出します。
https://business.nikkeibp.co.jp/atcl/report/15/110879/121000910/?ST=editor  

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コメント
1. 2018年12月11日 09:26:36 : LY52bYZiZQ : i3tnm@WgHAM[-9805] 報告
フランスは明日の日本ですね。
.
新 ch政経
2018/12/10 に公開
https://www.youtube.com/watch?v=y0KyM72j1es

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