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オーディオ・ノート 300B プッシュプル パワーアンプ 8,250,000円
http://www.asyura2.com/18/revival4/msg/148.html
投稿者 中川隆 日時 2021 年 4 月 14 日 15:35:13: 3bF/xW6Ehzs4I koaQ7Jey
 

(回答先: ウェスタン・エレクトリック 300B を使ったアンプ 投稿者 中川隆 日時 2018 年 10 月 04 日 22:21:33)

オーディオ・ノート 300B プッシュプル パワーアンプ 8,250,000円

Kanon パワーアンプ
8,250,000円 /ペア(税込)
https://www.audionote.co.jp/jp/products/power_amplifier/kanon.html


オーディオ・ノートの300Bパワーアンプが、伝統の回路に最新の知見を加え生まれ変わりました。 銘球300Bが持つ繊細かつ豊かな音調を活かしつつ、キレの良さと強靭な駆動力を伴ったバランスの良いモノーラルパワーアンプです。

現代的スピーカーとの相性にも十分に配慮しつつ、管球式アンプならではの有機的な音の魅力を存分に楽しめます。


特徴

初段はプレートフォロア+カソードフォロアの直結型、広大な周波数特性と強力なドライブ力を有しています。

位相反転/ドライブ段は古典型位相反転回路を採用、ナチュラルな音質で反転精度が比較的よく、低いインピーダンスで300Bをドライブしています。

出力段は自己バイアス回路を採用し、300Bの容易な差し替えが可能です。
ハムバランス回路では高音質抵抗器を合わせて用いることで、バランサーVRへ流れ込むシグナルを極小に抑えています。

オーバーオールNFB量を僅か2dB に抑えることで、ダイナミック感と低歪率を両立しています。
また、増幅回路全体をユニット化することにより、配線の最短化を実現しました。


モジュール化ユニット

増幅回路全体は一つのユニットに高品質部品を立体的に配置し、信号配線の最短化を実現しました。 電源配線もユニット内で各段直近にデカップリングコンデンサを配置し、高純度な信号回路を形成、また、段間の干渉も最小に抑えています。


理想的な電源回路

電圧増幅段と出力段の電源回路は整流素子から別々となっており、相互干渉を抑え純度の高い音質を実現しています。

電源供給ラインにはリップルフィルターとは別に各段でデカップリングコンデンサを搭載。 高純度なシグナルループを形成し、段間の干渉も最小に抑えています。
また、出力段の電源回路では音質上の理由から整流管を採用していますが、2本を並列動作させる事により瞬時電流供給能力を向上させています。 この整流管へのヒーター電源供給は大きな脈流を伴うため、整流管専用のヒータートランスを独立搭載しています。

高品位パーツ

段間の結合コンデンサーにはKaguraでも採用した制振対策純銀箔コンデンサを配置し、音の魅力と密度感の向上に成功しました。
巻き方から新規に設計しなおした純銀線巻出力トランスは、スピーカーのインピーダンス4/8/16Ωに対応。注文時に2系統を選択します。

純銀リード抵抗、純銀配線材SSW(シルクシルバーワイヤー)、Ls-41(シールド線)、オリジナル制振モールド電源トランス、厳選したCR パーツを効果的に配置しています。


電源ケーブル
ACz-AVOCADOを標準付属。


おもな仕様

基本構成 300B プッシュプル モノーラルパワーアンプ
型式 Kanon
定格出力 20W @1kHz, 5% THD
周波数特性 10Hz - 40kHz (+0dB, -3dB @1W)
入力 / インピーダンス 2系統 (RCA, XLR, アンバランス) / 70kΩ
スピーカー出力端子 出荷時に4Ω, 8Ω 16Ωから2系統を選択
残留ノイズ 1mV未満
真空管 300B x2, 6072 x1, 6CG7 x2, GZ34 x2
消費電力 120W
外形寸法(突起部含まず) 294mm(W) 284mm(H) 485mm(D)
重量 32kg
https://www.audionote.co.jp/jp/products/power_amplifier/kanon.html


▲△▽▼


国産ハイエンドの雄が手がけた最新アンプ
AUDIO NOTE「Kanon」を聴く − 極上の描写力と繊細さを両立させた300Bモノパワーアンプ
鈴木 裕 2018年07月06日
https://www.phileweb.com/review/article/201807/06/3098.html


AUDIO NOTE(オーディオ・ノート)は、5月に独ミュンヘンで開催されたHIGH END 2018 MUNICHにて新パワーアンプ「Kanon」を発表。世界中のプレスや来場者から大きな注目を集めた。今回、このKanonを鈴木裕氏がオーディオ・ノートのリスニングルームで試聴。そのサウンドを紐解いていく。


モノラル・パワーアンプ
AUDIO NOTE
Kanon
¥8,100,000(ペア・税込)

Profile 日本を代表するハイエンドオーディオブランドのひとつであるオーディオ・ノート。同ブランドでは最高峰パワーアンプとして「kagura」が君臨しているが、その設計思想を継承しつつサイズダウンをはかったモノラル・パワーアンプ「Kanon」が誕生した。本機は300Bを採用したプッシュプルモノラルパワーアンプで、キレの良さと強靭なドライブ力を追求。現代派スピーカーにもマッチするモデル。今年のミュンヘン「ハイエンド」にて鮮烈なデビューを飾った同ブランドの新鋭機がいよいよ本国にて発売を開始した。


■伝統の奥義が色濃く流れる300Bモノパワーアンプ

オーディオ・ノートの新しい製品はKanonである。300Bを出力管に使ったパワーアンプだが、聴くとその再生音にはこのブランドの持っている揺るぎないフィロソフィーが反映されている。それは説明されなくても音として伝わってくる。そもそもオーディオ・ノートが生まれたのは1976年。製品としては銀線巻き昇圧トランスの販売からスタートしている。創業者は近藤公康氏で、世界で初めてオーディオに銀線を採用した。その近藤氏の元で働き、厳しく指導されたのが現在の代表である芦澤雅基氏。技術だけでなく、精神的な薫陶を受けたと言っていい。

オーディオ・ノートのモノラル・パワーアンプ「Kanon」。最高峰モデルである「Kagura」のデザインを踏襲しつつ、本機が320W×370H×558Doであるのに対し、「Kanon」は296W×284H×485Doとひとまわりコンパクトな仕上げとなっている

最高の音質にこだわり、音楽再生を大事にしているフィロソフィーについては一点の曇りもなく継承されている。そのオーディオノートの奥義が新しく開発された「Kanon」にも色濃く流れている。

オーディオ・ノートの歴史を見ると、90年代から2009年まで日本国内での販売をしていない時期があった。銀という貴金属の高額な素材を使用し、それを使ってトランスフォーマー類までをもひとつひとつ製作するため、製品が大変高額になってしまったためだ。しかしオーディオを取り巻く状況も変化し、2009年に再び日本市場での販売が復活しているが、ある意味、その日本市場をメインターゲットとするような製品が今回のKanonだ。

300Bである。この銘球と呼ばれる真空管は特に日本市場で人気があり、その繊細で豊かな音を生かすべく開発されたモノラルのパワーアンプだ。現代的なスピーカーを駆動することも視野に入れ、プッシュプルにして20Wの出力を持たせている。

■最高峰モデルが採用した高品位パーツを投入する

その概要を紹介してみよう。電源部は、電圧増幅段と出力段に整流素子から分離し、それぞれの各段にはデカップリングコンデンサーを配置。純度の高い、相互の影響を排した構成を取っている。特に出力段の電源回路では整流管を2本使ってパラレル動作させており、瞬間的な高い電流供給能力を持たせた。また、整流管へのヒーター電源用に専用のトランスを搭載しているのも安定した再生音に寄与している。

初段は6072によるプレートフォロア+カソードフォロアの直結型。ドライブ段は古典型位相反転回路を採用し、6CG7のパラレル動作により、低インピーダンスで300Bを駆動。出力段は自己バイアス回路を採用し、300Bの差し替えが容易にできるようになっている

初段は6072を使ったプレートフォロア+カソードフォロアの直結型。ドライブ段は6CG7のパラレル動作で出力段をドライブする。出力段は自己パイアス回路を採用しているので、さまざま300Bを差し替えて楽しめる。全体的な回路としては、NFB量を2dBに抑えているが、増幅回路をユニット化することによって実装状態での配線を短くしているのも大きい。

本機のリア部。入力はRCAとXLRが各1系統ずつ。スピーカー出力は注文時に4Ω、8Ω、16Ωのインピーダンスから2系統を選択できる

真空管以外については同社のオリジナルのパーツを採用しているのは言うまでもない。211を使った同ブランドのフラッグシップKaguraにも採用されているパーツ類、具体的に書くと純銀箔コンデンサ、純銀リード抵抗、純銀配線材SSW(シルク・シルバー・ワイヤー)、シールド線のLs‐41、モールドで制振処理を施された電源トランス、CRパーツなどを採用。また、新開発された出力トランスも注目だ。

本機に搭載された制振対策純銀箔コンデンサ。最高峰モデル「Kagura」にも採用されている。ほかにも新開発の出力トランスや純銀リード抵抗、純銀配線材、オリジナルの制振モールド電源トランスや厳選したCRパーツなど高品位なものを効果的に配置している


■音数の多い中高域で格別に繊細な表現力

テストはオーディオ・ノートの試聴室で行った。CDプレーヤー以外、同ブランドの製品ですべて統一され、B&Wの「ノーチラス801」を鳴らすシステム。

まずビル・エヴァンス・トリオの『ワルツ・フォー・デビイ』から聴き出したが、駆動力の高さが印象的だ。91dBの能率のスピーカーだが、15インチのウーファーのムーヴィングマスは大きく、これが見事にグリップされている。


このソフトで特徴的な演奏中にわずかに聴こえてくる客席のガヤも見事で、特に中高域の音数の多い、繊細な表現力が素晴らしい。音自体はクリアなのに、ライブをやっている空間の濃密な感じが良く出てくる。シンバルの複雑な倍音やリアルさなど、300Bならではの美音成分がオーディオを聴く愉悦を感じさせてくれる。低音はナチュラルな太さでウッドベースが適度な重量を持って立ち上がっている。

■鳥肌ものの描写力と高域の繊細さが両立

ダイナ・ワシントン『イン・ザ・ランド・オブ・ハイファイ』から「わが恋はここに」を聴く。

ブラスの黄銅の匂いのするような音色感やダイナの渋いヴォーカル、そしてピアノ。音自体はリアルなのに、再生音としてどこか高い品があり、音楽が美しく感じられる。ミルシテインがソロ・ヴァイオリンを弾いているブラームスのヴァイオリン協奏曲。演奏のニュアンスやボウイングのタッチの描写などは細かく描写してくれるのだがソロのヴァイオリンの音が特別に澄んでいて、鳥肌が立つような研ぎ澄まされたものがある。

「Kanon」の音に浸りきる筆者。奥にあるのが、同社最高峰のモノラル・パワーアンプ「Kagura」

この高域の倍音感や繊細さはたしかに300Bの音でもあるが、やはりオーディオ・ノートの世界なのだ。プリアンプをフラッグシップのG‐1000からG‐70に繋ぎ替えても聴いたが、プリの表現を的確に反映しつつ、Kanonの音はとにかく楽しい。入力はアンバランスのみでコネクターはXLRとRCAの2系統がある。20Wという数字以上にスピーカーをハンドリングできるパワーアンプだ。夢のようなひとときを過ごさせてもらった。

(鈴木裕)

開発者から

株式会社オーディオ・ノート 商品開発チーフデザイナー 廣川嘉行

本機は銘球300Bが持つ繊細かつ豊かな音調を活かしつつ、キレの良さと強靭なドライブ力を合わせ持った高品位モノラル・パワーアンプとして開発しました。

初段は6072によるプレートフォロア+カソードフォロアの直結型回路とし、続く位相反転段では6CG7のパラレル動作による古典型回路の採用により、自然な質感と強力なドライブ力を両立しています。

出力段は自己バイアス回路を採用し、300Bの容易な差し替えが可能となっています。

電源部では整流管を2本用いてパラレル動作させる等、有機的な音質を保ったまま瞬時電流供給能力を高めています。

チューニングは代表の芦澤が入念に行いました。(廣川氏)


Kanon Specifications
●方式:300Bプッシュプルモノラルパワーアンプ
●定格出力:20W @1kHz、5%THD

●周波数特性:10Hz〜40kHz(+0dB -3dB@1W)
●入力:2系統(RCA、XLRアンバランス)
●入力インピーダンス:約70kΩ
●出力インピーダンス:4Ω、8Ω、16Ωから注文時に2系統を選択

●残留ノイズ:1mV未満
●真空管:300B×2、6CG7×2、6072×1、GZ34×2

●消費電力:120W
●ヒューズ:遅断型125V 3A
●外形寸法:296W×284H×485Do(突起部含まず)
●質量:32kg
●取り扱い:(株)オーディオ・ノート


■組み合わせた機材と試聴ディスク

●アナログプレーヤー/AUDIO NOTE「GINGA」※トーンアーム(KONDO V-12)付属
●MCカートリッジ/AUDIO NOTE「IO-M」
●MCトランス/AUDIO NOTE「SFz」
●フォノイコライザー/AUDIO NOTE「GE-10」
●プリアンプ/AUDIO NOTE「G-1000」「G-70」
●スピーカーシステム/B&W「ノーチラス801」


●試聴ディスク(以下を参照)

『ワルツ・フォー・デビー/ビル・エヴァンス・トリオ』(【米国】FANTASY/OJC-210)
『ブラームス:ヴァイオリン協奏曲』オンゲン・ヨッフム指揮ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団、ナタン・ミルシテイン(vn)(【日本】ボリドール/MG2513)


『イン・ザ・ランド・オブ・ハイファイ/ダイナ・ワシントン』(【米国】EMARCY/MG 36073)
『アンプラグド/エリック・クラプトン』(【米国】REPRISE/468412)※


※本記事は「季刊analog」60号所収記事を転載したものです。
 

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コメント
1. 中川隆[-5728] koaQ7Jey 2021年4月14日 15:38:35 : FQrGsP3YVY : VUVVL3ZhT3JrRms=[26] 報告

オーディオ・ノート AUDIO NOTE 会社概要
https://www.audionote.co.jp/jp/company.html

音楽のある優雅な暮らし・・・

「音楽を生き生きとした豊かな表現力をもって再現する」
この永遠のテーマを追求し、一貫した手作りで製品を製造しております。音楽をありのままに再生するためには正しい設計と技術が何より重要です。 さらにそれを実現するため、100%、200%の精力を傾けてより良い音を得るための最善方法を常に探求しております。

我々は創業当時より銀という素材に着目して音作りをしております。 銀は導電率が一番高いということだけでなく、素材そのものの響きが大変美しい金属です。 その美しい響きを最大限に活かし如何に再生音に反映させるかを考えて様々な実験を重ね、作り方、使い方などのノウハウを蓄積してまいりました。
音楽という芸術作品に向き合い、あらゆる可能性を探り「美」を追求すること、これこそが我々オーディオ・ノートの使命です。


会社概要
社名 株式会社オーディオ・ノート (法人番号:9020001080097)
設立 昭和54年10月
神奈川県川崎市幸区下平間242
電話 044-520-3150
代表者 代表取締役 芦澤 雅基


年表

1976年
オーディオ・ノート創業
銀線巻きMC昇圧トランス
高耐圧FETプリアンプ Meister-7
高耐圧FETプリアンプ M7

1977年
純銀線ラインケーブル
純銀線スピーカケーブル

1979年
株式会社オーディオ・ノートに変組(資本金600万円)
MCカートリッジ「IO」

1981年 YL音響研究所を吸収、ホーン型スピーカの新規開発開始
1982年 211プッシュプルパワーアンプ発表
1983年 励磁型MCカートリッジ「IO-Limited」

1986年
20cmコーン型スピーカユニット「2001-20SP」
38cmコーン型ウーファーユニット「2001-38W」

1987年
資本金1600万円に増資
カーステレオ用スピーカ

1988年 プリアンプ「M7 TUBE」

1989年
純銀箔コンデンサー
純銀線巻きOPT
211シングルパワーアンプ「ONGAKU」

1990年
英国オーディオ誌に記事掲載、海外販促活動の本格始動
現AUDIO NOTE UK(現在弊社とは無関係)を海外販促活動の拠点として活動開始

1997年
現AUDIO NOTE UKとの取引終了
海外ブランドを「KONDO」に変更

2003年 海外販社 ANJ International 設立
2006年 MCカートリッジ「IO-M」

2007年
本社を川崎市幸区に移転
プリアンプ「M1000 MkII」

2009年
日本国内販売再開
ターンテーブルシステム「GINGA」
ステレオパワーアンプ「SOUGA」

2010年
海外販社Audio Note International 設立
ラインプリアンプ「G-70」

2011年 インテグレーテッドアンプ「Overture」

2012年
フォノアンプ「GE-1」
MC昇圧トランス「CFz」
ターンテーブルシステム「GINGA 2012」

2013年
MC昇圧トランス「SFz」
モノーラルパワーアンプ「Kagura」

2014年 インテグレーテッドアンプ「Overture PM-2」
2015年 ターンテーブルシステム「GINGA 2015」
2016年 ラインプリアンプ「G-1000」

2017年
フォノアンプ「GE-10」
シェルリード「SL-115」

2018年 モノーラルパワーアンプ「Kanon」

2019年
ステレオパワーアンプ「Departure」
プリアンプ「M7 Heritage」

2020年 モノーラルパワーアンプ「Kagura2」

https://www.audionote.co.jp/jp/company.html


▲△▽▼


製品紹介 | オーディオ・ノート AUDIO NOTE
https://www.audionote.co.jp/jp/products/  


詳細は

オーディオ・ノートの旗艦パワーアンプ「Kagura 2」15,620,000円/ペア/税込
http://www.asyura2.com/09/revival3/msg/1161.html

2. 2021年8月27日 08:19:27 : uPBhgG61YE : Q29mZlM4WkdxRE0=[11] 報告

【特別企画】神楽物語 -第3回-
電源部こそ「Kagura2」の命。2系統の電源、独立トランスなど音質チューニングの
林 正儀 2021年08月26日
https://www.phileweb.com/review/article/202108/26/4422.html


オーディオノートの真空管パワーアンプ「Kagura」の魅力に迫る連載「神楽物語」。3回目は「Kagura2」の性能を支える上で重要な電源部、そのこだわりについて迫りたい。

AUDIO NOTE「Kagura 2」(15,620,000円/ペア/税込)

■立体的なレイアウトで、配線を極力最短に

開発リーダーであるオーディオ・ノートの廣川嘉行氏は、その設計ポリシーとして「シグナルループを小さく」「配線は極力短く」という点をあげていた。

トランスが林立するシャーシ構造のどこにそんな秘密が隠されているのか。前回紹介したモジュール化されたユニットがその解答である。縦にぐっと空間を広げ、立体的なレイアウトにすれば最短結線が可能で、シンプルな回路でコンパクトにまとめられるわけだ。回路図と実物を見比べると、実に合理的かつ知的で繊細な設計であるなと感心した。このモジュールはパワーアンプではKaguraで初めて採用したものだが、世界に例がない。

前回はコンデンサー関連で、自社製の銀箔コンデンサー(カップリングコンデンサーに採用)および電源のオイルコンなどを主に解説してきたが、今回はゴージャスな電源まわりに突入しよう。

■B電源とヒーター用を独立したトランスで構成する

「Kagura2」の重量の大半はトランスとチョークだろう。中央に鎮座するのが新開発のOPT(出力トランス)だ。電源トランスは3個。上に出ているのは回路を動かすB電源を作るための電源トランスで、このほかシャーシ内には整流管GZ34のヒーター用トランスと211の直下に増幅管のヒーター用を内蔵。さらにチョークコイルが4つ、OPTの左右に2個ずつ並ぶさまは壮観だ。

211の直下に配置されるヒータートランスとその横にあるのがヒーター回路用のホーロー抵抗。最短経路で配線できるように設計された立体的なユニット構造となっている

そしてKaguraは電源ケーブルもヒーター系とB電源系の2本を備える。ポイントを解説してもらうと、「初代Kaguraから4つ搭載しているチョークコイルのコア材に、OPTで使っている高品質のカットコアタイプを初めて採用しました」とのこと。コアをOPTと同じグレードにしたことは大きい。「さらに2つのヒーター用トランスということで、整流管用と増幅管用のトランスを独立させています」。

「Kagura2」の背面。B電源、ヒーター用と2本の電源を必要とする

というのも傍熱タイプであっても、整流管のヒーターは脈流の影響を受けノイズをばらまくからだ。「それと他の巻線が一緒で良いわけがないという発想で、整流管用のヒーター巻線をひとつのトランスにまとめ、整流管の直近に配置したのです」。整流管については、211のB電源(約1000V)としてGZ34×4本で構成されるブリッジ型全波整流回路を採用。そのリップル(脈流)成分が、整流管のヒーター部に大きな影響を与えることが、さまざまなテストの結果から分かったそうだ。

増幅段のヒーターにもひと工夫があった。電圧増幅段はAC点火であるのに、211だけ整流したあとにDC点火としている。大型直熱管である211は3A以上ものヒーター電流が流れ、ハムを引きやすいからだ。「そのため大容量4万μF×2のリップルフィルターを経て、211のヒーター部に直流供給しています」。ハムバランサーは無調整でもよいほどで、直熱管としては異例のS/Nを得ているのだ。

そのほか書ききれないほどの創意工夫があり、スーパーハイエンドアンプとしての開発姿勢に頭が下がる。

■ボビンとスペーサーに挟む層間紙が音質の決め手に

出力トランスはKagura2のハイライトだ。もともと初代Kaguraから、オーディオ・ノート直伝の銀線巻きOPTを採用してきた。試作を7〜8回行い、慎重に作り込んだ自信作である。

特性の優秀さは周知のとおりだが、さらなる向上を求めて、新たにボビン(巻枠)から設計し直したそうだ。そもそもカットコアは断面が四角形をしている。そのため周りに線を巻いていくと、厳密には四隅だけ線がタッチして平面部分は太鼓状になるわけだ。「緩みがでて振動の影響を受けやすくなります。それを解消すべくスペーサーを4方向に挿入。これによって多角形(12角形)になったようなイメージで、均一にしっかり巻けるわけです」。

Kagura2で採用されているカップリングコンデンサーとチョークコイル

簡単なアイデアのようだが効果は絶大。特に中低域の厚みや表現力が増したそうだ。ボビンとスペーサー自体はガラエポだが、決め手になったのが間に挟む層間紙(そうかんし)だろう。マイラーとクラフトフィルムが貼り合わさったものを組みあわせているそうだ。「何でもよいわけじゃなく、紙だと紙くさい音。高分子フィルムはつるっとして無気質な音になる。ヴォーカルがダメでしたね」。たくさん捨てたそうだ。そういう実験を経て完成した仕様である。

■銀線ワイヤーの本数で音質を細かくチューニング

最後にステージごとのコンデンサーと抵抗による、細かな音質調整に触れよう。チューニングのキモといえるパーツだが、これまで解説してきたそれぞれ数種のフィルムコンデンサーや電解コンデンサーによる、デカップリングコンデンサー群。抵抗では、金属皮膜抵抗や巻線抵抗、及びホーロー抵抗などを使い分けている。ただのパーツじゃなく音質に配慮していると知って欲しい。

配線材は例によってSSWと呼ぶ銀線ワイヤーを使う。「これを1本使いだったり、2本にしたり3本撚りにして使い分けています」。リスニングテストで最終的に3本撚りに決めたとしよう。普通に考えたら断面積が大きいほどロスが少なくてよさそうだが、そこが難しい。「断面積が大きすぎると、聴感上ダイナミックではあるけれども、繊細感や情緒感、悲しみの表現などが引き出せない傾向です。実は4本撚りも試しています。やり過ぎるところまでやないとベストポイントがわかりませんから」。CRパーツもすべてそうだが、一瞬で違いを聴き分けられる。いかにKaguraの反応がよいかの証明だろう。

最終回は改めてKagura2の進化をまとめ、“神が宿る”至高のサウンドに浸りたいと思う。

(提供:オーディオ・ノート)
https://www.phileweb.com/review/article/202108/26/4422.html

3. 中川隆[-16820] koaQ7Jey 2021年8月27日 08:21:28 : uPBhgG61YE : Q29mZlM4WkdxRE0=[12] 報告
【特別企画】神楽物語 -第2回-
“音楽の神が宿る音”をいかに実現するか。こだわりのパーツ選定から見る「Kagura」サウンドのねらい
林 正儀 2021年06月03日
https://www.phileweb.com/review/article/202106/03/4353.html


日本を代表するハイエンド・オーディオブランドのひとつであるオーディオ・ノート。そんな同社において不動のフラグシップを誇るのが「Kagura」である。新連載「神楽物語」では、オーディオ・ノートを代表する稀代のモノラルパワーアンプ「Kagura」(後継のKagura2が2020年の8月に登場)」の開発ストーリーをお届けしている。

AUDIO NOTE「Kagura 2」(15,620,000円/ペア/税込)

今回はいよいよ第2章。今一度、大型直熱管211のパラレル・シングル構成とした意味やそのルーツを思い起こしながら核心部に迫りたい。

■送信管「211」の音を全世界にアピールすべく誕生

オーディオ・ノートのデビュー作は創業当初に開発され、イギリスのアワードを受賞した「Ongaku(1989年)」である。現社長の芦澤雅基氏は当時をこう振り返る。「2013年に発売されたKaguraは、ある意味Ongakuの進化形です」。

Ongakuは211のシングルステレオだが、そこから発展したGakuon2(パラシングルのモノラルパワー)が、Kaguraのベースとなっているのは連載第1回のとおり。美しい銅シャーシとそそり立つガラスのツインタワー。そして本体の3/4を占める強大な電源ブロックが、Kaguraアンプの象徴だろう。

ここでチーフエンジニアの廣川嘉行氏が、回路基板の現物などを見せながら、Kaguraに相応しい “音楽の神が宿る音” をどう実現させていったのか、サウンドのねらいなど含め詳細に解説してくれた。

この連載のためにオーディオ・ノートを訪れた林 正儀氏(右手前)。社長の芦澤雅基さん(中央)とチーフエンジニアの廣川嘉行さん(左)から回路図を見ながら詳細な説明を受けた

初代KaguraはGakuon2の増幅部を踏襲しつつも、MT管の構成やパーツも大幅にグレードアップしている。「竹を割ったようなとも評される211のスカッとした音。ヌケがよく彫刻的な音の特徴を生かしながらも、211らしさを少し抑えてふくよかさや深みをもたせたい」。廣川氏の持論である、ハイエンドに相応しい堂々とした王様的な風格だ。力みのない自然体ということだろう。

そのため設計手順の第一歩として、初段に低μ管の「12AU7」を。また2段目と211を駆動するドライバー段には、双三極GT管の「6SN7」を使うことに決めたそうだ。211は選別されたゴールデンドラゴン製だ。

■自社製の銀箔コンデンサーは巻き芯にも試行錯誤

ではパーツへのこだわりはどうか。パワーアンプにとって音質を決定づける生命線は、カップリングコンデンサーと出力トランスだという。

「弊社ではカップリングコンデンサーには伝統的に自社製銀箔コンデンサーを使っています」。カップリングとは “結合” である。2段目とドライバー段のみ “直結” ではないコンデンサー結合を採用。音楽信号が通過するキーパーツであり、Kaguraでは得意の銀箔コンデンサーにさらなる改良を求め、そこまでやるかという試聴実験を敢行した。

棒状の巻き芯棒に、銀箔とフィルムを巻きつけていく。実はその棒で音が激変するのだ。ポイントはその太さ(直径)と素材である。従来品は6φのガラスエポキシだが、まずその口径を8φへ太くする。8φのままセラミック棒に変え、今度は空芯の8φセラミックパイプとして、中に樹脂材を充填……。という具合だが、ズバリ音の変化を尋ねたところ狙いは明快だ。

「6φのガラスエポを基準とすれば、8φのガラスエポは太くて堂々としっかりした音質に」。まあ当然な気がするのだが、「同じ8φの棒でも、硬くて重いセラミックだと、これは反応が速くてウエイトの乗った音。高密度かつレンジも広く、キレが良くてハイファイ調だった」そうだ。「でもセラミック臭いというか、ヴォーカルのリバーブ感などにシーシーいう特有の響きがのるんですよ」。「じゃあ中空にして中をダンピングしたらどうか。樹脂の充填材は樹脂臭いというか(笑)、ふくよかさはあるけど、ねちっとした質感が気になりました」。

最後に辿り着いたのが、「8φのセラミックパイプ+川砂+樹脂充填」だったそうだ。「これはざっくりした質感、ワイドレンジかつ密度感もあるニュートラルな表現力が得られました」。古いウエスタンのトランスの充填材などにヒントを得た結果である。まさに温故知新。のちに「G-1000」プリアンプや「GE-10」フォノアンプにも搭載されていく。

■立体的なユニット構造で、信号経路を最短で接続

第2テーマの電解コンデンサーは、Kaguraお得意のモジュール化技術とともに紹介しよう。Kaguraのシャーシ高は、Gakuon2のざっと2.5倍もある。いったい何がつまっているのか。その理由のひとつが、Kaguraで本格的に採用した立体的なユニット構造だ。

電圧増幅部と出力管部、2つのユニットを並べて、Kaguraの構成を解説

廣川氏が二つ(電圧増幅部と出力管部)のユニットを並べて、Kaguraの前にセット。こうするとタマの配置と、独自のピン立て基板を持つモジュール構造が一目瞭然である。なるほど右から初段、ドライバー段、カソードフォロア段が並び、その直下にはそれぞれのシグナルループを構成するためのデカップリングコンデンサ群(約500μF)を3系統搭載。

Kaguraの特徴でもあるモジュール化されたユニット

シグナルループとは、各信号段でその通る経路を最短にループ化すること。各ループがそこで完結するために、極めて高速で動いて他との干渉もない高度な実装技術なのだ。「Kaguraの設計では、基本的にアースラインには信号を流しません」。ループが完結してからアースに落とすのである。

難しくなってしまったが、普通に平置きで平面にはわせると、ケーブルとシャーシ間でキャパシターが発生。高音域が伸びなくなってしまうのだ。

最後のキメは、Kagura専用の特注オイルコンデンサーだろう。211は1000V近い電圧のため、性能の劣る電解コンの2階建てではなく、高耐圧1000V/47μFのオイルコンデンサーを搭載。これが4基のブロック型で、両手でひとかかえありそうなシロモノだ。ヒーター回路やチョークを含む大規模な電源回路を形成している。

今回はコンデンサーや構造について解説した。次回はKagura2の性能を支える上で重要な電源部について探ってみよう。

(提供:オーディオ・ノート)
https://www.phileweb.com/review/article/202106/03/4353.html

4. 中川隆[-16819] koaQ7Jey 2021年8月27日 08:22:32 : uPBhgG61YE : Q29mZlM4WkdxRE0=[13] 報告

【特別企画】神楽物語 -第1回-
“音楽の神が宿る”オーディオ・ノートの旗艦パワーアンプ「Kagura 2」。神事にインスパイアされた誕生秘話
林 正儀 2021年04月13日
https://www.phileweb.com/review/article/202104/13/4310.html

日本を代表するハイエンド・オーディオブランドのひとつであるオーディオ・ノート。そんな同社において不動のフラグシップを誇るのが「Kagura」である。2013年に誕生した稀代のモノラルパワーアンプだが、2020年にマイナーチェンジを果たし、現在は「Kagura 2」となっている。本製品はどんな思いで手掛けられ、そこにはどんな技術が搭載されているのだろうか?

AUDIO NOTE「Kagura 2」(15,620,000円/ペア/税込)

今回から数回に分けて、林 正儀氏が「Kagura」に込められた“物語”を伝承していく。第1章はプロローグ。誕生までのエピソードやその魅力に触れていくことにしよう。

■人の魂ごと引き込むようなモノづくりがしたい

これまで3回に渡って“銀河通信”でお届けした超弩級ターンテーブル「Ginga」登場の翌年の2013年、この物語の主人公である「Kagura」は誕生している。大河的なスケールを思わせる堂々とした風貌。異色にも電源ケーブルの入力を2系統装備した、直熱3極管211のパラレルシングル・モノラルパワーアンプで、「Ginga」と並び世界の音楽ファンを魅了。ハイエンドアンプメーカーであるオーディオ・ノートが威信をかけて作りあげた最高傑作だ。

“音楽の神が宿る”というコンセプトから、「Kagura」(神楽)と命名。そんな希代のフラグシップアンプのルーツを知りたいと思う。チーフエンジニア廣川嘉行さんの案内でロマンの旅へ出よう。

昨年40周年を迎えたオーディオ・ノートのパワーアンプの系譜をたどると、「Kegon」や「Neiro」など代々日本語名が多い(海外メインなのでほぼ知られていないが)。その中で同社の名声を一躍高めたのが、創業当初に開発され、イギリスのアワードを受賞した銘機「Ongaku(1989年)」だ。2010年代はさらに飛躍の時を迎え、大旗艦モデルが誕生するわけだが、「Kagura」もまた、メイド・イン・ジャパンの最高峰に相応しい出来映えである。

当時を振りかえって廣川さんが語る。近藤公康会長(2006年に他界)亡きあと、ハイエンドアンプメーカーとして世界に通用する、真にオーディオ・ノートらしいフラグシップ機を持ちたいという機運が高まったそうだ。

企画、開発は廣川さんが主査として担当。「Kagura」への思いは火のように熱い。「ハイエンドブランドは一般的な高級オーディオメーカーとは違います」。ただ単によいものを作るのだけでなく、人を魂ごとぐーっと引き込むような。ある意味麻薬的な魅力というか、“音のたたずまい”が感じられるモノ作りがしたいのだという。

■“神事=音楽”と捉え、脚色ない真の美しさを追求

イメージが湧かなければ開発はスタートできない。音作りのイメージを高めるべく、島根の出雲大社で神楽や巫女舞いを観覧したそうである。そこで得たのは、「神事に対する謙虚でまっすぐな心と、力まず日々続けて行く自然さでした」という。

「Kagura」では“神事=音楽”と捉え、入念な音質調整にとりくんだという。「まず脚色や虚構のない真の美しさです。力みのない穏やかで自然体の音。一歩下がった余裕を持ちながら、しかし堂々として“王様的な雰囲気”がある。そんなアンプづくりが目標となりました」。なるほど“音楽の神が宿る”はただの謳い文句じゃなかった。驚いたうえに感服した。並のメーカーではまず聞けない開発秘話である。

2012年の9月に開発スタートした「Kagura」には、実はベースにしたモノラル・パワーアンプがあった。海外で主に展開していた「Gakuon II」だ。一見よく似ているが、MT管の構成やパーツが違い、だいいちシャーシが薄い。一方の「Kagura」は異様に背が高い。ほぼキューブ状だ。筐体の高さは約2.5倍、重量が2倍の62sというマンモス級だが、デザインありきではなく、設計の合理性があったのだ。

「Kagura」の前身となったモノラルパワーアンプ「Gakuon II」。主に海外で展開していた

詳しくは次号以降にまわすとして、「Kagura」の増幅回路は全体の1/3、残りの2/3は電源という構成だ。「そこで縦に空間を広げ、立体的なレイアウトにすると最短結線ができる。シンプルな回路でコンパクトにまとめ、それを贅沢な電源でドライブするという発想において理にかなった設計なのです」

面白いエピソードを披露しよう。2013年の1月、プロトタイプをラスベガスで発表したときのことだ。音質は大好評だったが、ブレーカースイッチ(ヒューズを省くため)の感触に不満を漏らすディーラーもいた。

音質最優先の廣川さんとしては、ただのスイッチ変更には納得しない。そこで電源ケーブルをヒーター系とB電源系の2本にすることを思いつく。音の純度と余裕感が劇的に向上。それ以来Kaguraはこの仕様となった。有名な「電源ケーブル2本伝説」である。私は運のよい男だ。「Kagura」の誕生前(同年2月)に居合わせたのは何と幸いなことか。

このほか「Kagura」専用に銀コンデンサや基板などのパーツを開発している。つい内容に深入りしたが、「Kagura」で得た技術は、例えばプリアンプのG-1000やフォノアンプのGE-10など他のモデルにも展開している。さすが最高峰の先進性と余裕だ。「Ginga」を宇宙とするならば、「Kagura」は神の領域といえるだろう。

■真空管ソケットを新たに開発、登場から7年を経てブラッシュアップ

最後に嬉しい知らせがある。7年を経た「Kagura」がアップデートされたのだ。おもな変更点は、新設計の出力トランスで4、8、16Ωの出力線を単独で引き出せ、便利になった(従来は内部にて切り替え)こと。入力端子に待望のXLRが増設され、真空管ソケットをオリジナルで開発・搭載したなどの点だ。極厚の純銀メッキ、パラジウムメッキなどにより、音質はさらにブラッシュアップされた。

「Kagura」は2020年、7年ぶりにマーク2にアップデートされた。真空管ソケットをオリジナルで新規開発。超極厚の純銀メッキとパラジウムメッキを採用し、音質がさらにブラッシュアップされた

短時間の比較試聴であるが、きれいに帯域バランスの整ったオリジナルのよさを引き継ぎつつ、さらに微細音のレスポンスや空間情報量が向上。中〜低域の密度感もアップし、より音楽的で神々しい「Kagura」の世界感を味わうことができた。次号第2章にぜひご期待あれ。

(提供:オーディオ・ノート)
https://www.phileweb.com/review/article/202104/13/4310.html

5. 2021年11月12日 04:09:19 : JZhKWZY5ss : emliVkpFYTd6RU0=[2] 報告
音楽の神、ここに宿れり。匠の技術によって生まれたパワーアンプ「Kagura2」、至高のサウンドを聴く
林 正儀 2021年11月11日
https://www.phileweb.com/review/article/202111/11/4513.html


日本を代表するハイエンド・オーディオブランドのひとつであるオーディオ・ノート。そんな同社において不動のフラグシップを誇るのが「Kagura」である。2020年8月に誕生した後継モデルの「Kagura2」。これまで3回に渡ってこの匠の技術を紹介してきたが、この最終回では搭載されている真空管の話を交えながら、最後はその音質を堪能することにしよう。

■芸術作品の領域といえる合理的な設計

“神楽”物語が、いよいよ最終章となる。超ド級ターンテーブル「Ginga」誕生の翌年。2013年に登場した稀代のモノラルパワーアンプだが、7年の歳月を経て2020年に「Kagura2」へと進化を遂げ、世界の音楽ファンを魅了。オーディオ・ノートの名声をさらに高めた意欲作である。

AUDIO NOTE「Kagura2」(15,620,000円/ペア/税込)

工房で受注した「Kagura2」の組み立てが行われていた絶好のタイミングで取材にお邪魔した。エピローグにふさわしい舞台ではないか! 美しい純銅製シャーシに大型直熱管211(パラレルシングル構成)や新設計の出力トランス。そして精密かつ大規模な電源部(全体の2/3を占める)を擁する構成だ。サウンドディレクターの廣川嘉行さんにはこれまで3回に渡り「Kagura2」の全回路を解説していただいたが、実際にこうしてモジュール化され立体的に展開された高級パーツの数々を見れば納得。芸術作品の領域といってよい。

同社の工房で「Kagura2」の組み立て工程を見学

縦にぐっと空間を広げ、2階建〜3階建のレイウトにすると、こうした最短結線ができるわけで、シグナル・電源とも長く引き回すことがない合理的な設計といえる。世界のどのアンプもやっていない同社オリジナル技術だ。「Kagura2」2台をもし平置き配線にすれば、たたみ1畳分になるのではないか。

■刷新された出力トランスとオリジナル真空管ソケット

改めて「Kagura2」の進化をまとめよう。最大の変更点は、出力トランスの刷新とオリジナル真空管ソケットの搭載だ。

出力トランスは4、8、16Ωの出力線を単独で引き出せ便利になったこともそうだが、それよりもボビン(巻枠)の形状から設計し直した点に注目したい。間にはさむ“層間紙”にもこだわった設計だ。その効果は前回解説したとおり、中低域の厚みや表現力が劇的に向上。オーディオ・ノート伝統の銀線巻きトランスの魅力がさらに引き出された印象である。

新型ソケットの開発は国産タイトソケットの入手が困難になった中での決断である。「Kagura2を作るにあたって、今までのソケット(一般流通品)を変えようということになりました。コンタクトの確実性や接触抵抗の低減はもちろん、オーディオ・ノート・サウンドの世界観をもった高性能ソケットを開発し全面採用したのです」。そう言って芦澤雅基社長が取り出したのが、211用の4ピンソケットとMT9ピンタイプ。それにGT管用の8ピンソケットだ。

「Kagura2」用に開発された完全オリジナルの真空管ソケット。2点接触構造により情報量の増加を実現。極厚純銀メッキとパラジウムメッキにも膨大なコストを投入している

211用を見ると、一番音に影響する端子部のみ自社のオリジナルとした。端子の交換は社内で行っているそうだが、211をソケットに差す際、ちょっとでも傾けば点接触になるだろう。これを解決する切り札が2点接触だったという。試行錯誤の結果、パーツにスリットを入れることで接触カ所を増やして情報量の増加を実現。2つの接触部分の幅をあえて不均一にしたのは、優等生的過ぎず音楽的な楽しさをめざしたためだ。生き生きとした質感が加わり211の個性が生きるソケットの誕生である。

素材とメッキはどう工夫したのか。「優秀なメッキ業者の協力を得て、銅合金の端子に15ミクロン(MT9ピンは5ミクロン)もの非常に質のよい“極厚純銀メッキ”を施すことができました」。メッキの世界では3ミクロンでも十分に厚いわけだが、それが何と5倍である。

しかもその上に0.1ミクロンの白金属系のパラジウムメッキを施したものだ。清潔感のある柔らかな質感がのり、極めて高品位ながら自然な音色のソケットが完成したそうだ。「金型やプレスよりもメッキ加工の方が高価でしたね」と笑う。

そして輝きに品があり美しい。ギラギラじゃなくキラッキラ。まるで宝石だ。飾っておきたくなるような神秘の輝きである。現在「Kagura2」だけのプレミアムなソケットであり、世界最高性能といっていい。

そのソケットと対をなすのが真空管だ。出力管の211はゴールデンドラゴンの選別品を社内でさらに選別。エージングしたものをのせている。初段と整流管は銘柄がかわって、ゴールデンドラゴンからJJへ、整流管はJJからゴールドライオンに変更。全面刷新というより音質調整の範囲内だろう。「出力トランスやソケットの変更に伴う最適化ですね」。

■みずみずしい空気感の生きた、有機的なサウンド

「Kagura2」が奏でるサウンドは、ただのハイエンドアンプとは違う。15インチウーファー搭載のB&W「801D」から軽々とグリップ力を引き出し、どんな複雑な動きにもレスポンスが完璧でありながら、ハイファイくささがない。この日は大管弦楽ものや清涼な北欧ジャズ、ヴォーカルなど聴いたが、響きが実に有機的で風の向こうに音楽そのものを体感させるのだ。

例えばムラヴィンスキー指揮/レニングラードフィルのライブ盤。これはロシアの郷愁たっぷりで、ぶ厚く重厚にうなりを発して襲いかかる低弦セクションのリアルさに鳥肌が立つ。ショルティの「幻想」は、空間にぽっと浮かぶ木管とそれに応える弱音弦のさざ波が極上だ。ジェイコブ・ヤングのギターとヴォーカルデュオは、繊細でしっとりと品のある表情を楽しみたい。これぞ圧倒的なS/Nやみずみずしい空気感の生きた再生だ。夜中の2時に聴きたいレコードだと改めて思った。

音楽的で神々しい、感動すべきサウンドである。「Kagura2」に盛り込まれたすべての要素が結実しており、オーディオ・ノートの集大成にふさわしい。“神が宿る”至高のサウンドに浸りたい。

(提供:オーディオ・ノート)
本記事は『季刊・analog vol.72』からの転載です

https://www.phileweb.com/review/article/202111/11/4513.html

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