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ふるさと納税が時代に逆行する「規制強化」された理由 ふるさと納税は日本人の崇高な「寄付精神」を破壊する
http://www.asyura2.com/18/senkyo250/msg/881.html
投稿者 うまき 日時 2018 年 9 月 20 日 10:46:18: ufjzQf6660gRM gqSC3IKr
 

(回答先: 安倍3選でも前途多難、「参院選後に首相交代」シナリオも  安倍政治を止めたい野党の「大きな勘違い」 投稿者 うまき 日時 2018 年 9 月 20 日 10:39:15)

2018年9月20日 高橋洋一 :嘉悦大学教授
ふるさと納税が時代に逆行する「規制強化」された理由
 返礼競争が“過熱”していたふるさと納税制度で、野田聖子総務相は、寄付金に対する自治体の返礼費用の割合が3割を超えたり、返礼品が地場産でなかったりする自治体への寄付を、税優遇の対象から外す方針だ。
 だが、これは適切だろうか。
 野田氏が総裁選不出馬を余儀なくされ、安倍政権の中でも、立ち位置が微妙になった政治的な要因が影を落としていると見たほうがいい。
もともと国民が
税の使い方を選ぶ制度
 ネットで、ふるさと納税制度を検索すると、いろいろなサイトが出てくる。出版社の人の聞いても、ふるさと納税に関する本はとても売れるという。
 ふるさと納税は、2007年、第1次安倍晋三内閣の時に、当時の菅義偉総務相の発案で創設された。自分で選んだ自治体に寄付すると、払った住民税の一定割合までを税額控除するというものだ。
 筆者も当時、内閣参事官で官邸にいて、制度創設を手伝った。
 この制度の画期的なことは、税額控除の仕組みと寄付金を合わせているので、事実上、税の使い方を国民が選ぶことができることだ。
 これは、政府(官僚)が税で徴収して政府(官僚)が配分するのが公正であるという官僚の考え方とはまったく反している。そのため、ふるさと納税の創設の時、官僚は猛反対だった。
 それを、当時の菅総務相が政治的な豪腕で押し通したものだ。
 社会学ではチャールズ・チボーの「足による投票」という言葉がある。
 好ましい行政サービスを提供してくれる自治体に住民が移動して、住民税などを払い自治体の財政収入が上がる。それで住民サービスもまた充実するから、そうした自治体のほうが生き残るという考え方である。
 ふるさと納税は、実際に住民が住所を移転しなくても、財政収入に影響を与えて、好ましい行政サービスを実施する自治体を応援するわけだ。
「足による投票」は、住民に望ましい首長を選挙で選ぶ「手による投票」とともに、よりよい自治体運営を目指すためには不可欠な考え方である。ふるさと納税は、「足による投票」を推進するものと考えている。
 今では、総務省のホームページにも、ふるさと納税の意義が出ている。
出典:総務省HPより 拡大画像表示
 2015年1月からは、自己負担額の2000円を除いた全額が控除される限度額である「納税枠」が2倍に拡大された。さらに、15年4月以降に行われるものについて、一定の場合に確定申告が不要になる特例が設けられた。
都市部の税収は減収だが
控除額は住民税全体の2%ほど
 この制度のスタート当初は、納税額は全国で100億円にも満たなかった。だが、震災などが起きると、制度を利用する人が増えた。
 災害対応でふるさと納税を使うのには、さすがの役人も抵抗できない。東日本大震災の時には、ふるさと納税は被災地支援ということで大いに活用され、2012年度は649億円になった。
 その後13・14年度は100億円台になったが、2015年から拡充策が作られてから急増し、2018年度には3482億円にまでなっている。

拡大画像表示
 ちなみに、2018年度のふるさと納税額は3482億円だが、これに伴う住民税控除額は2448億円で、それも都市部に集まっている。
 控除額の大きな自治体は、100億円以上を挙げれば、東京都646億円、神奈川県257億円、大阪府212億円、愛知県180億円、千葉県133億円、埼玉県131億円、兵庫県130億円といった状況だ。
 この制度で、都市部の税収が減っているというのは、その通りだが、都市部への極端な税収の偏在を是正するという当初のもくろみ通りに、各自治体の財源をならすことには貢献している。
 都市部で得た税収を地方に再分配するのは至難の業である。各地域の利害を代表する政治家や権限維持に固執する官僚のエゴがぶつかり合って、議論は簡単には進まない。
 しかし、住民が自ら寄付し、それに応じて税額控除を受けられれば、再分配がうまく進む。
 これこそ、菅氏が意図した国民が再配分する仕組みとして、ふるさと納税がうまく機能しているといえる。
 政府(官僚)による配分より、ふるさと納税のような国民による配分を導入したほうが、うまく自治体運営できる可能性が広がるのだ。
 しかも、全体の控除額は個人住民税収額12兆8179億円の2%にも満たないものだ。この程度なら、地方自治の原則や応益負担を基本にする住民税の根幹を揺るがすことはない。
配分を差配してきた役人には
「目の上のたんこぶ」
 ふるさと納税をよく思わない人もいる。中でも税金を集めて配り直すという役人の本性からいえば、ふるさと納税は「目の上のたんこぶ」である。
 その中で、過度な返礼品になっているという批判も出ている。ただ、返礼品に上限等の規制は慎重に対応すべきだ。
 寄付を受ける自治体が持ち出しまでして高額な返礼品を出しているわけでない。「足による投票」を推進する立場にたてば、過剰な規制はいらない。
 そうした規制を望むのは、政府(官僚)による配分が絶対に正しいと考えるからだろう。政府(官僚)による配分には不正もある。「足のよる投票」のほうがよりましだと考えれば、過剰な規制はふさわしくない。
 ふるさと納税への規制について、報道される時に、必ず「本来の趣旨」という言葉が用いられる。制度創設に関わった筆者からすると、その言葉は、制度導入に猛反対した総務官僚が使っていたのを思い出す。
 つまり「本来の趣旨」というのは「本来、官僚が反対したもの」という意味なのだ。
 しかし筆者のところに、制度導入の「本来の趣旨」を聞きに来るメディアはいない。
菅官房長官の携帯料金発言に
対する意趣返しの様相
 今回の野田総務相のふるさと納税規制強化を、政治的な側面から見ると、興味深い。
 自民党総裁選では、野田総務相も出馬意欲を示していたが、推薦人も集まらなかった。仮想通貨問題で政治家として致命的なミスをしてしまい、結果として出馬さえできなかった。
 こうした状況もあって、本来、行うべき携帯料金問題の検討が進まなかったので、菅官房長官が業を煮やしたのだろう。
 8月21日の講演で菅官房長官は携帯料金について「4割程度下げる余地がある」と語ったが、この発言は当然のことながら個人的なものではなく、政府の意図だ。
 野田総務相は、23日、携帯電話市場の競争促進策などを議論するように情報通信審議会に諮問した。
 総務省の携帯料金の担当者は、料金引き下げの菅発言を寝耳に水といっているようだが、担当大臣の野田総務相より先に菅官房長官が総務省の方針を発言するのは、安倍政権内での菅官房長官と野田総務相の現時点の政治力の関係を如実に表している。
 今回の野田総務相のふるさと納税規制強化の表明は、携帯料金問題での菅発言に対する筋違いな対応として応えてしまったようだ。これではまるで意趣返しである。
微妙な政治的立ち位置
官僚に利用された?
 ふるさと納税は官僚主導のカネの配分よりマシである。というか、官僚は、このふるさと納税の仕組み、つまり「寄付金+税額控除」が、例えば、NPOなど他のものに拡大しないようにしたいというのが本音だ。
 これが拡大すると、官僚が差配できるカネが少なくなるからだ。
 野田総務相は、ふるさと納税に内心反対の総務官僚に乗せられているだけで、総務省にとってはどうせ次の政権にはいないだろうから官僚の代弁程度の利用価値しかないのだろう。
 野田氏は、今回の総裁選に出馬できなかったが、もともと、やりたい政策があるというほどの政策通でもなく政策指向が希薄な人だ。ふるさと納税が大嫌いな官僚の規制案に乗るしかないということだったのなら、哀れな話だ。
(嘉悦大学教授 高橋洋一)

https://diamond.jp/articles/-/180125


 

2018年9月20日 野口悠紀雄 :早稲田大学ビジネス・ファイナンス研究センター顧問
ふるさと納税は日本人の崇高な「寄付精神」を破壊する
ふるさと納税が寄付の崇高な精神を破壊している
写真はイメージです Photo:PIXTA
 政府は、「ふるさと納税制度」を見直す方針を決めた。高額の返礼品を出している地方公共団体は、2019年から対象外とされる予定だ。

 この措置は当然のことだ。現在の制度は、返礼金目当てで安い買い物をするのと同じものになっている。

 ただし、問題は高額返礼品だけではない。

 第1に、大都市の税収減が無視できない額になっている。受ける側の自治体も、不安定な税収が増えるだけで、本当の地域活性化には役立たない。

 第2に寄付税制の基本に背く。本来、寄付とは、犠牲を伴う崇高な行為だ。しかし現在の仕組みは、利用者が返礼品で得をする一方で、他の住民の負担を増やす、あるいは地方公共団体のサービスを減らす結果になっている。

 いいことは何もない。誠におかしな制度だ。制度の基本そのものを見直す必要がある。

過熱する返礼品競争
金券を贈る自治体まで
 ふるさと納税は、2008年から始まった。

 この制度の検討が始まったとき、私は『週刊ダイヤモンド』の「超」整理日記で反対論を述べた。その当時は返礼品ということなど想像もしていなかったが、地方自治の精神に反するものとして反対した。

 いまは、返礼品問題で、まったく正当化できないものになっている。

「ふるさと納税制度」では、一定の限度までは、「寄付金額−2000円」の全額を所得税及び住民税から控除できる。つまり、自己負担は2000円のみということになる。

 後で述べるように、これは、一般の寄付税制より著しく優遇された制度だ。

 言い換えれば、ふるさと納税制度とは、納税先を振り変えるだけの仕組みなのである。

 それに加えて、寄付先の自治体からは「返礼品」として、牛肉や海産物、日本酒など、地場の名産品がもらえる場合が多い。「2000円の負担だけでお米やお肉、魚介類などがたくさんもらえるお得な制度」と宣伝されている場合も多い。

 ついには、群馬県草津町のように、返礼品として金券を贈るところまで現れた。

 納税者の立場から見れば、ほとんど犠牲もなしに豪華な返礼品を手にすることができるのだから、「制度を利用しなければ損だ」ということになる。

 受け取り自治体の側からすれば、返礼品を出しても税収増になる。そして、返礼品に地元の特産物を利用すれば、地元産業の振興にもなる。返礼品を製造する地元の業者は特需に湧いていると言われる。

 17年4月、総務省は豪華な返礼品を自粛するよう各自治体に通知し、ふるさと納税の返礼品は、おおむね寄付額の30%を上限とするように通達した。しかし、是正は進んでいない。

大都市の税収減は
無視できない額になっている
 最近では、ふるさと納税による税収減が、大都市を中心として無視できない問題になってきた。

 国から地方交付税を受けていない東京都、東京23区、川崎市などの不交付団体の場合には、ふるさと納税で税収減となっても、交付税による補てんがないため、そのまま税収減になる。

 日本経済新聞(2018年7月27日付)の報道によれば、全国の自治体への寄付額は計2447億円となり、初めて2000億円の大台を超えた。

 総務省によれば、減収額は東京圏の1都3県で1166億円。17年度分(846億円)に比べて4割近くの増加となった。

 都県別に見ると、東京都が全国最多の645億円(39%増)。神奈川県は257億円(37%増)、千葉県は132億円(36%増)、埼玉県は131億円(39%増)。

 川崎市や東京都世田谷区では、控除額が40億円を超えるため、ダメージが大きい。

 大都市では待機児童対策や高齢者問題などが急務だ。住民税が減ると、こうした施策への悪影響が懸念されている。

 世田谷区で18年度分を区で集計したところ、減収分が41億円。「16億5000万円あれば園庭付きの認可保育園が5園でき、31億円あれば学校が1校改築できる」のだが、そうしたことが阻害されているという。

もともと地方税の原則と
地方自治の原則に反する
 ふるさと納税制度の問題は、返礼品にとどまるわけではない。制度そのものが大きな問題なのだ。

 地方税の原則、地方自治の原則、そして寄付税制の原則の観点から、大きな問題を含んでいる。

 第1に、地方税の原則について。

 地方公共団体が提供する警察、消防、ゴミ処理などのサービスは、住民の生活に直接関連するものであり、地方税はそれに対応する料金的な性格を持つとされている。つまり、住民税は応益原則を基本とする税だ。

 このような性格を持つ税の納付先を現住所と異なるところに移すことを認めれば、本来の納税地点で、行政サービスの「ただ乗り」を許すことになる。

 その分は、他の納税者の負担が増えるか、あるいはその地方の行政サービスの水準が低下することによって調整される。だから、本来は他の納税者の同意が必要な事項だ。

 一般に、税金の使い方に関して、個々の納税者は直接には指示できない。税の使い方や納税先は、個々の納税者の判断ではなく、全体の決定にゆだねられているのだ(その例外として寄付税制があるが、後で述べるように、ふるさと納税は、この原則も破っている)。

 第2に、地方自治の原則について。

「すべての税を国税として徴収して、それを地方に配布する」という仕組みをとらず、地方公共団体が独自に徴収する「地方税」が存在するのは、税こそが地方自治の基盤だと考えられているからである。

 すなわち、地方自治体が行政努力によって無駄な経費を節約し、他方で企業や住民を誘致して税収を増やし、それが当該の自治体に好循環をもたらすという効果が期待されているのだ。

 住民の側では、そのような状況を見ながら、望ましい居住地を選択する。これは、「足による投票」と言われているメカニズムだ(この点は、応益原則にかかわる論点と似ているが、別のものである)。

 ふるさと納税を認めれば、受益と負担のリンクが切れてしまうので、このメカニズムは働きにくくなる。だから、ふるさと納税は、地方自治の本質に反する制度なのである。

 こうした制度がまかり通っているのは、地方自治とか地方分権ということが、言葉としては言われても、実際にはそれらに対して関心が払われていないことの証拠だ。

 もちろん、現在の日本の税制では、多額の交付税や補助金によって、このメカニズムが減殺されている。しかも、税率をはじめとする地方税の構造について、地方公共団体の裁量はきわめて限られている。

 だから、「ふるさと納税」のような仕組みを導入して「足による投票」のメカニズムをさらに減殺するとしても、実際上は大きな差異をもたらすことにはならないとの意見はあり得る。

 しかし、現状で必要なことは、理念としては存在している地方自治のメカニズムを実効性のあるものに高めていくことだ。ふるさと納税のような仕組みで、地方自治の理念を破壊してしまうことではない。

 受け取り自治体の財政の観点から見ても、問題がある。

 ふるさと納税では、一時的には税収が増えるかもしれないが、将来もそれが続く保障は何もないからだ。したがって、これによる増収をあてにして新政策を導入したり、施設を建設したりすれば、将来、財政を圧迫しかねない要因になる。

 地方が疲弊しているのであれば、税制度そのものを見直すべきだ。あるいは、地方交付税の配布基準を見直すなどの措置が必要だ。そうしたことを行なわずに、ふるさと納税のように問題のある制度に頼ろうとするのは、大きな問題だ。

寄付の崇高な精神を
踏みにじる制度
 もちろん、「地方を助けたい。そのために、寄付をしたい」と考える人はいる。

 ただし、寄付であれば、それだけの負担をしなければならない。犠牲を伴うのが、寄付だ。

 もっとも、寄付は社会的に推奨されるべき行為だから、それに対して税制上の特典が与えられている。

 従来は、寄付金控除として「所得控除」方式しか認められなかった。つまり、所得金額から「寄付金額−2000円」が差し引かれる制度だった。

 2011年度に寄付税制の改正があり、認定NPO法人や一定の証明を得た公益法人への寄付者の所得税については、所得控除と税額控除のどちらでも税の軽減が受けられるようになった。税額控除を選択した場合には、「寄付金額−2000円」の40%を、所得税及び住民税から控除できる。

 どちらにしても、かなりの負担を伴う。

「寄付は、自己負担を伴う崇高な行為だ」という原則から、当然のことだ。

 ところが、すでに述べたように、ふるさと納税制度は、利用すれば得をする制度だ。

 ウェブサイトを見ると、「お得な制度。利用しなければソン。どう利用すればトクか? どの地方団体の返礼品がトクか?」といった記事が多数ある。

 こうした記事を見ていると、気分が悪くなってくる。これは寄付の崇高な精神を踏みにじるものだ。日本人の精神構造を破壊する。

 繰り返すが、高額返礼品だけが問題なのではない。

 これまで述べてきたように、ふるさと納税制度は、いかなる観点から見ても正当化できない仕組みだ。それは、人間の欲望だけをうまく利用して、原則を踏みにじる制度である。

 だから、ふるさと納税制度そのものを廃止すべきだ。

 国会議員の中にも、これがおかしな制度だと考えている人は大勢いるはずだ。それにもかかわらず、選挙地盤からの反発をおそれて、批判的な発言をしない。

 こうして、利用額が急増している。「悪貨が良貨を駆逐する」という以外に表現できない状態だ。

 日本人は、もともとは、原則を踏みにじる制度を、よしとする人間ではなかった。

 ふるさと納税制度によって日本人の崇高な精神が崩壊していくのを見るのは、誠につらいものだ。私は絶望的な気持ちになっている。

(早稲田大学ビジネス・ファイナンス研究センター顧問 野口悠紀雄)
https://diamond.jp/articles/-/180124
 

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コメント
1. 2018年9月20日 14:02:30 : Ks32glQ9so : oI_fY1AyMKw[3] 報告
世界一寄付しないとまで言われている日本人の崇高な精神ねぇ
困ったときはお互い様だけれど、常日頃から手を差し伸べることはしないのよね
2. 2018年9月21日 07:28:40 : jXbiWWJBCA : zikAgAsyVVk[1482] 報告
ふるさと納税の見直しは「愚策」総務省にとっては「目の上のたんこぶ」に
磯山友幸の「政策ウラ読み」


2018年9月21日(金)
磯山 友幸


高額の返礼品を用意する自治体を規制する動きが加速する(写真:PIXTA)
野田聖子総務相が制度見直しを表明
 野田聖子総務相が9月11日の記者会見で表明した「ふるさと納税」の制度見直し方針が、大きな波紋を呼んでいる。

 「ふるさと納税制度は存続の危機にあります。このまま一部の地方団体による突出した対応が続けば、ふるさと納税に対するイメージが傷ついて、制度そのものが否定されるという不幸な結果を招くことになりかねません」

 野田総務相はこう述べて、制度見直しの必要性を強調した。

 野田氏が言う「突出した対応」というのは、一部の自治体が高額の返礼品を用意することで、巨額のふるさと納税(寄付金)を集めていること。昨年度に寄付受け入れ額トップに躍り出た大阪府泉佐野市は特設のふるさと納税サイトを設け、約1000種類もの返礼品を取りそろえ、135億円もの寄付を集めた。前年度に比べて100億円も増加した。

 あたかも通信販売サイトのような泉佐野の返礼品サイトが人気を集めたのは、「泉州タオル」などの地場製品に限らず、近江牛や新潟産のコメ、北海道のいくら、ウナギなど全国の逸品を取りそろえたこと。食品だけでなく、ホテルの食事券や航空券が買えるポイント、日用雑貨など様々だ。

 これまでも地元特産の牛肉や海産物、果物などを返礼品としていた自治体が寄付額上位に名を連ねていたが、泉佐野は「地元産」という枠を一気に取り払ったことで、返礼品を求める人たちの寄付を集めたのだ。

 総務省は2017年4月と2018年4月に総務大臣名の通達を出し、寄付金に対する返礼品の調達額の割合を3割以下に抑えることや、地場産品でない返礼品を扱わないよう自治体に「通知」してきた。ところが、要請に応じないどころか、泉佐野のように「開き直る」ところまで出てきたことで、いよいよ規制に乗り出すことにした、というわけだ。

 野田氏は会見で「これまでと同様に見直し要請を行うだけでは自発的な見直しが期待できない状況」だとして、「過度な返礼品を送付し、制度の趣旨を歪めているような団体については、ふるさと納税の対象外にすることもできるよう、制度の見直しを検討する」としたのだ。

 これに対して、地方自治体からは反発する声が上がっている。自治体が疑問視するのは、「調達額3割」の妥当性や、「地場産品」の定義である。

「地場産品」の定義はどうなる?
 調達額3割については、自治体がふるさと納税の返礼品用に地場産品を買い上げることで、産業振興につながっているのに、なぜ3割とするのか。寄付という税収の使い道を総務省がとやかく言うのは、そもそも地方自治の本旨に反するのではないか、というわけだ。

 また、「地場産品」についてはその定義をどうするのか、という問題もある。地元に工場がある大手電機メーカーの製品は地場製品なのか、最終製品は米国製の電話機かもしれないが、その部品は地場の工場で作っている、といった主張もある。また、牛肉やうなぎなどでも、途中までは他地域や外国で育ったものもある。

 総務省が一律に基準を押し付け、それに従わない自治体は制度から除外するという「上から目線」のやり方に反発する声も多い。

 総務省はかねてから高額返礼品への批判を繰り返してきた。それがここへ来て強硬手段をちらつかせるようになったのには、明らかに総務省としての事情がある。

 ふるさと納税の受け入れ額は2017年度で3653億円。2014年度は388億円だったので、この3年で10倍近くになった。ふるさと納税は2008年に導入されたが、時の総務大臣は菅義偉・現官房長官。菅氏の後押しで実現したが、当初から総務省自体は導入に消極的だったとされる。

 ふるさと納税の発想の根源は、東京に一極集中している税収を地方に分散させることにある。東京に住んで働く人が自らの意思でふるさとに税の一部を納めるというものだった。最終的には寄付という形が取られたが、税収を納税者の意思で移動させることができると言う点では、当初の発想どおりになった。

 もともと地域間の税収格差を調整する仕組みとして、地方交付税交付金制度がある。この分配は総務省が握っており、これが総務省が地方をコントロールする権益になっているのは間違いない事実だ。ふるさと納税で、納税者の意思が税収再分配に反映されるようになると、もともとの総務省の利権に穴が開く。

 2008年にふるさと納税が導入された年はわずか81億円で、15兆円を超える地方交付税交付金からすれば微々たる金額だった。それが急激な伸びで無視できない存在になってきたのだ。2016年度の地方税収は39兆3924億円で、仮におおむねの上限とされる2割がふるさと納税で動いたとして8兆円になる。それから比べれば昨年の3653億円はまだまだごく一部ということだが、返礼品競争が激しさを増し、納税者の関心をひくことになれば、さらに爆発的にふるさと納税が増えることになる。そんな危機感を総務省は持っているのだろう。

地方の消費を下支えする効果は無視できない
 では、本当に通達に従わない自治体を対象から除外するような立法が可能なのだろうか。仮に一部の自治体への寄付を控除対象として認めないとした場合、寄付する納税者の側に大混乱をもたらすに違いない。また「3割」や「地場産品」といったルールの具体的な基準を明記しないと、法律としては成り立たないだろう。

 総務省は今回の「警告」によって多くの自治体が3割以下に返礼品の調達額を抑えたり、地場産品でないものの取り扱いを止めることを期待しているに違いない。11月に再度の調査を行うとしており、それまでに改善されれば、法改正の動きは立ち消えになるかもしれない。10月には内閣改造も予想されており、野田総務相の交代も噂される。

 結局は、自治体に自制を促すための「警告」にとどまり、ふるさと納税の仕組みが大きく変わることはないだろう。

 ただし、一方で、納税する側の意識変革も必要になるかもしれない。このふるさと納税が本当にその自治体を応援することになるのか、返礼品が魅力的かどうかだけでなく、税の使われ方として正しいかどうかも重要な判断基準にすべきだろう。

 もっとも、高額返礼品人気は、低迷している地方の消費を下支えする効果があることも忘れてはいけない。その自治体に住んでいない人が返礼品を目的に寄付をすることで、その地域内で返礼品が買い上げられ、地域の「消費」が上向くことになる。一種の「インバウンド消費」である。

 消費を盛り上げるために、むしろ返礼品の金額を引き上げて、地域での購入額を積み増すのも景気対策として意味があるのではないか。いったん税金として集めてそれを産業振興予算や景気対策などに配るよりも、ふるさと納税(寄付)というすぐに現金が入ってくるものを、地場の産業に回した方が即効性がある、とみることもできる。しかも、首長や議会などが補助金の助成先を決めるよりも、返礼品として人気のある商品の企業に直接恩恵が及ぶ方が、競争原理が働き、地域活性化に役立つとも考えられる。

 災害が多発する中で、ふるさと納税の仕組みを活用して被災地を支援する取り組みも広がっている。そうしたふるさと納税には返礼品はなしというものも多い。返礼品がなくても、税金(寄付金)の使われ方が明確なものに対しては、応援しようと言う納税者も増えているということだろう。

 ふるさと納税を巡る論議を、税金の使われ方をどう透明化し、そこに納税者の意思をどうやって反映させるかを考えるきっかけにすべきだろう。分配権限を握る総務省にとっては、ますますふるさと納税は目の上のたんこぶになっていくに違いない。


このコラムについて
磯山友幸の「政策ウラ読み」
重要な政策を担う政治家や政策人に登場いただき、政策の焦点やポイントに切り込みます。政局にばかり目が行きがちな政治ニュース、日々の動きに振り回されがちな経済ニュースの真ん中で抜け落ちている「政治経済」の本質に迫ります。(隔週掲載)

3. 2020年1月04日 01:40:47 : C2i4eDKWA6 : d3pUQ3kvbGNsV2s=[-2534] 報告
>川崎市などの不交付団体の場合には、ふるさと納税で税収減となっても、交付税による補てんがないため、そのまま税収減になる。

>川崎市
>では、控除額が40億円を超えるため、ダメージが大きい。


20万納税してキムチをもらいたい馬鹿がいると思ってんの?

 ↓

2020/01/04(土) 00:21:28.49ID:dXZZRQNk0?PLT(15000)

h ttps://pbs.twimg.com/media/EMwe0E4UUAAZsJj?format=jpg&name=small

h ttp://erakokyu.net/politics/local/20200102/67517.html


神奈川県 川崎市 にふるさと納税20万円納めたら送られてきた返礼品wwww
h ttp://hayabusa9.5ch.net/test/read.cgi/news/1578064888/

[18初期非表示理由]:担当:言葉遣いがおかしいコメント多数により全部仮処理

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