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米軍が日本防衛に来援しない4つの理由 「トランプ時代」を生き抜くための防衛政策 核の傘は機能しない 
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投稿者 うまき 日時 2018 年 9 月 28 日 06:55:15: ufjzQf6660gRM gqSC3IKr
 

(回答先: F2後継戦闘機の選定次第で自衛隊の「米軍下請け化」が進む!?  中国との対決に備え、米国が空軍も大増強へ  投稿者 うまき 日時 2018 年 9 月 27 日 08:35:19)

米軍が日本防衛に来援しない4つの理由
「トランプ時代」を生き抜くための防衛政策
核の傘は機能しない

2018年9月28日(金)
森 永輔

 政府は今年末をめどに「防衛計画の大綱」と「中期防衛力整備計画」を改訂する。前回の改訂から5年。この間に北朝鮮は核・ミサイルの開発を大幅に前進させた。トランプ政権が誕生し、米国の安全保障政策は内向きの度合いを強める。

 改訂に当たって我々は何を考えるべきなのか。外務省で国際情報局長や駐イラン大使を歴任した後、防衛大学校教授を務めた孫崎享氏は「米軍が来援しない事態も考えるべき」と訴える。

(聞き手 森 永輔)


核弾頭を搭載可能な米戦略爆撃機「B52」。北朝鮮を警戒するため飛来している(写真:ロイター/アフロ)
今回、「防衛計画の大綱」*1と「中期防衛力整備計画」*2を改訂するに当たって、孫崎さんが重視するのはどんな点ですか。

*1:防衛力のあり方と保有すべき防衛力の水準を規定(おおむね10年程度の期間を念頭)(防衛白書 平成29年版) *2:5年間の経費の総額と主要装備の整備数量を明示
孫崎:自民党が防衛大綱の改訂を発案した時と状況が変わってきました。その不整合をどのようなロジックで埋めるかに注目しています。


孫崎 享(まごさき・うける)
1943年生まれ。1966年東京大学を中退し外務省に入省。駐ウズベキスタン、国際情報局長、駐イラン大使を歴任。その後、防衛大学校教授を務める。著書に『日米同盟の正体』『情報と外交』など。(写真:菊池くらげ、以下同)
 小野寺五典防衛相が今年1月に防衛大綱の改訂を表明した時、同相はその理由を「北朝鮮の核・ミサイル技術の進展への対応」としていました。しかし、6月に米朝首脳会談が実現し、当時とは状況が変わっています。非核化が進む様子はないものの、ミサイルの発射や核実験は行われていません。米国が北朝鮮に先制攻撃を仕掛ける可能性は大きく低下しました。

その流れを反映して、地上配備型のミサイル迎撃システム「イージス・アショア」不要論が一部で出ていますね。

孫崎:そうですね。

 対中国でも状況が変わってきています。政府は島しょ部への攻撃への対処能力を高める方針を掲げていますが、中国の海洋進出をめぐる日中間の緊張も緩和する方向にあります。安倍晋三首相と習近平(シー・ジンピン)国家主席は9月にウラジオストクで会談した際、安倍首相が10月中旬に訪中することで合意しました。

 これらとは別に、新しい防衛大綱は国際貢献に対してこれまで以上に積極的な姿勢を打ち出すことになるでしょう。現行の防衛大綱が閣議決定されて以降の大きな変化として、安全保障法制が2016年3月に施行されたことがあります。

同法制によって、国連PKO(平和維持活動)ではない国際的な平和協力にも自衛隊が参加できるようになりました。その第一弾として、エジプト東部シナイ半島の停戦監視に司令部要員を派遣することが検討されています。

孫崎:憲法改正に関わる文言が加わるかどうかにも注目しています。安倍首相が9月20日、自民党総裁選に勝利し、憲法改正に取り組む意向を改めて表明しました。これに関連する文言が防衛大綱に盛り込まれることもあり得ると思います。

 今年は自然災害が相次ぎました。この機をとらえ「自衛隊の災害対応をよりスムーズにする」ことを口実に、緊急事態条項を憲法に加える提案が入るかもしれません。

米軍が日本の防衛に駆けつけない4つの理由
孫崎さんは、防衛大綱を改訂するに当たって、新たに盛り込むべき点や修正すべき点、削る点として何が重要とお考えですか。


孫崎:現行の防衛大綱は現在書かれていること以外の選択肢を挙げていない点が問題です。政府が選択した防衛政策が正しいことを証明するためにも、他の選択肢を提示し、比較検討する必要があるのではないでしょうか。

例えばどんな選択肢がありますか。

孫崎:日米同盟が機能せず、日本が他国から攻撃を受けても米国が来援しない状況です。私はこの可能性が極めて高いと考えています。

米国の首脳が繰り返し、「尖閣諸島は日米安全保障条約の適用範囲内にある」と発言しているのでは。2010年に尖閣諸島沖で中国漁船が海上保安庁の監視船に衝突する事件が起きました。この時、ヒラリー・クリントン国務長官(当時)が尖閣諸島が適用範囲であることを認めました。2012年に日本政府が魚釣島を購入し、中国が反発した際には、カート・キャンベル国務次官補(同)が同様の発言をしています。2014年にはバラク・オバマ大統領(同)が安倍首相との首脳会談の後、同趣旨の発言をしました。

孫崎:おっしゃる通りです。

 米国が助けに来ない理由は大きく4つあります。米軍が来援しないと考える理由の第1がその安保条約の規定です。米国が日本を防衛すると定めたとされる第五条を見てください。

第五条:
各締約国は、日本国の施政の下にある領域における、いずれか一方に対する武力攻撃が、自国の平和及び安全を危うくするものであることを認め、自国の憲法上の規定及び手続に従つて共通の危険に対処するように行動することを宣言する。
 「自国の憲法上の規定及び手続に従つて」とあります。米憲法は、宣戦布告の権限を議会に与えています。政府ではありません。したがって、時の米国政府は同条に則って日本を防衛すべく議会に諮るかもしれませんが、そのあとの保証はありません。

 議会は、米国人の若者の血を尖閣諸島防衛のために流させることを決して許容しないのではないでしょうか。つまり、安保条約の適用範囲にあることと、尖閣諸島を防衛することとは別の話なのです。米政権は安保条約を適用するとは言っていますが、軍事行動を起こすとは言っていません。

米国は核の傘を提供しない
 第2は米国が中国に対して核兵器を使用できないことです。米国と中国は今、「相互確証破壊」と呼ばれる状態にあります。確証破壊というのは、敵の第1撃を受けた後も、残った戦力で相手国の人口の20〜25%に致命傷を与え、工業力の2分の1から3分の2を破壊する力を維持できていれば、相手国は先制攻撃を仕掛けられない、というもの。米国のロバート・マクナマラ国防長官が1960年に核戦争を抑止する戦略として提唱しました。

 この確証破壊を2つの国が相互に取れる状態が相互確証破壊です。敵対する両国はともに、核による先制攻撃ができません。

 中国と相互確証破壊の状態にある米国が、尖閣諸島を防衛するために核兵器を使用すれば、それは中国に対する核先制攻撃となります。中国が核で報復するため、米国も多大な被害を受けることになる。巷間、「尖閣諸島のためにニューヨークを犠牲にはできない」と言われる状態が生じるわけです。

米国は核兵器を搭載する原子力潜水艦を太平洋のあちこちに遊弋(ゆうよく)させているといいます。他方、中国も南シナ海に、核ミサイル搭載潜水艦を2隻配備しているといわれる。どちらも海中を移動するため、その位置を捕捉しにくく、第1撃が実行されても“生き残る”可能性が大とされています。

孫崎:そうですね。こうした生き残る核兵器がある以上、米国が日本に核の傘を提供することはできないのです。


 第3は、東シナ海から南シナ海へと至る海域で、米国が通常兵器で参戦することも難しくなっていることです。米シンクタンクのランド研究所が「台湾(もしくは尖閣諸島)をめぐって米中が戦争すれば米国が負ける可能性がある」とのレポートを発表しました。

 これによると、中国は沿岸におよそ1200発の短中距離弾道ミサイルとクルーズミサイルを配備している。しかも、その命中精度は非常に高くなっています。中国はこれらを使って、沖縄・嘉手納にある米空軍の基地を攻撃し、滑走路を使用不能にするでしょう。そうなると、制空権を確保するための米軍の空軍能力は著しく低減します。横田や三沢の基地から飛ばすこともできるでしょうが、途中で給油する必要があります。

 米空母も、これらのミサイルを恐れて近づくことができません。

中国が進めるA2AD戦略ですね*3。

*3:Anti-Access, Area Denial(接近阻止・領域拒否)の略。中国にとって「聖域」である第2列島線内の海域に空母を中心とする米軍をアクセスさせないようにする戦略。これを実現すべく、弾道ミサイルや巡航ミサイル、潜水艦、爆撃機の能力を向上させている。第1列島線は東シナ海から台湾を経て南シナ海にかかるライン。第2列島線は、伊豆諸島からグアムを経てパプアニューギニアに至るラインを指す。
孫崎:そして第4は、米国にとって中国がアジアで最も重要なパートナーとなっている点です。近い将来、中国のGDP(国内総生産)が世界最大になることが予想されています。その巨大な市場を米国が敵に回すとは思えません。

 ドナルド・トランプ大統領が中国に貿易戦争を仕掛けています。中国からの輸入品に関税をかけたり、中国が進める「製造2025」を妨げる要求を出したり。しかし、これは短期的なものにとどまるでしょう。10年、20年という長い目で見れば、米国が中国を重視するのは変わりません。

 ちなみに、米国家安全保障会議(NSC)でアジア部長を務めたマイケル・グリーン氏は2002年にものした論文「力のバランス」で、「中国のGDPが日本のそれを追い越せば、ワシントンにとって日米同盟の重要性が劇的に低下することは考えられないことではない」と指摘しています。同氏はその理由として、米中が先ほど説明したMADの状態にあることと、中国が多額の外貨準備を保有していることを挙げています。

中国は依然として、多額の米国債を保有していますね。

敵地攻撃能力はナンセンス
米国が日本の防衛のために来援しないとすると、日本はどうするべきなのでしょうか。

孫崎:できること、やらなければならないことが2つあります。1つは、自分の国は自分で守る、自主防衛力を高めること。もう一つは外交力を生かすことです。

 「日米同盟に頼ることなく、自分の国は自分で守る」というのは、新しい考えでも突飛なものでもありません。東條・小磯・鳩山一郎内閣で外相を務めた重光葵氏は1953年、「国民は祖国を自分の力で守る気概がなければならない」と発言しています。日米安保条約を改訂した親米派とみられている岸信介氏でさえ「他国の軍隊を国内に駐屯せしめて其の力に依って独立を維持するというが如きは真の独立国の姿ではない」と回顧録に記しています。

 1969年には当時の外務省中枢が「我が国の外交政策大綱」をまとめ、その中で以下を掲げました。

わが国国土の安全については、核抑止力及び西太平洋における大規模の機動的海空攻撃及び補給力のみを米国に依存し、他は原則としてわが自衛力をもってことにあたるを目途とする
在日米軍基地は逐次縮小・整理するが、原則として自衛隊がこれを引き継ぐ
 さらに日米ガイドライン*4も「自衛隊は、島嶼に対するものを含む陸上攻撃を阻止し、排除するための作戦を主体的に実施する」と記述しています。米軍はあくまで「自衛隊の作戦を支援し及び補完するための作戦を実施する」存在なのです。

*4:正式名称は「日米防衛協力のための指針」。自衛隊と米軍の役割分担を定める
自主防衛力を高める手段はいくつか考えられます。本格的な戦争に遠い想定から順に伺います。

 まず領域警備法の制定について。尖閣諸島を日本が自分で守るためには、グレーゾーン*5をなくし対応するための法整備が必要ではないですか。

*5:自衛隊が出動すべき有事とは言えないが、警察や海上保安庁の装備では対応しきれない事態。
孫崎:私はそうは思いません。尖閣諸島周辺で起こる事態に日本が主権を行使して対応すれば、中国も同様の行動に出ます。これは危険な事態を招きかねません。

北朝鮮によるミサイル攻撃に対する自主防衛力を高めるため、敵基地攻撃能力*6を保有すべきという議論があります。これはどう評価しますか。

*6:北朝鮮が発射を意図する弾道ミサイルを最も高い確率で迎撃できるのは、発射台に設置されたとき、もしくは発射直後で飛行速度が遅い段階。このタイミングを突いて攻撃する能力のこと
孫崎:まったく意味がありません。北朝鮮は日本を攻撃できるミサイルを200〜300発保有しているといわれています。日本が敵基地攻撃能力を持つならば、これらを同時にすべて攻撃できる高い能力を持つ必要があります。漏れが出れば報復されますから。その高い能力を整えることができるでしょうか。

 加えて、日本はこれらのミサイルの発射基地をすべて見つけ出す能力を持っていないのです。この状態で、敵基地を攻撃する装備だけを整えてもナンセンスでしょう。

関連して、イージス・アショアは有効でしょうか。地上配備型の新たな迎撃ミサイルシステムです。政府は2017年12月に導入を決定しました。

孫崎:こちらも役に立つとは思えません。着弾地が事前に明らかになっているのであれば、北朝鮮が発射したミサイルの軌道を計算して迎撃ポイントを推定することができるでしょう。しかし、どこに行くのか分からないミサイルの軌道を瞬時に計算できるとは思えません。

自衛隊が耐えられなくなればゲリラ戦も
自主防衛力を高めるといってもできることは限られていますね。

孫崎:そうなのです。軍事力だけで国を守ることはできません。そこで重要になるのが2つめの外交です。軍事力はかつて定めていた基盤的防衛力レベルに抑え、その代わり、外交力を発揮する。

基盤的防衛力は限定的・小規模な侵略に独力で一定期間耐える力――ですね。1976年に防衛大綱を初めて定めた時に盛り込まれた概念です。冷静時代は核兵器による抑止が働いており、米ソが本格的な戦争を起こすことはないという前提でした。

 日本の現行の防衛戦略は、自衛隊が一定期間耐えている間に米軍が来援し、相手国を攻撃することで戦争を終結させる――というのが基本構想になっています。日本は「盾」、米国は「矛」の役割分担ですね。しかし、お話の前提は「米軍は来援しない」です。自衛隊が耐えられなくなった時、どうすればよいのでしょう。

孫崎:あきらめることなく、長期にわたって市民が抵抗することです。ゲリラ戦を展開することだって、テロを実行することだってできるでしょう。どれほど強大な軍事力を持つ国であれ、別の国を軍事力で制圧し、そこに駐在し続けることはできません。米国でさえ、イラクやアフガニスタンに居続けることはできませんでした。

金体制を保証、尖閣諸島は棚上げする
外交力はどのように発揮しますか。

孫崎:最も重要なのは、攻められる理由を作らないことです。北朝鮮に対しては、その指導者の安全を侵さない、体制の転換を図らない姿勢を明らかにすることです。それでも北朝鮮が日本を攻撃すれば国際社会が許しません。北朝鮮は存続できなくなります。こうした国際社会の雰囲気を作るのも外交力の一環です。

日本がそのような姿勢を示しても、北朝鮮は在日米軍の基地を攻撃目標にするのでは。

孫崎:在日米軍の基地にそれだけの価値はなくなっていると思います。大陸間弾道ミサイルが開発され、米本土からでも北朝鮮を核攻撃できるようになりました。在日米軍の基地を攻撃しても、北朝鮮が自らの安全を高めることはできません。

中国との間ではどのような外交をすべきですか。

孫崎:日本と中国が軍事的な対立に至る要因は尖閣諸島しかありません。これを棚上げすればよいのです。

 ここで参考になるのは、1975年および2000年に発効した日中漁業協定です。尖閣諸島周辺の海域では、「相手国民に対して、漁業に関する自国の関連法令を適用しない」ことで合意しました。日中それぞれの法執行機関が、相手国の漁船と接触する事態を生じさせないことで、漁業を発端とする紛争が起きないようにしたのです。

 先人たちが知恵をしぼった賢い仕組みです。同様の知恵をわれわれも生み出していくべきではないでしょうか。

 ドイツにも学ぶべき点があります。ドイツは第2次世界大戦に敗れ、莫大な領土を失いました。これを得たのは当時のソ連です。両国が1955年に外交関係を樹立するにあたり、アデナウアー独首相(当時)は「国境の決定は、平和条約の完成まで停止される」と表明しました。すなわち、棚上げですね。

 アデナウアーはこの時点で協議してもドイツに有利に展開することはないと判断し、領土問題を後世に託し、国交回復という実利を優先したのです。北方領土を取り戻すために平和条約の交渉を進めようとする日本とは発想が異なります。

 尖閣諸島をめぐる問題を棚上げすれば、経済的に見ても、中国が日本と戦争する意味はありません。さらなる経済大国を目指す中国は日本の市場および日本企業が持つ技術を欲しています。戦争になれば、これらを手に入れることができなくなってしまう。戦争しなくても、日本企業を買うだけの経済力を彼らはすでに持っているのです。

 これまでにお話ししたようなシナリオも想定し、比較・検討したうえで、日本の防衛政策を考え、防衛大綱を改訂すべきではないでしょうか。


このコラムについて
「トランプ時代」を生き抜くための防衛政策
今年末をめどに防衛大綱と中期防衛力整備計画(中期防)が改訂される。
前回の改定から5年。この間に北朝鮮は核・ミサイルの開発を大幅に前進させた。2017年11月には、大陸間弾道ミサイル(ICBM)「火星15」を打ち上げ、「米本土まで届く」と主張した。 トランプ政権が誕生し、米国の安全保障政策も変化した。トランプ大統領は北朝鮮の金正恩委員長と史上初の首脳会談を実現し、完全な非核化で合意した。しかし、その進展度合いには疑問がつきまとう。 米国と覇を競う中国に、防衛費の拡大ペースをゆるめる気配はない。
防衛大綱と中期防の改訂に当たって我々は何を考えるべきなのか。
https://business.nikkeibp.co.jp/atcl/report/16/082800235/092700008/
 

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